1 : 以下、名... - 2016/08/19 20:58:26.92 KdjGnDKHo 1/30


P「凛」

「なに?」

P「近くないか?」

「気のせいだよ」

P「そうか?」

「うん」

P「と言うか、暑いんだけども」

「夏だからね」

P「いや凛が抱き着いてるせいじゃないかな」

「そうかな」

P「そうだよ」

「気のせいじゃないかな」


P「そうかな」

「そうだよ」


元スレ
渋谷凛「気のせいだよ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1471607906/

2 : 以下、名... - 2016/08/19 21:00:33.76 KdjGnDKHo 2/30


加蓮「たっだいまー」

P「おー、お帰り」

加蓮「いやもーやんなっちゃうよ。外暑くてさ」

「……」

P「加蓮」

加蓮「何、Pさん?」

P「何で暑いのに抱き着いてくるんだ?」

加蓮「え、だって別腹だし」

P「何がだ?」

「加蓮」

加蓮「んー?」

「近いよ。離れて」

3 : 以下、名... - 2016/08/19 21:04:21.93 KdjGnDKHo 3/30


P「……」

加蓮「えー? 気のせいだって」

「気のせいなんかじゃないから。ほら、早く」

加蓮「もー、分かったってば。いいじゃんちょっとくらい……」

「だめ」

加蓮「ケチ」

「何とでも言って」

P「……」

「プロデューサー、どうかした?」

P「いや、別に」

4 : 以下、名... - 2016/08/19 21:09:45.94 KdjGnDKHo 4/30


「~♪」

P「……なぁ、凛」

「ん」

P「その……何だ……あー」

「……言いたい事があるなら言いなよ」

P「……その、俺の気のせいかもしれないんだけどな。こういう送迎の時に」

「うん」

P「凛ってさ……奈緒や加蓮と居る時より……一人きりの方が嬉しそうだな、って」

「……」

P「……その、悪い。ああ、ほんともう、悪い、こんなの言うべきじゃ」

「気のせいだよ」

5 : 以下、名... - 2016/08/19 21:12:21.23 KdjGnDKHo 5/30


P「……凛?」

「プロデューサー、勘違いしてるよ」

P「……」

「二人とは……その、本当は仲が悪いとか、全然そんなの無いよ。誓える」

P「……そうか。気を悪くさせただろう……本当にごめんな」

「第一さ、奈緒弄るの楽しいし。加蓮と一緒に奈緒弄るともっと楽しいし」

P「……謝るべきは凛の方な気がしてきたぞ」

「後は……多分だけどさ、嬉しそうなのって」

P「ああ」

「試されてるからだと思う。言い訳は出来なくて、自分の全力が跳ね返って来てさ」

P「……ああ、分かってきた。何となく」

「やり甲斐……って言うのかな。プリムスでの活動もいいけど、ソロの魅力?」

P「確かに凛はそういう所あるよな」

「でしょ」

6 : 以下、名... - 2016/08/19 21:15:23.51 KdjGnDKHo 6/30


P「余計な口出しして悪かったな。途中で何か奢るよ」

「そう? ラッキーかも」

P「そうだよなぁ。凛が二人と仲悪いなんてあり得ないよなぁ」

「そうだよ。別にプロデューサーと二人きりなのが嬉しいとかじゃないから」

P「ああ……ん?」

「二人の分の時間まで一緒に居られて嬉しいとか、全然そういう事じゃないから」

P「……」

「もしそう見えたとしても、それは絶対気のせいだから。誓えるよ」

P「そうか」

「うん」

7 : 以下、名... - 2016/08/19 21:24:39.82 KdjGnDKHo 7/30


P「凛」

「気のせいだよ」

P「まだ何も言ってないぞ」

「……そうだったね」

P「ああ。それで凛、何でそんなにそわそわしてるんだ?」

「……気のせいだよ」

P「そうか。ところで今日は凛の誕生日だけど」

「……」

P「……あ」

「え?」

P「ああ、いや。何でも無い」

8 : 以下、名... - 2016/08/19 21:29:52.65 KdjGnDKHo 8/30


「気になるよ。何?」

P「いや、気のせい以外の何物でもないから」

「教えてってば」

P「……」

「プロデューサー?」

P「尻尾」

「え?」

P「一瞬な、尻尾が揺れて見えた」

「……」

P「……」


「……気のせいだよ」

P「知ってるよ」

9 : 以下、名... - 2016/08/19 21:33:53.53 KdjGnDKHo 9/30


P「凛」

「……なに?」

P「無理してるだろ」


「…………気のせいだよ」

P「嘘つけ。ちゃんと顔見せてみろ」

「別に、気のせいだって」

P「なら体温計で熱測っても問題無いよな」

「……」

P「凛」

「…………ちょっと、辛いかな」

P「すぐ送る。ひとまず休んでろ」

「……ごめんね、プロデューサー……ごめん」

10 : 以下、名... - 2016/08/19 21:42:54.19 KdjGnDKHo 10/30



P「――ました。すぐお暇しますので」


「……」

P「凛。大丈夫か?」

「……プロデューサー」

P「ああ」

「ごめんね」


P「……何がだ?」

「ライブも近くて忙しいのに、ごめん。レッスン出来なくて、ごめん」

P「……ごめんな。謝らなきゃいけないのは俺の方だ」

「違うよ」

P「無理させてたんだ。凛は真面目だからっていつも決め付けて」

「違う」

P「俺のせいだ」

「違うよ。私のせいだよ」

12 : 以下、名... - 2016/08/19 21:53:02.94 KdjGnDKHo 11/30


「……」

P「……」

「……ふふっ」

P「……はは」

「何だか、昔を思い出すね」

P「ああ。お互い意地張ってばっかだったよな」

「プロデューサー。私、しっかり休んで、すぐ元通りになるから。安心してよ」

P「ああ。俺も、凛が全力でライブ出来るよう、全力で準備しとくから」

「お願いするね」

P「任せろ。だから、凛は今までの分もゆっくり休んでくれ」

「……」

P「じゃあ、俺はこれ」


「……」

P「……凛?」

「……」

P「凛。これじゃ帰れないから」

14 : 以下、名... - 2016/08/19 22:00:23.37 KdjGnDKHo 12/30




「……気のせいだよ」


15 : 以下、名... - 2016/08/19 22:00:58.94 KdjGnDKHo 13/30


P「……いや、気のせいとかじゃなくて。袖を」

「気のせいだよ」

P「……女の子の部屋だから。お母様にもすぐ」

「気のせいだから」

P「……」



「…………だめ?」



P「……いや、気のせいだった。凛ともうちょっとお喋りしたら帰れそうな気がする」

「……ふふっ」

P「全く……」

「ねぇ、プロデューサー」

P「はいはい、何でしょうお姫様?」

「お母さん、たぶん気付いてるから」

16 : 以下、名... - 2016/08/19 22:18:42.94 KdjGnDKHo 14/30



P「……」

「……」

P「……え、マジ?」

「うん」

P「気のせいじゃなくて?」

「うん」

P「……」

「プロデューサー」

P「……おう」

「だから、挨拶はしっかり、ね?」

P「…………おう」

17 : 以下、名... - 2016/08/19 22:36:14.93 KdjGnDKHo 15/30


P「……あれ?」

「どうかした?」

P「凛……お前、背、伸びたか?」

「え? うーん、どうだろ……気のせいじゃない?」

P「そうかな」

「最近、姿勢とか体幹とかのトレーニングしてたせいかな」

P「なるほど。かもしれないな」

「……」

P「凛?」

「この前測ったら、ちゃんと成長してたから。気のせいじゃないから」

18 : 以下、名... - 2016/08/19 22:49:19.63 KdjGnDKHo 16/30


P「ん?」

「バストもヒップも、ちょこっとずつだけど、ちゃんと大きくなってるから」

P「……」

「バストもヒップも、ちゃんと成長中だから。気のせいじゃないからね」

P「なぁ、凛」

「なに?」

P「何でいま二回言ったんだ?」

「別に」

P「と言うかさ」

「ん?」

P「ちゃんと分かってるから。よく確かめてるだろ」

「それもそうだね」

19 : 以下、名... - 2016/08/19 22:53:37.93 KdjGnDKHo 17/30


「……っ! ぅ、ぁ……!」

P「……」

「っ、ふぁ……っ」

P「……凛」

「……は、な、なにっ……!?」

P「声、我慢してないか?」

「……気のせ、いっ……! ぅ、んんっ……」

P「凛」

「……っ、っう……!!」

P「可愛いぞ。我慢なんてしないで、もっと聴かせてくれ」

「……あっ、んっ……!! あぅっ……っ!」

22 : 以下、名... - 2016/08/19 22:59:46.33 KdjGnDKHo 18/30

 ― = ― ≡ ― = ―


「……おはようございます……」


卯月「おは……って凛ちゃん、どうしたんですかその声!?」

未央「しぶりん、風邪? もうすぐ新曲レコーディングだけどだいじょぶ?」

「いや、風邪じゃなくて……ちょっとその、カラオケで」

未央「カラオケ……?」

卯月「……あ、ひょっとして、自主レッスンやり過ぎちゃったとか!」

「……ん、まぁ……そんな感じ」

23 : 以下、名... - 2016/08/19 23:01:04.23 KdjGnDKHo 19/30




加蓮「――いや、ちょっと待って」


27 : 以下、名... - 2016/08/19 23:28:05.88 KdjGnDKHo 20/30


「……何? 加蓮」

加蓮「みんな、変だと思わない?」

未央「変?」

卯月「どういう事ですか?」

「……ちょっと、何なの」

加蓮「あの凛がわざわざ喉痛めるような事しに行くと思う? 普段あんな感じなのに」

未央「確かに……風邪っぽい時に体調管理しなよって言われましたなー」

卯月「凛ちゃん……そんなに今回の曲は力を入れてるんですね!」

「う、うん……まぁね」

加蓮「ねぇ、凛」

「……なに?」



加蓮「ついてないよね、嘘?」


28 : 以下、名... - 2016/08/19 23:49:50.41 KdjGnDKHo 21/30


「ついてないよ。気のせいだよ。全く疑り深いね加蓮は」

加蓮「奈緒、フォーメーションΩ」


奈緒「アイサー」

「……奈緒、いつの間にちょっ、やめ、くっ」

加蓮「今のは普段の凛ならさ、何馬鹿言ってんのって溜息つくべきとこだったね」

「……」

加蓮「それで?」

卯月「……ごくり」

未央「しまむーそれ口に出さなくていいやつだよ」

加蓮「本当の所は?」

「……プロデューサーと、二人で」

奈緒「Pさんと、二人で?」

「……カラオケに行ってました」

32 : >>29 修正 - 2016/08/20 11:47:42.85 3siYpZGho 22/30


加蓮「……ふーん? 悲しいなぁ、親友に嘘なんて」

「ご、ごめんってば……ちょっと、ヒミツの思い出が欲しかっただけで……」

加蓮「ああいや、そっちじゃなくて」

「え?」



加蓮「また嘘を重ねられたのが……ね」



「…………っ!」

加蓮「奈緒、パス」

奈緒「よっと。ポパピプペ……あ、Pさん? ああいやすぐ終わるからさ」

加蓮「奈緒が素早く電話を掛け」

「奈――」

加蓮「私が素早く凛の口を塞ぐ」

「――! ――っ!!」

奈緒「いやペットショップ……うん、昨日。デパートで見た……そっか、人違いかな。うん、サンキュ」

加蓮「これがフォーメーションΩ」

卯月「鮮やかなコンビネーションですね!」

未央「ちょっとこのペース辛い」

33 : 以下、名... - 2016/08/20 11:48:28.18 3siYpZGho 23/30


奈緒「昨日は定時プラス三時間半で済んだと」

加蓮「へー。ちょっとカラオケ行くには厳しい時間かな? 一時間ちょいで絶唱したのかな?」

「……」

加蓮「まぁそもそも、この時期にPさんがアイドルへそんな無茶させないよね」

「……」

加蓮「凛、もう無いからね。昨日の夜さ、どこに居たの?」

「……」

卯月「……ごくり」

未央「そろそろ帰っていいかな? あ、ダメ?」

加蓮「私の推理を話すね」

奈緒「久々だな名探偵カレン」

「……」

加蓮「凛が自発的に喉をやっちゃうような事態は考えにくい。となると故意によるものではない」

35 : 以下、名... - 2016/08/20 12:17:11.29 3siYpZGho 24/30


「……」

加蓮「あたしの勘に言わせれば、この件には絶対Pさんが関わってる。となると」

「……」

卯月「ごくり……!」

未央「あ、ハクリュー」

加蓮「Pさんが関わり、なおかつカラオケではない、喉をダメにするような、抗い難いインシデント」

「……」



加蓮「――ぶちかませ、奈緒っ! パス!」

奈緒「ラジャー! ポパピプペ……」

「待っ――」

加蓮「フォーメーションΔ!」

「こひゅっ」

卯月「わぁ、綺麗なチョーク!」

未央「ハイパーボール切れた……」

37 : 以下、名... - 2016/08/20 13:11:40.07 3siYpZGho 25/30


奈緒「――夜。うん……今の間、何だ? あ、おいちょっと」

「……」

奈緒「急用が入ったと。焦った様子で」

「……」

加蓮「ねぇ、凛」

「…………うん」

加蓮「これだけ教えて?」

「……」



加蓮「どっちの家?」


39 : 以下、名... - 2016/08/20 14:07:32.93 3siYpZGho 26/30

 ― = ― ≡ ― = ―


「……」

加蓮「……」

奈緒「……」


P「……カーステレ」

加蓮「いい」

P「……そうか」

「……」

加蓮「……」

奈緒「……」

P「……」

40 : 以下、名... - 2016/08/20 14:12:43.93 3siYpZGho 27/30


奈緒「はぁー…………っ」

加蓮「……」

「……」

P「……」


P「……なぁ、凛」

「……なに?」

P「ひょっとしたら……もしかしたらだけどさ」

「……」

41 : 以下、名... - 2016/08/20 14:20:06.35 3siYpZGho 28/30




P「……バレてないか?」

「……気のせいだよ」


42 : 以下、名... - 2016/08/20 14:21:00.12 3siYpZGho 29/30


おしまい。


zP0uiPU

AbBW98L


凛ちゃんに「うん」って言わせたがる病、未だ快復の兆し無し

前作とか
新田美波「君の隣に居たいだけ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469787958/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/5129059.html

渋谷凛は魔法がお好き
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467374340/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/4420977.html


次はこずえちゃんのお話予定だったけど、どうやら次回で当面の目標だった50本目になるみたい
蘭子ちゃんの長編をすらすら書けるくらいの熊本魂が欲しかった

43 : 以下、名... - 2016/08/20 14:21:40.21 3siYpZGho 30/30


あと夏コミ遊びに来てくれたみんなありがとうね
いつも読んでるよって言われてめっちゃハッピーだよ

新刊は書店委託依頼してるけど正直難しいかも
サイズとお値段考えると店側としては扱う旨味が薄いんだ、今回のは

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