1 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 21:53:40.89 cZLnAQMb0 1/27

茄子「おはようございますー♪」

茄子「――あら?」

「あ、茄子さんおはよ」

芳乃「おはようございましてー」

茄子「あ、はい。おはようございます」

茄子「あのー?」

芳乃「んー? いかがしましてー?」

茄子「いえ……えっと、二人は何してるんですか?」

茄子「二人で並んで座って……机に紫の布も敷いて、水晶玉まで置いて……」

茄子「……あっ、もしかして占いですか?」

「んー、ちょっと違うわ」

茄子「違うんですね……そうにしか見えませんでしたけど」

「その要素も含んでるし、確かにそう見えるかもね」

「正解はここに書いてる通りよ」

茄子「……えーっと」

茄子「スピリチュアルなお悩み相談……?」

元スレ
朋「スピリチュアルな」芳乃「お悩み相談でしてー」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1479992020/

2 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 21:54:19.77 cZLnAQMb0 2/27

茄子「……って何ですか?」

「名前の通りよ」

茄子「うーん……その名前から読めないので聞いてるんですけど……」

芳乃「ようするにー、お悩み相談でしてー」

芳乃「スピリチュアルなー」

茄子「スピリチュアルがどういうことなのか知りたいんですけどね」

「スピリチュアルはスピリチュアルよ」

茄子「えぇ……」

「まあなんだっていいじゃない。なんとなく意味が伝わればいいのよ」

茄子「伝わってないんですけどねー」

3 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 21:55:21.52 cZLnAQMb0 3/27

茄子「……とにかく、二人はお悩み相談をしてるってことですね?」

芳乃「うむー」

芳乃「近頃は朋殿とのお仕事も少なくー、少々寂しく感じておりましてー」

「だから、あたしたち二人で何かしたいねって話してたの」

「お仕事じゃなくてもいいから……って

茄子「……それでお悩み相談をすることにしたんですね」

「うん」

「せっかくだからあたしと芳乃ちゃんの好きなことを混ぜたらいいんじゃないかな……って思って」

芳乃「わたくしのー、お悩み相談とー、朋殿のー、占いを合わせましてー」

芳乃「ついでにわたくしたちのユニット名もかけましてー」

芳乃「スピリチュアルなお悩み相談でしてー」

茄子「なるほど……」

4 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 21:56:17.48 cZLnAQMb0 4/27

「どう? 茄子さんも何か相談してく?」

茄子「そうですねー……」

芳乃「その代わりおせんべいをくださいませー」

「あ、じゃあ私チョコ欲しい!」

茄子「あ、対価は必要なんですね」

「その代わり絶対に解決するわよ!」

芳乃「うむー、そのためにもー」

茄子「……まあ、幸運にもどっちも持ってるし、いいんですけどねー」

茄子「ほら、おせんべいとチョコですー」

「……さすがねー」

茄子「じゃ、二人にこれあげますねー」

「わっ、本当にくれるんだ!」

芳乃「言ってみるものでしてー」

茄子「はい、あーげた♪」

「ちょっと! 手を上げてるんじゃないわよ!」

芳乃「ぐむー」

茄子「ふふ、冗談ですよ。どうぞ」

「ありがと! ん~♪」

芳乃「うまうまー」

茄子「……ふふっ♪」

5 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 21:56:47.30 cZLnAQMb0 5/27

「あー、おいしかった」

芳乃「うむー……満足でしてー」

芳乃「ではー、ご相談を聞きましょー」

茄子「んー……相談……」

「何か悩んでることとかない?」

茄子「そうですねー……今日の夕飯何に食べようかなー、とかはちょっと悩んでたりしますけど」

「……ダメね」

芳乃「ダメでしてー」

茄子「……まさかこんなに早く拒否されるとは思いませんでした」

「だって、ぜんぜんスピリチュアルじゃないし」

茄子「判断基準そこなんですねー」

「そりゃそうよ、あたしたちがしてるのは『スピリチュアルなお悩みの相談』だし」

芳乃「もう少しスピリチュアルなものを所望しましてー」

茄子「うーん……まだよくわからないんですけど……」

茄子「……あ、どんな相談乗ったか聞いてもいいですか?」

芳乃「まだのってないのでしてー」

茄子「……私が最初の一人だったんですか?」

「そうよ。このセットができたのもついさっきだもん」

茄子「そうだったんですねー……うーん……」

6 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 21:57:20.24 cZLnAQMb0 6/27

茄子「……ちなみに、たとえばどんな相談だったらスピリチュアルですか?」

「あたしたちがスピリチュアルだと思ったらスピリチュアルよ」

茄子「そんなロックみたいな……」

芳乃「スピリチュアルはー、スピリチュアルであればー、スピリチュアルであるからこそー、スピリチュアルでありー」

茄子「芳乃ちゃん、意図的にゲシュタルト崩壊させようとしてますよね」

芳乃「いえいえー、そんなことはありませぬー」

茄子「目が泳いでますよー?」

芳乃「これは乃々殿の真似でしてー」

芳乃「むーりー」

茄子「あら、可愛い♪」ナデナデ

芳乃「えへー」

7 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:01:35.63 cZLnAQMb0 7/27

「で、どう? 何かある?」

茄子「うーん……スピリチュアルな悩み……うーん……」

茄子「……あ、こんなのはどうでしょう?」

芳乃「聞きましょー」

茄子「私って、二人とも知っての通り幸運じゃないですかー?」

「そうね、分けて欲しいくらいよ」

茄子「あら、じゃあ分けますよ?」

「へ……?」

茄子「よしよしー♪」ナデナデ

「わっ……ちょ、ちょっと、何……!?」

茄子「幸運のおすそ分けですよー♪」

茄子「うふふ、幸せになーれ♪」

「う……あ、あたしの方が背が高いのに……!」

茄子「でも私の方がお姉さんですからー♪」

茄子「よーしよーし♪」

茄子「ふふっ、幸運になーれ♪」

「うぅ……」

「……」

芳乃「……話を続けてもらってもー?」

茄子「あっ、そうでしたね」スッ

「あっ……」

「……」

「……でも、これでちょっと運勢よくなったわよね、きっと」

「ふふ、明日の占いが楽しみかも……♪」

8 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:06:50.75 cZLnAQMb0 8/27

茄子「それで、私ってこんな風に幸運ですから、おみくじでも毎回大吉を引くんですよね」

芳乃「ほー」

「いいことじゃない。毎年運勢がすごく良いってことでしょ?」

茄子「そうなんですけどねー」

茄子「でもやっぱり、毎年同じ運勢が出ると、たまには違うのも見たいなってなるんですよ」

茄子「なので、一回でいいから大吉以外のおみくじを引いてみたいなーって思うんですけど」

茄子「こんな相談はどうでしょうか?」

「……良いスピリチュアルね」

芳乃「ナイススピリチュアルでしてー」

茄子「うふふ、よかった♪」

茄子(……スピリチュアルって何なんでしょう)

「よっし、わかったわ!」

「ちゃんとチョコも、おせんべいももらったし!」

「あたしたちがその悩みを解決して見せるわ!」

茄子「悩みってほどじゃないんですけどねー」

「……ちょっと、水を差さないでよ」

芳乃「台無しでしてー」

茄子「ふふ、ごめんなさい♪」

9 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:11:53.87 cZLnAQMb0 9/27

「……さて」

芳乃「どうするのでしてー?」

「んー……まずはとりあえず本当に大吉だけ出るのか見せてもらってもいい?」

茄子「いいですよー♪」

茄子「……でもおみくじは――」

「――無ければ作ればいいのよ」

茄子「あら」

芳乃「紙も箱も用意がありましてー」

茄子「用意周到ですねー」

芳乃「どのような悩みも解決できるようにとー」

「じゃ……まあくじは3枚でいいわよね」

芳乃「うむー。大凶と吉と大吉の3つでよろしいかとー」

「そうね。じゃ、はい紙よ」

茄子「ありがとうございますー♪」

茄子「それじゃ私は大凶って書きますねー」

「じゃ、あたしは大吉っ!」

芳乃「なればわたくしは吉と書きましょー」

茄子「だーいきょうっと♪」

「……楽しそうねー」

茄子「これが私の手に入ったらもっと楽しいんでしょうけどねー」


10 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:16:45.10 cZLnAQMb0 10/27

「よっし、書いたのこれに入れて!」

芳乃「うむー」

茄子「どうぞー♪」

「ありがと! じゃ、あたしのも入れて……即席おみくじの完成!」

芳乃「おみくじというには教えは書いておりませぬがー」

「それが目的ってわけじゃないし、まあいいでしょ」

「それじゃあ茄子さん、引いて?」

茄子「はーい♪」

茄子「……あら、大吉ですねー♪」

芳乃「おー」

「さすがねー」

茄子「ふふ、私ですから♪」

茄子「……で、どうしましょう?」

「一回それ戻してもらっていい?」

茄子「わかりましたー」

「ありがと」

「じゃ、芳乃ちゃん」

芳乃「うむー、混ぜましょー」

芳乃「まぜまぜー、まぜまぜー」

芳乃「……ふむー、混ぜましてー」

芳乃「では茄子殿ー」

茄子「はーい、もう一回引きますねー♪」

茄子「よいしょっと……また大吉ですねー♪」



11 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:17:49.09 cZLnAQMb0 11/27

茄子「またまた大吉ですねー♪」

茄子「それでも大吉ですねー♪」

茄子「いかにも大吉ですねー♪」

茄子「何度も大吉ですねー♪」

茄子「これまた大吉ですねー♪」

茄子「しからば大吉ですねー♪」

茄子「いつでも大吉ですねー♪」

茄子「今後も大吉ですねー♪」

16 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:37:09.48 cZLnAQMb0 12/27

「うわぁ……本当に大吉しか出ないのねー」

茄子「私ですから♪」

芳乃「ふむー……納得してしまうのが悔しくー」

茄子「うふふっ」

茄子「……と、まあ、こんな感じなんですけど……どうでしょう?」

茄子「私大吉以外のくじ引けるでしょうか?」

芳乃「ふむー……」

「んー……」

芳乃「……!」

芳乃「朋殿ー、耳をお貸しいただきたくー」

「あ、うん、何?」

芳乃「隙を見計らってー、大吉をあのくじから抜いてくださいませー」コソコソ

「ふんふん」

芳乃「しからばー、茄子殿も大吉を引くことはないでしょー」コソコソ

「そうね」

芳乃「さすればー、相談は解決するのでしてー」コソコソ

「なるほど……」

芳乃「わたくしが気を引きますゆえー、その間にー」コソコソ

「ん、わかったわ!」

茄子「……私抜きのこしょこしょ話は楽しかったですかー?」

「あっ……いや、これは茄子さんの悩みを解決するためのもので――」

茄子「いじいじ」

「――ちょ、ちょっと、いじけないでよ」

芳乃「ふむー……なれば茄子殿ー。わたくしともこしょこしょ話をしましょー」

茄子「え、いいんですか?」

芳乃「うむー。耳をお貸しくださいませー」

13 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:27:34.29 cZLnAQMb0 13/27

芳乃「こしょこしょこしょー」コソコソ

茄子「ふむふむー」

(……あっ、今のうちに大吉抜いとこ)

芳乃「こしょこしょこしょー」コソコソ

茄子「なるほどー」

(……よっし、これでオッケー)

(それにしても……)

芳乃「こしょこしょこしょー」コソコソ

茄子「ふふっ、わかりましたー♪」

(……な、何話してるんだろ)

芳乃「……以上でしてー」

茄子「はーい♪」

「あ、話し終わった?」

茄子「ええ」

茄子「……ふふっ」

「……」

茄子「うふふっ♪」

「何よ、あたしの顔見て笑って!」

茄子「べっつにー♪」

「えっ……ちょ、ちょっと、芳乃ちゃん!」

「茄子さんに何を教えたの!?」

芳乃「はてー? なんでしょー?」

「話したの芳乃ちゃんじゃない!」

「ちょっ、教えてよ! すっごい気になるんだけど……!」

芳乃「二人のこしょこしょ話ゆえー、他の人には話せませぬー」

芳乃「ねー」

茄子「ねー♪」

「うっ、うう……!」

14 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:33:26.09 cZLnAQMb0 14/27

「……ま、まあそうよね、二人の秘密なんだから……うん、そうよね……うん」

「うー、でも気になるううぅ……!」

芳乃「しーでしてー、茄子殿ー」

茄子「しーですよー、芳乃ちゃん♪」

「うぅ……!」

「……ね、どうしても教えてくれない?」

芳乃「えー」

茄子「えー」

「お願いっ、ね? あたしこのままじゃなんかもう集中できないわ」

芳乃「んー……どうしましょー?」

茄子「どうしましょうかー?」

「お願いっ! 茄子お姉さま! 芳乃お姉さま!」

芳乃「!」

茄子「!」

「……ダメ?」

芳乃「お姉さま……えへー」

茄子「ふふっ、そんなに言うなら教えちゃいましょうか♪」

「……本当!?」

茄子「はい♪」

茄子「さっきのこしょこしょ話はですねー」

茄子「『こしょこしょ話が終わった後に、朋殿を見て思わせぶりに笑ったら可愛い反応が見れましてー』って教わってたんですよ♪」

「……へ?」

芳乃「言ったとおりでしょー?」

茄子「はい♪ とっても可愛らしかったです♪」

「えっ……あ、え……その……も、もうっ!」

「もうっ! もうっ!」

芳乃「ふふー、可愛らしいでしてー」

茄子「朋ちゃん可愛い♪」

「やめてよ、もうっ!」

15 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:36:12.22 cZLnAQMb0 15/27

「ああ、もうっ!」

「茄子さん、とりあえずこれ引いて!」

茄子「あら、またですかー?」

「いいから!」

茄子「ふふ、わかりましたー♪」

芳乃「朋殿ー、お顔が真っ赤でしてー」

「言わないでよそういうの!」

「うぅ……穴があったら入りたい……」

芳乃「探しますー?」

「いや、いいわよ……実際には入んないし……うぅ……」

茄子「……よいしょ、引けましたー♪」

茄子「やっぱり大吉ですねー♪」

「えっ!?」

茄子「?」

「あっ!」

芳乃「……朋殿ー」

「……ごめん」

18 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:43:49.62 cZLnAQMb0 16/27

茄子「……まあなんで驚いたかはわかってるんですけどねー」

「へ……?」

茄子「ふふ、きっとこのくじの中の大吉を抜いたんでしょう?」

芳乃「ばれまして!」

「な、なんでわかったの……!?」

茄子「私も同じこと考えましたから♪」

「!」

茄子「私も、自分でどうにかして大吉引けないかなーって思ったときに同じことやったことがあるんです」

茄子「でも、それでも大吉が出てくるんですよ。ほら」

芳乃「……本当でしてー」

「で、でもあたしも自分の書いた大吉とったわよ! ほら!」

芳乃「ふむー……二つの大吉の筆跡が違いましてー」

茄子「なんでなんでしょうねー?」

「……スピリチュアルだわ」

芳乃「スピリチュアルでしてー」

茄子「ふふっ♪」

茄子「たぶんもっといっぱい出せると思いますよ」

茄子「がさごそー♪」

茄子「えいっ!……ほら、また大吉」

芳乃「……おー」

茄子「まだまだ出せますよー♪」

茄子「えいっ、やっ、とおっ、てーいっ!」

茄子「……ふふ、今引いた4つのくじは全部大吉です」

「……本当だ」

茄子「さらにさらにー、この中にある3つのくじを引くとー……えーいっ♪」

茄子「うふふっ、全部大吉ですっ♪」

「嘘!?……じゃないわ、全部大吉ねこれ」

芳乃「手品みたいでしてー」

茄子「かくし芸に使えるかもしれませんねー♪」

19 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:47:36.31 cZLnAQMb0 17/27

「……というか、中身2枚のはずよね?」

芳乃「うむー、大吉は朋殿が持ってるゆえー、吉と大凶の2枚しか入っておらぬはずでしてー」

「……でも、茄子さん3枚引いてるわよね?」

芳乃「うむむー……」

茄子「たぶん5枚とか10枚とかでも一気に引けるとおもいますけど……」

芳乃「しなくていいのでしてー」

茄子「あら……」

「……しかし、これは本当にスピリチュアルね」

芳乃「うむー……如何にしましょー」

「とりあえず茄子さんが引いたら大吉ってことになるんだし……」

「……あ、そうだ!」

芳乃「何か案がー?」

「うん!」

「二人羽織でくじを引くの!」

20 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 22:55:25.43 cZLnAQMb0 18/27

芳乃「準備できましてー」

茄子「準備できましたー♪」

芳乃「わたくしが茄子殿の目となりー」

茄子「私が芳乃ちゃんの手となりますー♪」

芳乃「ゆえにわたくしたちは依田芳乃と鷹富士茄子ではなくー」

茄子「二人合わさった依富士芳子でしてー♪」

「……よっし、準備万端ね」

茄子「……あのー、この宣言は必要だったんでしょうか?」

「や、とりあえず茄子さんじゃないってことを宣言したら幸運も働かないんじゃないかなーって」

茄子「そういうものなんでしょうか……?」

芳乃「まあなにはともあれやってみましょー」

「じゃ、くじここに置くわね」

芳乃「うむー」

茄子「それじゃあ、芳乃ちゃん。お願いします♪」

芳乃「わかりましてー」

芳乃「まずは右腕を少しあげてくださいませー」

茄子「はーい♪」

芳乃「そのまま、前へ伸ばしませー」

茄子「ぐいーっ♪」

芳乃「……そこで一度止まりー、下に手を動かしませー」

芳乃「さすればー、箱にぶつかりますー」

茄子「ぎゅーん……あ、ありました。これですねー」

芳乃「うむー。そこから左に少し動かせば穴がありましてー」

茄子「すーっ……ありました! じゃあ中に入れますねー」

芳乃「お願いしましてー」

「……恐ろしいくらい順調に進んだわね」

茄子「かくし芸はいろいろ練習しましたから♪」

芳乃「人を導くのは得意でしてー」

「なるほどねー」

茄子「……よし、引きました」

茄子「それじゃ、開きますねー……えーっとこの辺かな……あ、あったあった」

茄子「えーいっ♪」

「どう?」

芳乃「……ふむー」

芳乃「時に朋殿ー、このくじに大吉は入れてましてー?」

「ううん、入れてないわよ」

芳乃「……なればこれは失敗でしょー。わたくしたちが引いたカードは大吉とかかれておりますゆえー」

茄子「あら……」

「うーん……ダメだったかー……」

21 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 23:00:32.89 cZLnAQMb0 19/27

「いい案だと思ったんだけどなー」

「設定上依富士芳子が引いたことになってるはずだから、少なくとも幸運もいつもより少ないはずなのに……」

茄子「設定がどうだとしても私が引いちゃってますからねー」

芳乃「ふむー……なれば、茄子殿の腕で引かなければよろしいのではー?」

「えっ、足で引くの!?」

茄子「足ですか……たぶんできないことはありませんけど……」

芳乃「そうではなくー」

芳乃「……言い方を変えましょー。茄子殿の体で引かなければよろしいと思いましてー」

茄子「私の体で……」

「……っていうと、どんなの?」

芳乃「こちらをお使いになりましょー」

茄子「これは……おもちゃのロボットアーム?」

芳乃「うむー」

芳乃「こちらを使えば、茄子殿の体はくじに触れることなく、くじを引くことができましてー」

「あー、なるほど!」

「さっすが芳乃ちゃん!」

芳乃「ふふー、もっと褒めてもよろしくてー」

「すごいわ芳乃ちゃん!」

茄子「その考えはありませんでした、芳乃ちゃん!」

芳乃「ふふふー」

22 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 23:04:48.77 cZLnAQMb0 20/27

茄子「……さて、じゃあやってみますね」

「んー」

芳乃「がんばってくださいませー」

茄子「うふふ、ありがとうございますー♪」

茄子「ウイーン♪」

茄子「ガシャーン♪」

「……楽しそうね」

茄子「楽しいですよー♪」

茄子「……でもこれでくじを取るの結構難しいですね……ウイーン♪」

「……」

芳乃「どうでしてー?」

茄子「もうちょっとまってください……あ、やっと取れました!」

茄子「ウイーン♪……っと」

茄子「えーっと……あ、大吉ですね」

芳乃「おやー……」

「これでもダメなんだ……」

茄子「うーん……いい考えだと思ったんですけど……」

「ねー……茄子さんの体が触れないようにってのは良い考えだと思ったんだけどなー」

芳乃「うむー……」

芳乃「しょんぼりでしてー」

「……」

茄子「……」

芳乃「……」

「……あっ!」

芳乃「何か思いつきましてー?」

「うん! 思いついた!」

「茄子さんが引いちゃダメなら、茄子さんがあたしたちを操って引けばいいのよ!」

23 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 23:10:40.62 cZLnAQMb0 21/27

「というわけで茄子さん、あたしを操って!」

茄子「ど、どうやってですか……?」

「どうやって……うーん……ほら、なんか、声で!」

茄子「声で……」

芳乃「臨場感をだしたければラジコンのコントローラーも用意しておりますがー」

茄子「……本当に用意周到ですね」

芳乃「ついでに朋殿にアンテナもつけましょー」

芳乃「……少ししゃがんでいただいてもー?」

「あ、いいわよ……よいしょ」

芳乃「えい」

「……もういい?」

芳乃「うむー」

「よし、これであたしは茄子さんのラジコン……茄子さんのものよ!」

「だから、茄子さんが操るあたしが引いたら茄子さんが引いたことになるわ!」

茄子「うーん……」

「それじゃ、茄子さん! いつでもいいわよ!」

茄子「……わ、わかりました」

茄子「えっと……じゃあ前へ進め」

「……」スタスタ

茄子「もう少し左へ」

「……」スタスタ

茄子「その場でジャンプ」

「……」ピョン

「……って何させるのよ!」

芳乃「朋殿ー、今の朋殿はラジコンでしてー」

芳乃「茄子殿のものゆえー、動きに疑問を持ってはいけませぬー」

「あ、そっか……こほん」

「……」

茄子「……」

茄子(……なんか楽しくなってきました)

24 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 23:15:31.76 cZLnAQMb0 22/27

茄子「そのまま前へ」

「……」スタスタ

茄子「急停止してバック」

「……」ピタツ

「……」スタスタ

茄子「三歩進んで二歩下がる」

「……」スタスタスタ

「……」スタスタ

茄子「ムーンウォーク」

「できるかな……」ボソッ

「……」スッスッ

茄子「くるっとまわってあっかんべー」

「……」クルクル

「べー」

茄子「お願いシンデレラを踊る」

「……」オーネガイー

「……」シーンデレラー

茄子「いぬのきもちになるですよ」

「……」ワーンワンワワーン

茄子「観客にパフォーマンス」

「みんなーっ! 今日は来てくれて本当にありがとーっ!」

「……ってちょっと!」

「いい加減くじを引かせなさいよ!」

茄子「うふふっ、ごめんなさい♪」

茄子「ちょっと楽しくなっちゃって♪」

芳乃「……茄子殿ー。後でわたしもやらせてくださいませー」

茄子「ふふっ、交代でやりましょうねー♪」

「……」

「……後で二人もラジコンにしてやるんだから」


25 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 23:18:58.13 cZLnAQMb0 23/27

茄子「ふふっ……それじゃ、今度こそちゃんとやりますねー♪」

「……お願いね」

茄子「そのまま前に進む」

「……」スタスタ

茄子「ストップ」

「……」ピタッ

茄子「右手を箱の中へ」

「……」スッ

茄子「一番最初に触れたおみくじを引く」

「……」ピトッ

「……」スッ

茄子「反転」

「……」クルッ

茄子「私の前までまっすぐ進む」

「……」スタスタ

「……」ピトッ

茄子「おみくじを開く」

「……」スッ

「……あっ!」

芳乃「おー、吉でしてー」

「大吉じゃないわ、茄子さん!」

茄子「ふふ、本当ですねー♪」

茄子「初めて大吉以外を引いちゃいました♪」

「やったー!」

芳乃「万歳でしてー」

26 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 23:23:51.80 cZLnAQMb0 24/27

「……よっし、これで相談は解決!」

芳乃「無事大吉以外のくじを引けましてー」

「イェイッ!」パン

芳乃「いぇいー」パン

茄子「うふふ、ありがとうございました、二人とも」

茄子「まさか大吉以外が引けるとは思いませんでしたし……」

茄子「それに、とても楽しかったです♪」

「あたしも楽しかった!」

芳乃「わたくしもー」

芳乃「そなたの役に立てたならなによりでしてー、ふふー」

茄子「うふふっ♪」

茄子(……よく考えたらこれってただ朋ちゃんがくじを引いただけなんですけど)

茄子(そもそもそれに関してはそんなに悩んでませんでしたし……それに、楽しかったからいいですよね♪)

「ふふ、この調子なら他に相談がきても全部解決できそうね!」

芳乃「うむー、わたくしたちスピリチュアルプレイヤーにかかればー」

芳乃「どやぁー」

「ドヤッ」

茄子(ふふっ、二人とも可愛い♪)

27 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 23:33:15.35 cZLnAQMb0 25/27

芳乃「……さて、朋殿ー」

「ん、何?」

芳乃「前へ進めー」

「……あっ、コントローラー持ってる!」

芳乃「ふっふっふー、茄子殿から譲りうけましてー」

芳乃「今、そなたはわたくしのものでしてー、さあ動くのでしてー」

芳乃「前へー、前へー」

「ぐぬぬ……」スタスタ

芳乃「ふふー、なれば次はー――」

茄子「えいっ♪」ピトッ

芳乃「……うむー?」

茄子「ふふ、芳乃ちゃんの頭にもアンテナつけちゃいました♪」

茄子「そして、コントローラーがここにもうひとつ」

茄子「本当にいろいろ用意してたんですねー、ふふっ」

芳乃「なんとー……わたくしもラジコンにされてしまいましてー」

「ふふ、これで芳乃ちゃんもあたしの仲間ね!」

茄子「うふふ、芳乃ちゃんも前へ進めー♪」

芳乃「ぐぬー……」

茄子「次はー、後ろへ下がってー――」

「――そして、茄子さんもラジコンよ!」

茄子「……私もアンテナをつけられちゃいました」

「もちろんコントローラーもあるわ!」

茄子「あら……これじゃあ私は朋ちゃんに操られちゃうんですねー」

「そうよ! さっきのお返ししてやるわ!」

茄子「きゃー♪」

芳乃「これでー、茄子殿はわたくしを操りー、わたくしは朋殿を操りー、朋殿は茄子殿を操ることになりましてー」

「……よくわからない三角関係ね」

茄子「これは三角関係って言うんでしょうか……?」

芳乃「わかりませぬー……がー」

芳乃「操るのは変わらないのでしてー!」

「そうね!」

茄子「そうですね♪」

「それじゃ、茄子さん、前へ進め!」

茄子「ふふ、それなら芳乃ちゃんも前へ進めー♪」

芳乃「なれば朋殿も前へー」

「……」スタスタ

茄子「……」スタスタ

芳乃「……」スタスタ

「きゃっ!……もう、ふふっ」ドン

芳乃「ぶつかってしまいましてー、ふふー」ドン

茄子「うふふっ、ぶつかっちゃいましたね♪」ドン



おしまい

28 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 23:36:35.33 cZLnAQMb0 26/27

みんな可愛いってノリと勢い。朋茄子芳乃はみんな可愛いし、相性もいい

誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方ありがとうございました。

29 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2016/11/24 23:38:36.19 cZLnAQMb0 27/27
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