1 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:53:34.25 cBnQRHcko 1/34


「がんばえー♪」


元スレ
奈緒「ぷいきゅあー!がんばえー!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464620014/

2 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:54:02.53 cBnQRHcko 2/34


・アイドルマスターシンデレラガールズ 渋谷凛と神谷奈緒のSS
・百合注意、キャラ崩壊注意
・ぷいきゅあです、プ○キュアではない

3 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:54:31.32 cBnQRHcko 3/34


 凛の自室、PM9:40


「28話…… だいぶ、物語も進んできたね」

奈緒「7巻まで見終わったし、半分は超えてるよ」

「1年で完結なんだっけ?毎週……ってことはざっと50話くらいってこと?」

奈緒「まあ、そんなとこ。今度来た時に続きも持ってくるからなー」

「楽しみにしてるね」

奈緒「ん」

4 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:55:01.74 cBnQRHcko 4/34


奈緒「しかし、あたしが熱心に勧めたとはいえ、凛がぷいきゅあシリーズにハマるなんてなー」

「ハマるって言っても、まだ1作目だよね?まあ、楽しんでるのはほんとだけどさ」

奈緒「てっきりさ、こういうの受け付けないんじゃないかって思ってたよ」

「そう?そんなことないよ」

6 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:55:29.57 cBnQRHcko 5/34


奈緒「ちっちゃい頃に見てたってわけでもないんだろ?」

「うん…… 朝のそのぐらいの時間って、もう開店の準備とかでお父さんもお母さんも忙しくてさ。
  日曜日なんかは、近くのお祖母ちゃんちにひとりで行ってたから。TV、あんまり見てなかったんだ」

奈緒「なるほど」

「それに、周りの子とそういう話をしなかったからね。TVの話でも、ドラマとか、バラエティとかの話が中心だったし」

奈緒「確かに、そんなイメージあるしなあ」

7 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:56:00.49 cBnQRHcko 6/34


「幼稚園でも小学校でもさ、大人っぽいねって周りからいつも言われてて。……多分、自分でも意識してたんだと思う」

奈緒「そっかぁ……」

「だからこそ、今になってその頃の分を取り返してるのかもね」

奈緒「なら、良かった、のか?」

「うん、ありがと」

奈緒「べ、別にそんな…… 勧めたのあたしだし…… ま、どういたしまして?」

8 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:56:29.65 cBnQRHcko 7/34


「それに、さ」

奈緒「なんだよ」

「好きな人の好きな事を知りたいって、変かな?」

9 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:56:56.79 cBnQRHcko 8/34


奈緒「……今の、ズルいだろ!?」

「ふふっ、でもほんとのことだし」

奈緒「あ、あたしだって」

「どうしたの?」

奈緒「ちょっとは、その、花の事とか調べたりしてるんだぞ……」

「ふぅん…… じゃあ、この花は?」

奈緒「あ、や、わ、分かんない」

10 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:57:24.58 cBnQRHcko 9/34


「かすみ草だよ。花束の脇役によく使われるんだけど、単体でも結構好きなんだ」

奈緒「み、見たことはあったんだよ。名前とかは、まだ知らなかっただけで」

「花言葉は…… 教えてあげない。後で調べてみてね」

奈緒「むぅ……」

11 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:57:52.00 cBnQRHcko 10/34


「奈緒」

奈緒「なんだよー」

「焦らなくったって、逃げたりしないから」

奈緒「でもさ、なんか、悔しいじゃん」

12 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:58:23.75 cBnQRHcko 11/34


「そんなに考えなくたって、例えば、花屋になるってだけなら簡単なんだよ」

奈緒「簡単か?」

「ほら、花屋さんに嫁入りすればいいんだし」

奈緒「……」

「婿入りでも、いいんだよ?」

奈緒「だからぁ!ズルいってば、そういうの!」

13 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:58:51.70 cBnQRHcko 12/34


奈緒「……ごほん。でも、実際そういうのって、やっぱりずるいっていうか、正面からじゃなくていいのかっていうか」

「そうかな?順番が前後するだけで、私は変わらないと思うけど」

奈緒「あたしはさ、やっぱりちょっと違うと思う」

「私だって奈緒だって、アイドルになる前は歌もダンスもしてこなかったでしょ?それと同じだよ」

奈緒「そう、なのか?うーん」

「もちろん、知りたいって思ってくれるのは嬉しいからね」

奈緒「だったら、あたしもがんばるからな」

14 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:59:19.47 cBnQRHcko 13/34


ーーー

「そう言えば、なんで奈緒はぷいきゅあを私に勧めてくれたの」

奈緒「それは…… まあ、単純に好きな作品だからってのもあるけどさぁ」

「うん」

15 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/30 23:59:48.62 cBnQRHcko 14/34


奈緒「あたしたちの最初の衣装、あったじゃん」

「あー、あれね」

奈緒「あたしと凛でちょっとだけ色違いのやつな。
   袖の部分とかはちがったけどさ、それでも、おそろいだったってあたしは思ってる」

「私が黒で、奈緒が濃い目の灰色だったよね」

奈緒「あの頃はさ、ユニット名こそなかったけど、よくあたしと凛で組んでただろ」

「そうだね。今では、NGがあって、TPがあって、……他にも色々あるけど。
  最初はいっつも奈緒といっしょだった」

奈緒「それを思い出すから、かなぁ」

「そっか」

16 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:00:19.77 0mf7gfyVo 15/34


奈緒「あーいや、今のユニットが嫌って訳じゃないんだけどな?」

「うん、それは私もおんなじかな」

奈緒「まあ、とにかくな。ぷいきゅあって、1作目はずーっと2人組なんだよ。2人で、戦っていくんだ」

「2作目から増えてくんだっけ?」

奈緒「ん。続編とか、後作とかはさ…… 3人とか、4人5人って仲間が増えてくんだ。
   それはそれで面白いんだけど、なんていうか、凛と観るならこれが良いかな、って」

「なんか、嬉しいな」

17 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:00:51.28 0mf7gfyVo 16/34


ーーー

奈緒「2人でいる時の凛って、なんだかいつもとちがうよなー」

「そうかな?」

奈緒「いつもより、子供っぽいっていうか」

「子供っぽい、か。そうだね、それは多分……」

奈緒「多分?」

「奈緒の前だからだよ。今は、ふたりっきりだから」

奈緒「……」

18 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:01:19.87 0mf7gfyVo 17/34


「奈緒、今のわかってて言ったんでしょ?」

奈緒「いや、あの、その」

「私、奈緒のそういうところが好きなんだと思う」

奈緒「もー!」

「ふふっ」

19 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:01:48.35 0mf7gfyVo 18/34


奈緒「でも、本当にそんな感じなんだよ」

「ちょっとは自覚ある、かな」

奈緒「あたしだけの凛、っていうかさ」

「その言い方、なんかくすぐったい」

奈緒「……ダメか?」

「ううん、嬉しいよ」

20 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:02:15.00 0mf7gfyVo 19/34


ーーー

「奈緒ってさ、大人じゃん」

奈緒「あたし、あんましそんなこと言われないけどな?」

「私より大人ってこと。年もだけど、振る舞いが私みたいに自分勝手じゃないところとか」

奈緒「そうか……?」

21 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:02:49.79 0mf7gfyVo 20/34


「私はさ、なんだかんだ言ってもまだ子供だから。意見が違ったら我を通そうとしちゃうし、だから喧嘩になったりもしてさ。
  そんな時に『まあまあふたりとも』って割って入って宥めてくれるのが奈緒で、」

奈緒「あたしは……ただ、皆仲良くがいいっていうか」

「それでも、私にはそれが出来ないんだし。
  守って貰えてる、って嬉しくもなるけど……私、子供だなぁって」

22 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:03:16.52 0mf7gfyVo 21/34


奈緒「子供、ねぇ……」

「大人っぽく振る舞ってるつもりだけど、まだまだ、ね」

奈緒「振る舞ってるっていうか、気を張ってるよなー。今は、少しましになったけどさ。
   最初は、危なっかしくてさ、怖かった」

「色々迷惑とかかけちゃってごめんね」

奈緒「んーん。別に、あたしがしたくてしてることだし」

23 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:03:43.14 0mf7gfyVo 22/34


奈緒「今の凛を誰かがみたら、驚くだろーな」

「いいじゃん、見せるつもりもないんだから」

奈緒「ほんとに、誰も知らないんだよなー」

24 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:04:10.59 0mf7gfyVo 23/34


「二人だけの秘密、だね」

奈緒「……」

「奈緒?」

奈緒「秘密って、こういうこととかか」

25 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:04:39.46 0mf7gfyVo 24/34


「んむっ」

奈緒「……ぷはっ」

「……奈緒、ちょっと」

奈緒「凛」

「っ」

奈緒「……もっと、したい」

26 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:05:09.67 0mf7gfyVo 25/34


「だめ、だよ」

奈緒「なあ」

「……お願い。もう少し、待って」

奈緒「やだよ、あたし」

「ねえ、奈緒。私、まだ子供だよ」

奈緒「……そう、だよな」

27 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:05:40.38 0mf7gfyVo 26/34


ーーー

奈緒「やっぱり、凛はまだ怖い?」

「怖いっていうか、心の準備ができてないんだ」

奈緒「したくない?」

「そうじゃ、ないけど。……いつかはしたいって思ってるよ。でも、まだ」

奈緒「あたしだって、いつまでも大人しく待てるとは限らないからな」

「でも、無理やりしたりなんかはしないでしょ?」

奈緒「まあ、それはそうだけどさ……」

28 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:06:09.72 0mf7gfyVo 27/34


「ごめんね」

奈緒「いや、あたしがわるい」

「ううん、待たせてるのは私なんだし」

奈緒「あー、あたしだけ生殺しかよ……」

「しょうがないでしょ。さっきのだって、いきなりで、どきどきしたんだから」

29 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:06:43.87 0mf7gfyVo 28/34


ーーー

奈緒「10時かー」

「そろそろ寝よっか」

奈緒「いつも思うけど、凛って早寝だよな」

「その分早起きだからね」

奈緒「あたしは、あと二時間ぐらいは起きてたいんだけどなー」

「明日お休みなんだし。いっぱい遊ぼうよ。だから、ね」

奈緒「うん……」

30 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:07:39.95 0mf7gfyVo 29/34


「それに、お父さんもお母さんも明日早いからさ、ゆっくり寝て欲しいし」

奈緒「そりゃー、仕方ないか」

「ハナコももう寝ちゃったみたいだし。明日、五時起きだからね」

奈緒「五時、起きられるかなぁ」

「大丈夫、ちゃんと起こしてあげるから」

31 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:08:08.97 0mf7gfyVo 30/34


奈緒「凛」

「なに、奈緒」

奈緒「いつもみたいに、抱きしめて寝てもいい?」

「じゃあ私は奈緒の手握って眠るね」

奈緒「うん、あ、暑かったら離れてくれていいからさ」

「背中、汗かいちゃったらごめんね」

奈緒「いいよ、べつに気にしない」

33 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:08:41.23 0mf7gfyVo 31/34


奈緒「あたしもだけどさ。凛って、こうやって寝るの好きだよな」

「確かに…… 後ろから抱きつかれるの、好き、かも。ほら、いつもと逆でさ」

奈緒「逆、かぁ」

「奈緒がぎゅーって抱きしめてくれて、私は安心して、子供みたいに、ちっちゃく丸まって眠るんだ」

奈緒「確かに、あたしと一緒に眠る時の凛は、まんまるでさ、なんだか守ってあげたくなるっていうか」

34 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:09:08.35 0mf7gfyVo 32/34


「起きてる時はさ。ほら、皆の前なんかでは、だいたい私がぎゅーってやって、奈緒がちぢこまってる」

奈緒「しょーがないだろ? ……あたし、ちびだし」

「それが可愛いのに。ちっちゃくて、ふわふわで」

奈緒「こんにゃろ、ドサクサに紛れて触ってやる」

「やめて」

35 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:09:41.96 0mf7gfyVo 33/34


奈緒「……嘘だよ。抱きしめてるだけでもいっぱい我慢してるのにそれ以上なんて、無理だ」

「もうちょっと、待ってね?」

奈緒「わかってる」

「それじゃ、おやすみなさい」

奈緒「ん、おやすみ」



〈fin〉

36 : ◆pdkDwyOMVs - 2016/05/31 00:10:15.04 0mf7gfyVo 34/34


たまにはりんなおの、ブラックゴシックドレスの話を


過去作:

・肇「土を食べるとその質がわかるんです」みちる「なるほど!」モッシャモッシャ
http://ayame2nd.blog.jp/archives/3053439.html

etc.

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