1 : VIPに... - 2013/10/05 11:54:34.09 U0bPQ034O 1/45


みく「人生とは何か」

みく「なーんて質問は、何の意味もないにゃあ」

みく「だって、その答えは、人によって違うんだから」

みく「答えが欲しいと言うなら、聞くだけ無駄にゃあ。参考にするならともかく」

みく「自分で出した答えじゃないのなら、自分にとって何の意味も持たないにゃ」

みく「他人の足でダンスは踊れない」

みく「つまり、何が言いたいかと言うと……」

みく「…………」

みく「にゃははは! みくにも良く分からないにゃ!」

みく「にゃはっ、にゃははははは、にゃフッ、ガッ、ゲホッゲホッ」



元スレ
前川みき「今日も今日とて」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1380941674/

3 : VIPに... - 2013/10/05 11:56:10.59 U0bPQ034O 2/45


 とある日

愛海「……」モミモミ

みく「にゃーにゃーにゃあーふんふんふーんにゃあ」

愛海「……っ!」モミモミモミ

みく「にゃんにゃーにゃあにゃあふんふがにゃー」

愛海「っ……っ! ふっ!」モミモミモミコネコネ

みく「にゃあがにゃあが……にゃあ、愛海チャン、ちょっと痛いにゃあ」

愛海「……ごめん」モミ

みく「んにゃあ、にゃーにゃーふーんにゃあにゃー」

愛海「……」

みく「んにゃあ? 終わり?」

愛海「……つまんない!」


6 : VIPに... - 2013/10/05 11:59:17.80 U0bPQ034O 3/45


みく「にゃ」

愛海「つまんないつまんない! あたしは、もっと、こう、リアクション込みで、おっぱいを楽しみたいのに!」

愛海「ノーリアクション! かなり泣ける!」

みく「ちゃんと喘いでやったじゃにゃい」

愛海「あれが!? 素人AVでももっとマシな声出すよ!」

みく「揉ませてやってんのになんちゅー言い様にゃあ」

愛海「ううう……だって……だってぇ!」

こずえ「もみ……もみぃ……ふあ……」

ちひろ「……」カタカタ

愛海「……じゃあ、じゃあちひろさん! 揉ませて!」

ちひろ「……私が今この事務処理を止めることによる時間的損害を金額に当て嵌めると……このくらい……払えるなら、どうぞ」カタカタ

愛海「うわーん!」

みく「にゃっはっはっは! クッソ高いにゃあ!」

こずえ「ふぁわ……」

ちひろ「自分にも付いているんだから、それで我慢しなさい。自給自足よ」カタカタ


7 : VIPに... - 2013/10/05 12:00:40.06 U0bPQ034O 4/45


愛海「ふぇぇ……」

みく「にゃはははははっ! にゃはっ、ガフッ、ゲホッゲホッ」


 ガラ。

まゆ「おはようございまぁす」

愛海「!!! 来た! まゆさん来た!」ガババッ

まゆ「きゃあ!? 愛海ちゃん!?」

愛海「うひっ、うひひっ、うひひひひひひ」モミモミモミモミ

まゆ「いやぁ……ちょっ、やめぇ……ひぅ」

愛海「うひひっ! いっひひひひひひひひひ!」モミモミモミ

まゆ「うぁ……やめてよぉ……ぁぅ……ぐすっ……」

愛海「うひひ……うひ」モミ

まゆ「ひっく……ぅぇえ……プロデューサーさぁん……」

愛海「……」スッ

愛海「大変、申し訳ございませんでした」

みく「にゃはははははははははは! にゃはっ、カハッ、ウエッ、ゴボッ……にゃはははは!」

ちひろ「…………」カタカタカタカタ

こずえ「きれいな……どげざー……」


8 : VIPに... - 2013/10/05 12:01:27.52 U0bPQ034O 5/45





 誰も座らない空っぽのソファー。古ぼけた机。安っぽいテレビ。
 よく壊れるエアコン。シミが多い壁。
 子供が描いた落書き。女の子が踊っている落書き。
 にゃんにゃーあにゃーんにゃあにゃあ。



10 : VIPに... - 2013/10/05 12:04:31.45 U0bPQ034O 6/45

 とある日

みく「ねぇねぇレナちゃん!」

レナ「なにかしら」

みく「レナちゃんってトランプを武器にしそうだよにゃ(笑)」

レナ「……」

みく「にゃははは」

レナ「みく」

みく「なんにゃ?」

レナ「えい、ネコパンチ☆(笑)」

レナ「特に意味はないにゃ(笑)」

レナ「前川みき(笑)」

みく「……」

レナ「ふふふ」

みく「……」スッ

レナ「……」シャ


11 : VIPに... - 2013/10/05 12:06:51.50 U0bPQ034O 7/45



幸子「おはようごいます、今日もカワイイボクが来ま」

 >カカカッ

幸子「した……」

 >パリン
 >ゴシカァン
 >メコンッ

レナ「バックギャモン!」ズアッバッキューン

みく「にゃハッにゃハッははははははははははは、あはははははははは!」ゴゴゴゴゴニャニャニャ

ちひろ「……」カタカタカタ

こずえ「ふぁ……」

幸子「……ふぁ」






幸子チャンはその日、レッスン場に直行したにゃあ。
一心不乱にダンスに勤しむ彼女に、周囲が訝しげに思っていると、幸子チャンは――――
『もっと、もっと、トランプを壁に刺せるぐらいにならないと、アイドルには、アイドルには……』
そう呟き、煌く汗とともに鍛錬を重ねたそうにゃ。
幸子チャンはどうしよもないくらい真面目なのにゃあ。ま、そこが彼女のいいとこなんだけどにゃあ
にゃーんにゃん。にゃんにゃんにゃあ。



12 : VIPに... - 2013/10/05 12:08:28.25 U0bPQ034O 8/45


 とある日

こずえ「ナナー……」

菜々「ん?」

こずえ「ナナは、どこからきて……ふわぁ……どこへいくのぉ……?」

菜々「キャハ☆ 菜々はウサミン星から来たウサミン星人! 歌って踊れるアイドルを目指して――」

こずえ「…………じゃあ、もういいの?」

菜々「……」

こずえ「……たそがれが……ふぁわー……かげをいっぱいたべている……」

こずえ「……いっちゃうのー……? ふぁ……ここじゃない、ばしょに……」

菜々「……」

菜々「……キャハ」


ちひろ(何言ってるのかしら……)カタカタ



卯月「おはようございます! 今日も頑張ります!」


13 : VIPに... - 2013/10/05 12:09:59.57 U0bPQ034O 9/45


ちひろ「おはよう」カタカタ

こずえ「ふぁわ……」

卯月「ちひろさん、おはようございます!」

卯月「島村卯月、今日も頑張ります!」

菜々「あ、卯月ちゃん、おはよう!」

卯月「あ、菜々ちゃんおはよう! 今日も頑張ろうね!」

菜々「ううう、卯月ちゃんだけだよ……菜々のこと、ちゃんと17歳扱いしてくれるの」


卯月「?」

卯月「???」

卯月「??????」

卯月「よくわかんないけど、とにかく頑張ろうね!」

菜々「お、おう」

こずえ「……ふぁわー……」


みく「安部さん、おはようございます」

菜々「もー! 敬語! みくちゃん、敬語! もぉおおおおおおお!」





特に意味はないよ?
親しき仲にも礼儀あり、にゃ。
レナちゃんってトランプを武器にするんだにゃ(笑)
にゃにゃにゃーにゃにゃにゃにゃあにゃ。



14 : VIPに... - 2013/10/05 12:11:04.98 U0bPQ034O 10/45


 とある日

まゆ「……あらぁ?」


 >カサッ
 >カササササッ


まゆ「……」

まゆ「…………ふぅ」

まゆ「……」チラッ


 >カサササッ


まゆ「キャァああああああああああああああああああああ!」

ちひろ「………」カタカタカタ

こずえ「……ふぁあ……」


15 : VIPに... - 2013/10/05 12:12:45.96 U0bPQ034O 11/45


まゆ「ちひっ、ちひろささささささささん」

ちひろ「……なに?」カタカタカタ

まゆ「あそっ、あそこにっ、ごき、ごきごきごきごき」

ちひろ「……虫が居ようが居まいが、関係ないわ。意識するだけ時間の無駄だから。時間の無駄は、つまり金の無駄よ」カタカタ


こずえ「ふぃぃ……」

まゆ「そ、そんなぁ……」


 >ガチャ


卯月「こんにちは! 島村卯月です! 今日も頑張ります!」

まゆ「う、卯月ちゃん……!」

卯月「んん?」



16 : VIPに... - 2013/10/05 12:14:45.70 U0bPQ034O 12/45


 んで。


卯月「なるほど! それは大変! 虫退治、頑張ります!」

まゆ「う、うん、で、でもぉ、卯月ちゃんは、怖くないのぉ……?」

卯月「ちょっと苦手だけど、頑張るよ!」

まゆ「そ、そう……」



卯月「島村卯月! 頑張ります!」



 >てりゃー!
 >カサササッ
 >む、上に……
 >カサササッ
 >えいっしまむらジャンプ!
 >滑空



まゆ「え」


 >ピトッ


ちひろ「あ」

こずえ「あ」

卯月「あ」

まゆ「」

 >ふぎゃぁああああああああああああああああああああああああ!



17 : VIPに... - 2013/10/05 12:15:32.78 U0bPQ034O 13/45




その後、まゆチャンは大泣きしちゃったにゃあ。
んで、卯月チャンは引き続き虫退治に行ったもんだから、まゆチャンはちひろチャンが慰めたにゃ。
ちひろチャン、拝金主義で冷たく見えるけど、意外と母性があるんだにゃあ!
まぁ、『あまりに五月蝿かったから、先に泣き止ませたほうが作業効率が良いと判断しただけ』とちひろチャンは言ってたけど……
どうなんだろうね、本当なのかにゃあー? 照れ隠しなのかにゃー? どっちかにゃあー?
もしかして、プロデューサーなら知ってるかにゃ? にゃはははは!
にゃんにゃんにゃあーにゃー。




18 : VIPに... - 2013/10/05 12:16:45.03 U0bPQ034O 14/45


 

とある日


菜々「おっはようございまーす! ウッサミーン!」


 >シーン


菜々「……ありゃ誰もいな」


こずえ「ふぁわー……」



菜々「お、いつものソファーの上に……」

菜々「……」

菜々(うーん……何とかしてやりたいけど、どうしようもないからなぁ……)



こずえ「ねぇ、ナナー……」


菜々「……どうしたの?」

こずえ「……つれてってぇー」

菜々「……生憎、ウサミン星への切符は、売り切れです! キャハッ!」

こずえ「……」

菜々「ミミミミン」


19 : VIPに... - 2013/10/05 12:17:43.18 U0bPQ034O 15/45




 人から言われても意味がないにゃ。
 あくまで自分で気がつかないと、駄目なのにゃあ。
 だけど、ヒントぐらいなら大丈夫だそうだにゃあ。それがあからさまなモノでも。
 結構いい加減だにゃ。




20 : VIPに... - 2013/10/05 12:19:03.58 U0bPQ034O 16/45




 とある日

幸子「菜々さん、ここの振り付けは……」

菜々「えっと……ここは……」



みく「あっ! ゴキブリ!」

まゆ「ぴっ!?」

みく「嘘だにゃ」

まゆ「――――! ―――――!」ポカポカ

みく「にゃははは! かゆいかゆい」



卯月「よっ、はっ、島村っ卯月っ、ダンスっ、頑張ってますっ」




愛海「うひひっ、レナさぁん!」

レナ「……ハートの3」シャカッ

 >バスン

愛海「……ごめんなさい」


21 : VIPに... - 2013/10/05 12:24:14.44 U0bPQ034O 17/45




魂に善悪はないにゃ。
正しいとか正しくないとか、そんなものじゃなくて。
きっと、ゼロかイチかで判断してるんじゃないかにゃ。
つまり、目的があるか、ないか。
そこに居たいと思うか、思わないか。
目的があるから輝けるし。
其処に居たい思えば、居れる。
大切なことは、ブレないことにゃ。
だから、根本だけ、しっかりと持っていれば良いにゃ。
今ある自分を曲げない。
これだけでいいにゃあ。





22 : VIPに... - 2013/10/05 12:25:16.00 U0bPQ034O 18/45



 とある日

P「こずえ……」

こずえ「なーにー……?」

P「俺、俺は……どうすれば良いんだ……? 何が、何を持って、正解なんだ……?」

こずえ「んぅ……?」

P「分からない……分からないんだ……! こずえ……!」

こずえ「ふわぁ……こずえも、よくわかんない……」

 >バタン


ちひろ「……まだ、いたんですか、今日の営業は?」

P「いや、もう出るよ……」



23 : VIPに... - 2013/10/05 12:26:38.86 U0bPQ034O 19/45




ちひろ「………………」カタカタカタ

P「……なぁ」

ちひろ「……なんです?」

P「……何が正しいんだ?」

ちひろ「何を言い出すかと思えば……決まってるじゃないですか」




ちひろ「金ですよ、金。他に何があるんですか? お金が全てで、お金が答えです。稼ぎ続ければ、何の問題もありません。以上」




P「……だよな」

ちひろ「……そうです」

P「これで、良いんだよな」

ちひろ「それで、良いんです」



こずえ「…………」


こずえ「……たそがれが、ちかい……ふぁわー……」



24 : VIPに... - 2013/10/05 12:27:37.80 U0bPQ034O 20/45



ねぇねぇハッピーエンドって、どう思うかにゃ?
案外、嫌いな人も多いんじゃないかにゃ。
でも、それは幸せな結末が嫌な訳じゃない。
ただ、あまりにも都合が良すぎて、受け入れられないだけなのにゃ。
人生ってさ、結構思い通りに行かないもんだから、どうしたって、最高の終わりを予想できないんだよね。
だから、人はハッピーエンドを望まない。望んでも、裏切られるから、望まない。
にゃあにゃーにゃあ。




25 : VIPに... - 2013/10/05 12:29:15.83 U0bPQ034O 21/45




菜々「アイドルになって」

菜々「ライブは盛況」

菜々「遂に夢のCDデビュー……」

菜々「出来すぎだよ」

菜々「……」


菜々「そろそろ、かな」


26 : VIPに... - 2013/10/05 12:30:28.95 U0bPQ034O 22/45



レナ「はぁい」


菜々「あ、レナさん。奇遇ですね、こんなところで」

レナ「奇遇……だと、本当に思ってる?」

菜々「……気づかれてないと、思っていたんですけどねぇ」

レナ「ふふふ、貴女が思う以上に、貴女は見られていたと言う事よ」

菜々「と言うことは……?」

レナ「まだ何人かいるわ」

菜々「うわぁ……なんか、最後までカッコ悪いなぁ……」

レナ「ふふふ、そんなことないわ。まぁ、人徳よ」

菜々「……レナさんは、もしかして、止めに?」

レナ「だって、貴女にいかれてしまったら、私がこの事務所のアイドル最年長になっちゃうじゃない」

菜々「なに言ってるんですか! 菜々は17歳ですよ、キャハ☆」

レナ「……そうね、貴女は永遠の17歳……だものね。ふふふ、少し、羨ましいかな」

レナ「この業界では、27歳はおばさん扱いだもの」




27 : VIPに... - 2013/10/05 12:31:32.38 U0bPQ034O 23/45




菜々「……今だから言いますけど」

レナ「ん?」

菜々「そんな良いものじゃあ、ありませんよ」

レナ「……貴女が言うと、深いわね」

菜々「ま、後悔している訳じゃないですけどね」

レナ「……それは良かったわ」

菜々「……本当に、止めます?」

レナ「それで貴女が止まるのならば」

菜々「無理ですね」

レナ「……なら、どこへでも。後のことは、任せなさい」

菜々「ふふっ……任せます!」

レナ「ええ」

菜々「……それでは」

レナ「……」







レナ「アディオス、菜々」




28 : VIPに... - 2013/10/05 12:32:40.29 U0bPQ034O 24/45


幸子「こんばんは」

菜々「……」

幸子「……挨拶ぐらい、返してくださいよ」

菜々「ご、ごめんなさい……その、正直意外だったから……」

幸子「ボクはカワイイですからね!」

菜々(理由になってない……)

幸子「……それに、菜々さんとは長い付き合いでしたから」

菜々「……そっか」

菜々「ねぇ……もしかして、結構多い?」

幸子「いえ、ボクと後一人ですね」

菜々「うーん、それでも……思ったより居たなぁ……」

幸子「……いいんですか、むしろ、少ない人数で」

菜々「……いいんだよ、むしろ、それで」

幸子「そうですか……ボクからは、特にありません」

菜々「ふふふ、止めてくれないの?」

幸子「それで菜々さんが止まるのならば」

菜々「……レナさんと同じこと言うんだね」

幸子「ならば、それが、ボクたちの総意なんです」

幸子「菜々さんがどう言う答えを出したとしても、それが、ボクたちの」




29 : VIPに... - 2013/10/05 12:34:17.16 U0bPQ034O 25/45


菜々「……ありがとう」

菜々「でも、もういかなくちゃ」

幸子「そう、ですか」

幸子「ああ、そうだ、じゃあ一つだけ」

幸子「CDデビュー、おめでとうございます」

菜々「……ありがとう。幸子ちゃんも、おめでとう……そして、これからも」

幸子「言われなくても」

菜々「ふふふふ、それじゃあ、ね」

幸子「ええ……」









幸子「…………」

幸子「…………ばか」



30 : VIPに... - 2013/10/05 12:35:01.20 U0bPQ034O 26/45



みく「じゃじゃじゃじゃーん! みくにゃんだにゃあ!」

菜々「……」

みく「えええ、流石のみくも無反応は傷つくにゃあ」

菜々「……意外過ぎるんだよ……さっきから……幸子ちゃんといい、みくちゃんといい……レナさんなら、まだともかく」

みく「そうかにゃ?」

菜々「え?」


みく「レナチャンはウチのアイドル最年長として、責任を強く持ってたにゃあ」

みく「だから、気付けた。ずっと、皆の仕事を、レッスンを、頑張りを、全部見てたから、気付いたにゃあ」


みく「幸子チャンは、とても努力家だにゃあ。本人は言わなかったと思うから代わりに言っちゃうけど、幸子チャンは菜々チャンを尊敬していたにゃあ。憧れていたと言ってもいいかもね」

みく「理由は、菜々チャンもまた、努力家だからにゃ。幸子チャンは、ずっと菜々チャンを見てたにゃ」

みく「まぁ別に菜々チャンだけに限った話じゃないんだけどにゃ。幸子チャンは勉強熱心で、いろんな人を見てきたから。その中でも特に、ってことにゃあ」

みく「……ああ言うキャラだから、確かにらしくないかも知れない。でも、幸子チャンが気付いたのは必然にゃあ。菜々チャンを見てた人達のこと、どうか忘れないで欲しいにゃ」




31 : VIPに... - 2013/10/05 12:37:12.46 U0bPQ034O 27/45



菜々「……うん」

みく「あ、みくは何となく気付いたにゃ」

菜々「ええー」

みく「にゃははは。でも、実はちゃんと根拠があるにゃ」

菜々「……」


みく「菜々チャンは大体夕方から夜ぐらいに掛けて、ちょっとの時間だけ」





みく「影がなくなる」





みく「黄昏時って言うのかにゃ? その時間全部ってわけじゃないけど、内の何秒か、影がなくなってたにゃあ。あとは、まぁ、匂いとか雰囲気? 猫はそういうの敏感なんだにゃ」

菜々「……やっぱり、意外だよ。みくちゃんがそこまで見えてるなんて」



32 : VIPに... - 2013/10/05 12:38:18.11 U0bPQ034O 28/45



みく「にゃはははは! 普段どーゆーキャラかは別として、能ある猫だって爪を隠してるにゃ……んで、最近、その影が消える時間が長引いている気がするんだけど……それは、そう言うことでいい?」

菜々「……うん」

菜々「……心が満たされちゃった所為で、引っ張られる力に抵抗出来なくなっているんだ」

菜々「まぁ元々目的の為に残っていたから、しょうがないんだけどね」

菜々「もう、限界なの、この世に居るのは」

みく「永遠の17歳なのに……看板に偽り有りにゃ!」

菜々「あはっ、永遠なんて、ないんだよ。だから、菜々はこれでいいの。刹那でも、輝けたから」

みく「……いなくなっちゃったら、菜々チャンの『跡』はどーなるのかにゃ?」

みく「……皆は、菜々チャンのこと、覚えてられるの?」

菜々「多分、無理。菜々が居た形跡は、全部消えちゃうから」

みく「…………みくたちの記憶も?」

菜々「……『気付けた』のなら、大丈夫。でも、他の人に言っても通じないだろうね」



33 : VIPに... - 2013/10/05 12:39:42.62 U0bPQ034O 29/45



みく「……そっか」

菜々「………………うん」

みく「……最後に聞いておきたいんだけど、ウサミン星人で永遠の17歳って、アレ、どう言う意味だったにゃあ?」

菜々「……木を隠すのは森の中みたいな? 大げさな設定で、知られたくない事を隠してたの」

みく「なるほど。墓穴を掘りまくってたのも、わざとそう言う風に見せていた訳にゃ」

菜々「いや、それは……」

みく「あれ、素にゃの?」

菜々「う……だ、だって、そう言うアイドルに憧れていたのは確かだし……! それに17歳ってのも本当だもん! ……享年だけど」

みく「にゃははは。結果的に中途半端な電波アイドルになっちゃったにゃあ!」

菜々「ううう……」

みく「まぁ、でも」

みく「今まで、楽しかったにゃあ。少なくとも、みくは絶対に忘れないにゃ」

菜々「……ありがとう」

みく「にゃはははは」




菜々「…………」

菜々「……ねぇ」

みく「……?」



34 : VIPに... - 2013/10/05 12:40:52.09 U0bPQ034O 30/45



菜々「菜々はね、アイドルになって輝きたいって強く願ったから、こうして肉体もあるんだけどさ」

みく「ん……」

菜々「……中にはね、そうじゃない子もいるの」

みく「!」

菜々「…………」

みく「……それは」







みく「それは、『誰も座らないソファー』と、関係あるにゃ?」








菜々「……流石、みくちゃん」

みく「驚きだにゃあ。もう一人、いたなんて」

菜々「ふふ、でも、菜々とは違うんだ。似ては、いるけど」

みく「……?」

菜々「……これ以上は無理。あとは、自分で気付かないと駄目なんだ」

菜々「菜々は自分の目的以外のことで、何かに干渉することは出来ない」

菜々「……そのうち、事務所にとって良くないことが起きる」

菜々「……あの子の存在が、どんどん黄昏に呑まれていっているから」

菜々「菜々とは違う理由で、魂が引っ張られている」

菜々「……助けてあげて」


みく「……にゃあ」

みく「ま……やれるだけ、やってみるにゃ」



35 : VIPに... - 2013/10/05 12:42:07.24 U0bPQ034O 31/45





菜々「うん……お願いね」

みく「おう、にゃ」

菜々「……」

みく「……」






菜々「……さようなら」

みく「にゃはは! バイバイ!」









彷徨える、魂よ。
安らぎの光の下へ。
輪廻の交差点にて、また逢うにゃあ。



36 : VIPに... - 2013/10/05 12:43:48.48 U0bPQ034O 32/45



 とある日。


卯月「はい! CGプロの島村卯月と言います! いつもありがとうございます!」

卯月「はい、はい、申し訳ありません! その件に関しまして、今分かるものが居りませんので!」

卯月「はい! はい、また折り返し連絡させていただきます!」

卯月「念の為、電話番号をお聞きしてよろしいでしょうか!」


みく「……」






こずえ「ふぁわー……」






みく「…………」

みく(駄目にゃあ……やっぱ見えないにゃ)

みく「……黄昏、か」





みく「………卯月チャン。はい、お茶!」

卯月「あ、ありがとう! 頂きます!」

卯月「わぁ不味い! これ青汁!」

みく「にゃは、にゃはははははははははっ! げほっうぇ」

卯月「もぉー! 失望しました! みくにゃんのファン辞めます!」

みく「にゃはははははふーにゃはははは…………ねぇ卯月チャン」

卯月「どうしたの、みくちゃん」





みく「ちひろチャンとプロデューサー、何処に行ってるのかな?」





37 : VIPに... - 2013/10/05 12:44:51.18 U0bPQ034O 33/45



みく「ウチの経営者は、実質ちひろチャンにゃ。まぁプロデューサーと共同出資らしいけど……」

みく「そんなもんだから、裏方がいないにゃあ。今までそれで回してこれたんだから、やっぱりちひろチャンは凄いにゃ」

みく「でも、何でか最近、二人がいないにゃあ。プロデューサーはいつもアチコチ行ってるけど、ちひろチャンまでいないのは前代未聞にゃ、おかしいにゃ」

みく「おかげでアイドルが電話番にゃ……そうまでして、何処に行ってんだろうね?」



卯月「?」

卯月「???」

卯月「??????」

卯月「よくわかんないけど、私、頑張ります!」


みく「にゃふ」


卯月「……私、考えるの苦手で……頑張るしか、ないから」

みく「…………」

卯月「だから、私は私が出来ることを、頑張るの! 難しいことは、みくちゃんがやってくれるでしょ? てへっ」

みく「……にゃふっ」

みく「にゃはっ、にゃははははは、にゃフッ、ガッ、ゲホッゲホッ」

みく「はぁー……卯月チャンには、敵わないにゃ!」

卯月「ふふふふっ、みくちゃん、頑張って!」

みく「……うん」



適材適所。
にゃふ。
もうこれで引けなくなっちゃった。
にゃあふぅ






39 : VIPに... - 2013/10/05 12:46:03.82 U0bPQ034O 34/45



卯月「じゃあ、あと電話番よろしくね!」

みく「おうにゃあ。いってらっしゃいにゃあ」

卯月「島村卯月、今日も頑張ります!」


 >バタン


みく「……さて」


菜々チャンが言っていた、『事務所にとって良くないこと』。
それって、ちひろチャンが事務所にいない今と、何か関係あるのかにゃあ。
加えて、『何故か誰も座らないソファー』。
そう言えば、偶に菜々チャンがソファーに向けて独り言を喋ってたっけ。
あれ、独り言じゃなくて、ソファーに居る『誰か』に話しかけていたんだね。
で、『あの子』。子供かにゃ?

『菜々とは違う理由で、魂が引っ張られている』
『助けてあげて』
『どんどん黄昏に呑まれていっているから』

これらの情報から鑑みるに。

『ソファーのあの子』はなんかピンチで。
近々、事務所に良くない事が起こり。
そして今、ちひろチャンとプロデューサーはよくわかんない動きをしている。

これが全部繋がっているとする……


……駄目にゃ。
結局、『あの子』と話さないとどーにもならんにゃあ。
ちひろチャンもプロデューサーも教えてくれないし。

でも、みくには見えない。と言うか、多分、菜々チャンしか見えてなかったにゃあ。



40 : VIPに... - 2013/10/05 12:48:34.14 U0bPQ034O 35/45


あ。

みく「いや、そうか」

猫を釣るのに小判はいらない。
猫には魚。適材適所。
いや、みくはお魚、駄目だけどにゃ。





みく「……ねぇ、ソファーに居る誰か、聞こえてる?」



こずえ「ふぁわ……」



……見えない。返事もない。
多分だけど、みくに興味がないから。
みくじゃあ、駄目ってことにゃあ。
にゃあにゃあにゃあーにゃん。


 だったら。


みく「……菜々チャン、逝っちゃったね」



こずえ「……!」


ん……!
掛かった、かにゃ?
なんだか、空気が。



41 : VIPに... - 2013/10/05 12:50:44.65 U0bPQ034O 36/45


みく「……一応、菜々チャンから伝言? みたいにゃのを預かっているにゃ」


みく「姿を、見せて欲しいにゃあ」


こずえ「……」


こずえ「…………ふぁわー」スゥ


みく「!」


こずえ「こずえは……ねぇ……ここじゃないとこから……きたのぉ……ふぁわ……」

こずえ「……ナナは、こずえを……つれてってくれなかった……」

こずえ「でもぉ……もうすぐ……こずえも、いくのぉ……」

こずえ「うごけないから……とまっているから……そっちにいくの……」


こずえ「ふぁわー……もうすぐ、もうすぐぅ」




こずえ「たそがれのやみへ」






みく「……こずえチャン、でいいのかにゃ?」

こずえ「ふぁわー……」


みく「……苗字、教えて貰えないかにゃ?」




こずえ「……ふぅん」

こずえ「ゆさ……ゆさこずえ……」



みく(ゆさ……遊佐!)


みく(プロデューサーと同じ苗字……!)





42 : VIPに... - 2013/10/05 12:51:33.44 U0bPQ034O 37/45





 誰も座らない空っぽのソファー。古ぼけた机。安っぽいテレビ。
 よく壊れるエアコン。シミが多い壁。
 子供が描いた落書き。女の子が踊っている落書き。
 代表者。共同出資。年齢不詳。過去不明。




43 : VIPに... - 2013/10/05 12:53:29.02 U0bPQ034O 38/45



みく(一つ……繋がった……!)



 ――――別姓



みく「……こずえチャン」

こずえ「なぁに……?」



みく「こずえチャンのお母さんは……何をしている、人かにゃ?」



こずえ「……ママは」


こずえ「ママは、ここで、カタカタ、なんかしてるぅ……」



 ―――――千川、ちひろ



みく(前々からなんか怪しい気がしてたけど、あの二人、そう言う関係だったんだにゃあ)




44 : VIPに... - 2013/10/05 12:55:55.50 U0bPQ034O 39/45



みく(こりゃあ、まゆチャンが可哀想だにゃあ……まぁそれはいいか、別に)

みく(でも……なんで、二人はあんにゃドライになったのにゃ? 子供が、こずえチャンが、死んじゃった、から?)




 ――――『ふふ、でも、菜々とは違うんだ。似ては、いるけど』

 ――――『うごけないから……とまっているから……そっちにいくの……』

 ――――『ちひろチャンとプロデューサー、何処に行ってるのかな?』




みく(……違う!)

みく(この子は……菜々チャンと違う! 存在が似ているだけで、この子は……!)

こずえ「……ふぁわー……だれも、つれてってくれないから……」

こずえ「こずえは……たそがれに、いくのぉ……」



こずえ「……もう、ママとパパに、めいわく、かけたくない」




みく(この子は、まだ)





45 : VIPに... - 2013/10/05 13:00:49.72 U0bPQ034O 40/45



 何処か。

ちひろ「……嫌」

ちひろ「……絶対に、嫌」

P「……だけど」

ちひろ「嫌! させない、絶対に!」

ちひろ「お金なら私が稼ぐ。足りないなら、今以上に働く!」

ちひろ「だから!」

P「だから、もう、限界なんだよ……!」

ちひろ「……っ」


P「維持費の問題じゃない……!」

P「この子の……こずえの体は……日に日に……!」

P「もう、これ以上は!」

ちひろ「……いや」

P「ちひろ……」

ちひろ「いやぁ……そんなの、いやぁ……!」

P「……は」

P「……ははっ」

P「くそっ……」



ゼロかイチかの判断。
正しい。マチガイ。
そんなのは、どうでも良くて。


46 : VIPに... - 2013/10/05 13:02:24.05 U0bPQ034O 41/45



みく「結局、本人がどうしたいかが大事なのにゃ」

こずえ「……?」


みく「菜々チャンが言ってたにゃ『あの子を助けてあげて』って」

みく「こずえチャンは、まだそっちに逝くべきじゃないのにゃあ」

こずえ「……でも、ママは、わらわなくなった」

こずえ「パパは、いつも、あたまをかかえている」

こずえ「こずえのせいで」

こずえ「こずえがいるから」

こずえ「だから」

みく「こずえチャンは、アイドルになりたいんじゃ、ないのかにゃ?」


子供が描いた落書き。
女の子が踊っている落書き。

こずえ「……」

みく「ぶっちゃけると、みく、めんどくさい事が嫌いにゃ」

みく「猫は気まぐれ風任せ。みくは、こずえチャンがどーゆー選択をとろうと、それを覆すことは出来ないにゃあ」

みく「だから、一言だけ」

みく「こずえチャンは、どうしたい?」



47 : VIPに... - 2013/10/05 13:04:04.41 U0bPQ034O 42/45





人生とは何か。
なーんて質問は、何の意味もないにゃあ。
だって、その答えは、人によって違うんだから。
答えが欲しいと言うなら、聞くだけ無駄にゃあ。参考にするならともかく。
自分で出した答えじゃないのなら、自分にとって何の意味も持たないにゃ。
他人の足でダンスは踊れない。
つまり、何が言いたいかと言うと……
自分の足でダンスを踊れってことにゃ。
他人がどうとか、そんなの関係ない。
自分がどうしたいか。
それだけにゃ。





48 : VIPに... - 2013/10/05 13:05:20.41 U0bPQ034O 43/45



こずえ「……こずえ、ねぇ……」

みく「うん」

こずえ「こずえも……きらきら、したい……みんな、みたいに……ナナ、みたいに……!」

みく「うん」

こずえ「なれる、かなぁ……いまでも、まにあう、かなぁ……」

みく「大丈夫にゃあ、きっと、こずえチャンなら」

こずえ「みき……」

みく「誰にゃ!」







みく「とは言っても」

みく「こずえチャンが目を覚まさないと、どうしようもないんだよにゃあ……」

こずえ「できる、よー……」

みく「は?」

こずえ「こずえを……『こずえ』がいるびょういんに、つれてってくれれば、さめる……よぉ」

みく「なにそのクッソ簡単なクリア方法」


49 : VIPに... - 2013/10/05 13:08:02.95 U0bPQ034O 44/45


菜々チャンは、自分の目的以外の事は出来なかった。
こずえチャンは、菜々チャン以外には見えない。
こずえチャンは、一人では事務所から動けない。
同時に、こずえチャンは他の人に姿を見せようとしなかった。
理由は、『見せる理由がないから』。
ちひろチャンやプロデューサーにも姿を見せなかったのは……
自分の存在が、二人にとって迷惑なものだと思っていたからだそうだ。
いや、理屈は分かるけどさ。


みく「めんどくさいにゃあ! まわりくどいにもほどがあるにゃあ!」

こずえ「びょういんまで、おんぶー……」


みく「もぉおおおおおおおおおお!」






50 : VIPに... - 2013/10/05 13:28:17.19 U0bPQ034O 45/45



 とある日

愛海「ねぇ……」

みく「んにゃー?」




こずえ「ふわぁー……」イチャイチャ

まゆ「うふ、うふふふふふ」イチャイチャ




愛海「あたしも、あの中に入りたい」

みく「そうしたら、間違いなく、血を見るにゃあ」

愛海「う、うううう」

みく「ただでさえ、愛娘を奪われた二人が鬼の形相しているのに」

みく「生贄にでもなるつもりかにゃ」



ちひろ「……」カタカタカタカタカタカタカタッターン

P「……」ギリッ……


みく「なんであんなにまゆチャンに懐いてんだろ……」

愛海「うぐ、うううううう!」

愛海「じゃあ、あたしの迸るリビドーは、何処にぶつければ……!」


幸子「おはようございます」

卯月「島村卯月です! 今日も頑張ります!」

レナ「……なんだか今日も騒がしいわね」


愛海「ここだああああああああああああああ!」


レナ「ジャックポット」

愛海「うわああああああああああああああああああああああああ!」

みく「お、新技にゃ」



幸子「まったく……」

卯月「愛海ちゃん、頑張って!」



 ウチの事務所は今日も今日とてこんなもん。
 日々之順風にゃあ。
 明日もきっと、こんなもんにゃあ。

 おわりにゃあ。


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