P「まったく、毎度毎度サボるだの休むだの言いやがって……」
P「杏、働け!」
否「わかりました! 精一杯働かせていただきます!」
P「またごね……えっ」
否「どうしたんですか、プロデューサー!」
P「えっ……え?」
否「とても楽しみです! 私に休暇は必要ありません!」
P「……ちょっと待って、誰だお前」
否「?」
元スレ
ヌヌ葉否「否、週勤8日を希望します!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1355658795/
P「いや、誰?」
否「プロデューサー、どうしたんですか? 担当アイドルの顔を忘れるなんて、腑抜けてるんじゃないでしょうか」
P「……おかしい。Tシャツの文字も」
否「『働かなければ生き残れない!』ですね」
P「うん。おかしい」
否「なにがです?」
P「『働きたくない!』Tシャツは?」
否「あはは、そんなの持っていたこと、ありませんよ」
P「……」
否「どうしたんですか?」
P「ちょーっと上がらせてもらうな」
否「はい? わかりました」
P「……中は片付いてるな」
否「家に帰って寝るだけですからね」
P「はぁー、ほー」
否「なんでしょう?」
P「おーい、でてこーい」
否「何を探してるんですか? ここに住んでいるのは私だけですよ」
P「……飴があるぞー」
杏「えっ、ホント!?」
P「よし見つけた、確保ー」
杏「あっ、しまった!」
P「で、誰だお前は」
否「私はヌヌ葉否ですよ?」
P「ぬぬは……いな……?」
否「はい! 働きたいです!」
P「うん、すごくいい心がけだと思う。で、杏?」
杏「なーにー?」
P「なんなんだこれは」
杏「晶葉に頼んだアンドロイド……いや、アンズロイドさ」ドヤッ
P「そうか、うまいこと言ったつもりか、あぁ?」グリグリ
杏「いたいいたい……」
否「プロデューサー、やめてください。マスターから手を放しなさい」
P「いや、お前も普通に俺をプロデューサーとだな……」
否「警告はしました」ガチャッ
P「は?」
否「ファイア」キュィィ…カッ!
ドォンッ!
P「……けほっ」
杏「すごっ……」
P「死ぬかと思ったわ! なんだ今の!」
杏「うわぁ、松崎しげるかと思ったらプロデューサーだった」
P「今はジョークはいいんだ」
杏「へーい」
P「で、なんだ」
杏「杏はね、考えたんだ」
P「へぇ、何をだ?」
杏「カエダーマ作戦は、これまで成功しなかった。それはぬいぐるみにスピーカーを埋め込んだだけだったから!」
杏「だったらこの通り、しゃべって動くなら問題ないでしょ?」
否「働きたい!」
P「いや、なんかこう倫理観とか……」
杏「すごいんだよ? 仕事や家事なんでも来いなんだから!」
P「あぁ、うん。杏がそれでいいならいいんだけど」
杏「え、休んでいいの?」
P「いや、ダメだけど」
否「仕事はなんでしょう?」
P「ごめんちょっと静かにしててくれ」
否「わかりました! あたりの雑音を消し去ります!」
P「オッケーストップ。ちょっと俺の話相手になってくれ」
否「トーク機能も問題ないです。さぁ、お仕事の話をしましょう!」
P「うん。杏そっくりの顔でこれは気持ち悪いな」
杏「いやぁ、杏が休んだ分を否が働く。これが永久機関ってやつだよねー♪」
P「そのりくつはおかしい」
否「否は働きたいですよ」
P「『いなは』って一人称音で聴くと違和感すごいな。イナバみたいで」
否「それほどでも……」テレテレ
P「そこ照れるポイントなの?」
否「それで、プロデューサー。ほかにお話は? スケジューリングしますか?」
P「ちょっと待って。杏と話がしたい」
否「かしこまりました」
杏「えぇー、めんどくさい……」
P「……」
杏「……はいはい。なに?」
P「本気でこいつにやらせる気なのか?」
杏「大丈夫大丈夫、本人も」
否「働きます!」
杏「ほら、こういってるでしょ?」
P「いや……なんかこう、いろいろと、さぁ」
杏「細かいことはいいんだ、大丈夫。どうにかなるって」
P「ならねーよ……」
杏「まぁいいから、ね! いってらっしゃい!」
P「いや、ちょっと……」
否「プロデューサー、時間は有限ですよ! さぁ働きましょう!」
P「だから……」
杏「否、プロデューサーと一緒に出勤だ! もうすぐ勤務時間だよー!」
否「かしこまりました!」ウィーン ガシャンッ
P「え、なにこれ翼?」
否「舌を噛まないようお気をつけて。いってきます!」
杏「いってらっしゃーい」
P「おい杏、ちょっ……」
否「ファイア!」
バシュウウウウゥゥゥゥゥ……
杏「……よし、完璧」
杏「寝るぞー……て、あ。布団がない」
杏「あー。しまわれちゃったのか……はぁ、出すのめんどくさい……」
ちひろ「……プロデューサーさん、毎日大変だなぁ。杏ちゃんももう少しやる気をだしてくれればきっと……」
ドォォォンッ!
ちひろ「な、なにかしら? 屋上から、何かが落ちてきたような音が……」
ちひろ「でも確認するのは……嫌な予感……」
ちひろ「いえ、同時になにかこれは面白そうな予感が……」
ガチャッ
否「到着しました。おはようございます、ちひろさん」
ちひろ「あ。おはようございます、杏ちゃ……杏ちゃん!?」
否「はい?」
ちひろ「その、プロデューサーさんを……」
否「気絶してしまったので担いでいます」
P「」
ちひろ「どういうことなの……」
P「う……あれ……」
ちひろ「あ、大丈夫ですか? いったいどうしたんですか?」
P「いや、その……」
ちひろ「杏ちゃん、なんだかキリっとしてますし、Tシャツからして働く意思マンマンですし……」
否「プロデューサー、仕事はまだですか?」
P「あぁ、いや……こいつは杏じゃなくてですね」
否「否です」
ちひろ「……いな?」
否「スタミナが回復しました。およそ3秒に1回復します。無駄にしないためにも、お仕事を!」
P「ね?」
ちひろ「わからないけど、わかりました」
ちひろ「はぁ……要するにアンドロイドと」
否「アンズロイドです」
P「その呼び方気に入ったのか?」
否「それほどでもありませんが」
ちひろ(……ツインテールがぴょこぴょこしてるわ)
P「……じゃあ、仕事か。杏として働くんだな?」
否「はい。働きましょう」
P「うーん……今から戻って杏を連れてくるのも無理だし、ここまで似てれば通せる……かな」
否「なんといってもアンズロイドですからね」
ちひろ(やっぱり気に入ってるのね……)
P「えー、雑誌のインタビューだ」
否「はい」
P「大丈夫か?」
否「マスターのデータはすべてインプットされています」
P「……心強いな」
否「アンズロイドですから」
P「うん、ちょくちょく推すな」
否「マスターが否へつけてくれた名前ですから。やはり、大切にしたいのです」
P(あ、ちょっと可愛い)
否「それにしても待機が長いですね。たるんでいるんではないでしょうか」
P(でもこれ大丈夫かなぁ……)
インタビュア「お待たせしました。どうもすみません」
P「いえ、お気になさらず……」
インタビュア「お……杏さん、もう準備万端でしたか」
否「えぇ。さぁ、お仕事を始めましょう、早く!」
インタビュア「え、えぇ……わかりました……?」
P「お、おい……否」ボソボソ
否「おっと……すみません、お仕事のことだと、つい」
P(本当に仕事熱心だな……)
インタビュア「それじゃあ、始めさせていただきますね」
否「えぇ、どんどんどうぞ!」
――
――――
インタビュア「―-というわけで、休日は……」
否「私に休日など必要ありません。仕事がすべてです」
インタビュア「え?」
否「あっ、いや。違います! 休みます! 全力で!」
インタビュア「あ、は、はぁ……」
否「それで、次の質問は?」
インタビュア「いや、もう大丈夫ですよ。ありがとうございました」
否「あ……そうですか。お疲れ様です」
P(しょんぼりしてる……)
否「しごと……しごとは……」」
P「あ、あー。否? 次の仕事があるんだけど」
否「仕事ですか! わぁい!」
P(杏に休みを伝えたときばりの笑顔……すごい社畜根性だ)
――
――――
司会「というわけでまずはリハーサルで体験してもらいますね。新しいアトラクションなんですけれど……」
否「なるほど、承知しました」ピピッ
司会「え、杏さん……?」
否「ふっ、はっ、やぁっ!」バババッ
司会「お……おぉ!? あ、杏さんが、やる気を出してる……!?」
否「しっごと♪ しっごと♪」
司会「これは本番も楽しみだなぁ…・…」
――――
――
――
――――
司会「問題です。4大文明のひとつ、メソポタミア文明、その語源は……」
ピンポーン!
司会「早い……って、杏さん!?」
否「ギリシャ語で『2つの河の間』です」
司会「せ、正解です……なんと、双葉杏さんインテリ芸能人の方を差し置いて決勝進出ゥーッ!」
否「一秒でも長く仕事をしていたいですから」
司会「なななっ!?」
否「あ……いえ、違います。早めに優勝を勝ち取って終わらせてしまおうかと……」
司会「とんでもない挑発だァーッ!」
否「あ、あれ? そういうつもりでは……」
――――
――
――
――――
インテリ「やるね、完敗だよ」
否「いえ、とても充実していました。こちらこそありがとうございました」
司会「熱い握手! お互いの健闘をたたえあっています!」
司会「優勝は、双葉杏ちゃん! ダークホースでした!」
否「お仕事には、全力ですから」
司会「……ところでそれ、イメージチェンジですか?」
否「あ、いえ。あー、ヤットオワッター」
司会「……まぁ、いいでしょう! それではまた!」
――――
――
否「お仕事、終わってしまいました……次のお仕事は今ですか?」
P「あたまいたい」
否「どうしたんですか? 体調管理は社会人の基本です。無理をせず、回復しつつお仕事をこなしましょう」
P「うん、それだ」
否「それ、とは?」
P「否、すごい活躍だったな」
否「それほどでもありません。アンズロイドなので」
P「うん、アンズロイドはいいんだ。ただまぁ……仕事がさ」
否「終わってしまいましたね。次のお仕事、はよ」
P「……いや。そうだな、立派にこなしたもんな」
否「さぁ、次です!」
――
――――
P「……というわけで、今日のお仕事はこれで終了だ」
否「そうですか……」
P「お疲れ様、否。いい仕事っぷりだった」
否「次の仕事はなんでしょう?」
P「え? いや」
否「仕事、仕事がなければ否は何をすれば?」
P「だから、家に帰ってゆっくりとだな……」
否「ゆっくり、ですか。ゆっくりとはなんでしょう?」
P「え?」
否「私にとって、趣味とは仕事です。仕事がなければ、私は、否は――」
ガチャッ
杏「ひきとりにきたよー」
否「マスター?」
P「あ、杏お前……」
杏「まためんどくさいことになってるかなーって思ってね。すごくない? 杏が通勤したよ?」
P「仕事は全部否がこなしたけどな」
杏「知ってる。仕事が終わる時間ぐらい、私にとっては1+1の足し算より簡単な問題だよ」ドヤッ
P「なんだその無駄スキルは」
杏「働かないためにはね、1歩を踏み出さない根気が必要なんだ」
P「踏み出す勇気を持て」
杏「お断りだぁ!」
否「マスター、どうして?」
杏「あー、いや。だって昨日もそんな感じだったしね」
P「……なんだと?」
杏「いやー、昨日も部屋の掃除させたらそのあとうるさくて」
否「仕事が、終わってしまうなんてさびしいじゃありませんか」
杏「うん、殊勝だねぇ……ね?」
P「お前、わかっててやらせたのか?」
杏「いや、存分に働かせたらおとなしくなるかなーって思ったんだけどさ……ダメだね」
否「もっと、私にお仕事を。マスター、プロデューサー」
P「おまえなぁ……」
杏「……ねぇ、プロデューサー?」
P「なんだ?」
杏「否の仕事っぷり、見事でしょ?」
P「……まぁ、そうだな」
杏「これからの杏の仕事は全部否がやるよ! ……って言いたいんだけどさ」
P「それはダメだな。否は、杏じゃない。今日はどうにかごまかせたけどイメージや方面も違うしな」
杏「ですよねー」
否「……そう、ですか」
杏「じゃあ、プロデューサー。否をさ……杏そっくりじゃない、別人にしたら。プロデュースできる?」
P「……それは、そうだな。メカ娘なアイドルは新しいし、ありかな……素直だし」
杏「ふんふん。手綱は握れるよね?」
P「アイドルに負けてたらプロデューサーなんて名乗れないんだよ」
否「あの。いったい何の話でしょう?」
杏「……否はさ、もともとテストでくみ上げた素体に杏型のボディをかぶせたものなんだって」
P「テスト?」
杏「そうそう。なんか晶葉が実際に作ったはいいけど動かすのは危ないかも、とか言ってたから杏がもらったの」
P「お前……」
杏「いやぁ、リスクを恐れてちゃあ働かないではいられないからね」
杏「今の話、晶葉にしとくよ。改造してもらいな、否」
否「そんな、マスター!?」
杏「もうマスターじゃないよ。杏は同僚になるんだ」
否「そ、それではマスターは……」
杏「いやぁ、杏は適度にサボるから大丈夫」
P「サボらせんぞ?」
杏「いいじゃん、ケチ」
P「ケチじゃなりません」
否「……私が、独立したアイドルに?」
P「嫌か?」
否「いえ、嫌ではありませんが……少し。なんでしょう、混乱……戸惑いのような、興奮のような」
杏「あぁー、やっぱり仕事バカだからね……それは楽しみにしてるてことだよ」
否「たのしみ、ですか」
否「ですが私は働くこと以外に楽しみは……」
P「働く以外の楽しみも、俺がきっと見つけてやるさ!」
否「……はい」
杏「あ、そうだ。ねぇねぇ、否の仕事のギャラは杏のものにさ」
P「なりません」
杏「なんでさー、けちー」
P「なるとしても晶葉のだろ、まったく」
杏「ほら、身元引受人になるから」
否「……!」
P「お前、そういうことをだな……」
否「マスター!」
杏「わ、ちょっ!?」
否「私はマスターと一緒にいられるのですか?」
杏「いやぁ、身の回りの世話とか買い出しとか、すごく楽だし……別に」
否「……あぁ、そうか。これが」
杏「ん?」
否「わかりました、マスター。私、独立し、アイドルになります」
杏「おー。それでギャラは杏のものに」
否「はい!」
杏「……え、いいの? ホントに?」
否「共に暮らすのですから当然です。ねぇプロデューサー」
P「え? あぁ、うん……」
杏(なんだかよくわからないけど得した、やったね!)
否「ふふ、とても楽しみです」
P「笑った!」
否「え?」
杏「……ねぇプロデューサー、やっぱりこのまま杏の代わりをしてたらもっと人間らしく」
P「それは見たい、見たいけど杏がサボるのは阻止したいからダメだ」
杏「もー、わがままなんだから」
P「杏にだけは言われたくなかった」
否「お仕事いっぱいくださいね!」
P「それはもう、もちろん」
杏「お仕事減らしてくださいね!」
P「いやです」
杏「さて、杏は帰るよ」
P「おう、お疲れ……なんだこの手は」
杏「交通費」
P「……ほれ」
杏「わーい飴だー♪」
否「マスター、それでいいのでしょうか?」
杏「ん、帰りめんどくさいな……否、晶葉のところ飛んでって。揺らさないでね」
否「承知しました」
P「……そんな指定できるのかよ」
杏「だって高性能だし」
否「アンズロイドですから」
P「あぁ、はいはい」
翌日
晶葉「おはよう、プロデューサー。さて……」
P「お、晶葉。おはよう……疲れてるのか?」
晶葉「おかげさまで、だな」
P「ははは……杏、泊ったのか」
晶葉「まぁ、それもあるが……入ってこい」
ガチャッ
女「……」
P「……こいつ、が?」
女「改めまして、よろしくお願いします。アンズロイドアイドル。名称は、まだ未設定です」
晶葉「……この名乗りは変えたくないというんだよ、まったく」
女「マスターに頂いたものですから」
晶葉「自分の想定外が起こるなんて、製作者冥利に尽きるね」
P「ははは、すまんな」
晶葉「別に、かまわないよ……大切にしてやってくれ」
P「……」
女「なんでしょう?」
P「ところで、杏は?」
女「本日も私が代わりに、と」
P「うん。今の状態じゃ無理だよな」
女「はっ、そうでした」
P「……杏、連れてきてくれるか?」
女「承知しました」ガシュッ ウィンッ
P「なんか羽根がかっこよくなってる……」
女「参りましょう、プロデューサー」
P「え、いや、ちょっと」
晶葉「……アンズロイドー。ラボは荒らさないでくれよ」
女「もちろんです」
P「え、いや、晶葉……助け……」
晶葉「幸運を祈る」
――これから先、苦難も多いでしょうが
きらり「うきゃー! 杏ちゃんはぐはぐー☆」
杏「お、お断りだぁ!」
女「はぐ……ですか」
きらり「にょ? えーっと、いなちゃんもはぐはぐすぅ?」
女「では……お願いします」
―-私は、マスターと共に
女「きらりんパワーですか。あれには未知の要素が詰まっていますね」
晶葉「あぁ、私も前から思っているよ……」
女「とても、あたたかかったです」
晶葉「……そうか。よかったな」
女「はい」
―-トップアイドルを、目指してみたいです
P「おら、働け!」
杏「否に任せた時の反響で大量の収録!? ふざけるなぁ! やすませろー!」
72 : 以下、名... - 2012/12/16(日) 23:43:50.79 Gt33yUWl0 32/32
おわりです。お粗末様でした
アンドロイド系アイドルとか、まだかな
保守支援ありがとうございました