あやめ2nd

事務所

裕子「さいきっくおはようございまーす」ｶﾞﾁｬ

杏「あーおはよー」

裕子「あれ、杏ちゃん床に倒れてどうしたんですか？」

杏「床がひんやりして気持ちよくて」

裕子「風邪引いちゃいますよー。ソファで寝てください！」

杏「あいよー、しかし暑いねえ。参っちゃうよ」

裕子「！　なら涼しくさいきっくをお見舞いしましょう！」

杏「ちょ、ま」

裕子「ムムムーン、ムーン！」

杏「ひえええええええええええ！！！」ｶｷｶｷｶｷｰﾝ

杏「」

裕子「どうですか、杏ちゃん？」

杏「涼しくはならなかったけどなんか力が湧いてきたよ」

杏「くらえユッコ！　むむむーん！」

裕子「うわああ！」ﾌﾜｯ

杏「おお」

裕子「すごいです杏ちゃん、浮いてますよ！　これぞユッコのさいきっく空中浮遊ですよ！」

杏「いやこれ杏の力よ多分」ﾑﾑﾑｰﾝ

裕子「うっす」ｽﾄﾝ

裕子「どうやらこれはサイコキネシス、念動力みたいですね」

杏「おお、これはまだベタな」

裕子「では本日も『超能力同好会・プロダクション支部』の活動を始めましょう！」

杏「なにそれ？」

裕子「一緒にさいきっく人助けをするんですよ！」

杏「いやだね、杏は逃げる！」ﾀﾞｯｼｭ

裕子「ああちょっと！」

莉嘉「おっはよー！」ﾄﾞｱﾊﾞｰﾝ

杏「ぶへえ！！！」

裕子「杏ちゃーーーん！」

莉嘉「杏ちゃんごめんね」

杏「いてて、もう杏はダメだ……今日はもう帰って寝る」

裕子「杏ちゃん実はもう平気ですよね？　ほら行きますよ！」

杏「休ませろー、杏の平穏を邪魔する奴はこうだー！」ﾑﾑﾑｰﾝ

裕子「え、きゃああ！」

莉嘉「わあ、ユッコちゃんのパンツかわいい！」

杏「サイコキネシスでスカートだけ浮かす。これぞサイキックスカートめくり」ﾄﾞﾔ

裕子「恥ずかしいですから下ろしてください～」

莉嘉「すごいすごーい！　どうやってるの？」

裕子「ユッコのさいきっくによって杏ちゃんがサイコキネシスの力に目覚めたんですよ！」

莉嘉「ｱ､ｳﾝｽｺﾞｲﾈ」

裕子「信じてくださいよー」

ｶｸｶｸｼｶｼﾞｶ

莉嘉「まさかユッコちゃんにそんな力があったなんて……」

杏「まあ普通疑うよねー」

裕子「よし、では早速人助けしましょう！　莉嘉ちゃん、困ってることはありませんか？」

莉嘉「うーん最近は特にないかな、アイドルの仕事も順調って感じ！」

裕子「なら誰か困ってる人に心当たりはありませんか？」

莉嘉「うーん……あ、美波ちゃん！」

裕子「え」

杏「美波ちゃんか……」

莉嘉「？」

裕子「どんな感じで困ってたんですか？」ｶﾞｸﾌﾞﾙ

莉嘉「うーんよくわかんないんだけどダンスレッスンでミスが多かったり、ビジュアルレッスンでもそわそわしたりで調子悪いって感じだった……ていうかなんでそんな震えてるの？」

杏「いろいろあるんだよいろいろ」

裕子「と、とにかく美波さんが困ってるみたいなんでさっそく調べてみましょう！」

莉嘉「おー！」

杏「結局ついてく流れかー」

レッスン室

莉嘉「やっほー」

杏「だるーい」

美玲「おーリカか、おはよう」

裕子「ユッコもいますよ！」

美玲「お、おう。どうしたんだ？　3人揃って」

裕子「美波さんを探してるんですよ」

莉嘉「美玲ちゃんどこにいるか知らない？」

美玲「ああ、さっきまでレッスンしてたぞ。んで10分くらい前に帰ったぞ」

莉嘉「ほんと！？」

美玲「なんかあったのか？」

裕子「美波さんの調子が悪いみたいなんでそれを解決しに来たんです！」

美玲「ん？　そんな調子悪いようには見えなかったけどなあ。むしろ調子いい感じだったぞ」

裕子「あれ？」

杏「なんだ、もう調子戻ったのか。ならもう杏達が出る幕はないね」

裕子「ちょっとまってください！　莉嘉ちゃんと美波ちゃんが一緒にレッスンしてたのはいつですか？」

莉嘉「えっと、昨日と一昨日だよ」

裕子「つまり昨日のレッスン後になにかあったんですよ！　気になりませんか？」

莉嘉「気になるー！」

裕子「というわけで引き続き美波さんを探しましょう！」

莉嘉「おー！」

外

裕子「とりあえず外に出ました！」

美玲「ウチも暇だしついてきた」

杏「これもう人助けじゃないし杏いらないでしょ……」

莉嘉「小梅ちゃんが友達から聞いた話によると、美波ちゃんはレッスンのあとこのあたりをよく散歩してるみたいだよ！」

美玲「コウメの友達は物知りだな！」

杏「多分それって幽れ……」

美玲「物知りだな！！！」

杏「お、おう……」

莉嘉「でも美波ちゃん見つからないね」

裕子「サッカーをしてる中学生しかいませんね」

美玲「部活動かなんかなのか？」

杏「さあ？　こんな暑いのによくやるよ」

裕子「元気ですねーって危ない！」

杏（一人がクリアしたボールが勢いよくこっちに飛んでくる……危ない！）ﾑﾑﾑｰﾝ

莉嘉・美玲「きゃあ！　……あれ？」

杏「なんとか間に合ったみたいだね」

莉嘉「ボールが空中で止まって……ああ！　杏ちゃんのさいこきねしすか！」

美玲「サイコキネシス？　なにがどうなってんだ？」

ｶｸｶｸｼｶｼﾞｶ

美玲「へー、アンズそんな力を持ってたのか！　助かったぞ！」

莉嘉「ありがとう杏ちゃん」

裕子「杏ちゃんナイスです！」

杏「いいってことよ」

美玲「それにしてもすごいなーそのサイコキネシスって」

杏「全然使ってないけどね」

裕子「最初に私を浮かせたのと、スカートめくったのと、さっきのボールを止めたことにしか使ってませんもんね。もっとガンガン使いましょうよ！」

莉嘉「人浮かせられるの！？」

杏「う、うん」

莉嘉「じゃあアタシを浮かしてみて！」

杏「わかったよ」ﾑﾑﾑｰﾝ

莉嘉「わー、すごーい！　本当に浮いてる！」

美玲「ウ、ウチ！　ウチも浮かせてくれ！」

杏「まかせろー」ﾑﾑﾑｰﾝ

美玲「おお、浮いてる！　あははは、楽しいなこれ！」

杏「お、重い……」

裕子「私も私も！」ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ

杏「ちょっと休憩させてくれ……」

莉嘉「なんかここちょくちょく走ってる人もいるね」

裕子「ここは景色もよくて良いランニングコースですよ。私もよく走ってます」

美玲「へー、そうなのか」

杏「ん？　あそこで走ってるの美波ちゃんの弟じゃない？」

裕子「あ、本当ですね！」

莉嘉「美波ちゃんの弟！　どれどれ？」

美玲「ん、ミナミさん？　……ウチらなんか忘れてないか？」

杏「いやいや、美波ちゃんの調子が悪かった原因を探るためにここに来たんでしょうが」

裕子・莉嘉・美玲「あー！　そうだった！」

杏「えぇ……」

美玲「じゃあ弟に話を聞けば原因がわかるんじゃないか？　追いかけよう！」

莉嘉「ダメ、速くて追いつかないよー」

裕子「杏ちゃん！」

杏「まかせろ」ﾑﾑﾑｰﾝ

弟「ぬおおお！」ﾋﾞﾀｰﾝ

莉嘉「すごい、地面にたたきつけられてる！」

美玲「やりすぎじゃないか！？」

弟「姉ちゃんの不調の原因？」

杏「そう、なんか知らない？」

弟「わからないですねー」

裕子「昨日なにかあったはずなんですよ！」

弟「あー、そういえば昨日の夜姉ちゃん宛に荷物が届いてましたね。姉ちゃん嬉しそうでした」

莉嘉「荷物の中身はなんだったの？」

弟「……パンツ」ﾎﾞｿ

美玲「え？」

弟「パンツでした。荷物にそう書いてありました」

莉嘉「ということは不調の原因はパンツ？」

裕子「ノーパンだったんでしょうか？」

美玲「んなわけないだろう」

杏「まあとりあえず真実に大きく近づいたわけだ。ありがとう弟くん、お礼にアーニャちゃんのオフショットをあげよう」

弟「マジですか！　ありがとうございます、杏姐さん！」

杏「姐さんって呼ぶな」ﾑﾑﾑｰﾝ

弟「うごおおお！」ﾋﾞﾀｰﾝ

杏「さあまとめるよ」

裕子「美波さんは昨日まで不調だったけど今日は調子がよかった」

莉嘉「昨日の夜美波ちゃんに新しいパンツが届いた」

美玲「つまり不調の原因はパンツの可能性が高いというわけだな」

裕子「あとはそれが真実か確かめるだけですね！」

美玲「でもどうやって確かめるんだ？」

莉嘉「直接聞けばいいんじゃない？」

杏「いや恥ずかしくて教えてくれないかもしれない。ここは杏のサイコキネシスを使おう」

裕子「！　さいきっくスカートめくりですか！」

杏「うん」

裕子「でもそれっていつもみたいにお仕置きされるんじゃ……」

杏「大丈夫。美波ちゃんと会って、ちょっと風が吹いたときに杏がサイコキネシスを使うよ」

裕子「なるほど！　それなら心配無いですね！」

莉嘉「美波ちゃん見つからないね」

美玲「もう帰ったんじゃないか？」

杏「うーん」

裕子「杏ちゃん、私を高く浮かしてください！」

杏「よしわかった」ﾑﾑﾑｰﾝ

裕子「私のさいきっくアイは100m先まで見えます！」ｶｯ

杏「おっも……」

美玲「あ、危ない！」

裕子「ぶへえ！」

莉嘉「飛んできたサッカーボールがユッコちゃんに！」

裕子「」ﾄﾞｼｰﾝ

杏「ユッコー！」

裕子「」ﾋﾟｸﾋﾟｸ

莉嘉「ユッコちゃん大丈夫？」

美玲「大丈夫か？」

裕子「ふええ」ｳﾙｯ

杏「あ、やべ」

裕子「うえーん痛いよう」ｼｸｼｸ

莉嘉「あーよしよし、ユッコちゃん泣かないでー」

美玲「痛いの痛いの飛んでけー」

裕子「ぐすん、二人ともありがとうございます」

杏「これはまずいことになった」

莉嘉「どうしたの？」

杏「この超能力って毎回ユッコが泣いちゃうとできなくなっちゃうんだ」

美玲「マジか！？」

杏「ムムムーン……ほらできない」

美玲「まじか……」

裕子「あ、あれ美波さんじゃないですか？」

杏「あら本当、なんてタイミングの悪い」

美玲「どうするんだ？　やっぱ直接聞くか？」

杏「まあ杏に任せて」

美波「あら、杏ちゃん達こんにちは。こんなところで何してるの？」

杏「やあやあ美波ちゃん。ちょうど美波ちゃんの話をしてたんだよ」

美波「私の？」

杏「美波ちゃんちょっとじっとしてて」

美波「？　うん……」

杏「ちぇすとおおお！」ﾊﾞｻｰ

美波「」

莉嘉「あ、あれは！」

美玲「スカートめくり！」

裕子「さいきっくじゃなく！」

美波「」

莉嘉「そしてあのパンツは！」

美玲「non!PK！」

裕子「ティーンのお悩みPK（P=パンツ　K=くいこむ）解決アイテムのあのnon!PKですか！」

美波「」

莉嘉「現役大学生アイドルの美波ちゃんがnon!PKって……」

美玲「ちょっとダサいよな……」

美波「」

杏「そうかー、パンツのくいこみが気になって美波ちゃん調子悪かったのかー」

美波「おい」

杏「あははー。解決解決」

美波「言いたいことはそれだけか？」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

杏「じゃねばーい」ﾀﾞｯｼｭ

美波「待てこら！」ﾀﾞｯ

杏「超能力なんてこりごりだー！」