私が好きなことは、寝る、ゲーム、寝る。
働かないことに越したことはないし、遊んで暮らせるのが一番気楽だ。
そんな私が何故かアイドルなどという多忙極まりない生活をしているのは何の冗談だろうか。
全ての発端は、買い物帰りに出会ったプロデューサーからの『ヒットしたら印税生活送れるよ』という甘い言葉だ。
思えば、ちょっとチョロすぎやしないかと自分で自分が心配になるが、いいじゃないか『不労所得』。なんと甘美な響きだろう。
しかし、その先に待っていたのは何だ。
まず、地獄のようなレッスンだ。運動神経はそこそこいいほうだとは自負するが、ニート街道まっしぐらの体力を舐めてはいけない。
……今ではどこかの誰かさんのお陰でマストレさんの地獄レッスンもギリで耐えられるようになってしまったが。
そして過密なスケジュールだ。イベントにライブ、撮影や収録……。
いくらどこかの誰かさんが敏腕だからって、ここまで働かせなくてもいいじゃないか。
私は週休8日希望だと言うのに、たまに週休0のときもあったりする。なんだこのブラックは。
……まぁ、夢の印税生活を送るために必要なキャリアを積ませてくれるのはホントありがたいけどさ。
……なんで私は文句を言ってるのにそのフォローまでしているのだろうか。
――あぁ、面倒だ。面倒だ。面倒だ。
だからこんなことはしたくなかったんだ。
だからこんなことになりたくなかったんだ。
静寂に包まれた私の牙城に耳障りの良い/聞きたくない音が聞える。
今日もこの時間が来てしまったか。
最低限、身だしなみを整える。
知ってるリズムがだんだん早くなる。今や先程までの静寂がウソのようだ。
のんびりしようよ、って言ってもきっと聞かないんだろうな。
それでも私は知っている。彼が、私の歩幅や歩く速度に合わせてくれることを。
のんびりゆったりな旅じゃないけども、のんびりゆったり二人三脚。
ゆっくり進んでも、早足ですすんでも結果が同じなら、ゆっくりと歩いたほうが疲れないよね?
疲れちゃったら何も出来ないからさ。それならゆっくり確実に一歩ずつ。
彼流に言うなら……そう、『お城の階段を登る』んだ。
――さぁ、面倒くさいけどその一歩を今日も踏み出そう。
ドアの向こうでしびれを切らした魔法使いさんと一緒に。
「あ、やっと起きたな杏! 早く用意しろ!」
「えー……杏、やる気でないしもうお休みにしようよー……」
「バカ言え! ほら、飴玉やるからさっさとする!」
「はぁーい。……おお、今日はいちごかぁ」
私の好きなものを勝手に増やした王子様と一緒に。
おわり
9 : 名無しさ... - 2017/08/16 11:05:36 Rrw 9/9たまにこういう感じの文が書きたくなる症候群
スローライフ・ファンタジーを聞いたら、なんか涙腺に来たので勢い任せに。
ついでに過去作もどうぞ。
モバP「輝子が可愛すぎて正直しんどい」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1502155394/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/23213323.html
輝子「絶対特権……フヒ」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1502241411/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/23213336.html
美玲「ショーコはカッコイイんだ!」幸子「いいえ、可愛いんです!」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1502298468/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/23213348.html
美玲「イケメンショーコを用意してみた」幸子「――――!!」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1502340686/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/23213392.html
ゆかり「寝惚けの功名」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1502444141/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/23213401.html
ちひろ「え、風邪ですか!?」輝子「……フヒ?」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1502610614
http://ayame2nd.blog.jp/archives/23213415.html
【安価】モバP「輝子を目一杯可愛がろうとおもう」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1502697772
http://ayame2nd.blog.jp/archives/23213481.html
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
それでは、お目汚し失礼しました。