1 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/10 23:15:52.44 Dp85zYSd0 1/178

更新遅め。
地の文、台詞混合。
オリキャラあり。

前作あり
【ラブライブ】真姫「その罪は何色か」【仮面ライダーW】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515243825/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/21584526.html

以上のことが大丈夫な方はぜひお付き合いください。

元スレ
【ラブライブ】海未「罪と罰」【仮面ライダーW】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518272152/

2 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/11 00:00:32.51 V4ryizZl0 2/178

ーーーーーー




『ア、アァぁ……』




なんで、こんなことになってるんだろう。

目の前には、倒れる二人の姿。
そして、正気を失ってる彼女の姿。



「もう、やめて……」

『…………あ……ウァ……』

「お願いっ」



逃げなさい!

悲痛な叫びが聞こえる。
だけど、目の前の人を放っておけないよっ!

そうだ。
そうだよっ!

止めなきゃ!
やっと、分かってくれたんだから。
だからーー



「ねぇ、お願い」

「戻ってよっ!」



「いつもの貴女にっ!!」




ーーーーーー

3 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/11 00:05:11.91 V4ryizZl0 3/178

『Sの憧れ/赦し』

4 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/11 00:13:34.53 V4ryizZl0 4/178

ーーーーーー




にこ「亜里沙ちゃんの様子がおかしい?」

絵里「えぇ……」




呼び出された喫茶店で、甘いカフェオレを飲みながら、にこは絵里にそう問い返した。



「おかしいってどんなところが?」



にこの隣に座る希も、訊ねる。

正直な話。
シスコン気味の絵里のことだし、どうせしょうもないことじゃないかと思ってる。
たぶん、希もそう思っているようで、なんとなく話半分に聞いている感じがする。

まぁ。
亜里沙ちゃんのことで頭がいっぱいな目の前のお姉ちゃんは、それに気づく様子はないけどね。

ともかく、話の種くらいにはなるでしょ。
そう思って聞いてみた。
すると、返ってきたのは、



絵里「…………最近の亜里沙、ため息が多いのよ……」

にこ「はぁ……」



予想以上に、なんというか……。

5 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/11 00:22:12.72 V4ryizZl0 5/178


「ため息?」

絵里「えぇ」



にこが脱力したのを察したのか、希が突っ込んで聞いてくれるみたい。
ありがたい。



絵里「ここ半月くらいかしら。妙にため息をつくのよ」

「半月かぁ」

絵里「前までなら、帰ってくると、パタパタと家で待っていた私に近づいてきて聞くのよ。今日のご飯はなに? お姉ちゃん!……って」

「い……いや、なんでもない」

にこ「…………」



犬みたい。
そう思ったのは、希だけじゃないわ。
安心しなさい。



絵里「でもね、この半月はそれがないの。帰ってくると疲れたようにため息を吐くのよ」

にこ「……練習で疲れてたんじゃないの?」



ラブライブの予選も近いし。
花陽たちも事実上引退してるから、その分、亜里沙ちゃんもプレッシャー感じてるんでしょ?

そう言っても、



絵里「いえ……あれはそういうため息ではないわ!」




どうやら、このシスコン、聞く耳もたないようである。

6 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/11 00:32:05.45 V4ryizZl0 6/178




「えっと、それで? えりちはウチらになにか手伝ってほしいん?」




と、希が本題をぶつけた。

まぁ、そうよね。
その話をするだけなら、メッセージを送ってくればいい。
そうせずに会って、しかも、にこたちにここの代金を奢ってまでこの話をしたんだから……。



絵里「…………手伝ってくれるの?」



案の定。
そういうことらしい。



「当たり前やん? えりちが困ってたら、ウチは助けずにはいられんからなぁ」

絵里「の、のぞみぃぃ」

「ふふっ、よしよし」



7 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/11 00:44:14.19 V4ryizZl0 7/178

「さてさて、ウチは当然手伝うけど……」

にこ「うっ」

絵里「……にこ……?」



にこっちはどうするん?

希はそんな言葉を目で語りかけてくる。

人の妹の動向を探るって?
なんでにこがそんなこと……。
ただでさえ、ここのところ忙しいのよ?

部室破壊事件を始めとして、花陽や凛が襲われたり、穂乃果に付き合わされてロケ終わりに隣の市まで連れ回されたり。
真姫ちゃんのところも色々あったみたいだし。

とにかく最近は本業じゃなくて『そっち』が忙しかった。

だから、正直、断りたい、んだけど……。




にこ「………………はぁぁ」

にこ「しかたないわねぇ!」




絵里「にこっ!」

「流石はにこっちやね」



にこも姉だもの。
絵里の気持ちも分からなくはないわけだし。
なにより…………まぁ、友達が困ってるのは……ね。



絵里「よかった……。うぅぅ、これで安心して眠れるわ……」

にこ「…………」



にしても、



にこ「あんた、ちょっとは妹離れしなさいよ」

絵里「…………え? してるでしょ?」



にこ「え?」

絵里「え?」




ーーーーーー

8 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/11 00:47:48.85 V4ryizZl0 8/178

ーーーーーー




亜里沙「……はぁぁ」

亜里沙「なんで…………こんな…………」

亜里沙「お姉ちゃん……に言ったら、心配するよね……」

亜里沙「うぅぅ…………」




亜里沙「たすけて……だれか……」



ーー ギュッ ーー




ーーーーーー

14 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 15:08:15.95 Y18+/ZbbO 9/178

ーーーーーー




にこ「ということでなんかあった?」




花陽「……え、えっと」

真姫「いきなり来たと思ったら……はぁ」



亜里沙ちゃんの件を解決するために、にこが来ていたのはアイドル研究部の部室だった。
で、そこにいた花陽と真姫ちゃんに早速聞いたわけだけど……。



真姫「暇なの? 干されたの?」

にこ「違うわよ!」

真姫「いや、そう言ってこの前も来てたじゃない」

にこ「ぐっ」



そんなことを指摘される。

いや、忙しいから!
ほんと忙しいから!



花陽「ま、まぁまぁ、真姫ちゃんっ。にこちゃんって後輩思いだから」

真姫「……はぁ、はいはい」



花陽の言葉に、真姫ちゃんも口を閉ざした。

流石よ!
やはり花陽を部長にして正解ね!

……って、もう部長じゃないんだったわ。

15 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 15:19:08.90 Y18+/ZbbO 10/178



にこ「それで、どうなの?」



とりあえず話を戻す。

亜里沙ちゃんのことだもの。
先輩に当たる二人に聞けば、どうにかなるでしょ!



花陽「えっと、うーん。そうだなぁ」



にこの質問に、花陽は首を捻る。
花陽からの答えはその様子を見れば分かった。

えっと、周りをしっかり見てる花陽がそう言うなら……これは……。



花陽「あっ、でも、半月前くらいかな? その頃は確かにちょっと元気はなかったと思うよ。 ね、真姫ちゃん?」

真姫「まぁ、そうね」



半月前、ね。
確かに、1週間前に絵里から聞いた話とも合致するわ。
でも、



真姫「少なくとも私たちの前ではため息を吐いてるのは見たことないし」

花陽「うん。それに、最近はむしろウキウキしてるみたいだよ?」

にこ「ウキウキ?」

花陽「うん。ね?」

真姫「えぇ。なんだか浮かれてる印象だったわ」

にこ「浮かれてる……?」

16 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 15:25:11.14 Y18+/ZbbO 11/178

絵里が嘘をつくとも思えない。
……これはつまり?



真姫「にこちゃんが絵里から話を聞いたのが1週間前だっけ?」

にこ「そうね」



真姫「つまり、この1週間でなにかが起きたってこと、かしらね」




たぶんそういうことでしょう。
悩みか心配事かは分からないけど、それはこの1週間で解消された、ってことかしら?



真姫「解決じゃない」

にこ「ま、まぁ、そうね」



なんというか、呆気なかったわね……。
なんだか拍子抜けしてしまった。
一応それなりに心配だったんだけど。

なにもないならそれに越したことはないわ。
一応、絵里には今夜あたり連絡してーー




ーー ガチャッ ーー




と、そこへ扉の開く音。
そちらを見ると、




亜里沙「こんにちは!」




件の亜里沙ちゃんが来たところだった。

17 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 15:34:51.31 Y18+/ZbbO 12/178

表情を見る。
……うん。
確かに、大丈夫そうね。



亜里沙「にこさん!!」

にこ「え?」

亜里沙「おひさしぶりです!!」

にこ「あっ、ええ、うん」



亜里沙ちゃんの嬉しそうな笑顔に、少し圧倒されてしまった。
流石は絵里の妹というか……。
ほんと綺麗ね、この娘。

…………って、ん?

ふと、気づいた。
なんかこの娘……。




にこ「リップ……」

亜里沙「え?」

にこ「あっ」



つい反射的に口にしていた。
というのも、亜里沙ちゃんの口元がなんだか……。



亜里沙「どうかしました?」

にこ「あ、なんでもないわ!」

亜里沙「??」



これは、ひょっとすると……。



ーーーーーー

18 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 15:46:22.51 Y18+/ZbbO 13/178

ーーーーーー



せっかくだから、一通り練習を見学して。
にこにこにー?も指導して。
にこはーー




「おなかすいたにゃぁ……」

花陽「そうだねぇ」

にこ「しっ! 静かにしなさい! 気づかれるわよ!!」



凛と花陽を連れて、校門側の茂みに隠れていた。

ブツブツ文句を言う凛とそれに相槌を打つ花陽をたしなめる。

もう!
これじゃバレる!
……しょうがない……。



にこ「…………このあと、ご飯でも奢るわよ」

りんぱな「「!!!」」

にこ「だから、静かにーー」

「凛、ラーメン!!」

にこ「っ、わかったわよ! だからーー」

花陽「ご飯大盛りでもいい!?」

にこ「あーっ、分かった分かった!! 好きなだけ頼みなさい!!」

りんぱな「「やったーー!!」」



もうダメね、コレ。
バレるのも時間の問題よ……。

ため息を吐きながら、校門の前に立つ人物に視線を向ける。

10月ってこともあって、徐々に日は短くなってきて。
少し肌寒さを感じてるんでしょうね。
彼女は体を縮こませるような姿勢で、校門に身を預けていた。

19 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 15:54:37.28 Y18+/ZbbO 14/178


花陽「ねぇ、にこちゃん」

にこ「なに?」



今度はちゃんと小声で、話しかけてくる花陽。



花陽「亜里沙ちゃんのことなんだけど」

花陽「なんで尾行なんて……?」



そう。
にこたちが隠れて見ているのは、亜里沙ちゃんだ。

あの後、こっそり花陽と真姫ちゃんに声をかけていた。
……で、真姫ちゃんには断られた。
凛が言うには、未来のスクールアイドル候補を育ててるらしいけど……?

結局、花陽にはOKしてもらって。
で、ついでだから、凛も連れてきたというわけ。



にこ「まぁ、そうね」



練習の時の様子を見ていれば、絵里が心配していたため息の原因は解消されたのは分かった。

ただ、別の問題があった。
それが、



にこ「たぶん、亜里沙ちゃん、誰かと待ち合わせしてる」

「? そんなの見れば分かるにゃ」

にこ「…………えぇ、だけど」

花陽「…………」




花陽「はっ!?」




どうやら、花陽も分かったようね。
見ると、目を見開いた顔をしている。

20 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 16:00:52.01 Y18+/ZbbO 15/178



花陽「ま、まさか……」

にこ「えぇ、そのまさか、の可能性は捨てきれないわ……」

花陽「な、なんてこと……」



花陽が崩れ落ちる。

無理もないわ。
もし、にこの勘が当たっているとしたら……それに責任を感じるのは元部長として必然!
アイドルへの意識が高い花陽なら尚更よ!



「え? な、なになに?」



と、一人分かっていない凛。
…………まぁ、こういうことには縁遠いでしょうから、無理もないわね。



「にこちゃん」

にこ「なに?」

「その、凛を哀れむ顔がうっとおしい」

にこ「……喧嘩売ってる?」



……まぁ、いいわ。
今は凛の生意気な態度より、目の前の問題の方が重要よ!



にこ「……哀れな凛に教えてあげるわ」

「にこちゃんの方こそ喧嘩売ってるよね? 凛、買うよ。喧嘩買うよ?」

にこ「にこたちが危惧している問題。それはーー」





にこ「亜里沙ちゃんに恋人がいるってことよっ!!」

「ナ、ナンダッテー」




21 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 16:07:37.85 Y18+/ZbbO 16/178

「って、そんなわけーー」



花陽「確かにっ!!」




「」ビクッ



驚く凛。
事の重大さを理解できていない凛に、花陽が語る。



花陽「いい!? 今、スクールアイドルが人気の絶頂期にあるのは、凛ちゃんも分かってるよね!」

「う、うん」

花陽「だから、スクールアイドルから本当にプロのアイドルや歌手にある人は多いの! にこちゃんやA-RISEみたいに!」

にこ「えぇ、そうね!」

花陽「その活躍もあって、スクールアイドルは芸能界入りの登竜門とも言われています!」



そう。
スクールアイドルと言えど、注目度はプロのアイドルと同じレベルにまで来ている!
つまり!




にこ「恋愛沙汰はNG!!」

花陽「なんですっ!!」




「は、はい……」

22 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 16:16:50.73 Y18+/ZbbO 17/178

「に、にこちゃんとかよちんが真剣になる理由はなんとなーく分かったけど……亜里沙ちゃんに恋人がいるっていうのは……」

にこ「甘いわね」



まったく……。
これだから素人は。



にこ「亜里沙ちゃん、今日かなり気合い入ってるわ」

「気合いって……普通に制服だよ?」

にこ「甘いわ! 見なかったの?」

「見なかったって……なにを?」



なにを、ね。
そのサインは至るところにあったわ。

ブロンドの髪。
艶やかなリップ。
ほんの少しのチーク。
それに、着替えの時…………。

節々から確かに、自分を可愛く見せようとする意識を感じた。
現役アイドルが言うんだから間違いないわ。




にこ「……あれは誰か大切な人に会うため、でしょうね」




23 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 16:19:23.64 Y18+/ZbbO 18/178


「うーん、でも、それは亜里沙ちゃんの自由だし……」

にこ「なっ!?」

花陽「凛ちゃん!?」



くっ!?
教育が足りなかった……。
にことしたことが、アイドルへの意識がこんなに低いなんて……。
これは一から教え直す必要がーー





亜里沙「あっ!」





24 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 16:25:13.18 Y18+/ZbbO 19/178



にこりんぱな「「!!」」



亜里沙ちゃんの声に反応して、お互いの口を手で塞ぐ。
まさか、バレ……



亜里沙「こっちです!」



……バレてはない。

って!



にこ「亜里沙ちゃんの相手っ」

花陽「う、うんっ」



花陽と一緒に、こっそりと茂みから顔を出す。

手を振る亜里沙ちゃん。
その視線の先には、確かに誰かがいる。

背は……それなりに高い。
少なくとも亜里沙ちゃんよりも、ここにいる3人よりも高いようで。
暗くなり始めたせいで、近づいてくるまで顔は見えない。

ただ、声が聞こえた。
その声は、





「すみません」

「少し遅れてしまいました」




女性!?

って、待ちなさい!
この声は!!

25 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 16:26:46.31 Y18+/ZbbO 20/178






海未「昨日ぶりですね」

海未「亜里沙」





26 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 16:31:51.60 Y18+/ZbbO 21/178

その人物が近づいて、顔が見えて。
ハッキリした。

亜里沙ちゃんが待ってたのは、




花陽「海未ちゃん……だったんだね」




ホッと胸を撫で下ろした花陽。

…………そう。
アイ研部長だったら、この場面は胸を撫で下ろすところよね。
前までのにこもきっと同じ反応をしたわよ。

でも、今はーー



「に、にこちゃん……」

にこ「…………えぇ」



たぶん凛も同じことを感じ取ってる。
にこを呼ぶ声が微かに震えてるのが分かったから。



花陽「凛ちゃん? にこちゃん?」

「…………っ」

にこ「……………………」





海未「それでは行きましょうか」

亜里沙「はい!」




ーーーーーー

27 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 16:39:05.45 Y18+/ZbbO 22/178

ーーーーーー



確かに。
聞いてはいた。

ことりのこと。
そして、海未のこと。



だけど……。
なんで、なんでなのよ?

あの場で『それ』を感じていたのは、凛とにこだけ。
それはきっと最近、『それ』をずっと感じてきたから。

にこたちは、海未からも『それ』を感じた。

前までの細かくて厳しくて、でも、優しげな雰囲気の海未はいない。




『それ』を。
身も凍るほどの『殺気』を放つ海未。

その『殺気』は確かにーー




ーー亜里沙ちゃんに向けられていた。





ーーーーーー

30 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 19:30:57.29 Y18+/ZbbO 23/178

ーーーーーー




翌日。
にこは穂乃果を仕事場に呼び出していた。



穂乃果「ここが楽屋ってやつかぁ!」



物珍しそうにキョロキョロと、にこの楽屋を眺める穂乃果。
こいつ、ここに着いたときからこんな感じね。
まぁ、いいわ。



にこ「もういい?」

穂乃果「あ、うん! それで昨日の夜の話だけど」

にこ「えぇ」




にこ「亜里沙ちゃんが海未に会ってたわ」

穂乃果「……そっか」



それだけを伝える。
詳しいことは今日話すとは言ったけど、詳しいこともなにも、それしか分からない。
……あとは、



にこ「あいつ、変わったわね」



海未が放っていた殺気を思い出す。



にこ「っ」



ここ数ヶ月で怪物と戦っていたにこでも、あの海未は怖かった。
その上、その殺気を亜里沙ちゃんに向けてるなんて。

本当に変わったとしか思えない。
やっぱり海未もガイアメモリの副作用で……。




穂乃果「違うよ」




31 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 19:36:51.34 Y18+/ZbbO 24/178


にこ「え?」



穂乃果は、にこの言葉を否定した。
変わった、という言葉を。



にこ「でも……」

穂乃果「……海未ちゃんは変わってない」

にこ「………………」



そう言う穂乃果は真剣だった。
まっすぐにこを見てくる。



にこ「……あんたは……あの海未を見てないから、そう言えるのよ」

穂乃果「…………」

にこ「アレは亜里沙ちゃんをこーー」




穂乃果「にこちゃんっ!!」




にこ「っ」

穂乃果「………………っ」

にこ「………………ごめん」




謝る。

…………不用意な発言だったわ。
今のはにこが悪い。
うん、分かってる。

だから、そんな顔するんじゃないわよ。



穂乃果「……っ」



そんな、今にも泣きそうな顔、するんじゃないわよ……。

32 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 19:40:27.63 Y18+/ZbbO 25/178



穂乃果「……ごめん、おっきな声出しちゃって……」

にこ「いや、にこの方こそ、ごめん……」



微妙な空気が流れる。
居心地の悪い感じ。

…………あぁぁっ!
もうっ!



にこ「海未は変わってない!」

穂乃果「え……?」

にこ「えぇ、あの堅物で、そのくせ変に抜けてるやつがそんなこと考えるわけないわっ!!」

穂乃果「っ、うんっ!」



うん。
今はそう考える。
きっと、海未は……大丈夫。

33 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 19:48:09.18 Y18+/ZbbO 26/178




にこ「……話を変えるわ」



少し強引に。
いえ、どちらかといえばこっちが本題だし、自然な流れよね。



にこ「この間の話を確認すると」

穂乃果「うん」



にこ「海未は今、『アームズ』っていうメモリを持ってる」

にこ「それはことりをドーパントにして連れ去ったもう一体のドーパントを…………倒そうとしてるから」

にこ「……それで、あんたは海未を止めようとしてる」

にこ「にこと凛を使って」



にこ「合ってる?」

穂乃果「う、うーん。使ってって言葉は悪いけど……」

にこ「否定はできないでしょうが」

穂乃果「は、はい……」

にこ「続けるわよ」



にこ「あんたはこの数ヶ月ずっと海未に会うために連絡をとってる」

穂乃果「……けど、ずっと海未ちゃんの声聞けてない……」

にこ「……その間、海未が動いたのは?」

穂乃果「たぶんない、と思うよ」

にこ「曖昧ね」

穂乃果「さすがに穂乃果だって、海未ちゃんをずっと監視してる訳じゃないし」

にこ「まぁ、いいわ。大事なのはーー」





にこ「その海未が今、動き出したこと」




34 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 19:51:00.64 Y18+/ZbbO 27/178


穂乃果「そう、だね……」



なんだかんだ慎重な海未だから、思い付きや気まぐれで行動はしないはず。
だとしたら、



にこ「…………ことりの件かしら」

穂乃果「……だと思う」



ことりを連れ去った化物。
そいつに繋がる情報を手に入れた。

そんなところかしら。

35 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 19:56:26.34 Y18+/ZbbO 28/178


にこ「とりあえず、凛には亜里沙ちゃんから目を離さないように言っといたわ」

穂乃果「うん。あ、雪穂にも言っとこうかな?」



なるほど。
確かに、雪穂ちゃんなら亜里沙ちゃんとクラスも部活も一緒だし、違和感はないわよね。
…………けど、



にこ「止めといた方が賢明よ」

穂乃果「…………え、でも……」

にこ「雪穂ちゃんはメモリに関わってないでしょうが!」

穂乃果「あっ…………」



恐らくこの件にもガイアメモリが関わってくる。
にこや凛はともかく、雪穂ちゃんを巻き込むのは……。



穂乃果「うん……そうだね」



シュンとした表情で頷く穂乃果。

…………ったく!




にこ「ほっ!」ベシッ

穂乃果「いたっ!?」




うなだれる穂乃果のおでこに、黒猫肉球パンチをお見舞いする。

36 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 20:01:32.91 Y18+/ZbbO 29/178


穂乃果「いたいよっ! いきなりなにするの、にこちゃん!!」



と抗議する穂乃果。



にこ「ふふっ」

穂乃果「なに笑ってるの~!!」




にこ「そっちの方があんたらしいわよ」




穂乃果「え?」

にこ「あんたには深刻そうな顔は似合わないわ」

穂乃果「~~っ、にこちゃんっ!」

にこ「あんたにはアホ面がお似合いにこ~♪」

穂乃果「なっ! ひど~~いっ!!」

にこ「ふふふっ」




……そう。
一刻も早く、この騒動を終わらせましょう。

あんたも。
海未も。
ことりも。

このにこにーが皆を笑顔にしてやるわよ!!




ーーーーーー

37 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 20:02:09.93 Y18+/ZbbO 30/178

ーーーーーー

38 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 20:10:25.55 Y18+/ZbbO 31/178

ーーーーーー



亜里沙「また明日です!! 凛さん、花陽さん、真姫さん!」



花陽「うん、また明日」

真姫「ん、また明日」

「じゃあねー!!」



校門で人を待つという亜里沙ちゃんと別れる。
それで、



雪穂「じゃあ、私も……」



雪穂ちゃんとも別れる。
んだけど、



「…………真姫ちゃん!」

真姫「…………ん」



真姫「送ってくわ」

雪穂「えっ!? い、いいですよっ」

真姫「……なに? 嫌なの?」

雪穂「そういうわけじゃ!!」

真姫「……じゃあ、ほら、帰るわよ」

雪穂「は、はい!」



そんなこんなで、真姫ちゃんは雪穂ちゃんと一緒に去っていった。
そして、この場には凛とかよちん。



「ふぅ、うまくいったにゃ~」

花陽「うん、流石真姫ちゃんだね」



さらっと計画通りにこなす姿は、流石だなぁって思ってみたり。
念のため、雪穂ちゃんにも誰かついていった方がいいもんね。

と、これで亜里沙ちゃんを追える!

39 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 20:16:21.31 Y18+/ZbbO 32/178



花陽「じゃあ、いこっか、凛ちゃん」



鞄を持ち直しながら、かよちんはそう言った。
そんなかよちんに、凛は、



「……かよちん、ほんとに来るの?」



そう返す。

本当はかよちんにはついてきてほしくはないんだ。
だって、きっとガイアメモリ関係の事件になると思うから。

凛なら大丈夫!
ドライバーもあるし!
だから、かよちんは真姫ちゃんたちと帰って!

そう言ったんだけどね……。



花陽「勿論行くよ。凛ちゃんだけが危険な目に遭うのはやだもん」

「…………にゃぁ……」

花陽「ね?」

「……うぅぅ、わかったよぉ」



こうなったかよちんが頑固なのは、凛が一番よく知ってる。
だから、うん。



「……かよちんは凛が絶対守るからね」

花陽「うん♪」



覚悟を決めるにゃ!



ーーーーーー

40 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/17 20:25:41.55 Y18+/ZbbO 33/178

ーーーーーー



にこちゃんが言った通り。
今日も海未ちゃんは亜里沙ちゃんに会いに来ていた。
校門に来た海未ちゃんを見て、亜里沙ちゃんは嬉しそうに笑いかける。
それに、海未ちゃんも笑顔を返してた。
でも、



「……やっぱり海未ちゃん……」



昨日見たのと同じだ。
亜里沙ちゃんも、かよちんも気づいてないけど、海未ちゃんは帰る道でも警戒してた。
刺すような……殺気みたいな雰囲気を、凛はずっと感じてる。

しかも、たまに怖い視線で周りと、それから亜里沙ちゃんを見ていた。



花陽「…………あっ」



と、かよちんが声をあげる。
それに反応して亜里沙ちゃんの方を見ると、ちょうど亜里沙ちゃんの家に着いたところだった。

……って、いつのまにかもう着いてたんだね。

そのまま見ていると、亜里沙ちゃんと海未ちゃんは家の前でちょっとだけ話をして、亜里沙ちゃんは家の中に入っていった。
これも昨日と同じ。
ただ、昨日と違ったのは、




海未「………………出てきなさい」




りんぱな「「っ」」

海未「隠れていても無駄です」



海未ちゃんに見つかってしまったこと。
ごまかすために隠れたけど、海未ちゃんはずっと凛たちが隠れた壁を睨み付けてくる。

41 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/18 01:32:48.32 KQqO361oO 34/178



「…………」

海未「…………」



「…………ふぅ」

花陽「凛ちゃんっ」



たぶん誤魔化しきれない。
そう思って、大人しく隠れてたところから姿を現した。




「…………久しぶりにゃ、海未ちゃん」

海未「…………凛、でしたか」




海未ちゃんは特に驚いた様子もなく、ただそう言った。
続けて出てきたかよちんの方も少しだけ見る。
だけど、最終的には凛の方を見てくる海未ちゃん。

さっきよりはまだいい。
けど、威圧感は肌で感じ取れるくらいだ。



海未「盗み見とは……感心しませんね」

花陽「っ」

「…………ごめんね」



かよちんを後ろに隠すように、凛は一歩だけ前へ。

42 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/18 01:39:21.86 KQqO361oO 35/178

大丈夫にゃ。
後ろにいるかよちんに小声で伝えて、海未ちゃんを見つめ返す。
海未ちゃん……。



「…………ねぇ、海未ちゃん」

海未「なんですか」

「亜里沙ちゃんをどうする気なの?」

海未「…………」

「誤魔化したってむだだよ」



じっと見る。
きっと、海未ちゃんなら後ろめたいことがあれば目をそらすはず!

そう思った。
だけど、海未ちゃんは目をそらさなかった。




海未「……なにも」

海未「私は亜里沙の相談を聞いているだけですよ」




ただ、そう言った。
笑顔はない。
冷たい印象だった。

43 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/18 01:47:47.38 KQqO361oO 36/178


「相談って……」

海未「そこは亜里沙のプライバシーですから」

「でも、絵里ちゃんも心配してるんだよ!」

海未「関係ありません」

「……じゃ、じゃあーー」




海未「凛」




「っ」



ポツリ、と。
海未ちゃんに名前を呼ばれた。
昔みたいな優しい声じゃなくて、冷たい刺すような響き。
思わず、身構えてしまう。

そんな凛を大して気にした様子もなく、海未ちゃんはこう続けた。



海未「詮索は止めた方がいいと思いますよ」

海未「でないと」




海未「命を落とすかもしれません」




「っ」

海未「…………」

「…………っ」

海未「……分かってもらえたようですね。では、私はこれで」



海未ちゃんは去っていく。
凛はその後ろ姿を見送ることしかできなかった。



ーーーーーー

48 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 21:02:09.83 n094tBnX0 37/178

ーーーーーー



凛たちと海未ちゃんが出会ってから数日間は動きはなかった。
海未ちゃんは変わらず、亜里沙ちゃんを家まで送って、そのまま帰ってく。
それの繰り返し。

刺すような気配とか。
冷たい雰囲気とか。
それはずっと感じてたけど、ビックリするくらいなにもなくて。

もうそろそろいいかな?
本当に相談があっただけかもしれないし。
そう思って、入ったお休みの日。
練習が終わったら、にこちゃんに相談してみようかなと思っていたその日に、事件は起こった。



ーーーーーー

49 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 21:08:31.38 n094tBnX0 38/178

ーーーーーー



「ねぇ、亜里沙ちゃん!」



帰りがけ。
どうやら休みの日も海未ちゃんと会うみたいで、
亜里沙ちゃんはまた校門の前にいて。

そろそろ話を聞いてみなきゃ。
そう思った凛は、亜里沙ちゃんに声をかけた。



亜里沙「なんですか、凛さん?」



首をかしげる亜里沙ちゃん。
ポカンとした表情だ。

たんとうちょくにゅーに聞くね!

そう言ってから、凛は、




「海未ちゃんとなにをしてるの?」




それを聞いた。

50 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 21:15:35.10 n094tBnX0 39/178




亜里沙「っ」



ビクリと亜里沙ちゃんの体が跳ねる。



亜里沙「……海未さん? なんのことですか?」



目をそらしながら、とぼける亜里沙ちゃん。

……うーん。
それはさすがに無理があるにゃ……。
その反応を見れば、なにかを隠してるのは、流石の凛でも分かる。

だから、凛はさらに追及する。
海未ちゃんとのことについて。



「亜里沙ちゃん!」

亜里沙「な、なんでもないですっ」

「そんなことないでしょ! 凛、二人が会ってるの知ってるにゃ!」

亜里沙「っ、そ、それは、その……」



また亜里沙ちゃんは目を伏せる。
そして、一歩分、凛から下がってしまう。

凛はその一歩を詰めようとしてーー






ーー ザクッ ーー






ーー何かが足元に降ってきた。

51 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 21:26:19.64 n094tBnX0 40/178




「っ!?」ダッ



反射的に飛び退く。
よく見れば、足元に刺さっていたのは、




「…………剣?」




見慣れない形。
包丁とかナイフとかじゃない。

巨大な剣。

そうとしか呼べない形のものだった。
しかも、人が扱えるような大きさじゃない。

それはつまり、



「ドーパントっ!!」



振り向く。
そこにいたのは、




???『………………』




ドーパント。

吊り上がった複眼に鉄でできたマスク。
錆びた鉄みたいな赤黒い体は、全身を刃物が覆っていて、触っただけで斬れてしまいそうだった。
ドーパントの左腕に付いている剣の形は、今、凛の足元に突き刺さっているものと全く同じ造形みたい。
つまり、これはこのドーパントが投げたものってことだよね……。

ってことは!




???『…………』グッ




ドーパントが左腕を振り上げた。
あの剣を投げてくるってことが本能的に分かる。
その先には、凛じゃなくてーー




亜里沙「………………え?」




52 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 21:32:07.53 n094tBnX0 41/178




「なっ!!」



それで察した。
さっきの剣は凛の足元を狙ったんじゃなくて!



「ふせてっ!!」

亜里沙「っ」




???『…………』




ーー ブンッ ーー





「っ、変身!」



『サイクロン!!』





間に合えッ!

53 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 21:40:37.03 n094tBnX0 42/178


亜里沙「っ」

亜里沙「っ……」

亜里沙「………………あ、あれ……?」




サイクロン『っ、だいじょぶ? 亜里沙ちゃん……?』



目の前でうずくまる亜里沙ちゃんに声をかける。



亜里沙「……え? え?」

サイクロン『……こんらんさせちゃったかにゃ?』

亜里沙「…………え、にゃって……凛、さん?」

サイクロン『うん……そうだよ……』



おそるおそるそう聞く亜里沙ちゃんを安心させるために笑って頷く。
……って、この姿じゃ笑ってるの見えないや。



ーー ズキッ ーー



サイクロン『痛っ』



強い痛み。
背中に感じたそれは、凛の背中を大きく傷つけていた。
刺さったり貫通したりしてる訳じゃないから、まだましかにゃ……?

チラリと視界の端に写るその剣を見る。
ほんと、刺さんなくて……よかった……。

54 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 21:44:19.96 n094tBnX0 43/178



亜里沙「な、なんで、凛さんが? え?」



まだ混乱してるみたいで、亜里沙ちゃんは凛の方を見ながら、なんでって言ってくる。
ほんとはちゃんと答えなきゃ、なんだけどね。




サイクロン『…………まずはこっち、だよね』

???『…………』




振り返る。
そこには、腕を降り下ろしたようなカッコで止まっているドーパントの姿があった。

うん。
説明するのはあと!
まずはこっちを倒しちゃおう!

55 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 21:51:20.72 n094tBnX0 44/178




サイクロン『ハッ!!』


ーー バキッ ーー




先手ひっしょー!!

まずは一撃!
一瞬で間合いを詰めて、そのまま跳び蹴りをドーパントの横顔に叩き込む。
手応えあり!

……って




???『…………』

サイクロン『効いてない!?』




吹き飛ぶどころか、全然動かない。

ありえない!
こっちは加速した勢いに、サイクロンの風でスピードも乗せて蹴ったのに!?



???『…………』スッ

サイクロン『っ』



ーー ガシッ ーー



攻撃が効かなかったことに驚いている凛の足を、掴まれる。
って、ヤバイにゃ!?



サイクロン『っ、このっ!!』ベキッ

???『…………』

サイクロン『はぁっ!』バキッ



蹴る。
蹴る。
……けど、ドーパントは動じない。

56 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 21:57:41.97 n094tBnX0 45/178


???『…………』グググッ

サイクロン『ちょっ!? 待ってよ!?』



そのまま持ち上げられてーー





ーー ドゴォォッ ーー



サイクロン『が……っ!?』




一瞬、何が起こったのか分からなかった。

地面に叩きつけられた。
そう、理解が追い付いた時にはーー




亜里沙「凛さん、危ないっ!!」

サイクロン『え……?』



???『…………』




ーー ギラッ ーー





ーー目の前に、あの剣をこっちに向けて突き刺そうとしているドーパントがいて。



サイクロン『っ!?』バッ



すぐに、体をひねって避ける。
バッと横を見る。
たった今、顔があったところに剣が突き刺さっていた。

間一髪……!!

57 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 22:06:41.87 n094tBnX0 46/178

ちゅーちょなく刺してくる……。
このドーパント……。



サイクロン『…………強い』



強い。
というよりは、怖い。

剣を使った戦い方。
そして、それを本気で向けてくる狂気。

凛が今まで戦ったのは、風ちゃんの時のマネーと真姫ちゃん家の病院で戦ったブラッドだけ。
穂乃果ちゃんから聞いた話だと、どっちも戦い向きのドーパントじゃなかったみたい。

だから、このドーパントは、凛が初めて戦うーー




サイクロン『人を殺すためのドーパント』




亜里沙ちゃんを。
そして、凛を殺そうとしてくる。
…………それはやっぱり、



サイクロン『怖い……』



だけど、




亜里沙「…………っ」

サイクロン『………………うん。そうだよね』




退くわけにはいかないよ。

58 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 22:13:55.48 n094tBnX0 47/178



サイクロン『~~~っ、にゃ!!』



ーー バキィィッ ーー



思いっきり蹴りあげる。
それはちょうどドーパントのお腹に当たった。
さっきと同様動じない。
けど!



サイクロン『ほっ!』ダッ



隙はできた。
その隙を突いて、ドーパントの懐、そして、間合いから抜け出す。

距離を離せば、そう思ったんだけど



???『…………』グッ

サイクロン『っ、また投げてくるのっ!?』



???『…………』クルッ



亜里沙「えっ……!?」

サイクロン『!?』



しかも、また亜里沙ちゃんを狙ってる!?




サイクロン『やめろぉぉぉぉ!!』ダッ




走る。
でも、間合いから抜けるために離した距離は予想よりも遠くてーー





ーー ブンッ ーー





無情にも、それは亜里沙ちゃんに向けて投げられた。
そして、それはーー

59 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 22:15:10.41 n094tBnX0 48/178








ーー ガキィィィンッ ーー







サイクロン『………………え?』


60 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 22:20:32.91 n094tBnX0 49/178

ーー亜里沙ちゃんに届く前に破壊されていた。




???『…………』



亜里沙「あ、あ…………」

サイクロン『…………な、なに?』



凛がやった訳じゃない。
勿論、亜里沙ちゃんでもない。



サイクロン『誰が…………?』



ポツリと呟いた疑問。

呆然とする凛と亜里沙ちゃんとは違って、ドーパントはその姿を捉えていたみたい。
凛たちの後ろを睨むように見つめていた。

そちらの方から、声がする。
凛の疑問に答えるように、声が聞こえた。




「…………こんなところでそんなものを投げてはいけませんよ」

「危ないではないですか」




61 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 22:23:24.31 n094tBnX0 50/178




サイクロン『っ!!』



声の方に振り返る。
そこにいたのは、




海未「遅くなりました、亜里沙」




海未ちゃんだった。
どこか空っぽな笑顔で、海未ちゃんは亜里沙ちゃんに笑いかけてた。

62 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 22:29:07.98 n094tBnX0 51/178



亜里沙「う、み……さん……?」

海未「はい。すみません。用事を済ませてからでも間に合うだろうと思ったのですが……」



思ったよりも時間がかかってしまいました。

海未ちゃんは目の前の状況を放って、亜里沙ちゃんに話しかけていた。
って!



サイクロン『海未ちゃん!?』

海未「…………その声……凛ですか」

サイクロン『……凛ですかって……』



仮面ライダーの姿に大して驚いた様子もない海未ちゃん。
さっきの亜里沙ちゃんとは正反対なんだけど……。

凛がそう言うと、



海未「……穂乃果がなにか動いているのは知っていますから」



それだけ。
一言だけ言った。

63 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 22:36:07.83 n094tBnX0 52/178



???『………………』スッ

サイクロン『っ、また!!』



凛たちの会話を待ってくれるわけもなく、ドーパントが動き出した。
今度は最初に凛の足元に投げた剣を、地面から引き抜く。
そして、ゆっくりと構えている。



サイクロン『亜里沙ちゃん! 凛の後ろに!』

亜里沙「は、はーー」




海未「その必要はありません」




凛に答える亜里沙ちゃんの言葉を遮るようにして。
海未は落ち着いた口調でそう言う。



サイクロン『その必要はないって!?』



なに言ってるの!?
凛の抗議の声を無視して、海未ちゃんは一歩前に出る。
凛よりも前へ。



サイクロン『って! 海未ちゃん!』

海未「…………」



凛を無視する海未ちゃん。
流石の凛もこれには腹がたって、海未ちゃんの腕を掴もうとしてーー





ーー ゾワッ ーー





64 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 22:37:50.01 n094tBnX0 53/178

止めた。
それは海未ちゃんの横顔を見てしまったから。

ドーパントを見る海未ちゃんの横顔はーー





海未「……………………」





ーー寒気がするほど怖かった。

65 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 22:40:24.87 n094tBnX0 54/178




???『………………』グググッ




ドーパントが構える。
剣を投げてくるのがハッキリ分かる。
今度こそ凛たちを殺そうとするのが伝わってくる。

身構える。
無意識に亜里沙ちゃんを庇おうとーー








ーーーーーー バシュンッ ーーーーーー


66 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 22:50:27.08 n094tBnX0 55/178




ーー ドサッ ーー



サイクロン『………………』

サイクロン『……………………え?』




一瞬のことだった。

瞬きをする。
その一瞬で、終わっていた。

ドーパントだったその人物は、地面に横たわっていた。
その姿はもうドーパントのものじゃなくて、ちゃんとした人間に戻っていて。

後から話を聞くまで、それがガイアメモリを破壊されたからだってことはわからなかった。

その時、ひとつだけ分かったのは、




海未「………………ふぅ」




凛のすぐ隣にいた海未ちゃんがしたんだってことだけ。

確かに、穂乃果ちゃんから聞いてはいた。
海未ちゃんもガイアメモリを使ってるってことは……。

でも、目の前で起こったことは理解できないことだったんだ。





だって、海未ちゃんは『人の姿のまま』その『能力』を使っていたんだよ。





ーーーーーー

67 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/21 22:51:19.09 n094tBnX0 56/178

ーーーーーー

71 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 21:07:22.66 EfcPpl1w0 57/178

ーーーーーー

72 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 21:19:55.63 EfcPpl1w0 58/178

ーーーーーー



雪穂「えっと、じゃあ、失礼します」


「ココアありがとう、雪穂ちゃん!」

花陽「わざわざありがとう、雪穂ちゃん」

雪穂「いえ……お姉ちゃんをよろしくお願いします」

穂乃果「ちょ、雪穂! 穂乃果、後輩に面倒みてもらうほどじゃーー」

「りょーかいにゃー!」

穂乃果「凛ちゃん!?」



雪穂「えぇと……それじゃあ」



凛の答えを聞いてから、雪穂ちゃんは部屋の扉を閉めた。
これで穂乃果ちゃんの部屋には、凛とかよちん、穂乃果ちゃんの3人だけ。



「……よし! これで話せるね!」

穂乃果「…………穂乃果としては違う話をしたいけど……」

「?」

花陽「あはは……」



なぜか穂乃果ちゃんが変な目で凛を見てくる。

なんだろう?
凛の顔になにかついてる?



花陽「えっと、穂乃果ちゃん、それじゃあお願いできるかな?」

穂乃果「あ、うん」



姿見で自分の顔を確認する凛を放って、かよちんが話を切り出した。
って、凛も参加するよ?



穂乃果「ちょっと待ってね」



そう言うと、穂乃果ちゃんは携帯を触り出す。

すたっぐふぉん……だっけ?
確か穂乃果ちゃんの協力者から貰ったっていうやつ。

あっ、繋がったみたい。




『…………やぁ、久しぶりだね。高坂穂乃果』




73 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 21:30:12.49 EfcPpl1w0 59/178



穂乃果「どうも。お久しぶりです」



携帯から聞こえてくる声。
若い男の人の声だ。
この人、たしか真姫ちゃん家の事件の時に、にこちゃんの携帯から電話してきた人。



『そこには君だけかい?』

穂乃果「いえ」



穂乃果ちゃんがこちらを見る。

えっと……。



「星空凛です」

花陽「小泉花陽……です……」



スピーカーになっている携帯を前にして自己紹介。
それに対して、



『星空凛と小泉花陽……君たちのことも検索済みさ』

「……えっ」

花陽「け、検索……?」



検索ってなんだろう……?
そういえば、この間もなんか真姫ちゃんとそんな話をしてたような……?



穂乃果「……詳しいことは後で……ううん、知らなくていいかも……」

りんぱな「「?」」



穂乃果ちゃんには珍しく苦笑いしてる。
えっと、凛はまぁ、いいけど……。
かよちんの方をチラリと見ると、かよちんもうなずいてた。

74 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 21:41:08.44 EfcPpl1w0 60/178



穂乃果「早速ですけど……」

『あぁ。メールの内容のことだろう』

穂乃果「はい」



メールの内容。

それは昨日の亜里沙ちゃんの件のことだ。
亜里沙ちゃんがドーパントに襲われて、凛が助けに入ってーー




穂乃果「海未ちゃんが出てきたみたいです」




ーー海未ちゃんがドーパントを倒した話。

昨日のうちに、凛はかよちんやにこちゃん、勿論、穂乃果ちゃんにも話をした。
そのことを穂乃果ちゃんが協力者に教えたらしい。

今日はその状況が知りたいからって、凛が呼ばれたってわけ。
かよちんは凛の付き添い……というか、心配して離してくれなかったにゃ。

ともかく、今日はその話をしてほしいってことみたい。



『星空凛』

「あ、う……はい」

『無理して敬語を使わないでもいいよ。君はそういうのは苦手、なのだろう?』

「……うん。じゃあ、普通に話すにゃ」



凛のことも検索?してるらしく、そう言う協力者。

とりあえず、凛は昨日の話をした。

それまでの成り行き。
ドーパントの様子。
戦闘の状況。
そして、乱入してきた海未ちゃんのこと。

電話の向こうの人は、相槌を軽く入れながら、凛の話を最後まで聞いた。
そして、こう言った。




『ゾクゾクするねぇ』




75 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 21:54:44.82 EfcPpl1w0 61/178


「え?」



ゾクゾク……?
なに?



『……っと、すまない。これは流石に不謹慎だった』

穂乃果「…………」

『ともかく、彼女の話、それから知り合いから聞いた情報を合わせると、事件の概要は大体分かったよ』



『絢瀬亜里沙を襲ったドーパントは『ソード』ドーパント』

『腕や背中……あらゆる部位から剣を精製、また分離し投擲する能力を持つドーパントだ』

『近接戦闘能力に優れていて、今の状態の矢澤にこや星空凛、君たちでは太刀打ちするのは難しい相手のようだね』



『ソード』
なるほどにゃ、それで剣を使ってたんだ。
……でも、そんな強いドーパントだったの?

確かに凛の蹴りはほとんど効かなかったけど、正直、そこまで強かったとは思えないよ。
すぐに海未ちゃんにやられちゃったし。

そう言うと、その人は否定する。



『それは違う』

『『ソード』ドーパントは、本来『ジョーカー』や『サイクロン』単体での戦闘では倒せないはずさ』

『今回の使用者がメモリとの適合率が低かったとしても、ね』



それほどまでにスペックに差がある、らしい。
じゃあ、あんなにあっさりやられたのって……?



『あぁ』

『『ソード』ドーパントが弱かったんじゃない』




『『アームズ』…………いや、園田海未が強かったという話だろう』




76 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 22:00:18.87 EfcPpl1w0 62/178


『彼女の元々の身体能力』

『メモリとの適合率』

『そして、彼女の感情の高まり』

『それらすべてが彼女の力を高めているようだね』



……さっきから言ってる適合率って?



『簡単に言えば、メモリとの相性、どれだけそのメモリの力を引き出せるのかといったところかな』

『恐らく適合率が高い……』

『つまり、園田海未は『アームズ』のメモリを最大限に引き出してしまっているのさ』



その人が出した答え。
難しいことはよくわかんない、けど……。



穂乃果「…………」



穂乃果ちゃんの表情をみれば、それがよくないことなのは、凛でも分かった。

77 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 23:04:17.06 mRQ4fDKR0 63/178




『ここまでで質問は?』



穂乃果「…………」

「…………」

花陽「……あ、あの……」



答えたのは、かよちん。

ひとつ深呼吸をして、



花陽「海未ちゃんは……大丈夫なんですか……」



そう聞いた。
しっかりとした眼差しで。

かよちん……。
優しいかよちんだからこそ、穂乃果ちゃんがそれを聞くより前にそう言ってくれたんだ。

かよちんの質問に、彼は少し間を置いてから口を開いた。



『………………なるほど』

花陽「え?」

『君が高坂穂乃果や園田海未を抑えて部長という立場にいたのか納得した』

花陽「…………え、え?」

『気にしないでくれたまえ。ただの独り言さ』

花陽「は、はい」



話がずれたね。
本題だ。

そう前置きをして、協力者は続けた。

78 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 23:13:01.02 mRQ4fDKR0 64/178


『僕にも分からない』

『そもそも人間態のままメモリの力を引き出せているのがおかしい』

花陽「それって……あの怪物の姿になるから、ですか」

『あぁ。本来ならば、怪人態になってから、メモリの能力が発動する。『アームズ』ならばあらゆる武器の精製という能力だ』



僕達も一度戦っているから、『アームズ』自体に特殊能力があることは考えにくい。

そんな言葉に少し引っかかる。

一度戦っている?
んん?
それってーー



穂乃果「……じゃあ」

『ん? なにか言ったーー』




穂乃果「なんで海未ちゃんはそのままでメモリの能力を使ってるの!!」




りんぱな「「っ」」



凛の思考を。
協力者の冷静な声を。
途切れさせるみたいな大きな声。
話を聞いていたから気づかなかった。

さっきまで静かに話を聞いてた穂乃果ちゃんの目には涙が浮かんでいた。

79 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 23:27:43.78 mRQ4fDKR0 65/178


穂乃果「海未ちゃんだって、穂乃果たちと同じなんだよっ!」

穂乃果「突然巻き込まれて混乱してて、でも、ことりちゃんが……っ!」

穂乃果「だから、海未ちゃんは必死でそれを助けようとしてるんだよっ!!」

穂乃果「なのにっ、なのに!」

穂乃果「海未ちゃんまで……メモリ使って……っ」



花陽「ほのか、ちゃん……」

「ほのかちゃん……」

『……………………』



穂乃果ちゃんは歯をくいしばる。
涙をこぼさないように、必死に我慢してるのが凛にも分かった。

長い沈黙。
その後に、電話の向こうから聞こえてきた声は、静かな口調でこう言った。



『高坂穂乃果』

『…………残念ながら、君の気持ちを理解することは僕には出来ない』

『僕には君達のように幼馴染みというものがいないからね』

穂乃果「っ、ならーー」



『けれど!』



穂乃果ちゃんの言葉を遮るように強く、声は言う。




『けれど、これだけは約束する』

『園田海未を助ける方法は僕が必ず見つけ出す』

『勿論、南ことりもだ』




『それが僕達への依頼だろう』





80 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 23:32:55.47 mRQ4fDKR0 66/178

僕達への依頼。

それがきっと穂乃果ちゃんとこの人を結びつけるものなんだ。
その言葉を聞いて、穂乃果ちゃんは静かに頷いた。
それを感じ取ったみたいで、声は話を続ける。



『僕達は街を離れるわけにはいかない。だから……』

「……うん。分かってるにゃ」

『礼を言うよ。勿論、そのための協力は惜しまないさ』

「…………海未ちゃんとことりちゃんのこと……おねがいします」

『任せたまえ』

81 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 23:42:19.58 mRQ4fDKR0 67/178


『…………落ち着いたかい?』

穂乃果「……はい、ごめんなさい」

『いや、僕の方こそ配慮が足りなかった。やはりこういうことは僕よりも『彼』の方が向いているのだけれど……』

「?」



『彼』
それが誰のことを言ってるのかは少し気になったけど。



『さて、早速だけど、実は君達の友人に調べてほしい人物がいるんだ』



話が進むみたい。
それは後で穂乃果ちゃんから聞いてみよう。



花陽「友人?」

『西木野真姫さ』

「真姫ちゃん?」

『あぁ』



なんで真姫ちゃん?
その質問に返ってきたのは、



『そういえば、例の事件の時には、君もいたんだったね』

「え?」

『ほら、『ブラッド』メモリの事件だよ』



そんな答えが返ってきた。

たしかに、凛もあの場にいたけど……。
もしかして、紅花先生のことかな?

そんな凛の予想は裏切られることになる。
なぜなら、この声はまったく予想外の人物の名前を口にしたから。




『彼女に調べてほしい人物』

『それはーー』




『『亜坂真白』という人物さ』




ーーーーーー

82 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/24 23:58:54.18 mRQ4fDKR0 68/178

ーーーーーー

83 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/25 00:05:41.61 jJPYE0QQ0 69/178

ーーーーーー




やはり動きましたね。
彼女からの相談を受けて正解でした。


『アレ』は恐らく『ガイアメモリ』に関する何かなのでしょう。


最初に見せてもらった時からそう感じていて。
詳しくは分かりませんが、直観がそれを告げていました。

…………案の定、でしたね。
彼女を手に入れるためか、それとも別の目的があるのかは知りません。



ただ、これで…………繋がった。

あとは…………。




海未「待っていてください、ことり」




私が貴女を助け出しますから。
どんな手段を使ってでも…………。




ーーーーーー

84 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/25 00:06:09.75 jJPYE0QQ0 70/178

ーーーーーー

88 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/27 23:13:33.06 Wy/SVAMV0 71/178

ーーーーーー




亜里沙「また明日です、海未さん!」

海未「えぇ、また明日」



海未「………………」



海未「なにか用ですか……凛」

「…………海未ちゃん」



海未ちゃんにそう言われ、姿を見せる。
もう海未ちゃんには尾行は意味ないみたいだった。

穂乃果ちゃんの協力者と話をして、凛は考えたんだ。
もしかしたら海未ちゃんは亜里沙ちゃんから相談を受けてたのかもって。
だから、迎えに来てまで毎日亜里沙ちゃんと一緒に帰ってた。

それは亜里沙ちゃんを助けるため。
守るためだと思う。

だって、後輩思いの優しい海未ちゃんのことだもん。

…………。

亜里沙ちゃんに殺気を向けてたように感じたのは、たぶん気のせいだよ。
……うん。



「海未ちゃん」

海未「…………」




「ガイアメモリを渡して!」





89 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/27 23:22:29.64 Wy/SVAMV0 72/178

昨日の穂乃果ちゃんの姿を見て思った。
このままじゃ二人とも悲しい思いをするって。

穂乃果ちゃんも。
海未ちゃんも。

凛はメモリに飲まれた人を知ってる。

そのせいで、大好きなものを壊そうとしたり。
他の人を犠牲にしてお金だけに執着したり。
自分の理想を台無しにしてしまいかけたり。



凛は、そんなのやだ。
凛は海未ちゃんにそんな思いをしてほしくないんだよ。

だから、凛は言ったんだ。
メモリを渡してって。



海未「……………………メモリを渡せ、ですか」

「うん」



亜里沙ちゃんのことなら大丈夫だよ。
凛がちゃんと守るから。

海未ちゃんがそれを渡してくれるように、それも付け足す。
まぁ、この間は海未ちゃんに助けられちゃったけど。
でも、凛だって戦えるにゃ!

だからーー



海未「………………なるのですか」

「……え?」



もう一度、お願いしようとして、止まる。
海未ちゃんがなにか呟いたから。
小さな声。

それを問い返そうとして、気づく。



海未「…………」



海未ちゃんは、凛を睨んでいた。

90 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/27 23:27:27.58 Wy/SVAMV0 73/178



「っ」



思わず体が震えてしまう。
これは、最初に凛とにこちゃんが感じたやつだ。
それが、今、凛に向けられてる。



海未「凛」

「っ、な、なに?」



海未ちゃんの声に返事を返して、そちらを向く。
その先には、




海未「…………」スッ




ーー ブンッ ーー




「え……?」




ーー ザクッ ーー




91 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/27 23:33:33.91 Wy/SVAMV0 74/178

凛の目の前の地面に刺さっているのは『剣』。

あと、一歩。
前に出ていたら、それは凛に刺さっていた。



「っ、海未ちゃん!?」



凛でも、分かる。
それは凛にメモリを渡さないって意思表示だ。

なんで!
凛が代わりに守るから!
だから、メモリを渡してよ!

そう伝える。
けど、海未ちゃんは凛を睨んだままで。



「海未ちゃーー」

海未「ーーーーーー」



名前を呼ぼうとして、遮られた。

今度は、聞こえた。
さっきは聞こえなかった言葉を、海未ちゃんは凛に向かって言った。

92 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/27 23:34:34.40 Wy/SVAMV0 75/178






「私がメモリを捨ててしまったら」

「ことりはどうなるのですか」





93 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/27 23:47:19.71 Wy/SVAMV0 76/178

静かだけど、強い口調で。
海未ちゃんはそう言った。



海未「私はことりを取り戻すために力を得ました」

海未「得て、鍛え上げた」

海未「そうしなくては……あの人には勝てないのです」



あの人。
それって……。



「……『亜坂真白』って人のこと?」

海未「………………はい」



凛の言葉に頷く。

やっぱり海未ちゃんもその人にたどり着いてたんだ。
…………そして、穂乃果ちゃんの協力者の推理が正しければ。




海未「『亜坂真白』」

海未「ことりをドーパントにして連れ去った人物」



海未「私はどんなことをしてでも彼女に辿り着く」

海未「そして、ことりを取り戻します」




そう言った海未ちゃんの迫力は、ほんとに怖いくらいで。
だから、『どんなことをしてでも』って言葉が冗談じゃないことが分かってしまった。



「海未ちゃん……」

海未「………………」

「その人を見つけ出して…………」




「ーーーーつもりなの?」




海未「はい」




94 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/27 23:55:31.54 Wy/SVAMV0 77/178

肯定してほしくなかったその質問。
だけど、海未ちゃんは頷いてしまった。

ドーパントではメモリブレイクはできない。
ドーパントが他のドーパントを行動不能にするためには、それしかないだろう。

昨日聞いたそんな言葉が、よみがえってくる。



海未「だから、メモリを渡すことはできません」

「…………そっか」



海未ちゃん、本気なんだね。



海未「冗談でこんなこと言いません」

「……うん」



分かってる。
海未ちゃんだもんね。
そんなこと冗談でなくても絶対言わないはずだもん。

…………うん。
分かった。
分かったよ。




「…………」スッ




ーー ガチャッ ーー




95 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/27 23:58:01.99 Wy/SVAMV0 78/178

ドライバーが装着される音を聞く。
そして、それを取り出す。



海未「…………凛」

「…………凛はね、海未ちゃんのこと大好きなんだ」

海未「……そうですか」

「うん。だからねーー」




『サイクロン』




「絶対止める!!」

「変身!!」





『サイクロン!!』




96 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/02/28 00:00:13.19 KVDFPbNP0 79/178


海未「……残念です」

海未「ですが、邪魔をするというのならば、わ私はーー」




サイクロン『させないよ!』

サイクロン『全部……全部!』

サイクロン『守ってみせる!!』


99 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/03 23:26:39.25 STjT5S2G0 80/178



サイクロン『いくよ!』

海未「…………」



海未ちゃんは人の姿のままドーパントの力を使えるのは分かってる。
ただ、防御力までドーパントと同じなのかは分からない。
もしかしたら、凛が全力でぶつかったら傷つけちゃうかもしれない。

……なら!



サイクロン『やあっ!!』ブンッ

海未「!」



手を払う。
それに合わせて風が起きた。
穂乃果ちゃんの協力者から、海未ちゃんのメモリについては聞いてたから。

『アームズ』のメモリは、武器を作り出すメモリ。
剣も銃も自由自在に作れるんだって。
凛は基本近い距離でしか戦えない。
だから、まずはこの風で銃を無効化する!

そして、



サイクロン『っ、とった!』



風で視界が悪くなってるのを利用して、海未ちゃんの後ろに回り込む。
このまま、後ろから抑えればーー




海未「甘いッ!!」グッ



ーー バキッ ーー




サイクロン『っ!?』



お腹に痛み。
見ると、例の剣が凛の脇腹を捉えていて。



海未「はぁっ!」ブンッ

サイクロン『が、っ!?』



そのまま吹き飛ばされる。

100 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/03 23:32:32.11 STjT5S2G0 81/178


サイクロン『うっ……』

海未「刃はありません。ですが、相当の痛みがあるはずです」



たしかに、刺さってたりはしてない。
けど、



サイクロン『痛っ』



ズキズキを通り越して、ガンガンする。



海未「…………終わりですか」

サイクロン『っ、まだ、だよ!』



痛みをこらえて、どうにか立ち上がる。

海未ちゃんとの距離は近い。
さっきの攻撃は、さすがにできないよね。



サイクロン『ならーー』

海未「遅いッ!」ダッ



ーー ガシッ ーー



サイクロン『にゃ!?』



風を起こそうと振りかぶった手を、止められる。
そして、




海未「ハッ!!」



ーー ドゴッ ーー



サイクロン『かっーーハっ……!?』



101 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/03 23:41:02.53 STjT5S2G0 82/178

一瞬、呼吸ができなくなった。
遅れて、海未ちゃんが凛の胸に掌底を使ったからだってわかる。



サイクロン『は…………は…………』

海未「……………………」



強い。

倒れる凛とそれを見る海未ちゃん。
その間にはあまりにも大きな実力差があって……。



海未「…………守る、と」



だから、



海未「全部守ると言いましたね」

サイクロン『はぁ、はっ……』

海未「亜里沙も、ことりも……私のことも守ると、そういう意味ですか」

サイクロン『……そう、だ、よ……』




海未「その程度の力で、ですか」




海未ちゃんの言葉に、言い返せなかった。



サイクロン『っ』

海未「…………」



答えられない凛を見下ろしながら、海未ちゃんは続ける。

102 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/03 23:55:16.65 STjT5S2G0 83/178


海未「このメモリを手にして」

海未「私はあの人……『亜坂真白』と何度か戦いました」


海未「一度目は、メモリを手にしたその時」

海未「二度目は、1週間後。彼女の潜伏先を突き止めた時」

海未「三度目は、メモリを手にした半月後です。武器を同時に三本まで精製できるようになった後のことでした」

海未「四度目は、その半月後。メモリの力を人のまま使えるようになってからです」

海未「五度目は、その三日後でした。私と戦って少しでも消耗しているであろうことを見越して勝負に出ました」

海未「………………」




海未「全て負けました」




サイクロン『……え』

海未「私はことりを取り返すどころか、彼女と互角に戦うことすらできなかったんですよっ!!」



海未ちゃんは叫ぶ。
きつく握られた拳からは、血が滴り落ちていた。



海未「……………………」

海未「それから……3ヶ月間私は力をつけました。彼女を倒す……いえ、殺すための力を」

サイクロン『っ、海未、ちゃんっ』

海未「……凛、貴女では彼女は倒せない」



ハッキリと、海未ちゃんは言った。




海未「貴女は何も守れない」




103 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 00:00:53.72 Td6PjIRJ0 84/178



サイクロン『そ、そんなのっ』

海未「やらなくても分かりますよ」



少なくとも私に負けている貴女では、彼女には敵わない。
そう言う海未ちゃんに、凛は、



サイクロン『それ、は……』



言い返せない。
だって、凛が海未ちゃんにやられてるのは事実だったから。



サイクロン『…………っ』

海未「…………」

サイクロン『凛、は……』



海未「…………凛」



凛の名前を呼ぶ海未ちゃん。
顔をあげると、目が合う。
海未ちゃんは凛の目を真っ直ぐ見て、こう言った。




海未「今すぐ戦いから手を引きなさい」

海未「貴女では無理です」

海未「ことりを救うことも、私を止めることも」




ーーーーーー

104 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 00:01:35.27 Td6PjIRJ0 85/178

ーーーーーー

105 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 00:11:02.82 Td6PjIRJ0 86/178

ーーーーーー




にこ「で、あんたは何も言わずにやられたわけね」

「うっ」



凛は病室のベッドの上。
お見舞いにきたはずのにこちゃんに言われた言葉が、心に突き刺さる。



花陽「にこちゃんっ」

真姫「その言い方はないんじゃない?」



それを聞いて声をあげるかよちんと真姫ちゃん。
気持ちはうれしい、けど……。



「……にこちゃんの言う通りだよ」

花陽「り、凛ちゃん! そんなことないよ」

真姫「そうよ。そんな強くなってる海未が相手だったんでしょ。ならーー」



「でも、負けちゃったんだよ」



そう。
何もできずに、あっという間にやられちゃったんだ。
だから、にこちゃんの言う通り、凛は海未ちゃんに何も言い返せなかった。

……ううん。
言い返せないだけならよかったんだ。
あの時、海未ちゃんから言われて、凛は、




「凛には無理だよ」




そう、思ってしまった。

106 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 00:15:52.78 Td6PjIRJ0 87/178

ことりちゃんを助けるのも。
海未ちゃんを止めるのも。

きっと凛には、無理だ。
あんなに、ボロボロに負けて何もできなかったんだもん。



「海未ちゃんの……言ったとおりにゃ」

花陽「凛ちゃん……」

真姫「……凛」



にこ「………………」



沈黙。
にこちゃんは、なにを考えてるんだろう。
なにを考えて凛を見てるんだろう。
わからない。

にこちゃんと目を合わせるのが……今はなんかやだ。

107 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 00:21:27.85 Td6PjIRJ0 88/178






にこ「…………凛」




しばらくして、にこちゃんが凛の名前を呼んだ。
思わず体が跳ねる。
叱られる、かな。
そう思って、目をつぶってた。

でも、凛にかけられたのは、



にこ「…………メモリ、渡しなさい」



そんな言葉だった。



「え?」

にこ「メモリよ。あんたが持ってる『サイクロン』のメモリ」

「なん、で……?」



これは凛が使うーー




にこ「あんたには必要ないでしょ」

にこ「戦わないっていう今の凛には」




「っ」



にこちゃんの言葉は、凛の心にまた突き刺さった。

108 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 00:28:06.06 Td6PjIRJ0 89/178


真姫「ちょっと! にこちゃんっ!!」

にこ「……なによ」

真姫「ちょっとは凛の気持ち考えなさいよっ!!」

にこ「ふんっ、事実を言ってるだけじゃない!」

真姫「っ! このっ!」




「やめてっ、真姫ちゃんっ」

真姫「り、凛……」



真姫ちゃんを止める。

ごめんね。
凛のために怒ってくれて。
ごめん、ありがと。



花陽「凛ちゃん……」



かよちんもごめんね。
いっぱい心配かけちゃったよね。

でも、もういいんだ。
にこちゃんの言う通り、だから。
だから、




「…………にこちゃん、これ」スッ




それを取り出す。
『サイクロン』のメモリ。



真姫「凛っ!」

「いいんだ。凛は……」

花陽「凛ちゃん……」




にこ「………………ん」




にこちゃんは。
凛の手からそれを受け取って、そのまま背中を向けた。

109 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 00:31:37.10 Td6PjIRJ0 90/178

失望、させちゃったかにゃ……?

当然だよね。
こんな凛じゃ…………。




にこ「…………凛」




病室の扉に手をかけたところで。
にこちゃんが名前を呼ぶ。
凛は顔を伏せたまま、返事もしないで聞く。

にこちゃんは、一言だけ。
ポツリと、こう呟いて、




にこ「あんたは正しいわよ」



「え…………?」




ーー バタンッ ーー




病室を後にした。




ーーーーーー

110 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 00:32:09.88 Td6PjIRJ0 91/178

ーーーーーー

111 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 00:35:52.89 Td6PjIRJ0 92/178

ーーーーーー




穂乃果「優しいね、にこちゃん」




病室を出ると、穂乃果にそう言われた。

優しい?
どこがよ?



穂乃果「凛ちゃんにこれ以上戦わせたくなかったんでしょ?」

にこ「……そんなんじゃないわよ」



凛はこれ以上戦えないと思ったから。
だから、メモリを回収しただけ。



穂乃果「それも凛ちゃんを巻き込まないため…………違う?」



そう言って、穂乃果はにこの顔を覗きこんでくる。

112 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 00:48:00.78 Td6PjIRJ0 93/178


にこ「………………違うわ」

穂乃果「違うの?」

にこ「ちがう」

穂乃果「ほんとに?」

にこ「……………………はぁ」



…………はぁ。
ほんと、こいつは……。



にこ「海未の言うことが本当なら、海未が追ってる奴は相当ヤバイ奴だわ」

穂乃果「…………うん」

にこ「…………」

穂乃果「ケガ……してほしくないよね」

にこ「えぇ」



今までも危ない時はあった。
けど、たぶん。
危険さはこれまでの比じゃない。
もちろん、ケガじゃすまないことも……。

これ以上傷ついてほしくない。

傷ついた凛の姿を見てたら、そう思っちゃったのよね。



にこ「まぁ、あんたが使えるのは、にこしかいなくなったのは残念でしょうけどね」

穂乃果「むぅ! そんな言い方しなくてもいいじゃん! 穂乃果は……」



にこちゃんにも傷ついてほしくないよ。
ポツリと言ったその言葉は、わざと聞こえなかったフリをした。



にこ「いくわよ」

穂乃果「………………うん」



凛のことは大丈夫。

花陽。
真姫ちゃん。
凛のこと、任せたわよ



ーーーーーー

116 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 13:33:48.87 PQmdsRNi0 94/178

ーーーーーー




絵里「ちょっと付き合って!」

「……えー」



休日にえりちの家に呼ばれたかと思ったらこれ。
いつぞやのことを思い出すなぁ。



「……付き合うって……なにに?」

絵里「決まってるでしょ? 亜里沙のことを調べるの!」

「あー」



やっぱりいつぞやと同じやん……。

結局あの件はえりちの勘違いだったって話で、決着がついたんじゃなかった?
そう聞くと、



絵里「えぇ。確かに、にこからはそう言われたわ。事実、亜里沙のため息はなくなっているものね」

「なら、いいんじゃないん……?」

絵里「……そう。確かにため息はなくなった」

絵里「けど!」



絵里「今度は誰かとコソコソ出掛けているのよ!」



「…………」



あぁ、妹大好きモードやね。
こうなったえりちはめんどく……ううん、ガンコやからなぁ……。

117 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 13:37:36.86 PQmdsRNi0 95/178

放っておいてあげたらいいのに。
そう思うけど、それを言うとたぶんもっと面倒なことになりそう。
だから、



「調べるって、どうするつもり?」

絵里「! えぇ、それはねーー」



とりあえず適当に同意してみる。

まぁ、きっと。
友達と出掛けてるとかだろうし。

そう思いながら、うちはえりちの案に頷くのでした。



ーーーーーー

118 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 13:43:26.47 PQmdsRNi0 96/178

ーーーーーー



亜里沙ちゃん絡みの時のえりちの行動は早い。
実行に移したのは翌日。

うちとえりちは、朝から出掛けるという亜里沙ちゃんの後をつけることにした。
にこっちも誘ったんだけど、なんだか忙しいらしく、断られてしまった。



絵里「…………」

「…………」



というわけで、えりちと二人。
ランナウェイした時に、にこっちともお揃いで買ったサングラスを着け、ファミレスで亜里沙ちゃんを監視する。
ほんと不審者やね……。

ただ、




亜里沙「…………」ソワソワ




今回のえりちの勘は当たっているかもしれない。

なぜなら、亜里沙ちゃんの様子が変だから。
端から見ても分かるくらいソワソワして、髪型とか服とかを 気にしている。

…………ふむ。
これは……?

119 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 18:07:49.65 fXDTkW1P0 97/178




「恋人、とか?」

絵里「いやぁぁーー」




ちょっ!?
慌ててえりちの口を抑える。

…………よし。
若干不審がられたけど……。



亜里沙「…………」モジモジ



バレてないようやね。
ホッと息を吐く。



絵里「~~~~っ」

「静かにね、えりち」

絵里「…………」



えりちが頷いたのを確認してから、口を塞いでた手を離す。



絵里「亜里沙に……こ、ここここいびと? フッ、ありえないわね」

「…………声、震えとるよ?」

絵里「うぐっ」

「……おっ」



と、えりちをからかうのはこの辺で止めといた方が良さそうやね。
亜里沙ちゃんが動いた。
どうやら相手が来たみたい。

どれ?
亜里沙ちゃんが選んだ相手、うちとこの心配性なお姉ちゃんで確認しよか!

そう思って、亜里沙ちゃんの視線を追う。
そこにいたのは、





海未「……お待たせしました、亜里沙」




うちらもよく知ってる人物でした。
……うん。

120 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 18:17:38.50 fXDTkW1P0 98/178


亜里沙「いえ! 待ってないです! アリサも今来たところで……」

海未「そう言っていただけるとありがたいです」

亜里沙「い、いえ! この間助けてもらっちゃったし」

海未「………………」

亜里沙「ここはアリサが奢ります!」

海未「……いえ。ここは私が払いますよ。待たせてしまいましたし、それに、後輩に奢ってもらうのは……」

亜里沙「?」

海未「とにかく、私が出しますから」



絵里「…………」

「…………」



ふむ。
どうやら深読みしすぎたようで。
単に、憧れの海未ちゃんに会うからソワソワしてたってことやね。
ふふっ、ほほえましいなぁ……。



「さ、えりち。相手は海未ちゃんやし、もうーー」

絵里「まだよ」

「……え?」




絵里「怪しいわ」



えぇ……。
お姉ちゃん的にはまだ何か引っかかるみたいで、えりちは亜里沙ちゃんと談笑する海未ちゃんを鋭い目つきで見ていた。

…………いや、うん。
むしろ怪しいのはサングラスして他の席のお客さんを睨み付けるうちらだと思うんやけど……。

その言葉はどうにか飲み込んで。



絵里「続行よ!」

「……はぁ」



気合の入ったえりちとは対照的なため息を吐いた。



ーーーーーー

121 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 18:18:49.12 fXDTkW1P0 99/178

ーーーーーー



「………………」

「……………………」



ーーーーーー

122 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 18:28:48.80 fXDTkW1P0 100/178

ーーーーーー

123 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 18:41:44.66 fXDTkW1P0 101/178

ーーーーーー



一日亜里沙ちゃんと海未ちゃんの後をつけて分かったこと。
それは、



「なにもなかったようやな」

絵里「……そうね」



普通にご飯を食べて。
普通にお店を見て回って。
普通におしゃべりをして。
二人が過ごしたのはそんな一日。

少し、時間は遅くなったけどね。



「それじゃ、帰る?」

絵里「えぇ」



夕暮れの公園。
ベンチで並んで座る二人を見ながら、えりちに確認。
えりちもそれに同意してくれた。
気がすんだ、みたいね。



絵里「考えすぎ、か」

「そうやね。ほら、亜里沙ちゃんも安心して海未ちゃんに寄りかかってる」

絵里「うん…………ん?」



ベンチに座る亜里沙ちゃんが海未ちゃんに寄りかかってウトウトしてるのが見える。
んだけどーー




「…………え?」

絵里「……あ、あれ?」




ーーちょ、ちょっと待って。
海未ちゃん、何してーー


124 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 18:48:04.05 fXDTkW1P0 102/178



海未「…………ごめんなさい」



海未ちゃんの手には、夕日に反射して輝くそれ。
それがなにか分からなかった。
ただ、それが危険なものだというのは、理解できた。




海未「許してくださいとは言いません」

海未「…………私は貴女を……っ」

海未「………………こうしなくては、ことりはーー」







海未「どんな罪も、罰も受け入れます」

海未「だからーー」グッ





絵里「なっ!?」

「ダメっ!!」




駆ける。
海未ちゃんのそれを止めるために。

でもーー

125 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 18:49:09.89 fXDTkW1P0 103/178




「っ、海未ちゃん!」



「海未ッ!!」




126 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 18:50:13.28 fXDTkW1P0 104/178

ーーーーーー

127 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 18:55:15.13 fXDTkW1P0 105/178

ーーーーーー



「っ」

絵里「……っ」



海未「…………っ、なぜ……なぜーー」




海未「ーー邪魔をするのですかっ!!」

海未「穂乃果!! にこ!!」




穂乃果「海未ちゃんっ!」グッ

にこ「海未っ、あんたーー」




にこ「何してんのよッ!!」




亜里沙ちゃんにその刃を向けた手を払い、吼える。

128 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 19:00:33.53 fXDTkW1P0 106/178



絵里「…………にこ?」

「穂乃果ちゃん……?」



呆然とする二人。
……そりゃ、そうよね。

海未が亜里沙を殺そうとする、なんて。



穂乃果「…………ごめんね、二人とも。説明は後でするから」

穂乃果「今は……」



にこに代わって、穂乃果が二人にそう告げる。
……そうね。



海未「…………」



今は、こいつよ。

129 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 19:11:02.98 fXDTkW1P0 107/178


海未「……凛といい、貴女たちといい」

海未「邪魔をッ!」スッ




ーー ギンッ ーー




既に海未はそれを抜いていた。
戦う準備は、万端みたいね。



にこ「上等よ」

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「心配しないでいいわ。二、三発ぶっ飛ばして、目、覚まさせてやるから」

穂乃果「…………うん」



ーー スッ ーー



ドライバーを取り出し、



ーー ガシャッ ーー



装着する。
そして、メモリを起動して、




『ジョーカー!!』




にこ「変身っ!!」




一瞬、視界が霞んで、変わる。
目の前には、にこを睨む海未の姿。

そいつに、にこは投げかける。
さぁーー




ジョーカー『さぁ、お前の罪を数えろ!』




130 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 19:59:32.15 fXDTkW1P0 108/178

海未の強さは分かってる。
凛がやられたくらいだもの。
距離を詰められたら終わり。

だからこそ!



ジョーカー『フッ!!』

海未「!」



だからこそ、接近戦よ!
というか、こっちは元々それしかできないわけだし!
つまり、あれよ!



ジョーカー『あんたが武器を作れないくらいの速さで攻撃し続けるわ!』



手加減はしない。
本気で!
そうしなきゃーー



海未「そこです!」グッ



ーー ブンッ ーー



ジョーカー『っ、ぶなっ!?』



そうしなきゃやられるわ。



ジョーカー『はぁぁっ!!』

海未「っ」

ジョーカー『やっ!』

海未「!」



一撃。
二撃。
続けて叩き込む。

海未には届かない。
けど、防御に神経を回しているせいで、海未からの攻撃は数えるくらいしかこない。

131 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 20:05:40.29 fXDTkW1P0 109/178


ジョーカー『らぁっ!』

海未「っ、鬱陶しい!!」グッ

ジョーカー『!?』



ヤバイ!?




海未「離れなさいっ!!」スッ




ーー ガガガガガガッ ーー




ジョーカー『~~~っ、はっ!』



どうにか距離を離して、避けきる。

至近距離で銃って!?
バカじゃないの!?



ジョーカー『あんたねーー』

海未「………………」




ーー キリキリキリキリッ ーー




ジョーカー『なっ!?』



体勢を整え、向き直ったにこの目に入ってきたのは、弓を引く海未の姿でーー。



ジョーカー『そんなものまでっ!?』バッ




ーー シュッ ーー




反射的に跳ぶ。
同時に風を切る音がした。

132 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 20:12:08.98 fXDTkW1P0 110/178

避けた!
次はこっちのーー




ーー ザクッ ーー




ジョーカー『がッ!?』



突然、左腕に走る痛み。
空中で体を捻って見ると、2本のナイフが刺さっていた。



ジョーカー『矢……打ってすぐにコレ投げたの……?』



矢を放ってから痛みを感じるまで、体感で2秒。
ってことは、



海未「すぐにそれを精製して投擲した」

海未「それだけです」



大したことない。
そう言いたげに、海未は告げる。

体勢を整え、もう一回、海未と向かい合う。



ジョーカー『ほんっと、あんた化物ね』

海未「えぇ、化物で構いませんよ」




海未「……それでことりを取り戻せるのであれば」




ジョーカー『…………』

133 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 20:19:47.72 fXDTkW1P0 111/178



ジョーカー『……ひとついい?』

海未「…………なんですか」



海未との距離は詰めず、にこはそれを切り出した。



ジョーカー『あんた、なんで亜里沙ちゃんを……』



凛から、海未が亜里沙ちゃんを『ソード』ドーパントから守ったという話は聞いていた。
だから、今日はただの様子見のつもりだった。

けど、



ジョーカー『あんた、亜里沙ちゃんを守ろうとしてたんじゃないの!』

海未「……………………」

ジョーカー『っ、答えなさいよ!』



海未は、



海未「……………………」



答えない。



ジョーカー『……そう。じゃあーー』




ジョーカー『無理矢理でも聞き出してやるわ!!』




ーーーーーー

134 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 20:24:13.71 fXDTkW1P0 112/178

ーーーーーー



穂乃果「…………ここなら大丈夫、かな」



にこちゃんが戦い始めるのを見て、穂乃果は亜里沙ちゃんたちを連れて公園の外に出ていた。
少し離れたし、もう大丈夫なはず。

と、ここで、




絵里「……穂乃果」




絵里ちゃんに呼ばれる。

…………うん。
そうだね。



穂乃果「説明するよ」

絵里「そうしてもらえると助かるわ」



無理矢理冷静になろうとしてるのが分かった。
手が震えてる。

恐怖?
それとも、怒り?
分からないけど、絵里ちゃんは穂乃果の話をちゃんと聞こうとしてくれてる。

…………ちゃんと話さなきゃ。



穂乃果「あのねーー」




135 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 20:29:44.96 fXDTkW1P0 113/178

穂乃果は話した。

穂乃果たちが卒業した後のこと。
海未ちゃんとことりちゃんのこと。
穂乃果のこと。
そして、『あの日』のこと。

ことりちゃんがいなくなり。
海未ちゃんが復讐に囚われてしまった『あの日』のことを。



絵里「…………」

「…………」



絵里ちゃんも、希ちゃんも静かに聞いてくれた。

そして、全部話し終わって、二人は、



絵里「…………穂乃果」

「穂乃果ちゃん……」




ーー ギュッ ーー




穂乃果「…………え」




絵里「辛かった、わよね」



そう言って、抱きしめてくれた。
それを聞いた途端、穂乃果はーー。


136 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 20:42:12.67 fXDTkW1P0 114/178




穂乃果「……ごめんね、絵里ちゃん、希ちゃん」



少しだけ泣いて、それからどうにかそれを引っ込めた穂乃果。
二人にお礼を言う。



絵里「……大丈夫」ナデ

「もっと、うちらを頼ってくれてもええんよ?」ナデ

穂乃果「っ…………うん、ありがと……」



頭を撫でられながら、またお礼。
うぅぅぅ……。
また泣きそうにーー

なって、ふと目に入った。




亜里沙「………………うぅ」

穂乃果「……亜里沙ちゃん?」




疲れて眠っているんだと思ってた。

けど、あれ?
なんか、様子が変……?



絵里「亜里沙? ねぇ、亜里沙?」

亜里沙「うぅぅぅ……はっ」

「! 穂乃果ちゃん、これって!」

穂乃果「っ、うんっ!」



海未ちゃんが動いた。
そのことばかりに目がいっていて、考えてなかった。
海未ちゃんが亜里沙ちゃんに近づいた理由。

殺すため?
……たぶん、そうだ。
じゃあ、なんで亜里沙ちゃんを殺そうとしたの?
その答えはーー



穂乃果「亜里沙ちゃんの服脱がせるよ!」

絵里「は……? え!?」

穂乃果「ごめんね!」グッ

絵里「ちょっ!? 穂乃ーー」




ーー バッ ーー





「…………え、え?」

絵里「なによ……これ……?」

穂乃果「っ、これ、は……!?」

137 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/04 20:46:33.95 fXDTkW1P0 115/178

亜里沙ちゃんの服の下。
お腹一面に広がっている模様。
それは中心の一ヵ所から広がっていた。

穂乃果はそれを知っていた。

……ううん。
教えてもらっていた。



それは、恐怖や絶望で成長する『モノ』
その力を何倍にも高めるために、受け皿であるそれが進化した姿。



彼がそう言っていた。
そう。
亜里沙ちゃんに刻まれているそれはーー





穂乃果「ガイアメモリの……コネクター……っ」




ーーーーーー

141 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 01:17:02.42 EcD1qRVX0 116/178

ーーーーーー

142 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 01:23:58.60 EcD1qRVX0 117/178

~~~~~~



1ヶ月前のあの日。
私は亜里沙の家に呼ばれ、相談を受けました。



助けてください。

涙目で訴える亜里沙。
『あの人』を探していた私には、それを聞く余裕などありませんでした。
ただ、私を頼ってくれたその姿が、何故かことりとかぶってしまって……。

私はその相談を受けることにしたのです。



相談の内容は、変な女の人に付きまとわれている、というもの。



最初、それだけを聞いたときは、亜里沙の熱狂的なファンかなにかで、1度顔を合わせて注意をすればいいだろう。
その程度に思っていたのです。

143 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 01:33:29.61 EcD1qRVX0 118/178



………………。


事が動いたのは、相談を受けた2日後のことです。
亜里沙を家まで送り届けた帰りに、私は『ドーパント』に襲われました。

ですが、口ほどにもない相手。
無論、返り討ちにしました。
『あの人』が私に5度の戦いのなかで伝えてきたように、コアを破壊して、メモリを壊して。



もしや『あの人物』が私を始末するために?

そんな疑問は、メモリを失い、人間に戻ったその人物が、うわ言のように亜里沙の名前を呟いていたことで否定されました。

144 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 01:39:02.13 EcD1qRVX0 119/178


恐らく想像通り、熱狂的なファンがメモリを手にしてしまい、暴走してしまったのでしょう。

そう確信した私は、亜里沙に事件が終わったことを報告をしました。
勿論、『ドーパント』のことは伏せて。

けれど、彼女はまだ不安そうで。
だから、私は聞いたのです。



なにを恐れているのですか、と。



その質問に、亜里沙は自らの肌を私の前に晒して、それをーー『コネクター』を私に見せたのでした。

145 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 01:45:38.41 EcD1qRVX0 120/178


その『コネクター』は私のものよりも、長く複雑な形をしていました。

話を詳しく聞けば、それは元々は大きくはなく、ただ毎日少しずつ大きくなっているようで。
まるで成長してるみたい。
そう、亜里沙は不安そうな表情で言いました。



…………そう、ですね。

私は何故かその時点で確信をしていました。
彼女のそれが誰につけられたものなのか。

亜里沙はそれを見知らぬ女性につけられたと話して。
その特徴を聞いて、また確信したのです。




『あの人』だ、と。




146 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 01:58:35.46 EcD1qRVX0 121/178




助けなくては。



そのときは、私もそう思っていました。
けれど、そのメモリの正体をーー『あの人』が亜里沙に使おうとしているメモリの正体を知って、私の考えは変わったのですよ。



そのメモリの名前は『スキップ』。

早送りの記憶を宿したメモリです。
能力は、対象の時間を進める能力。

……そう、です。
つまり、『あの人』はそのメモリを使って、ことりの時間を進めようとしている。



……それは。
いつか『あの人』に見せられた最悪の結末のうちのひとつ。
ことりがドーパントとして『孵化』する未来に繋がることになる。




だから、私はーー




~~~~~~

147 : ◆OIuk3wBk3U - 2018/03/11 21:48:31.53 W+6avPNl0 122/178

ーーーーーー

148 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 21:59:13.37 W+6avPNl0 123/178

ーーーーーー




海未「彼女を殺さなければいけないんですよっ!!」



ーー ブンッ ーー



ジョーカー『~~っ』



叫び声をあげながらの一閃。
海未が振り抜いた刀をなんとか避けて、距離をとる。



ジョーカー『ふっ、はっ……』



状況は……よくないわね。
こっちもメモリの力を使ってるとはいえ、元々の身体能力を考えたら、あっちの方が格段に上。

それに、近距離では刀や剣。
中距離なら弓。
遠距離なら銃。
それを同時に何個も作ってくるんだから質が悪い。
とにかく隙が無さすぎるわよ、あれ。

そして、なによりーー



海未「ことり……はぁ、はっ」

ジョーカー『!』



海未「絶対、助けます、から……」



これ、よ。

うわ言みたいに、海未はそれを口にしていた。

絶対助ける。
どんなことをしてでも。
どんな罰でも受け入れますから。
だから、



海未「かえってきて、ください……ことり……」




149 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 22:12:10.78 W+6avPNl0 124/178




ジョーカー『きっついわね』



海未が苦しんでる。
きっと一人で抱え込んで、追い詰められて。
もうどうしようもなくなってる。
そんな海未を見てるのが、精神的にきつい。

声をかけようとしても、



ジョーカー『……海未、あんたーー』

海未「は、はっ…………っ!」グッ

ジョーカー『!?』



ーー シュッ ーー



返ってくるのは攻撃だけ。
こっちの話を聞く余裕はないみたい。

見れば、海未自身も息切れをしてる。
こっちからの攻撃は大してできてないから……たぶんメモリに飲まれないように必死に耐えながら戦ってるんだと思う。



ジョーカー『……目、覚ましてやるわって言ったのにね』



穂乃果に大口叩いといてこの様か。
まったく自分で自分が嫌になるわ。

…………正直、このままじゃ勝てる気も、止められる気もしない。
なら、




ジョーカー『……しかたない』




150 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 22:21:09.33 W+6avPNl0 125/178

毎回毎回、こうなるのは、あれかしら?
にこが可愛すぎて神様から疎まれてるとか?

でも、



ジョーカー『…………絶対決めるわよ』



絶対決める。

もし、にこがあんたを止められなかったら、あんたは亜里沙ちゃんに手をかけるんでしょ?

それは絶対にダメ。
だって、それじゃあ、



海未「……はぁ、はぁ……」

ジョーカー『…………笑顔にさせてやれないから』



穂乃果と約束した。
全員笑顔にするって。

だからーー




ーー スッ ーー



ジョーカー『これで決まりよ!!』



151 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 22:22:19.98 W+6avPNl0 126/178




海未「甘い!」スッ



ーー ベチャッ ーー



152 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 22:31:48.28 W+6avPNl0 127/178




ジョーカー『!?』



ドライバーからメモリを抜こうとしたその瞬間、ドライバーに向けて何かを撃ち込んだ海未。
それは狙い通り命中して、



ジョーカー『っ、なによ、これ!? 固まってる!?』



ドライバーを覆うように、金属のようなものがくっついてしまっていた。
それから、同時に発射したもう2発もにこの足元にへばりつき、動かせなくなってる。
そこでやっと海未の撃ってきたのが、こっちの動きを封じるものだと理解した。



海未「……マキシマムは打たせません」

ジョーカー『くっ』



対策はしてあるってわけね。



海未「私は……メモリを失うわけにはいかないのですっ!」

海未「このメモリは、ことりを救うための力なんです! 私にはこれしかない!!」



だからーー。

ポツリと呟いた海未は、それをこちらへ向けた。

弓矢。
弦をキリキリと引っ張る。
海未が狙うのは、



ジョーカー『ドライバー?』

海未「……は、い」



153 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 22:38:09.10 W+6avPNl0 128/178

確実に、ドライバーを壊すために力を溜めていく海未。
どうにか避けようと力を込めるけど、



ジョーカー『っ……っ!』

海未「無理、でしょう……それはそう簡単に剥がれるものではありませんから……」

ジョーカー『……みたいね』



残念なことに、海未の言う通り。

つまり、



ジョーカー『これで、終わり?』

海未「…………はい」

ジョーカー『そう……』




ーー ギリギリギリギリ ーー




音が変わる。
こんなの弓を引く音じゃないわよ……。



海未「にこ」

海未「これで終わりです」



力を溜め終わったようで、海未はそう告げた。
そして、にこの言葉を待たずにーー




海未「…………すみません、にこ」




ーーーー バシュンッ ーーーー




それは放たれた。

154 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 22:39:12.31 W+6avPNl0 129/178





ーー にこの読み通りに ーー




155 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 22:45:37.33 W+6avPNl0 130/178






『サイクロンマキシマムドライブ』





海未「!? それ、は!?」



もう一本のメモリ。
凛から受け取ったそれの力が腕に集まるのが分かった。

それで、薙ぐ。
同時に、突風。

放たれた矢はその突風にあおられてーー




ーー シュッ ーー



ジョーカー『くっ』



左足をかすめるだけで済んだ。
ほんとは威力を完全に殺したかったけど、まぁいいわ!



ジョーカー『ハッ!』



そのまま地面に向けて風を起こす。
その風は地面を削って、地面と足にへばりついた金属は片方がなくなったことで意味をなくした。

156 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/11 22:47:51.50 W+6avPNl0 131/178



ジョーカー『ハァァァッ!!』ダッ



蹴り出す。
一瞬で海未との距離が零になってーー。



ジョーカー『1発ーー




『サイクロンマキシマムドライブ』




ーーぶっ飛ばすッ!!』




ーーーーーー

162 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 21:42:14.95 C/Za1RMU0 132/178

ーーーーーー




なにが起こったのか。
理解できていなかった。

完全に、隙をついたはずだったのに……。

でも、にこは



にこ「…………は、はっ……」



冷たい地面に倒れ込んでいた。
上を見上げる。
そこには、



海未「…………」



公園の街灯の光に照らされた海未の姿があって。
どんな表情をしてるかは、暗くて全然わからなかった。
ただ、笑顔じゃないってことだけは分かる。



海未「…………もう一本メモリを持っているとは思いませんでした。あれは……凛のものですか」

にこ「……そう、ね……」

海未「……正直危なかったです」



危なかった?
はんっ、よく言うわ。
そっちこそ隠し玉残してたじゃない。



海未「…………この盾のことですか」



海未は手にしたその盾を見ながら、呟く。

粗末なものです。
隠し玉では決してありませんよ。

海未はそう言ったけど、マキシマムを完全に防いだんだもの。
相当でしょうが!

163 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 21:52:00.73 C/Za1RMU0 133/178




海未「完全に防いだ……いえ」コツン



ーー ガラッ ーー



海未「どうにか耐えた……という表現の方が正しいでしょう」



確かに。
海未の手にした盾は、海未が軽く叩いた衝撃で落ちてしまっていた。
……そう。
効いては、いたのね。



海未「…………本当に危ないところでした。ですが……」ガシャッ

にこ「っ」



海未が何かを落とす。
倒れるにこの手の中で、それが転がる。
さっきまでにこの姿を変えていたそれは、壊れ二つになってしまっている。
強く握っても、なにもない。

そう。
もう、にこはーー





海未「ーー『仮面ライダー』はもういません」





ーー変身できない。

164 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 22:08:17.00 C/Za1RMU0 134/178




海未「……これで、私を邪魔するものはいません」



ポツリと。
海未は小さな声で呟いた。

邪魔、ね。
それは、



にこ「亜里沙ちゃんを殺すことを?」

海未「……………………はい」

にこ「………………そう」



そう、なのね。
海未なら、もしかしたらメモリに勝てるかもしれない。
そう思ってたけど。
それは、間違いだった。



『ことりを救う』



海未はそのことに囚われ、感情が暴走して、メモリの毒素に呑まれている。
そのためなら手段は選ばない、か。

なら、




ーー ガシッ ーー




海未「っ!?」

165 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 22:16:10.81 C/Za1RMU0 135/178




にこ「はぁ……はっ……」



海未の足を掴んで。
それから、立ち上がる。
息は切れる。
けど、



にこ「まだ……よ……」

海未「な、なぜ……?」



戸惑い混じりの声。

まぁ、そうよね。
こっちはメモリもドライバーも失ってマンシンソーイ。
対する海未はまだ余裕がある。
普通なら、ここで諦めるわ。

でも、それは無理よ。



海未「何故貴女は立ち上がるんですか……?」



海未がそう訊ねてくる。
そんなの、決まってるじゃない。



にこ「笑顔に、するって……決めたから……」

海未「っ、それは、亜里沙を、ですか!」



亜里沙ちゃんは守る。
笑顔にする。

後輩だし、友達の妹だもの。
当然よ。

166 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 22:20:58.15 C/Za1RMU0 136/178




海未「っ、なら! ことりはっ!」

海未「ことりはどうなってもいいんですかっ!!」



どうなってもいい?
そんなわけないでしょ?

にこはね……。




にこ「全員、笑顔にするに決まってるじゃない」

にこ「だって、にこはーー」




にこ「ーーアイドルだから」




亜里沙ちゃんも。
ことりも。
もちろん、あんたもよ。

だからーー




にこ「海未」

にこ「あんたは、ここで止めるわっ」



167 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 22:27:43.90 C/Za1RMU0 137/178



海未「っ」

海未「そんなの、理想論でしょう!?」

海未「綺麗事だけで! 想いだけで!」

海未「全部守れるのなら、私はっ! 私は……っ!」



ーー ガチャッ ーー



叫びながら、海未は左手をかざす。
その手には、銃。
黒く光るそれが目の前に突きつけられる。



分かってるわ。
にこの言ってることは綺麗事よ。
現に、にこにはもう戦う力はない。
心はあっても、体はない。

でも!



にこ「にこはっーー」





168 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 22:28:43.79 C/Za1RMU0 138/178






「そこまでだよっ!!」





169 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 22:35:02.85 C/Za1RMU0 139/178



海未「っ」

にこ「!?」



その声に反応して、にこたちはこの声の主の方を向く。

息を切らして。
それでも、こっちを……いえ、海未を見つめるそいつは。
手にした『それ』の刃先を海未に向けて、叫んだ。




穂乃果「大バカ海未ちゃんっ!!」

穂乃果「海未ちゃんは、穂乃果が止めるっ!!」




にこ「はぁ……?」



思わず、間の抜けた声が出てしまった。
いや。
だって、たぶん誰だってそうなるわよ。
穂乃果が持っていたのは、だって……『竹刀』だったんだもの。

170 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 22:43:42.48 C/Za1RMU0 140/178



海未「…………穂乃果」

穂乃果「なに!」



呆然として、穂乃果の方を見ていると、海未が穂乃果に声をかけていた。
銃は下ろしてる。
けど、相変わらず警戒はしたままで、じっと穂乃果を見つめている。



海未「言っておきますが、これは遊びではありません」

穂乃果「知ってるよっ」

海未「…………私は姿こそ変わっていませんが、ドーパント。貴女を確実に……殺す力を持っています」

穂乃果「それも、知ってる」




海未「っ、なら、ふざけるのは止めなさいっ!!」




声を荒立てる海未。
苛立ちと怒気が伝わってくる。
これは、穂乃果にも伝わってるはず。
なのに、



にこ「穂乃果……?」

穂乃果「にこちゃん、ごめんね。アイドルなのにボロボロにさせちゃって……」



穂乃果は申し訳なさそうに笑う。

なに、ワケわかんないこと……。

171 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 22:50:13.05 C/Za1RMU0 141/178






ーー カチャッ ーー





ふと。
穂乃果はポケットからなにかを取り出した。
それって……?



にこ「メモリ……?」



にこの言葉に、穂乃果は静かに頷いた。
それは少なくとも、ドーパントになるために使うものじゃない。
『ジョーカー』や『サイクロン』と同じ、純正化されたもの。



海未「…………貴女が、戦うと?」



仮面ライダーになるってこと?
でも、あんた、どのメモリとも適合率が低いって言われて……?



穂乃果「これは、違うんだ」



海未の言葉と、にこの心の声を否定するように、首を振る。
それじゃあ、そのメモリは?



穂乃果「これは…………」





穂乃果「メモリの効果を完全に無効化するメモリ」

穂乃果「名前は『     』」



172 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 22:51:37.36 C/Za1RMU0 142/178



穂乃果「……そう、だよ」

穂乃果「このメモリはーー」




穂乃果「ーーことりちゃんを助けるためのものだよ!」




173 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 23:00:54.80 C/Za1RMU0 143/178




海未「!?」



にこ「あんた、いつの間にそんなもの!!」

穂乃果「……最初から作ってもらえるように頼んではいたよ」



できたのは最近で、しかも、一回しか使えないらしいけど。

穂乃果は苦笑しながらそう言った。
けど、それがあれば……!



海未「………………ことりを……救えると?」

穂乃果「うん」



海未の言葉に、穂乃果は力強く頷く。



にこ「あんた……」

穂乃果「あはは、ごめんね、にこちゃん。これのこと話してなくて」

にこ「ホントよ……」



こんなのがあるなら、にこがここまで体張った意味ないじゃない。
これなら、海未も納得してーー




海未「……運よく、それを使ったとして……」

海未「成功したとしても、『彼女』がいます」

海未「穂乃果、あなたでは『彼女』には勝てない……」


174 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 23:07:25.64 C/Za1RMU0 144/178

そう、だった。
この化物染みた海未でも勝てなかった相手。
それがいる。

…………穂乃果は一体どんな策をーー




穂乃果「穂乃果が倒すよ」

にこ「……………………は?」




穂乃果「穂乃果が倒す!」




あぁ、そうだったわね。
こいつは……。



海未「………………話は分かりました」

穂乃果「! 海未ちゃん!」



海未「それを私に渡しなさい」



まぁ、そうなるわよね。
うん。
にこが海未でもそう言うわよ。

175 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/18 23:11:55.97 C/Za1RMU0 145/178




穂乃果「渡さない」



海未「!」

穂乃果「今の海未ちゃんには絶対渡さないもん!」

海未「穂乃果!!」



まるで、駄々っ子みたいに。
そう言う穂乃果。

あんた、何考えて……?



海未「いい加減にしなさいっ!」

穂乃果「いい加減にするのは、海未ちゃんでしょっ!」

海未「っ、減らず口をッ!」



穂乃果「これが欲しかったらーー」




穂乃果「穂乃果を倒して奪ってみろ!!」




にこ「あんた、ほんとに……」



なに、考えてんのよ……。

180 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 21:55:04.96 POzr8+aS0 146/178

ーーーーーー

181 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 22:05:18.16 POzr8+aS0 147/178

~~~~~~




「か、はっ……っ」



息ができない。
どうにか呼吸しようとしても、それは叶いません。



『……………………』



私の上に馬乗りになって、私の首を絞める。

私の隣で、柔らかく、優しく笑っていた貴女。
私の名前を愛おしそうに呼んでくれていた貴女。
そんな貴女はもういない。
ただ、感情が抜け落ちたような表情で私を見下ろしています。



「こ…………と……」

『………………』



か細い声。
それはもう目の前の彼女には届かない。



「こ………………」

『………………』



ーー スッ ーー



最後の力で、彼女の頬を撫でる。
その温度は燃えるように熱くて、彼女がもう人間でなくなっているのが嫌でもわかってしまった。

あぁ。
そうですか。
私は今、貴女に殺されるのですね。
……それもいいかもしれません。

だから……。




「なか……な、い…………で……」




~~~~~

182 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 22:11:33.11 POzr8+aS0 148/178

それが、いつか見せられた光景です。
私があの人に敗北する度に見せられる悪夢。



ことりがドーパントとして『孵化』し、涙を流しながら私を手にかけるという光景。



……最悪の光景ですね。

それが恐らくあの人の……亜坂真白のメモリの能力なのでしょう。
まだ詳細は分かっていませんが、幻覚の類いの能力。
それ以外にも複数のメモリを取り込んでいるようですが。



………………。



……えぇ。
だから、私はこの光景が未来とならないために、力をつけたんです。
あの人を殺し、ことりを取り戻すための力を。

最悪の光景を見ないために。



そのためならばーー!



ーーーーーー

183 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 22:18:10.96 POzr8+aS0 149/178

ーーーーーー




ーー ザシュッ ーー



穂乃果「っ!!」

にこ「穂乃果っ!」



手応えあり。

戦闘……と呼べるものではありません。
穂乃果が私と戦うと宣言してから、数太刀で穂乃果の竹刀は私の日本刀に両断されました。
……当然の結果ですが。



海未「…………」



先程は、穂乃果の言動に掻き回されてしまいましたが、落ち着いた今は違います。
何の感慨もありません。
私は力ずくででも、穂乃果の持つメモリを手にいれればいいのですから。

さて。




海未「決着はつきました」

海未「穂乃果、貴女の敗けです」




尻餅をつく穂乃果へ向け、言い放つ。
元々勝負にすらなっていませんでしたが、勝ちは勝ちです。
メモリをーー




穂乃果「まだだよ!」




海未「………………は?」




184 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 22:20:55.05 POzr8+aS0 150/178

折れた竹刀を構えて、立ち上がる穂乃果。
…………貴女は……。



海未「馬鹿、なのですか」

穂乃果「バカじゃないよ」

海未「…………勝てる見込みがあると思ってるんですか?」



この状況で。
この戦況で。
まだ勝てると思っているのならば、貴女は……。




穂乃果「………………」スッ



海未「っ、本当に貴女はッ!」




愚か者です!

185 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 22:25:19.29 POzr8+aS0 151/178




ーー ブンッ ーー



刀を再度振るう。
今度は、さらにギリギリを。



ーー スパッ ーー



柄だけを残して斬り捨てる。
これで、



穂乃果「っ…………」

海未「構えることすらーー」



穂乃果「…………」スッ



海未「っ」




それでも、穂乃果はまた構えました。
こちらを真っ直ぐ見て。

186 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 22:31:13.22 POzr8+aS0 152/178

一体、貴女は……!



海未「なんなのですかっ!!」

穂乃果「………………」



それには答えない。
ただ、こちらを見てくるだけで……。

……いえ。



穂乃果「ねぇ、海未ちゃん」



穂乃果が口を開きました。

静かに。
けれど、こちらをしっかりと見つめながら、こう言いました。




穂乃果「本当に、海未ちゃんは『人を殺せる』の?」





187 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 22:33:34.71 POzr8+aS0 153/178




海未「……………………」



穂乃果の問い。
それは、愚問、でした。

ことりが連れ去られた時。
そして、最悪の光景を見せられた時。

もう私の覚悟は決まったのです。



どんなことをしてでもことりを取り戻す、と。



だから、今の私は、あの人を殺せる。

188 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 22:42:39.29 POzr8+aS0 154/178


穂乃果「…………そっか」

穂乃果「本気、なんだね」



海未「……………………はい」



穂乃果「………………」




私の言葉を聞いて、穂乃果は静かに目を閉じた。
竹刀も下ろす。




海未「…………穂乃果?」



穂乃果「…………………………よし」



しばらくして、穂乃果はポツリと呟き、目を開けました。
そして、おもむろに例のメモリを握り締める。
それから、先程私が壊したにこのドライバーを取り上げ、



ーー ベタッ ーー



海未「は!?」

にこ「穂乃果っ!? あんた、なに、やって……」

穂乃果「…………まだ少し柔らかい部分あったから」

海未「っ! そんなことをしたら、そのメモリは……!」

穂乃果「うん」



穂乃果「メモリは穂乃果の手のなかにあるよ」

穂乃果「もしこれが欲しいならさーー」




穂乃果「穂乃果の手ごと斬ってよ」




189 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 22:49:20.40 POzr8+aS0 155/178

覚悟を決めたならできるよね。

そう言って、穂乃果は私をじっと見つめる。
まるで、私を試すように。

その視線に、私は、




海未「っ」




っ!
なにを、たじろいでいるのですかっ!

私は、ことりを救うと決めた。
どんなことをしてでも救うと……。
そのためならば、あの人も、亜里沙も、凛やにこだって殺せます。

だから、穂乃果。
私はたとえ貴女であっても……。




海未「っ」



ーー スッ ーー




刀を構える。
ゆっくりと上へ掲げるように。
それならば、降り下ろすだけでいいから。



穂乃果「…………」

海未「…………」



穂乃果「……いいよ」

海未「っ」




190 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 22:56:06.27 POzr8+aS0 156/178



にこ「止めなさいっ!!」

にこ「穂乃果! 海未っ!」



穂乃果「…………」

海未「……っ」



満身創痍のにこが叫んでいます。
けれど、穂乃果はやめる気はない。
こちらを見て、メモリを握ったその左手を掲げている。



穂乃果「…………海未ちゃん」

海未「っ」



名前を呼ばれて、体が跳ねました。

な、なぜ、今……。
いえ、違います!
私はーー



穂乃果「きて?」



海未「っ、あ、あぁぁぁっ!!!」



にこ「止めなさいっ!! 海未ィィィっ!!」





ーーーーーー ブンッ ーーーーーー





191 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 22:57:31.04 POzr8+aS0 157/178







ーーーーーー バキッ ーーーーーー






192 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 23:02:18.98 POzr8+aS0 158/178




海未「…………っ」



そっと、目を開ける。

私が刀を降り下ろした先。
穂乃果を見る。
私がしてしまったことの、結末を見るために。

そこにはーー




穂乃果「……やっぱり、いたいね」



少し涙目の穂乃果がいた。
左手は、ある。




海未「……………………ごめん、なさい……」




それが、私の答えでした。




私には、誰も殺せない。




193 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 23:10:50.64 POzr8+aS0 159/178




海未「あっ、うぅぅ…………」



ーー カランッ ーー



手から、それが落ちる。
同時に力が抜けて、へたり込んでしまいました。



穂乃果「大丈夫? 海未ちゃん?」

海未「っ、ごめんなさいっ、穂乃果……穂乃果っ」

穂乃果「……ううん。いいんだよ」

海未「うっ、あっ……あぁぁっ……」



私の背中を撫でてくれる穂乃果。

カッコ悪い。
自分でもそう思います。
けれど、涙が止まらない。
これが、なんの涙なのか、自分でも分からなくなってしまって……。




海未「っ、ほ、のか……っ、ほのかぁぁぁっ」




私は泣きました。
その間も、穂乃果はずっと私のことを抱きしめてくれて。
その優しさがなんだか辛くて、私はまた泣きました。




ーーーーーー

194 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/25 23:24:07.69 POzr8+aS0 160/178

ーーーーーー




本当は少し怖かった。
海未ちゃんが本当に人を殺してしまいそうで。

でも、思ったんだ。


もし、亜里沙ちゃんを手にかけるつもりだったなら。
きっと、もっと前に出来たはずだし。
それにそもそもドーパントから助けたりしないよね。


もし、凛ちゃんが邪魔だったなら。
凛ちゃんを倒した後、トドメをさせばよかったんじゃないかな?


もし、にこちゃんが邪魔だったなら。
ドライバーを壊すだけなのは変だもん。


もし、穂乃果からメモリを奪いたかったなら。
あの刀で穂乃果の腕を切ればよかったはず。
それで、穂乃果が死んじゃったとしても、結果オーライだったはずだから。




…………ううん、違うよね。
ほんとは、そういうんじゃない。
難しいことは考えてなかった。



穂乃果はただ、海未ちゃんを信じただけ。



真面目で、恥ずかしがり屋で。
いつも口うるさくて。
穂乃果のことだらしないって怒って。
でも、やっぱり優しくて。

穂乃果も。
ことりちゃんも。
μ'sの皆も。
みんなみんな大切にしてくれる。



そんな海未ちゃんを信じただけだよ。



だから……ね?
泣かないで、海未ちゃん。




ーーーーーー

198 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 20:56:58.21 2CrYxa9V0 161/178

ーーーーーー

199 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 21:02:32.82 2CrYxa9V0 162/178

ーーーーーー




海未「お見苦しいところをお見せしてしまいましたね……」




しばらくして、海未はそう言った。

憑き物が落ちたように笑う海未。
どうやら、穂乃果に抱きついて、泣いて、全部吐き出して。
目元は少し赤くなってるけど……うん。



にこ「…………いつもの海未ね」

海未「……にこ……その、ご迷惑をおかけしました!」



勢いよく頭を下げられる。

まぁ、そうね。
迷惑も迷惑だったわ。
あれだけやられたらね。



海未「す、すみません……」

にこ「はぁ、冗談よ」



ちょっと意地悪だったかしらね。
けど、これで一段落だし、これくらいは許してよね。

200 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 21:05:48.89 2CrYxa9V0 163/178



穂乃果「海未ちゃん」

海未「穂乃果……」

穂乃果「…………」

海未「…………」



二人でお互いの名前を呼び合う。
会話は他にない。
けど、この二人にはいらないんでしょ。
やがて、



穂乃果「えへへ」

海未「ふふっ」



そんな風に穏やかに笑い合う。

…………まぁ、うん。
体張った甲斐はあったわね。

201 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 21:13:09.31 2CrYxa9V0 164/178

その後、海未が穂乃果やにこが怪我をしていないか一通り確認して。
それが終わった後のこと。



穂乃果「って、そうだ! 海未ちゃん、メモリは!?」



穂乃果は思い出したようにそう言った。

って、そういやそうか。
海未はずっとメモリを使っていた訳だし、毒素のこともある。
早くもらって破壊しなきゃいけないわ。

にこもそう思って、海未にメモリを渡すように促した。
けど、海未はにこたちの思いに反して、



海未「……これは渡せません」



そう言った。
って!!



にこ「なっ!? あんたねぇ!!」

海未「すみません」



すみませんじゃないわよ!
まだわかってないっての!?



穂乃果「……にこちゃん、待って」

にこ「穂乃果……?」



分からず屋の海未に語気を荒らげる。
と、そんなにこを止めたのは穂乃果
穂乃果は静かに、それを聞いた。



穂乃果「……海未ちゃん」

穂乃果「それはなんで?」



202 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 21:19:52.44 2CrYxa9V0 165/178

穂乃果の問い。
それに、海未はしっかりと穂乃果の目を見て答える。




海未「いざという時、あなたたちを守るため…………です」




そう答えた海未は、さっきまでの鬼気迫る表情とは一転して穏やかで。
でも、力強さも感じるような表情だった。

これは……違う。
メモリに呑まれた人の顔じゃない、わよね?



穂乃果「……そっか」

海未「はい」



海未の答えに満足したのか、穂乃果は静かに頷いた。

そういうことだけどいいかな?
にこちゃん?



にこ「あんたが納得してるなら、にこも文句は言わないわよ」



穂乃果にそう答え、ため息を吐く。
……仕方ないわねぇ。



海未「ありがとうございます」

にこ「ん」



203 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 21:26:32.53 2CrYxa9V0 166/178

……さて。
それじゃ、



にこ「絵里たちを迎えに行くわよ」

穂乃果「あ、うん!」

にこ「どこに隠れてるわけ?」

穂乃果「えっとね……」



海未のことは解決したし、今度は亜里沙ちゃんの方ね。
それに、絵里たちに、もう海未は大丈夫だって説明もしなきゃ。
あとは、凛たちにもーー。









ーーーーーー ザザザザザザザッ ーーーーーー






何かが、聞こえた。

204 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 21:32:21.59 2CrYxa9V0 167/178




ーー ゾワッ ーー



にこ「っ!?」



ノイズのような音。
そして、同時に感じた悪寒。

咄嗟に振り返る。

そこで目にしたのは、




海未「………………あ、アァァァ……」




穂乃果「海未、ちゃん?」

にこ「海未……?」



ガタガタと震える海未の姿だった。
そして、数秒後に



ーー バタン ーー



海未は気を失い、力なく倒れた。

なに?
メモリの副作用?
それが今来たってこと!?



穂乃果「海未ちゃんっ!!」



考えるより先に穂乃果が駆け寄……ろうとして、止まる。
それはきっと『それ』に気づいたから。





『………………』





いつの間にか目の前にいた『それ』に。

205 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 21:39:52.54 2CrYxa9V0 168/178




『………………』




真っ黒なボロボロの布を纏った姿。
フードのようなものを被っていて、その奥には2つの青い光が冷たく光っていた。
『それ』が何か、一体なんなのか、にこはわからなかった。
ただ、漠然と恐怖だけを感じていた。




穂乃果「……あ、なたは……」




ポツリ、と。
穂乃果が小さな声をあげる。

それに答えるように、『それ』は音を出した。
いや、声を発した。





『お久しぶりね、高坂穂乃果ちゃん』





206 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 21:49:58.56 2CrYxa9V0 169/178

ノイズとエコーがかかった不気味な音が、声だと理解するまでに少しかかって。
それから、それが穂乃果の名前だと認識するのにも少しかかった。

そして、その穂乃果の一言で、




穂乃果「…………『亜坂真白』……」

にこ「っ!」




『フフフ、もう、バレてしまっているのねぇ』




目の前の『それ』が、全ての元凶だってことを理解した。



『ハァ……しかたないわねぇ』



それはひとつため息をついて、姿を変えた。
異形の化物から人間へ、姿を変えた。



真白「…………フゥ」



美人、なのだろう。
下手な芸能人よりはずっと整った顔立ちだった。
きっと町中ですれ違えば、思わず振り返ってしまう程度には……。

ただ、今はそんなことどうでも良かった。

だって、それ以上にーー

207 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 21:51:47.70 2CrYxa9V0 170/178




真白「……この姿では、はじめまして」

真白「私の名前は『亜坂真白』」





真白「『井坂深紅郎』を継ぐ者よぉ」






『それ』が浮かべた笑みからは、吐き気を催すほどの不気味さと悪意を感じたから。

208 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 21:58:33.77 2CrYxa9V0 171/178


にこ「っ、穂乃果っ!!」

穂乃果「っ」

にこ「海未を!!」

穂乃果「うんっ」



ぼんやりしてる暇はない。
今は、あいつから逃げるのが先よ!



『スタッグ』

『スパイダー』

穂乃果「いって!!」



穂乃果がガジェットを起動させる。
たぶん歯は立たない。
けど、隙くらいは作れるはず。
その間に海未を担いで逃げるわよ!



真白「……あら、怖いわね」



怖い?
そんなこと思ってないでしょうが!
心にもないことを口にする『それ』をじっと見つめる。

たぶん、さっきのドーパントになられたら勝ち目はないわ。
こっちはドライバーすらない状態だから。
あるのは『サイクロン』のメモリだけ。
なら、やることはひとつしかない。

使われる前にメモリを奪う!

そのために、その時を待つ。
メモリを使おうとした、その時に飛びかかってやるわよ!

209 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 22:02:14.23 2CrYxa9V0 172/178

けれど、次にそいつがとった行動は予想外のものでーー。



真白「本当に、怖いわぁ」

真白「だからーー」




ーー ガシッ ーー



海未「………………」




にこ「!?」

穂乃果「海未ちゃんっ!!」



意識のない海未の腕を掴んだ。
って!



にこ「海未を盾にするつもり!?」

穂乃果「っ、これじゃ……」



手が出せない。

210 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 22:07:33.03 2CrYxa9V0 173/178


意識のない海未を盾にすること。

…………いえ、違うのよ。
予想外の行動っていうのは、そのことじゃない。



真白「…………盾に? フフッ……違うわよ」

真白「そんな可哀想なことするわけないでしょう?」



そう。
そんなことはしなかった。
だって、そいつは



真白「…………ええと…………あったわぁ」

穂乃果「っ、それ、海未ちゃんのメモリ!」

真白「そうよ、私が貸してあげた、この子のメモリ。だからねーー」




真白「ーー私のために使ってもらいましょうぉ?」




ーー ガチャッ ーー




なにかを、メモリにはめた。
銀色の機械。
それと組み合わせたそのメモリを、意識のない海未にーー





にこ「止めなさいっ!!!」

穂乃果「海未ちゃんっ!!」




211 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 22:08:27.88 2CrYxa9V0 174/178








『アームズ』

『アップグレード』






ーーーーーー

212 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 22:10:41.61 2CrYxa9V0 175/178

ーーーーーー




アームズ『ア、アァぁ……』




なんで、こんなことになってるんだろう。

目の前には、正気を失ってる彼女の姿。



穂乃果「もう、やめて……」

アームズ『…………あ……ウァ……』

穂乃果「お願いっ」



逃げなさい!

悲痛な叫びが聞こえる。
だけど、目の前の人を放っておけないよっ!

そうだ。
そうだよっ!

止めなきゃ!
やっと、分かってくれたんだから。
だからーー



穂乃果「ねぇ、お願い」

穂乃果「戻ってよっ!」



穂乃果「いつもの貴女にっ!!」




ーーーーーー

213 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 22:15:10.26 2CrYxa9V0 176/178

~~~~~~




これはきっと『罰』なのでしょう。

何人もの人を傷つけようとして。
その気持ちを踏みにじって。
そして、貴女を守れなかった、そんな私への『罰』。



……分かっています。
因果応報だということは。
なにもなかったように、穂乃果たちに許されるのは違うのだろうということは。

けれど、どうかこんな罪深い私の願いを1つだけ聞いてもらえるのであれば。



どうか。
貴女を傷つけませんように。





ーーーーーー fin ーーーーーー

214 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 22:20:13.14 2CrYxa9V0 177/178

以上で
『海未「罪と罰」』完結になります。

レスをくださった方
読んでくださった方
稚拙な文章・表現にお付き合いいただき、ありがとうございました。

以下過去作等です。
よろしければどうぞ。
1作目
にこ「さぁ、お前の罪を数えろ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500978922/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/18040654.html
2作目
凛「さぁ、お前の罪を数えろ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510213255/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/20577877.html
3作目
海未「私の罪を」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512647204/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/20902546.html
4作目
真姫「その罪は何色か」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515243825/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/21584526.html

次作は百合orコメディ寄りになるかと思います。
一応次に過去のss一覧も挙げときます。
では、また。

215 : ◆6cZRMaO/G6 - 2018/03/27 22:52:18.48 2CrYxa9V0 178/178

凛「10年後に行けるお香?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416603707/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2820988.html

海未「私たちの恋愛ゲーム、ですか?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417028287/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2822113.html

凛「凛、病気なのかもしれない」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417454685/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2822129.html

にこ「貴女の外側には」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417890274/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2822269.html

穂乃果「私たちが真姫ちゃんの目になるよ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418568037/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2822293.html

希「えりちはポンコツさんやから」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420556406/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2822334.html

雪穂「あの日からずっと私の心は彼女に奪われていた」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422288745/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2822385.html

にこ「にことにこにー」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424791780/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2822456.html

花陽「凛ちゃんと一夜の間違い?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426733320/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2823379.html

真姫「私だけの」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428761231/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2823441.html

真姫「マキマキ超会議?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430039332/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2823582.html

凛「三種の返し技にゃ!!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433327958/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2825328.html

ことり「小さくなった花陽ちゃん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436011982/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2825409.html

絵里「恋愛が苦手な貴女」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437987070/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2825767.html

ほのキチ戦隊ソルゲジャー
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1438494608/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2825257.html

花陽「凛ちゃんと」凛「かよちん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440673282/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2825801.html

花陽「雨、絵里ちゃんと一緒の土曜日」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1443178719/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2825415.html

にこ「海未のお姉ちゃん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444644429/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2825564.html

ほのかんさつ日記
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1447502133/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2825846.html

穂乃果「テニスをしよう!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451052732/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2825914.html

海未「花陽と歩く帰り道」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455969755/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2825940.html

穂乃果「テニスをしよう!」ツバサ「おもしろそうね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1462620200/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/8000134.html

備忘録代わりに。

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