1 : ◆ecZBoTY/6E - 2014/03/03 21:28:25.24 CXEhupYl0 1/1677何番煎じになるかわかりませんがアイドルバトルものSS
過去作
小日向美穂「お昼寝のお供」
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2181942.html
星輝子「ドロヘドロ...?」荒木比奈「そっス」
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2182070.html
遊佐こずえ「...きおくとおふとん」
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2182106.html
安価もありますがストーリーにそれほど影響は出ません
元スレ
渋谷凛「アイドルサバイバルin仮想現実」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1393849705/
早坂美玲「アイドルサバイバルin仮想現実」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396415964/
モバP「アイドルサバイバルin仮想現実」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458387907/
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
タタンタタン・・・・・・ タタンタタン・・・・・・
寝ぼけた頭で振動を感じ取る。
遠く離れたどこかから響く音に合わせて振動が伝わってくる。。
自分は椅子か何かに座っているようだ。
??「ほら、凛。そろそろ起きろ・・・」
渋谷凛「ん......」
耳によくなじんだ声を聞き目を覚ます。
凛「あ、おはようプロデューサー、ごめん ちょっと寝てたみたい」
モバP「気にするな、体調を崩したりはしてないか?」
凛「大丈夫だよ、加蓮じゃないんだし、加蓮だってもう滅多に風邪なんてひいてないでしょ。心配しすぎだよ」
向かいに座っているのは自分たちのアイドル生活を影から日向からいつも支えてくれているプロデューサー。
彼が座っているのが幅の広い、安っぽく毛羽立ったクッションが付けられた座席であり、
自分もそれと全く同じデザインお椅子に座っている
隣には大きな窓、いや車窓というべきか
どうやら自分は電車のボックス席にプロデューサーと向かい合って座ったまま寝ていたらしい。
車窓の外は暗い
タタンタタン・・・ タタンタタン・・・
地下鉄だろうか、長いトンネルの中だろうか、イマイチ記憶がはっきりしない
凛「ところで私たちって今、仕事先に向かってるんだよね?」
P「そうだ。内容は覚えているか?」
凛「覚えてるよ。でも正直よくわからない内容だったから、説明が欲しいな」
凛「確か、晶葉が開発した、・・・なにかの装置とどこかの企業の技術のPRだったっけ?」
P「あぁ、合ってるよ。今から詳しい説明をしたいからその二人を起こしてくれないか?」
凛「?」
二人、と言われて凛は周りを見渡す、寝起きだったが大分頭がはっきりしてきた。
神谷奈緒「 z zZ」
北条加蓮「んん...」
凛「奈緒?加蓮?」
通路をはさんだ向かい側の席で、今まで気づかなかったが、凛のよく知るアイドルうちの二人が寝ていた。
P「三人の中じゃ最初に起きたのがお前だけでな。悪い気もするが起こしてやってくれ」
凛「う、うん わかった」
席を発ち、二人の肩を揺する。
凛「ほら、起きて二人共、」
加蓮「ん、・・・あれ凛?あれ、ここどこ?」
奈緒「Z・・・メ、メイド服が・・・」
凛「奈緒、メイドコレクションの仕事が夢に見るほど楽しかったのはわかったから起きて!」
奈緒「!? いやいやいや!べ、別に楽しくなんてっ!!・・・あれどこだここ?電車?」
凛「いまからプロデューサーが仕事の説明するから起きてこっち来て」
奈緒「凛? お、おう分かった」
加蓮「あ、プロデューサー、おはよ」
P「おはよう加蓮、奈緒。いまから説明しなきゃならんことがあるからちょっとこっちの席に来てくれないか」
加蓮「はーい」
トライアドプリムスの三人が揃って目を覚ましたところで通路の向こう、Pのいるボックス座席へ移る。
凛「(あれ?)」
凛はふと気づく。この車両、内装を見るにおそらく新幹線の類ではない、普通電車だ。
乗客は見たところ少ないようだが、その乗客らしきものが何やらおかしい
??「・・・・・・・・・」
?「・・・・・・・・・」
???「・・・・・・」
三人、
いや三つの”影”がいる
車両座席の最後列付近にゆらゆらと、
ちょうど人が座った時にできるような影が、影だけがゆらゆらと存在している。
凛「・・・・なにあれ・・・・・」
P「凛ー?説明はじめるぞー?」
凛「あ、うん分かった」
特に害もなさそうだし目の錯覚だろう。
凛は席に座った加蓮の隣に腰掛けた
??????????????????
「バーチャル世界体験?」
プロデューサーが最初に発した単語にまず奈緒が反応した。
奈緒「それってSFなんかで題材によく取り上げられてるアレか?」
P「ああ、そんな感じのやつだ」
奈緒「マジだとしたらすごいなそれ」
凛「そこ、ふたりで納得しないで」
加蓮「奈緒、アタシが貸りたアニメにもそんなのあった?」
P「まあまあ、じゃあ話すぞ。」
P「これからお前たちにはデータ上に作られたバーチャルの世界に行ってもらう。」
P「そこじゃあお前たちもデータ、それこそゲームキャラクターのような者として行動することになる」
凛「ふーん、分かった。頑張るよ」
加蓮「ちょ、凛、納得早すぎない!?」
奈緒「あたしはまだ技術の進歩具合に驚きを隠せない・・・いつの間に日本は始まってたんだよ・・・」
三者三様、かしましい反応をしたあと説明は続く。
・凛を含む、十数名のアイドルが仮想現実の空間に送られる
・仮想空間を運用するにあたっての技術面は池袋晶葉の発明が中心を占めている
・目的は今回の開発に協力した企業の技術力のPR
・そのために話題性を得やすい人物であるアイドルが今回の企画の参加者に選ばれた
奈緒「晶葉・・・いよいよなんでもアリになってきたな。ロボットが専門じゃなかったのかよ・・・」
P「いや?そのバーチャル空間ってのはロボットも無縁じゃないらしいぞ?」
加蓮「う?ん、ちょっと整理させて」
凛「・・・・・・・ねえプロデューサー」
だいたいそこまでを理解したところで大まかな状況を把握したらしい凛が質問する
凛「実際、その仮想空間?に行ったとして私たちは何をすればいいの?」
P「ああ・・・・・・・そのことも話さなきゃな」
奈緒「向こうでライブでもするのか?」
加蓮「デジタルデータになれば疲れなさそうだし、いつまでも踊ってられそう!」
自分たちの行き先は分かった。では次はそこで何をするのか。
プロデューサーはなんと説明しようか少しばかり迷った様子を見せた
が、結局、直截的な表現を用いることに決め、口を開いた。
P「模擬実戦だ。お前たちには仮想現実の中でちょっとした戦争ゲームをしてもらう」
画像ありがとうございます
凛「え」奈緒「は?」加蓮「なにそれ」
??????????????????
P「・・・つまりだな、仮想空間がどれくらい現実に近いものなのかをアピールするには歩き回ったりする他にも走る転ぶしゃがむとかのいろいろな動きができることを見せなきゃならないんだよ」
P「他にもオブジェクト、えっと空間内の物体が割れたり転がったりする時にどれだけリアルに近いのかも先方は見たいらしい」
P「要するに、だ。予測不能で不確定な事象が起きたときデジタルがどこまで対応できているのか見せてほしいってことだ。」
奈緒「わかったようなわからないような」
凛「だいたいわかるよ、要はそのバーチャル空間のテストプレイなんでしょ?」
加蓮「あ、今の凛の言葉でちょっとわかったかも」
奈緒「えっと・・・そういうことなのか?」
P「そういうことになるな。さすが凛だ。ただ戦争ゲームというのはバラエティの要素として考えてくれてもいい」
P「最近は芸能人同士でのガチ鬼ごっことかボール当てとかそういうのが流行りだろ?」
凛「わかった。頑張るよプロデューサー」
奈緒「・・・・・・特に危険ってわけじゃなさそうだし、こういうのちょっと憧れてたとこもあるし・・・いいぜ、やっても」
加蓮「アタシも参加するよ、そろそろプロデューサーからのアタシに対する病弱キャラのイメージもなくしたかったし」
そこまで聞くと凛は迷いなく即答し、二人もそれぞれの理由を持ちながら参加の意を表した。
P「ありがとうお前たち。」
三人を見渡す。自分が育ててきた三人が三人とも迷いないやる気をみなぎらせているのがわかる。
そして彼はおもむろに席から立ち上がった。
P「じゃあ俺はここで。一旦別のところに行かなきゃならんからあとは頼んだぞ?」
加蓮「あれ?プロデューサーが連れてってくれるんじゃないの?」
凛「それにまだ駅に着いてないし。どこ行くの?」
奈緒「そういえば・・・他に参加するアイドルも見当たらないな」
今現在その企業か、あるいは晶葉のラボにでも行く途中だと思っていた彼女らは当然それを疑問に思う。
P「何を言ってるんだ?」
だが彼の返答は実に単純明快だった。
P「ここはもう仮想現実の中だぞ?」
タタンタタン・・・ タタンタタン・・・
彼女たちは思い出す。
自分たちは今日電車になんて乗ってない
たしか移動は社用車だった
到着した先の大きなビルでさっきの内容とほぼ同じ説明を受けたのだ
そのあとこの仕事を受ける意志の有無を最終確認されると、
人がすっぽり入るようなカプセルのある部屋に案内されて・・・・・・
?????????????????
タタン・・・ タタン・・・・
奈緒「はー、この風景がデジタル?気づかなかったぜ」
加蓮「プロデューサも人が悪いね。タチの悪いドッキリみたい」
凛「・・・・・・じゃああの影みたいなのは何なんだろう」
なんとなく感じていた違和感の正体を理解し三人はひとまず自分たちが置かれた状況、
仮想現実空間の体感を確かめていた。といってもどうもわかりにくい。現実の感覚と比べて遜色がないのだ
加蓮「影?」
奈緒「あ、ほんとだ!なんだあれデジタルのバグか?」
凛「さっきからある、いや、いたんだよアレ」
座席のシート越しに後ろを見ると確かにいる。
座席に付いた姿の影法師のような何かが蜃気楼のようにゆらゆらと揺れているのだ。
????「あれは君たち以外のプレイヤーだよ」
凛「!?」
奈緒「うおっ」
加蓮「今度は何?」
出し抜けに響く声
三人が声のする方に向けたところそこには一体のロボットがいる
どこかで見たことがあると思えばうさちゃんロボだった。
それが晶葉の声でしゃべっている
????「一応ゲームの対戦相手にもなるから、相手が誰かは極力伏せておこうと思ってね」
????「一時的に君たちからは見えないように設定しているだけで彼女らも私たちと同じ事務所のアイドルだし、彼女たちからは君たちの方が影法師に見えているさ」
晶葉(ロボ)「ああ、ちなみにこの姿はPの解説を引き継ぐために急遽作ったアバターだよ」
??「・・・・・・」
?「・・・・・・・・・」
???「・・・・・・」
奈緒「ってことはあたしたちは今ここにいる三人以外に誰が参加しているのかわからねえのか」
凛「じゃあなんで私たちはお互いが見えてるの?」
晶葉(ロボ)「ああ、それは彼の気遣いだよ。いきなり見知らぬ場所に一人だと混乱するだろうからその配慮ということで、三人づつで分けたグループメンバー以外は認識できないということにしてあるのさ」
加蓮「へー、じゃあアタシたち、そのかそう空間?でもこの三人で行動するの?」
晶葉(ロボ)「いや、あくまで説明会のために分けられただけだ。”向こう”では一人で行動するもよし、ほかのメンバーとユニットを組んでもよし、だ。」
凛「・・・・・・・・・」
影は相変わらずゆらゆらと揺れている。
逆にあの影からは自分たちが影に見えているらしい
あれはこっちを見ているのだろうか
こっちに話しかけているのだろうか
ピピッ
晶葉(ロボ)「!・・・・・・さて、別の車両に移動したPがどうやら参加するアイドル全員に説明を終えたらしい」
奈緒「プロデューサー?なんだ、別の車両にもまだアイドルがいるのか」
晶葉(ロボ)「ふむ、参加アイドル18名のローディングも終わった。」
晶葉(ロボ)「では頑張ってくれたまえ」
タタンタタン・・・ タタンタタン・・・
タタンタtttttttttttt.........
___ステージ"シティ"へのダウンロードを開始します___
?????????
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
仮想現実空間 ”シティ”
チャプター
渋谷凛
空は灰色
建物は天をつくほどに高い
無機質さが伝わってくるような都会の風景が視界いっぱいに広がっている
凛「ふーん、これが全部作り物なんだ」
何かのビルとビルの隙間で凛は一人つぶやく
それに対する返答はない
ここに来る前の電車、今思えばあれはデジタルとしての自分をここへ送り込むまでの「ロード画面」のようなものだったのかもしれない。
奈緒に借りたゲームにも大抵待ち時間にそういうのがあった。
凛「Now loading...だったっけ」
とにかく、そこで晶葉(もしかしたら晶葉の真似をした人工知能だったのかもしれない)が言っていたように最初からあの三人で行動するわけではなさそうだ。
だから今ここには凛しかいない。奈緒や加蓮はまたどこかにランダムに送られたのだろう
凛「(それより気になるのは・・・模擬戦闘だよね、見たところ私にはなんの武器もないんだけど)」
ザザザザ ザザザザ
ガガガガ
晶葉(?)「あー、マイクのテスト中...テスト中...ん゛んっ!仮想空間内のアイドル諸君!聞こえているかね!私だ!」
晶葉(?)「この放送は現在空間全域に一律に放送されている。君たちに大事なことを伝えなければならんからね」
晶葉(?)「では模擬戦闘のルール説明を開始する!」
凛「!」
空の上から響くような、雷とも台風とも似ても似つかない雑音が轟いた後さっきも聞いた晶葉のものらしい声が届いた。
それに反応して空を見上げたのはもちろん凛だけではないだろう。
???????????????
奈緒「うおっ!?」
??????????????
加蓮「うるさいなぁ...もう」
??????????????
??「・・・・・・・・・」
?????????????
?「・・・・・・・・・なんでこんなことに・・・プロデューサーめ・・・」
?????????????
????「・・・・・・・・・・むむっ!」
?????????????
? ?「・・・・・・・・・・・・うふ」
?????????????
?????
???
?
晶葉(?)「・・・今現在この空間で自分の意志で活動しているのはアイドル18名」
「キュート6名、クール6名、パッション6名となっている」
「君たちは『プレイヤー』だ。自分たちで考え自分たちで動く」
「模擬戦闘、というからにはこの18名で争うのもありなのだがそれだと無駄に長引くか特になんの面白みもなくすぐに決着がつくかのどっちかだという意見もあってな」
「相手を用意した。私は便宜上『ボット』と名付けている」
「プログラムに則り君たちに戦闘を仕掛けてくるロボットだ」
「このボットたちの討伐数を競うという形で君たちには模擬戦闘に参加してもらいたい」
「そうそう、武器の件だが」
「君たちにはそれぞれに『能力』を授けてある」
「一部の者には想像がつくんじゃないか?超能力とか特殊能力、漫画や映画の世界の産物だよ」
「この空間内のどこかに設置している『アクセサリー』『衣装』の類のなかから自分に適合するものを身につければそれが使えるようになっているよ」
「無論、剣や銃の類の通常武器もあるからそっちを集めることを優先してもらっても構わない」
「場合によってはボットがそれらのキーアイテムを持っていることもあるから能力が欲しいなら戦闘には積極的に参加するといい」
「ほかにも伝えたいことはあるがこれだけ知っておけばゲームは始められるな」
?????????
凛「晶葉・・・ノリノリだね。いつもよりおしゃべりになってる」
凛「じゃあ、そろそろ動こうかな」
ビルの間から歩いて抜け出す
能力、そんなことを言われても精々手からビームが出るくらいしか想像がつかないけど
凛「(まず通常武器とかいうのから集めてみようかな。能力が使えるアイテムは多分だけど簡単には見つからない気がする)」
未だに空から鳴り響く晶葉の声を一応耳に入れながら早歩きで誰もいない歩道を進む。
凛「(それにボット、私たちの敵。これにも注意する必要があるのかな)」
曲がり角を右に曲がる。
警戒して早歩きから普通の速度に落として、だが
そこで晶葉の声が途切れた
連絡事項は終わったのか?
いや違う、
凛の耳が、頭が、音を認識しそこねたのだ
あまりに動転したため
晶葉(?)「まずはチュートリアルだ」
晶葉(?)「君たち専用のボットを用意した。練習がてら戦ってみてくれ」
凛(ボット)「・・・・・・・・・」
曲がり角を曲がった先
そこに自分がいた
そこに渋谷凛がいた
制服もカーディガンも、スカートも
長い髪も、耳に付いたピアスのデザインも
全く同じ
唯一違う点をあげるなら胸元に小さなバッチのようなものがついていることか、
そのバッチはかすかに赤く光っており、よく見ると「bot」と刻まれているのがわかった
赤色
警戒色
危険を告げる色
晶葉「そうそう、多分言わなくてもいずれ気づいたと思うが、君たちには初期値100%でスタミナが与えられている」
晶葉「それが0になったらゲームオーバーだから気をつけてくれ」
凛「・・・・・・」
ゴクリとつばを飲み込む。その感覚もまるで現実じみている
そうだ言っていたじゃないか
仮想だと、ゲームだと
だったらこんな展開だって予想できたじゃないか
凛(ボット)「・・・・・・・・・」
___ゲーム開始3分経過____
渋谷凛VS渋谷凛(ボット)
及び
他17名のアイドルの練習用ボットとの対戦
___開始
凛「・・・・・・」
さて、自分には武器がない
それとも拳でも武器になるのだろうか
警戒心を解かぬままそこまで思考したところで相手、ボットが動いた
ボットの凛がこちを見据えたま一気に駆け出す
凛(ボット)「・・・・・・」
凛「!」
そのままボットは右手を平手の形にすると振りかぶる
いわゆるビンタ、女子らしい攻撃とは言える
凛ははじかれたように横っ飛びに避けた
ビンタ一つに大げさとも言えるがダンスのレッスンは何度もしてきたが戦闘訓練など受けたことのない凛に戦闘時の無駄のない動作を期待するのは無理な話だ。むしろよけられただけで大したものだろう
凛「ハァ・・・・・・ハァ・・・」
警戒していたとはいえいきなりだったため疲れとは別で呼吸が乱れる
凛「(ボットっていっても身体能力は普通、というか私と同じだよね)」
凛「(それに今ので手足が武器になることの証明にもなった。私にも反撃はできる!)」
凛(ボット)「・・・・・・」
ボットが駆け出す
オーバーな避け動作で開いた二人の距離を詰めてくる
凛「(この攻撃は避ける。その間に乱れた息を整えて、反撃する!)」
様子見、回避、攻撃。
一瞬の思考でボット相手に簡易的に戦略をたてる
凛はすでに完璧に落ち着いていた
凛(ボット)「・・・・・・・」
ボットの左手がまたビンタを構える
凛「(来る!!)」
凛「(避ける!!)」
二つの人影が交差する
凛(ボット)「ふーん、アンタが私の敵(エネミー)?」
凛「」
ドゴォ!!
作戦変更
交差する瞬間、ボットの腹に凛の渾身の膝蹴りが入った
クリーンヒットしたのか凛のボットはその場で崩れ落ちたように倒れる
凛(ボット)「・・・・・!・・・?・・・・!?」
凛「・・・・・・まさか機械のプログラムにまでそのネタでいじられるなんてね・・・」
凛「あれはある意味私の黒歴史だよ・・・」
ダメージエフェクトでもあるのか、倒れたまま震えて動かないのボットのすぐそばに凛が立つ
ボットはプログラムの指示通り戦闘続行のために状況を把握しようとする
そのためにまずボットは頭を持ち上げ地面から凛を見上げた
凛「・・・・・・じゃあ、残していこうか、私の足跡」
ボットの視界の中で、凛は力いっぱい利き足を振り上げていた。
見まごうことなき攻撃の、かかと落としか踏みつけの態勢である。
___そして_____
ゲーム開始5分経過
渋谷凛(ボット)消失
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
佐久間まゆ
知ってますよ
まゆは知ってますよ
まゆはプロデューサーさんのことなら何でも知ってますよぉ
「・・・!・・・!・・・!!!」
あのよくわからない電車の中で、
まゆたちに説明してくれたゲームの内容
そしてこの企画の概要
聞いた瞬間、ピンときましたよぉ
「・・・!・・・!・・・!!・・・」
たしか一週間ほど前
プロデューサーさんの散らかった机の上を少しでも整理しようとした時でしたかねぇ
この件について書かれたらしい書類がたまたま、本当に偶然目に付いたんです
多分映画やマンガでしか目にしないような単語に気づいたせいでしょうねぇ
内容はほとんどわかりませんでした
でもプロデューサーさんがこんな難しいことにまゆたちのために取り組んでくれていると思うと
うふふ
まゆがその書類と関連資料から読み取れたことは少しだけ
プロデューサーさんが今回の企画のために半年以上前からあちこちで打ち合わせをしてきたこと
プロデューサーさんが専門家の意見を聞くために忙しい中、独学で専門用語などの知識をつけてようと努力していたこと
晶葉ちゃんの研究にも深夜まで付き合って、プロデューサーさんは眠る暇さえない日があったこと
まゆはプロデューサーさんのそういうところが・・・
「!!!・・・・・・・・・・・・」
佐久間まゆ「あらぁ?」
「 」
佐久間まゆは両手に込めていた力を緩めた
ゴトリ
彼女の足元に何かが落ちる
まゆ「うふふ、練習用、でしたっけ?だからスタミナは最初から少なめだったのかしらぁ?」
佐久間まゆ(ボット)「 」
まゆの足元にはまゆが今倒したばかりのボットが転がっていた
その姿はまゆと言うまでもなく瓜二つ
だがそれももう動かないままに霧のように消えた
その跡にはリボンが一本だけ残っている
そのリボンは生地が裂けかけ、使い物にはならなさそうだ
なにせ、ついさっきまで
まゆがボットの首に巻きつけ
後ろから全力で引っ張り上げながら
首を絞めるのに使っていたのだから
まゆ「うふふ、ほかのボットはこう簡単にはいかなさそうですし・・・武器でも探しに行きましょう」
待っていてくださいねぇプロデューサーさん
プロデューサーさんの努力を無駄になんて、絶対させませんから
この仕事、まゆが必ず成功させて見せますからぁ♪
ゲーム開始5分経過
佐久間まゆ(ボット)消失
40 : ◆ecZBoTY/6E - 2014/03/04 02:31:50.70 8P30W9NkO 34/1677
今日の書き溜め終了
次の書き溜めを誰から始めるか決めたいので
次回、開始するチャプターを選択してください
安価+3下
1、神谷奈緒
2、小関麗奈
3、渋谷凛
画像、コメントありがとうございました
43 : 以下、2... - 2014/03/04 02:55:06.65 VyqS4vHz0 35/16771
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
神谷奈緒
ロボットの奇行はプログラマーの趣味から生じる
いつだったか、雑談の中でふと晶葉が口にしていたことを思い出した。
ここは駐車場
比較的背の高くない、3、4階建ての建物ばかりが集まったその狭い隙間を利用したスペースである
十台ほど車が入ればそれでいっぱいだろう。今は三台ほどしか車も停められていない。
その内の一台、よく見るタイプのバンを開けようとしたが普通に鍵がかかっていた。
確か念の為に二台目も調べようとした時に晶葉のスピーチが始まったっけ
それが終わるか終わらないかのあたりで誰かが近づいてくる足音がして
気づけばボットとの戦闘が始まりやがった
奈緒は駐車場で向かい合っている相手を改めて観察する
神谷奈緒(ボット)「なんだよ、来ないんだったらあたしから行くぞ?」
自分で言うのもなんだが妙に太い眉も広がりがちなクセのある髪も目つきもそっくりだ
アイドルをやっているんだからそりゃ写真や映像を通して自分を見ることもあるが
そういうフィルター抜きで自分を(少なくとも自分と同一の姿かたちを)見るなんて一生に一度あるかないか、いや普通はないだろう
奈緒「(いや、どっちにせよ今は機械を通して見てるのと同じだったっけ。・・・どうもこれがゲームだってのが信じられねえ)」
奈緒「(いや、それはどうでもいい、置いとけ)」
奈緒(ボット)「おーい、いいのかー?」
そう言うとボットは手に持っていた武器らしき物でクイッと奈緒の方を指した。
武器らしきもの、見たところハリセンにしか見えないが武器なのだろう
奈緒「(それも装備かよ、ハズレにも程があんだろ!というツッコミも置いとこう)」
奈緒(ボット)「とうっ!」
ボットが動いた
向かい合う形で開いていた十メートルほどの距離はぐんぐん短くなる
自分ソックリのロボットが武器を片手に狭ってくる、狂気じみた光景だ。
奈緒「!やっべ」
奈緒「(こっちもなんか武器になるものは・・・!!)」
そのロボットが足を踏み出すたびに風で髪がなびく
丈の短いスカートがひらひらとはためき、
ガーターベルトに包まれた足の太ももがチラチラ見えている
そして衣服の全体にあしらわれたフリルがひらひらと_______
奈緒「だからなんでお前メイドコスなんだよおおおおおおおおおお!!!?」
もうツッコミを我慢できない、
普段着の奈緒の前に現れた彼女のボットはメイドの仕事の時の衣装を着ていた
ハリセンを持って
奈緒(ボット)(メイド服)(ハリセン装備)「え、いや!す、好きで着てるんじゃないからな!!仕事だから仕方なく・・・・・・!!」
奈緒「やかましいわ!」
ロボットの奇行はプログラマーの趣味から生じる
この場合は悪趣味だった
幸いだったのは
このあと奈緒は苦戦しながらもなんとかボットを下し、
そのメイド姿をほかのプレイヤーには見られずに済んだことか
ゲーム開始6分経過
神谷奈緒(ボット)消失
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
双葉杏
例えば手足は武器としてカウントされていること
例えば練習用ボットは通常のボットよりも弱く設定されていること
例えば・・・
プレイヤーにとってこの世界はまだまだ未知の要素が多い
現実に似せているからといってそのまま現実と同一には出来ていないのだから
だからプレイヤーには不測の事態に備えていかに武器や情報を集められるかが重要となる
武器の方を集めに行動を開始したアイドルは多い
情報を集めようとしているアイドルもいる
だが、
少なくとも現段階で仮想現実空間に関する重要な情報をいくつも手に入れることに成功したのは双葉杏だけだった
双葉杏「へー、めんどくさそー」
双葉杏(ボット)「うん、割と冗談抜きで杏たち何しに来たんだろって感じ」
杏(ボット)「練習用だからって、ほかのプレイヤーに攻撃してもダメージがカウントされないんだよね、なのに杏たちは二、三回攻撃されただけでスタミナが0になっちゃうし」
きまぐれロボット、否、ぐうたらロボットとオリジナルの杏は戦闘を放棄していた
杏「そういや練習用ボットってことは普通のボットもいるんだよね?そっちの方にも杏そっくりなのがいるわけ?」
杏(ボット)「うんにゃ、通常ボットの方はプレイヤーとして参加できなかったアイドルをモデルにしたロボットだよ、」
「杏が知ってる範囲じゃ仁奈と何人かのちっちゃい子が通常ボットだったっけ」
杏「へー、逆に言えば仁奈を見つけてもボット一択だからプレイヤーかどうか判断する必要はないってことかー、どうでもいいけど」
小さな公園、自然と遊具の割合が半々ぐらいのそこにあったベンチの上に二人、正確には一人と一体は横たわっている
二つ並んだベンチに一人一つずつ、小さい体は特に苦もなく寝っ転がることができていた。
杏「あー、そーいや硬いベンチに寝てるのに背中とか後頭部が痛くならないね、ははっ、だいはっけーん
仮想現実ではどこでも快適に寝られるー」
杏(ボット)「わーい、やったね杏ちゃーん、だいはっけんじゃん、ぱちぱちー」
杏「やー、どーもどーもー」
杏(ボット)「ぱちぱちー」
杏「やーやー・・・」
ゲーム開始3分経過
双葉杏VS双葉杏(ボット)
開始延期
杏「じゃあ、杏ちょっと寝るね」
杏(ボット)「うんわかった、何時間かしたら起こせばいい?」
杏「できれば起こさないでくれるとありがたい」
杏(ボット)「んー、じゃあはいこれ」
杏「あれ、これって」
いよいよ持って模擬戦闘中にはありえない、居眠りが行われようとしていたとき、
ふとボットが杏に手渡したものがあった。
それはところどころ綿のはみ出たぬいぐるみ、現実世界で杏が居眠りのおともにしていた兎のぬいぐるみだった。
ちなみにこのぬいぐるみと胸元の赤く光るバッジだけがボットとオリジナルを区別できる点で、それ以外は性格も含めて鏡写しの姿となっている。
杏(ボット)「杏としても何もしないわけにはいかないしー、ってことでこのぬいぐるみ上げるよ」
杏「なんかわるいねー、ちょうど枕が欲しかったとこだしありがたくもらっとくよ」
寝転がった状態から頭だけ回し、となりのベンチからぬいぐるみを引き寄せる
ピロン
杏「うん?」
杏(ボット)「あれ?」
オリジナルの杏にぬいぐるみが渡った瞬間、軽快な電子音が鳴った
杏「なんか着信音みたいな音がでたんだけど」
杏(ボット)「うーん・・・わかんないけど多分、今のが杏が能力ゲットのためのアイテムだったんじゃないかな?」
特定のアイテムを手に入れると能力が使用可能になる。
杏愛用のぬいぐるみを模したこのアイテムがまさにそれだったらしい
杏「あ、杏を騙したなぁっ!?適当にだらだらしようとした杏を、戦場に駆り立てるために!!」
杏「杏は・・・杏はただ、争いのない、誰もが笑って過ごせる平和な世界を求めていただけなのにいーーー!」
ベンチの上に寝っ転がったままジタバタと足を振り回す。
右手に掴まれたままのぬいぐるみがプロペラのようにくるくる回っていた
杏(ボット)「あー、なんかごめん杏も知らなかった。でも能力って直接武器になるものだけじゃないらしいから実戦で使えるかはわからないよ?」
杏(ボット)「練習用ボットは能力がないからわかんないけど、この世界では能力ってランダムに決定するらしいし、」
杏(ボット)「それに、逆に強力な能力があったほうがコソコソせずに済んで楽じゃないの?」
杏「むー・・・」
ロボットなりに励ましてくれているようなそうでないような
杏は少しだけ頭を使って考えてみる
ゲームオーバー
↓
おそらく現実に帰還することになる
↓
プロデューサーが空いた時間に仕事詰め込んでくる
↓
なんでもいいけど飴食べたい
杏「・・・・・・・・・・」
杏「ゲームオーバーはまずいね・・・どうせダラダラするんだったらこの仮想空間でいいや。ここなら少なくともプロデューサーに叩き起こされることはないし」
杏(ボット)「でしょー、ってことで能力次第じゃこっちで時間いっぱいまでのんびりできるかもよ」
杏「そうだね。決めたぞ!!杏はこの仮想空間とやらで誰にも邪魔されない週休八日を満喫してやるぞー!」
杏(ボット)「がんばれー・・・」
力強い宣誓ではあったが姿勢は相変わらず横に倒れたまま
仮想現実空間でさえだらける
全18名のプレイヤー中、圧倒的早さで『能力』という大きなアドバンテージを得たにもかかわらずその目標は呆れるほど彼女らしいものだった。
それだけの強さの個性の持ち主ということか
杏「ところで杏の能力って何?」
杏(ボット)「しらなーい」
杏「え」
ゲーム開始4分経過
双葉杏 能力獲得
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
三好紗南
ゲーム開始3分経過
三好紗南(ボット)消失
三好紗南「自分を倒せってのはチュートリアルとしてはどーなんだろ」
紗南「こう、ザコモンスターみたいなの相手にして、ハンドガン的な初期装備でバンバンバンって感じ?」
紗南「うーん、この仮想現実での模擬戦闘、バトルゲームだとしてもFPSなのか格ゲーなのか見極めなくちゃね」
ゲーム慣れしているというのもあるのか割と簡単に、特にこれといった抵抗を感じることもなく自分のボットを倒した紗南は今車道を歩いていた
本物の都心をイメージしてか車線の多い広い道路を我が物顔で一人闊歩している。
無論車が来ることはないし危険はないはずだ。
紗南「FPSならどっちかというと基本的な武器をたくさん集めた方がありがたいし、格ゲー風なら能力?とかのほうが使い物になるんじゃないかな」
ゲームバランス
このゲームを見極めるにはそれを構成する要素から判断するしかない
例えば手に入るアイテムが大したことないものばかりの時
これはつまり通常武器というのがあくまでおまけで、能力バトルこそが真骨頂ということになる。
逆にひとつ所有するだけで戦況が大きく揺れ動くような、そんなアイテムばかりだったならこれは戦闘というより戦争のゲームと考えられる
どこにあるかもわからない能力開花アイテムを探すより弾丸の補給が重視される展開が続くだろう。
紗南「まずは・・・何でもいいから武器を見て判断するしかないね!」
思い立ったら行動は早い。紗南は車道から歩道に移るとそのまま歩道脇のビルに踏み込む。
どうもこの世界は現実に準拠しているためか、建物や施設の種類がわかりにくい
武器屋の入口に矢印のアイコンが浮かんでいたりはしないのだ
だから紗南はまず変に迷うことなく、目についた建物に適当に入ることにした
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ビル内部 1階
紗南が入ったビルは外見からは判断できなかったがオフィスビルらしく
入口からなかにかけて広いホールとなっており、奥にはエレベーターが二基稼働していた
紗南「わー、よくできてるねー!、天井たっかーい!」
大理石らしき光沢を放つホールの地面をカツカツと踏み鳴らしながら大声を出しても誰も咎める者はいない。
やはりこのビルも無人だった。受付すら誰もいない
紗南はまずエレベーターに乗ってみることにした
エレベーターのボタン上、フロア案内盤に何気なく目を通す。
ニ階より上のフロアについても服飾、書籍、フードコート・・・などと丁寧に書き込まれており、改めてこの仮想空間の作り込み、クオリティの高さを思い知らされる
紗南「あー!!6階にゲームセンターあるじゃん!!」
だが紗南はそれについてはどうでも良かったらしい
一階に停まっていたエレベーターに乗り込むと「6」を必要以上に強く押した
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ビル内部 6階
エレベーターの扉が開くとその先には独特の空間が広がっていた。
極彩色のパーツで作られた巨大なプラスチックの箱が所狭しと並び
それぞれの機械が勝手な音楽を流しては、チカチカと画面からビビットトーンの光を放ち続けている
そこにもやはり人はいない。
紗南「わーいゲームだゲームだ!!」
さすがはゲーム好きというべきかエレベーターの戸が開ききるのを待つ間もなくフロアに踏み込む
しかしすかさず手近な筐体に飛びついたところで重要なことに気づいた
紗南「・・・・・・あたしお金もメダルも持ってないじゃん・・・ゲーム出来ないよこれじゃ・・・」
現在絶賛バーチャルゲームをプレイ中とは思えないセリフである
たしかにこの仮想空間に転送されたとき自分は何も所持していなかったし、ボットを倒した時もなんのアイテムもなかった。
紗南「むうう・・・・・・敵キャラ倒したんだからマニーの一つでも落としてくれたらよかったのにー」
筐体のゲーム画面は何の反応も返さない。
それでも未練が断てないのか紗南はゲームコーナーないの機械の間を周りを物色しながら巡ることにした
この手のゲームなら道に大金が割と頻繁に落ちてたりするものだ。
もちろん紗南もそこまで本気でそんなことを思っていたわけじゃない。
紗南「!・・・・・・あれは!」
そんな紗南の視界に入ったのは壁際に寄せられた小さい椅子
ゲーセンだと休憩中の客がよく利用していそうなあれだ
その上にポツンとゲーム機が置かれていた
ポータブル型のそれはもちろんコインやメダルの類は必要としていないもので、バッテリーとカセットさえあれば遊べるものだ
再三繰り返すが誰もいないこのフロアにそんな忘れ物などありえない。
紗南「ってことは、これはわざと置かれてたアイテムだよねっ!」
ひょいっと手に取る。カラーはあまり目にしない明るいオレンジのポータブルゲーム機
形状は自分がいままで使ったことのあるものと酷似していたのですぐ手に馴染んだ
紗南「さて、スイッチオン♪」
ピロン
ゲーム開始9分経過
三好紗南 能力獲得
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???
よく見えてます
よく見ています
数キロ先までよく観察できます
千里眼でも得たかのようですよ
だが見ているだけが私の仕事じゃない
探し 戦い 倒す
それが私を動かすプログラム
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ビル内部 6階
紗南「!? なに今の効果音・・・」
紗南は思わず周りを見渡した
すわ敵とエンカウントかと腰をかがめ筐体の影に隠れる
しかし彼女自身にも何から隠れているのかはわかっていない
ブンッ
ウィーーーーン......
またも何らかの音が紗南の耳に届いた、
しかしこっちの音はさっきと違い簡単に音の出処がつかめた
紗南「あ、ゲーム機動いてる・・・そういやなんのソフトが入ってたんだろ?」
紗南の手の中でゲーム機が稼働音を立てていた
紗南「・・・・・・・・・・」
やがて何らかのゲームが開始されるはずだ
だが一向にゲームタイトルや制作会社のロゴが表示されない
しかし壊れているのではないらしく画面は暗くなったり明るくなったりしながらゲーム機は起動準備を進めている
ブウン......
画面に何かが表示された
紗南「?」
→『サーチ』
『コントロール』
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???
肩にかけていた武器を下ろす
装填された弾丸の数は把握しています
これが私にとっての初弾です
持ち運びに向かない長い銃身を体を使ってなんとか安定させる
これはスナイパーライフル
離れた敵を狙い撃つ武器です
大丈夫です
敵はよく見えてます
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紗南「サーチ? なに?ニューゲームとかじゃなくて?」
このゲームが始まってからわからない事続きだ
ゲームが得意のはずの自分が随分と翻弄されている
表示されたのは何かの選択画面
だがゲームを開始するためのボタンとはあまり思えない字面だ
紗南「まあクソゲーだったらそれもまた良し!ポチッとな!」
親指に力を込めるとボタンは容易く押され、
画面が再度変化する
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・・・・・・サーチモード・・・・・・
ゲーム機本体をアイドルに向けてください
____________________
紗南「サーチモード? アイドルに、向ける?」
ゲームは始まらない
選択画面の次は指示画面だった
しかも目的が読めないままに指示されている
紗南「・・・アイドルってあたしもそうだし・・・あたしに向けてみたらいいのかな?」
紗南は手の中のゲーム機をくるりと反転させた。
自分から見てゲーム画面が上下逆になる向きであり、機械本体上部、ソフト取り出し口が自分に向けられている
紗南「・・・あ、動いたっ!」
天地が逆さまの画面に新たな変化が訪れた。紗南の推測はあっていたらしい
アイドルの紗南にゲーム機が反応を示した。
プンッ
_________________
・・・しばらくお待ちください・・・
_________________
_________________
・・・・・・・・・・・・・・・・・
_________________
_________________
name: 三好紗南
category: プレイヤー
skill:
ゲーム機型アイテムを用いてプレイヤ
ー及びボットの調査、干渉が可能。た
だし一度に扱えるデータは一つだけに
限られる
_________________
紗南「あー!!」
ここまでくれば今までの謎は消えたも同然だった。
紗南「なーるほどね。これでほかのアイドルのことが知れるんだ!!」
紗南「このカテゴリ、プレイヤーっていうのはボットとの区別かな」
紗南「で、スキル!!多分能力のことだね、ってことはこのゲーム機があたしにとってのキーアイテムだったんだね!」
ってことはさしずめさっきの変な効果音は能力ゲットのお知らせだったのかな?
と、付け足して一人納得の喜びを噛み締めた
紗南「よっしゃー!早くも能力ゲットー!!この調子なら楽勝だね!」
まるで勲章のようにゲーム機を天に向けて掲げる
さぁ次はどう動く?
紗南のゲーム脳は高速回転をはじめる
_周りを見渡せる高所からサーチする?
_そのためにはまずはサーチの出来る範囲を調べなくては
_ボットを探す?いやここは敵より味方を探そう!
_ボットに気づかれないように能力データを手に入れるのもいい
_そういえばまだプレイヤーを全員把握していなかった、でもこの能力があれば余裕だね!
プンッ
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・・・・・・・・・・・・・・・・
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ゲーム機を持ち上げたことで照準がずれ、紗南のデータを表示していた画面が消えた
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???
敵はこちらに気づいてません
それもよく見えてます
引き金に指をかける
敵の命はすでにこの指の上に乗せられているも同然です
それでも気づきません
こっちが見えていませんから
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ゲーム機上部は偶然その階の窓の方を向いていた
紗南の能力の化身たるそれは自動的にアイドルのデータをキャッチする
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あれじゃあダメです。自分が倒されたことさえ自覚できないまま終わるでしょう
つい駆け寄ってあの言葉を言ってあげたくなります
まあまあ、メガネどうぞ
標的がよく見えますよ___
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name: 上条春菜
category: ボット
skill:
メガネを通してスコープのように遠
方を詳細に視認可能。副次的効果と
して遠距離攻撃の命中精度が飛躍的
に上昇する
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窓ガラスを突き破り、
ゲーム筐体同士の狭い隙間をくぐり抜け
音速を超えた弾丸が
紗南に飛来する
ゲーム開始11分経過
三好紗南VS上条春菜(ボット)
開始
84 : ◆ecZBoTY/6E - 2014/03/05 01:34:08.43 9dMtgoC4O 71/1677
今日はここまでです
画像ありがとうございました
次回、開始するチャプターを選択してください
安価 3下
1、北条加蓮
2、小日向美穂
3、三好紗南
87 : 以下、2... - 2014/03/05 01:37:42.87 hGU5lc4Z0 72/16771
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チャプター
北条加蓮
リボルバー
いわゆる六連回転銃
現実世界ではまず本物をお目にかかることなんてない武器だ
だが仮想空間の中では偽物が本物以上の力を持つこともある
北条加蓮は今その偽物の脅威にさらされていた
北条加蓮(ボット)「ほらほら!早いとこアタシを倒さないとみんなから出遅れちゃうよ?」
銃声、銃声、発砲音
やはりこのボットもまた他と同様(奈緒除く)オリジナルの加蓮と同じ姿をしている
違いはやはり胸元のバッジ、
それと利き手である右手に構えられたリボルバー
女子らしい細くしなやかな腕が黒々として硬質な銃を片手で支えている
彩られたネイルの鮮やかさが引金の無骨な鉄色と対比していた
加蓮「ちょ、いきなり銃とか!いくらゲームでもやりすぎでしょ!」
仮想空間だからか、あるいは彼女がボットだからか、発砲により生じる反動をものともせず連射を続けている
加蓮は並べく広い道を選んで逃げ回るしかない、狭い裏路地何かに入り込んでしまったら後ろから狙い撃ちだ
無意味に赤、青と色を変える信号をぬけ、車一つない車道を横断する
ビシッ!
たった今加蓮が駆け抜けたばかりのアスファルトを銃弾がえぐった
ゲーム開始5分経過
北条加蓮VS北条加蓮(ボット)
継続中
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高層ビル街
逃げ回っているうちに周りの風景が変わっていた
最初加蓮が気づいたとき、周りの建物は雑居ビルが中心で空も近く感じた
だが今はどうやら都市の中心に近づいたらしく周りのビルがどれも大きく高い
ビルが大きい分、周りの道は広くなるが小道が減るため追っ手を撒くにはやや難しい
そして加蓮はついに追い詰められた
加蓮「はぁ・・・はぁ・・・」
街路樹の一部、茂みに尻餅を付くように加蓮が倒れている
ジャラッ
カシャン カシャン カシャン カシャン
打ち尽くした弾丸を捨て、悠々と銃弾を装填し直しながら
ボットがオリジナルにゆっくり歩み寄る
加蓮「(なにこれ・・・デジタルなのにスゴい疲れるんだけど・・・)」
加蓮(ボット)「・・・チュートリアルだからって甘く見ないでよね、アタシだって一応はあんたたちプレイヤーを倒すために作られたんだから」
加蓮「ピ、ピストル持ってる奴を甘く見るわけ無いでしょ・・・」
だが模擬戦闘と聞いてもいまいちピンと来なかったし気軽にゲームの一種だととらえていたのは事実だ
まさかこんなに早くリタイヤすることになるなんて
ボットがまっすぐ銃を構える、そういえばずっと片腕だけで支えていた。疲れないのだろうか
キキキキ.......
引き金を絞るのに連動して撃鉄がゆっくりと振りかぶられる
あの撃鉄が弾丸の尻を叩くとき、加蓮の眉間に穴があくのだろう
加蓮(ボット)「それじゃ。」
パン
衝撃
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~~~~~~~~~~~~~~
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・あれ?」
眉間に銃弾の衝撃を受けたにもかかわらず死んでない
いや仮想空間に死ぬことはないのだが、ゲームオーバーらしきアクションがないのだ
思わず閉じていた目を開ける
銃口、ネイル、腕、そして自分にそっくりな誰か
目を閉じる前と風景が変わっていない
加蓮「生きてる?」
加蓮(ボット)「ふふっ、あははははっ!!なんちゃってー!」
目の前で自分が可笑しそうに笑っている
加蓮「え?・・・なに?見逃してくれるの?」
状況が把握できない。死んだと思ったら生きていて、それを笑われている
加蓮(ボット)「チュートリアルって言ったでしょ!」
「アタシたちはその練習用ボットだから、プレイヤーに攻撃は出来てもダメージは与えられないの!」
それを知っているのはプレイヤーの中では今のところ双葉杏くらいだった。加蓮が知らないのも無理はない
加蓮「・・・・・・・はあ!?なにそれ!?アタシ逃げ損じゃないの!」
加蓮(ボット)「やーい、引っかかったー♪」
疲れも忘れて加蓮が立ち上がる。
自分のロボにコケにされた気分だ
加蓮「じゃあなんでアンタあんなにガツガツ攻撃してきたのよ!」
加蓮(ボット)「そりゃ、アタシだって折角作られたのにすぐ退場なんてつまらないじゃない?」
あっけからんとしてボットが言う。正直これがプログラムされた人格とは思えない
加蓮「なによそれ、・・・もう、初っ端から神経使わせないでよ」
加蓮は一度立ち上がりはしたものの、意気消沈してまた倒れ込みたくなった
加蓮(ボット)「あはは・・・あとはあたしからオリジナルへの励ましも込めて、かな?」
加蓮「励まし?」
加蓮(ボット)「そ!・・・・・・折角アタシのモデルなんだから、どうせならこのゲーム、全力でやって欲しくてね」
励まし、そういえば何度も銃撃された割には最後の一発まで自分に当たることはなかった。
そのせいで練習用ボットの「設定」にも気づけなかったが、
逆に言えばこの十分に満たない時間に加蓮の頭からはこのゲームに対する楽観視、のようなものがすっかり消えていた
加蓮(ボット)「プレイヤーは18名しかいないのは知ってるでしょ?アンタは選ばれたんだから頑張らなきゃ」
ボットがこっちに手を差し出す
加蓮「・・・はは、こっちは別に怠けるつもりなんてなかったし、」
加蓮はそれを掴んで起き上がった
加蓮(ボット)「どう?アタシの殺る気満々の演技、楽しんでくれた?」
加蓮「・・・とんだチュートリアルよ、ほんと」
加蓮(ボット)「まーた『努力とか根性とか気合とかそーゆーのキャラじゃないんだよね?』なんて言ったら怒るからね。やるからには勝ってよ?」
加蓮「わかった、この空間に来れなかった人たちの分も、アタシのそっくりさんの分も頑張るよ」
加蓮(ボット)「・・・・・・じゃ、そういうことで!えっとじゃあこれ上げるね」
ボットが右手に構えたリボルバーをひょいっと持ち上げる
加蓮「ありがと、あーどうせソレもらうんだったら無駄に弾撃たせるんじゃなかったな」
加蓮(ボット)「ごめんね?、ストックも使ったからもうこれ6発しか残ってないや」
加蓮「いいよ、まずは自分でここらへん探索して弾丸さがすし、じゃあ頂戴」
加蓮はこの世界の攻略にあたって武器調達という行動目標を立てる
まずはボットから受け取るところから始めよう
加蓮(ボット)「・・・・・・・・うーん、その事なんだけど」
加蓮「?」
加蓮(ボット)「ボットの持ち物を受け取る時って」
リボルバーの引き金に指をかける
加蓮(ボット)「ボットが消えないといけないんだよね」
加蓮「・・・・・・え?」
銃を頭の高さに持ち上げる
加蓮(ボット)「・・・やるからにはちゃんと期待には応えてよ?」
銃口を自分のこめかみに当てる
自分のオリジナルが驚いた表情でこっちを見ている
加蓮(ボット)「ってことで、餞別代わりに、もう一発もらっていくね」
引き金を絞る
ゲーム開始10分経過
北条加蓮(ボット)消失
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チャプター
小関麗奈
全プレイヤー中最も早く能力を獲得した双葉杏
全プレイヤー中最もこのゲームに真剣な北条加蓮
全プレイヤー中最もこの企画の成功を望む佐久間まゆ
小関麗奈「・・・・・・納得いかないわ!」
そしてこの少女、小関麗奈もまた全プレイヤー中で、ある最速記録を打ち立てていた。
麗奈「・・・・・・・・なんだか、このアタシが馬鹿にされたような気がするのよ!」
それはチュートリアルのクリアタイム
麗奈は全プレイヤー中最も早くに練習用ボットを撃破していたのだ
その割に彼女の表情は浮かない、誰も周りにいないから誰に怒りをぶつけていいのかわからない、そういう顔だ
それもこれも自分ソックリのボットが悪い
ゲーム開始地点、自分は商店街のようなところにいた。
それで晶葉からの大音量のスピーチを聞き流しながらシャッターで閉じられた店を何件か横切りながら散策を開始したところでやつが現れたのだ
思い返すたびになんだか複雑である
最後にもういっかいさっきの光景を回想する。もしかしたらなにかの間違いだったかもしれないし。
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回想
麗奈「ふーん、よくできてるじゃない・・・」
バッ!!
麗奈「!?」
小関麗奈(ボット)「アーッハッハッハッハ!!隙アリよオリジナル!!喰らいなさい!!レイナサマスペシャルバズーカ!!」
ボフッ!
麗奈(ボット)「な!?失敗ですって!?デジタルで!?晶葉のヤツ!このアタシを騙し」
ボンッ!!!!
麗奈(ボット)「ご、誤爆・・・」
ドサッ
シュウウウウ.........
麗奈「えっ」
ゲーム開始3分経過
小関麗奈(ボット)消失
麗奈「えっ」
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回想終了
麗奈「ムッキーーーーー!!!間違いないわ!!これアタシが失敗続きの小悪党みたいじゃない!!!」
その場で地団駄を踏む。
鏡映しの姿だった分、まるで自分の失敗を見せつけられたようだった
ちなみにボットは現れた場所で倒れたあと役たたずのバズーカを残して霧が晴れるように消えていった
しばらく地面に鬱憤を晴らしたあと麗奈はとりあえずやることがないので探索をはじめた。
シャッターの居並ぶ店の列を駆け抜けていく
麗奈「あっ!!アンタ!」
??「・・・おや」
画像ありがとうございます
麗奈は前方に人影を見つけ、その人影も声でこちらに気づいたらしく顔をこっちに向けた
その人影は商店街の出口に当たる、店の途切れたあたりに身を隠し、そのむこう、市街地を覗いているようだった。
麗奈「アンタ!ボットじゃないでしょうね!!」
彼我の距離5mほどで麗奈は足に急ブレーキをかけると相手を牽制した
??「落ち着いてください麗奈、私にはボットであることを示すバッジがついてないでしょう?私はプレイヤーであります!」
麗奈「バッジ?なによそれ」
??「どうやらボット専用の装備らしく、それを見ればプレイヤーとの区別がつくそうなのであります」
麗奈「はん! ア、アタシは自分のボットなんて瞬殺したのよ!だ、だからそんなの見る暇なんてなかったわ!!」
??「ほう!それは凄い!麗奈は戦闘のセンスもあったのですね」
麗奈「・・・ふふん、ま、まあね!アタシにかかれば余裕よ!で、アンタはどうだったのよ亜季」
大和亜季「私でありますか?私はついさっきようやく倒したところであります」
ゲーム開始6分経過
大和亜季(ボット)消失
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商店街
麗奈「で、あんたは何をコソコソしているわけよ・・・」
亜季「麗奈、もう少し声を抑えてください・・・」
亜季「実はこの商店街をもう少し調べてみようと思いまして、周りに敵のボットが近づいてきていないか確認しているところだったのであります・・・」
麗奈「調べる?でもここほとんどシャッターしまってるだけよ・・・?」
現在麗奈は亜季と一緒に壁に張り付くように立って声を潜めてしゃべっている
一応、亜季の姿勢に合わせたのである。下手に騒いでボットが来てもこちらは丸腰なのだから
亜季「いえ、麗奈は気づいてないようですがいくつかの店のシャッターは鍵が掛かっていなかったのであります・・・」
麗奈「じゃあその時点で調べに入ったらいいじゃないの・・・」
亜季「・・・そう思ったところでチュートリアルが始まり、自分のボットと戦う羽目になったのであります」
麗奈「あー、それで倒したはいいけど物音に誰かが寄って来てないか確かめてたってわけね」
亜季「察しがよくて助かるであります麗奈」
ヒソヒソ話の間も亜季の目線は遠くをにらみ警戒を怠らない
さすがサバゲーを趣味にしているだけある、この手の模擬実戦などお手の物なのだろう
麗奈「・・・・・・・・・」
亜季「ふむ・・・特に敵影は見当たらないでありますな、では私は探索作業に移らせてもらうであります」
亜季「そういえば麗奈はこの後どうされますか?」
麗奈「・・・・・・・・・アタシもついていくわ」
亜季「おお!・・・それはありがたい!やはりこういう場所では集団が基本でありますからな!」
麗奈「ま、まあアンタはこういうの得意そうだし?精々アタシが利用してあげるわ!!アーッハッハッハ!!」
そういう下心のようなものは普通口に出さないものなのだが、
麗奈は悪党ぶる割にはこういうところが素直だった。
亜季「ふふっ、ではこれで我々はバディでありますな!」
麗奈「いやアイドルなんだからそこはコンビかユニットでしょ!?」
亜季「むむむ・・・そうでありますか」
麗奈「そうに決まってんじゃないの、これだから」
ポン
______________
小関麗奈 100/100
『ユニットを組む』
______________
ポン
______________
大和亜季 100/100
『ユニットを組む』
______________
麗奈「わっ!?」
亜季「!?」
何の前触れもなく目の前に四角いボード、まるで空中に浮かぶ電光掲示板のようなものが現れた
思わず麗奈の喉から声が飛び出す
亜季も一瞬虚を突かれたが、こっちはすぐに気を取り直した
そのボードはなんの支柱もないにもかかわらず蝶か風船のように空中に停止している
こういう非現実な現象に驚いてしまうあたり、未だにここがなんでもアリの仮想空間だとしっかり理解できていなかったのだろう
麗奈「なによこれ?アタシの名前と・・・何かの点数かしら?」
亜季「それにこのユニットを組む、の文字、どうやらタッチパネルのようでありますな。押してみましょうか?」
麗奈「これ触っちゃっていいの!?罠かもしれないわよ?」
亜季「いえ、この近くに敵影は確認できませんでした、おそらくこれはこのゲームの機能なのでしょう」
亜季「・・・・・・もしかしたら麗奈が口にした『ユニット』の単語がキーだったかもしれませんな」
二人のちょうど目の高さのところをふわふわと漂う謎の物体について亜季が推測を述べる
麗奈「・・・じゃあこれを使えばアンタと正式なユニットになるわけね。」
麗奈が睨めどもボードは答えない。ただ彼女の視界に浮いているだけだ
亜季「・・・もし不安であればコレは捨て置いても良いのでは?別にこんなものなくとも行動を共にすることに支障は出ないでしょう」
麗奈「いいわよ!いずれ世界を征服することになるこのアタシが!よくわからない、なんて理由で逃げ出すわけには行かないわ!!」
目の前のボードのパネルに親指を強く押し付けると『ユニットを組む』の文字が点滅した
表示が変わる
___________
小関麗奈 100/100
『 O K 』
___________
二人で黙って麗奈のボードを眺める
静寂
麗奈「・・・・・・・・・・・・・・」
麗奈「・・・ふ、ふん!ほら見なさい亜季!何も起きないわ!」
どうやら危険なものではなかったらしい
亜季「ふふ、麗奈の剛毅果断、しかと見届けたであります」
続いて亜季も同様にパネル部分を軽くつつくようにタッチした
_____________
大和亜季 100/100
『 O K 』
_____________
ポン
_____________
小関麗奈 200/200
ユニットメンバー
・大和亜季
・
_____________
_____________
大和亜季 200/200
ユニットメンバー
・小関麗奈
・
_____________
麗奈「今度は何?アタシのに亜季の名前が入ってるわよ?」
亜季「こちらも同様に麗奈の名が刻まれたであります。それに横の数字が増えたでありますな」
ふたりがそれぞれのパネルを押したあとボードの表面が揺らめいたと思った瞬間、表示が変わっていた。
麗奈「これは、亜季が仲間になったってことよね?で、この増えた数字は何かしら?」
亜季「・・・・・・おそらくスタミナ、でしょうな・・・」
麗奈「スタミナ?」
亜季「確かここに来てすぐ、晶葉のスピーチ内容にあったであります、我々には初期値100%でスタミナが与えられており、0でゲームオーバーだと」
麗奈「ああ、アレね。じゃ、ラッキーじゃない、アタシたちはそのスタミナが倍になったんだから!」
亜季「その通りでありますな!ユニットを組んだ特典でありましょうか?」
麗奈「そうに決まってるわ! アーッハッハ!このラッキーをレイナサマに感謝なさい!!」
どうなるかと思われたゲームにも光明が差してきたのを感じる
麗奈はいつもの、憎たらしくも憎めない笑みでビシッと亜季に手を差し出す
麗奈「頼んだわよ!レイナサマのためにしっかり働きなさい!亜季!」
亜季「素直じゃないでありますなぁ・・・」
亜季は差し出された手をしっかり握り返した。
小関麗奈 大和亜希
全プレイヤー中最も早くユニットを結成したアイドルである
ゲーム開始11分経過
小関麗奈 大和亜希 ユニット結成
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チャプター
大和亜季 小関麗奈
商店街のある店の中
ガララララ・・・
亜季「ほらこの通り、空いているであります」
麗奈「ホントね、じゃあ武器でも探すわよ」
二人は閉じられたシャッターのうちの一つを開けると中へ踏み込んだ
亜季が見つけた鍵のかかっていないシャッターの一つであり、調査対象だ。
だがその一件目に入ってみて二人は若干、落胆の色を顔に表す
中の物を引き払ったのか、そもそもこの仮想空間内ではそこまで作りこまれてなかったのか、目に付く範囲では何もなかった。
コンクリートの打ちっぱなしの冷たい壁と地面があるだけである。
麗奈「・・・これはハズレね、次行きましょ亜季」
亜季「いえ、この商店は二階建て、奥にはまだ何かあるかもしれませんよ」
亜季が示したとおり、照明のない薄暗い店内の奥にはうっすらと階段らしきシルエットがあった
麗奈「でもかなり暗いわよ?ここ電気つくの?」
亜季「いえ、電気は点けません、シャッターも閉めましょう。もしボットが来たら我々の侵入の痕跡を追ってくるかもしれません」
麗奈「手探りで進むってこと?」
亜季「大丈夫であります。ここはそれほど広くはありませんし、迷子になるような場所ではないでしょう」
麗奈「それもそうね、それに二階には窓もあったし、亜季、行きましょ」
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~~~~~~~~~~~~~~~~~
二階
二階に上がった二人はまたも、だだっ広いだけの空間に着いた
壁や仕切りのたぐいもなく、二回の隅から隅まで見とおせる間取りだ
よく考えたら柱すらも見当たらない。
ただ一階との違いといえば二階は空っぽではなかったということか
麗奈「・・・なにこれ、段ボール箱だらけじゃない」
亜季「ふむまるで物置のようですな。麗奈、ここは二手に分かれて調べましょうか」
二階の特徴、それは床を埋め尽くさんばかりのダンボール箱の数だった
すでに足の踏み場もなくなりそうで、床が多々見なのかフローリングなのかもよく見ないとわからない
もしかしてこの建物の持ち主は引っ越してきたところだったのだろうか
麗奈「(いやよく考えたら仮想現実に引越しなんてないわね)」
亜季「では私は奥の方の箱から開けていきますので、麗奈は向こう、窓際近くに積まれたものから順に開けていってください」
麗奈「!ええ、わかったわ、任せなさい!」
かくして分担で探索作業が始まった
といっても互いの姿が目視で確認できる程度にしか離れていないが
麗奈「これは・・・空っぽ、これも空っぽ・・・」
亜季「これは、ふむ・・・振っても中から音はしませんな、空と・・・」
亜季「これも空、これも空・・・これも多分空っと」
麗奈「開けた箱はむこうに投げ飛げとばしてやるわ!」
亜季「これは、、少し重たいですな。開けてみましょう」
亜季「こっちはまたハズレですかー・・・」
麗奈「あら、これは・・・なんかの弾丸ね、銃がないと意味がないじゃない、銃もどっかにあるわよね」
各々が与えられた場所で手の付けられるところから箱を開けていく
亜季「これは・・・ハンドガン!ですが見たことない型のものですな、」
亜季「こっちのはまたハズレ・・・」
麗奈「これは、また銃弾なの?でもこの弾えらくでかいわね、ショットガンとかグレネードとかそのへんの弾かしら?」
亜季「むむ、空箱が偏りましたな、ちょっとむこうにどけて、と」
亜季「ふーむ、これも空っぽですな」
ちらほらと武器らしきアイテムは手に入るが銃弾だけであったり小さいハンドガン一丁だったりと成果は芳しくない。
麗奈「・・・?なにかしら、箱に下敷きにされた箱が・・・」
積まれた箱をいくつも動かしているうちに、それらにうもれていた少し細長い箱を見つけた
麗奈はその端をつかみ思いっきり引っ張った
だがそんなに力を入れずともその箱の上に乗っていたダンボール箱はどれも空だったようで、意外と簡単に引っこ抜けた
麗奈「うわっ!!」
むしろ余計に力んだ反動で麗奈のほうがすっ転んでしまった
亜季「麗奈?大丈夫でありますか!?」
亜季「!?」
離れたところで作業をしていた亜季が振り返る
麗奈はその上半身が箱の山にうもれていた。怪我はないようだ
麗奈「・・・問題ないわ!ちょっと転んだだけ・・・」
ここで麗奈は自分の手が硬い感触のものに触れていることに気づいた
麗奈「・・・・・・?」
起き上がるより前に手に掴んだそれを引き寄せる
ハンドガンなんてものじゃない、詳しい名称は分からないが確かショットガンがこんな形状だったはず!!
麗奈「!!」
ずしりと手に重い戦力の塊、ゲーム攻略への大きな一歩、麗奈は仮想とはいえ本物に近い銃を手にし気分が高揚するのを感じた
ガバッ!!
箱の山から飛び起きる
麗奈「やったわ見なさい亜季!!ショットガンよ!!」
13歳の身にはやや重すぎるそれを両手で胸元に抱えながら叫ぶ
亜季「おおっ!!本当でありますか!」
亜季「やりましたね!」
ミリタリーオタクの亜季もそれにすかさず反応した
麗奈も満面の笑みで亜季の方に駆け寄る
では作業の休憩がてら手に入れたアイテムでも確認しようか、そうなりそうな流れだった
だが
もっと大事なことがある
無視してはいけないことだ
麗奈も亜季も
この状況をまるで物語のように天から眺めている人物がいたとしたら、その人も
「それ」を無視してはいけなかった
見過ごしてはいけなかった
麗奈の声に応じて作業を中断して互いに向き合う
亜季「おおっ!ショットガンですな、少し手にとって見せてもらって構いませんか?」
亜季「しかしえらく大型のものなのですね」
気付け
誰か
麗奈「あれ?亜季」
亜季「?」
亜季「なんでありますか?」
麗奈「なんでアンタ二人いるの?」
気付いた
~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~
亜季「!!?!??!?」
亜季「・・・・・・・・・・」
ダンボールに満ちた部屋、それぞれ部屋の端から互いに向き合っている
”三人”が互いに互いを見ている
麗奈「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!亜季!!あんた自分のボットは倒したんじゃないの!!」
亜季「た、確かに倒しました!!私の軍隊式格闘術は本物であります!!」
麗奈「う、うるさいわね!偽物は黙ってなさい!!」
亜季「そ、そんな!?」
窓際に麗奈
その反対側の壁際に亜季
その間、部屋の中央付近でもダンボール箱の中身を調べている亜季がいた
しかしそのどちらも胸元に赤く光るバッジがついてないのだ
同じ人間がいるにはこの仮想空間に限っては練習用ボットしかありえない
麗奈「あー、もう!!なんなのよ」
頭をかきむしる、二人の亜季は全く同じ姿
バッジもない、まるで矛盾している、バグでも起きたのか?
三人は互いを見張るようにその場に立ったまま動けない
亜季「麗奈!私が本物です!!」
亜季「いや何を言う!私の方こそ!!!」
焦りを含んだ大声が余計に場の混乱を加速させる
どうして気づかなかったのか、全員が自分の手元にばかり集中していたからだ
そこで二人の亜季のうちの一人が思いついたように声を上げた
亜季「!!そうだ麗奈!!これを見てください!!」
麗奈「なによ!!変なもんだったら撃つわよ!!」
亜季「ユニットであります!!」
麗奈「!!ユニット!?」
ポン
二枚のボードが空中に浮かんだ
_____________
小関麗奈 200/200
ユニットメンバー
・大和亜季
・
_____________
_____________
大和亜季 200/200
ユニットメンバー
・小関麗奈
・
_____________
そのボードは二人の目の高さ、それぞれ二人のすぐそばで浮いている
つまり
亜季「これでわかってもらえましたか?」
麗奈「う、うん・・・ごめん、怒鳴って、あんたが本物ね」
亜季「いえ、こちらも取り乱し、対応が遅れましたのでおあいこです
亜季?「・・・・・・・・・・」
麗奈「で、アンタは誰よ?」
亜季「いつの間に我々に紛れ込んでいたでありますか・・・!」
壁際から、作業をすすめながら移動し、部屋の中央を探っていた亜季と
窓際でショットガンを見つけた麗奈が
壁際にいた亜季を睨む
亜季?「・・・・・・・・・・・・・・・」
亜季?「・・・まーさか、こんな早くユニット組んでるのがいるなんて思うわけないじゃん」
亜季?「ごめんごめーん ちょっとしたイタズラのつもりだったんだよ」
亜季?「でも仕方ないでしょ、ほらーなんだっけ?こういう言葉があるでしょ」
塩見周子(ボット)「あやかし狐は人を化かすって♪」
ゲーム開始18分経過
小関麗奈&大和亜季VS塩見周子(ボット)
開始
??????????
135 : ◆ecZBoTY/6E - 2014/03/06 01:11:22.26 ca0kvRtDO 114/1677???????????????
数分遅れたけど麗奈ちゃん誕生日おめでとう!
次回開始するチャプターを選択してください
安価+3下
1、渋谷凛
2、双葉杏
3、小関麗奈&大和亜季
画像 コメントありがとうございました
138 : 以下、2... - 2014/03/06 01:19:43.27 CB9d3f73o 115/1677しぶりん!
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チャプター
渋谷凛
他人の家の引き出しは下から開けろ
深夜の建物は屋上から侵入せよ
時間の無駄を省くために必要な泥棒の基礎的なスキルに確かそういうのがあると聞いたことがある
たしか早苗さんから聞いたっけ
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片桐早苗「例えばタンスの引き出しの一番上の段を開けるとするでしょ?」
早苗「で、そこを物色したあとその一つ下の段を調べようとすると上の段が邪魔になるから逐一閉めなきゃダメよね?」
早苗「開けて閉めて開けて閉めて・・・これすっごい時間の無駄。空き巣のプロは下から順にパッパと開けていく、そしたら引き出しの上に邪魔になるものはないし」
早苗「で、盗るもの盗ったら開いた引き出しはまとめて押し込む!・・・ほら閉める動作は一回で済んじゃった。」
早苗「建物の場合は単に一階から壁をよじ登るよりも屋上から一つ下の階のベランダやテラスに飛び移るほうが簡単ってだけの話。」
早苗「あとは・・・上の階の部屋から順番に盗みに入っていけば、全部の部屋を見たあとに一階からすぐ逃げられるってことかな?」
早苗「んー、でも・・・ひとつの建物の全部屋をさらうような肝の据わった泥棒なんか滅多にいなかったわよ?」
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
都市中心付近 ある巨大ビル 一階
そんな記憶を思い出しながら、
凛は見たところ、ここらで一番大きく高いビルに入るとまずは最上階を目指すことにした
エレベーターのパネル盤に大量に並んだボタンの中で(24)と書かれたボタンを押す
ボタンの中で24が一番大きな数字だ
移動する密室の中で凛は自分の取るべき行動を整理する
凛「(自分のボットを倒して以降、今のところほかのボットには接触していない。)」
凛「(というか接触自体を私の方から避けている)」
凛「(私が掴んだ情報といえばボットはバッジをつけていること、あと通常武器の銃は既に誰かが使い始めていること)」
凛「(かなり離れた場所からだけど何度も銃声を聞いた、・・・パン、パンっていう短いのと、ターン・・・って感じの、多分遠距離狙撃の銃声かな)」
凛「(多分私は出遅れている。みんなはもう武器を手に戦い始めてるんだ。)」
凛「(それに能力。それも気になる、もう誰か手に入れたのかな)」
凛「(だからまずはこの建物を上から下まで調べ尽くす。こんなに大きいならきっといい武器が見つかる・・・はず)」
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンンン・・・
凛を入れた巨大な機械の箱の上昇がとまった。
目的の階に到着したのだろう。
下準備も含めて、凛の孤独な戦いが始まる、
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同ビル 一階
???「・・・・・・24階、ですか」
???「では私たちはその一つ下の23階に行き、階段で24階にこっそり上がります」
???「凛さんには悪いですが、私たちにも目的というものがあります」
???「皆さん、行きますよ。凛さんがまだ丸腰のうちに」
泥棒は上から物色を始め、
強盗は下から追いかけてくる
一階からは逃げられても
空でも飛べなければ屋上から逃げる術はない
渋谷凛、彼女の戦いは背水の陣から始められた
~~~~~~~~~~~~~~~
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チャプター
神谷奈緒
町外れ 高台
本人たちは知る由もないが奈緒が転送されたのは凛のいる、都市の中心からは少し離れていた
奈緒「ふう、ようやく、着いたか・・・」
周りにあったのは駐車場や鍵のかかった住宅ばかり、挙句メイド服の自分を倒したあとはボットからなんの接触もなし
都市の喧騒というのが仮想空間にもあるのかは知らないが、自分の周りは静かすぎた。
戦闘が起きないのはいいことかもしれないが、だからと言って武器も手に入れられずにフラフラとはしてられない
奈緒「ここは周りより標高が高そうだな、遠くがよく見渡せる。」
奈緒はしかし変に都心に向かうより高所を目指した
彼女が今歩いているのは山沿いの道路である
眼下には背の低い建物が居並び、遠くには背の高いビルが見える
奈緒「・・・ここら辺かな」
アスファルトで舗装された勾配の急な道路を登っていく
奈緒「拓海がツーリングで来てる山とかがこういう感じの道なんだろうな・・・歩きはキツい」
どうせ車なんて来ないが、ガードレール付近を歩く。
左手には都市風景、ただしガードレールの向こうは小さな崖、足を滑らせると登るのがめんどくさそうだ
奈緒「・・・・・・ん?」
歩きながら遠くの街を何気なく観察する。
その視界の中の街に人影が見えた。だれかの背中だ
奈緒「・・・・・・加蓮?」
幸運なことに高低差はあれど、距離としては100mほどしか離れていない。
だから見覚えのある髪色、髪型、服装にも気づけた
あの変な電車の中で自分の隣に座っていた人間だ。
正直なところ仮に誰かと会ってもそれがボットだったらどうしようかと不安だったが
加蓮は自分と同じプレイヤーだ。
チュートリアルもそろそろ終わっただろうし、加蓮もおそらく練習用ボットは倒しただろう
奈緒「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!」
奈緒「かれーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!」
最初に見つけた相手が味方だったことに喜びを隠さず大きく呼びかける
めぼしい目印を見つけたら山を降りて向かおうとしていたが、自分はラッキーだった
意外と近くに加蓮を見つけられた。
奈緒「こっちだぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
声よ届けとばかりに叫ぶ。仮想空間なら喉も傷めない
それに都会にはあるまじき静寂なのだ、これだけ声を上げればなにか聞こえるだろう
加蓮「 」ン?
加蓮「 」キョロキョロ
その証拠に離れた位置の加蓮もなにかに反応したように周りを見渡している
ここからは遠くて見えないが右手に何か持っているらしく、それを構え直していた
ただ、何かの声が聞こえるがその出処がわからないらしい。こっちには気づいていない
奈緒「やべっ、まずこっちを向かせねえとな」
やっと誰かとコンタクトできそうなんだ。この機会を逃したら広い都会ステージで迷子になってしまう
奈緒「・・・・・・すうぅーーーー......」
奈緒はもっと大声で呼びかけるため肺いっぱいに息を吸った
奈緒「(もっと大きな声で!!いくぞ!!)」
奈緒「かぁーーーーーーーーー!!!れぇーーーー
奈緒「 」
奈緒「 」
奈緒「 !?」
奈緒の声が出ない
声が出ない
音が出ない
喉は震えている、舌は動いている、歯に自分の吐いた息があたっている
だが自分の耳に自分の声が聞こえていない
まさか自分の耳がおかしくなったのか!?
奈緒「 !? !? !? 」
慌てて両手で耳に触れる、
なんともない、
ゴソゴソと ガサガサと
自分の指が耳朶とぶつかる音が聞こえている
耳ではない、声だ、やはり声が出ていなかった
奈緒「 」
奈緒「 ぷはっ!!」
奈緒「戻った!? なんだ今の!?」
????「......奈緒さんの声、...混乱、そして恐怖の音、です」
奈緒「うえっ!!?」
????「......すいません、怖がらせてしまいましたね,,,」
????「...でも...仲間を呼ばれると困るので......少しだけ...先程のあなたの声をいただきました」
????「驚き、安堵、期待、......そして大きな喜び、...あまりに暖かく、安心できる旋律に...奪うのを躊躇いそうになりました......」
奈緒「声を・・・奪う?」
いつの間にか奈緒の後ろ、道路を挟んだ反対側に彼女はいた。
敵、と表現するには穏やかな雰囲気をまとわせすぎている
しかし、スラリと伸びた細身の長身には、あの赤いバッジがつけられていた
????「......積極的に危害を加えるつもりは...私にはありません...」
????「......ただ、貴方たちにユニットを組ませるわけにはいかない......」
梅木音葉(ボット)「......それだけは...阻止させてもらいます......全力で」
ゲーム開始20分経過
神谷奈緒VS梅木音葉(ボット)
開始
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
三好紗南
あたしのゲーム機は赤外線の受信機能みたいに、上の方についた端末みたいなパーツをアイドルに向けるとデータを受信し始めるみたい
もし一人のアイドルに向けている途中に、別のアイドルに端末を向けると一人目のデータより二人目、つまり最新のデータの方を優先して受信するらしい
で、あとは次のアイドルのデータを受信するまで画面はそのまま最後に受信したデータを表示し続ける
___________________
name: 上条春菜
category: ボット
skill:
メガネを通してスコープのように遠
方を詳細に視認可能。副次的効果と
して遠距離攻撃の命中精度が飛躍的
に上昇する
____________________
あたしの手元から離れて地面を滑っていったゲーム機に映った情報にはそうあった
遠距離攻撃
これって狙撃・・・だよね
あたしは今、フロア中に設置された筐体の一つに体を隠している
左腕がビリビリしてる、
ずっと正座した後に足がこんな感じになったっけ
あれの百倍くらい
ゲームの画面が切り替わった瞬間、
近くにボットが隠れてたのかと思って背後を振り向いた
そのせいで体が動いたからかな?
弾丸 見えなかったけど、たぶんそう
なにかすごく早いものがあたしの頬を掠って左腕の肉付きの薄い二の腕を貫いた
ゲーム機は無事だったけど飛んでいった
あたしは隠れた
その後にターーーンって発砲音が聞こえてきたんだ
だから狙撃ってわかった
窓ガラスは、というかこのビルは壁面が一面ガラス張りだった
だから外からはこのビルの中は外から丸見えなんだ
いや、普通ガラスの反射があるんだろうけど
それでも弾を当ててきたんだし、ガラスの反射なんかでターゲットを見失ったりはしないのかも
それに分かる
もしも、今隠れている筐体からあたしが出ようとしたら次は頭を狙われる
だって分かるもん
今あたしを狙ってる相手、
ゲーム機によれば春菜さんのボットらしいけど
その視線が分かる
背後には誰もいなかった
でも遠く離れた場所からは狙われていた
その視線を今更感じてる
背の小さいあたしにとっては十分大きかった筐体
今、あたしの命を守るバリケードとしてはとっても小さく感じた
ゲームだからかな、腕はしびれるけど痛くはない
でもあたし、今ものすごく怖がってる
_____________
三好紗南+ 80/100
_____________
ゲーム開始15分経過
三好紗南VS上条春菜(ボット)
膠着状態継続中
~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チャプター
小日向美穂
やあ!
ぼくのなまえはプロデューサーくん!
なまえからは想像できないかもしれないけどくまさんだよ!
よろしくね!
このなまえはとっても気に入ってるんだ!
だってぼくのご主人タマの美穂ちゃんがつけてくれたんだもん!
ビルの窓ガラスにはふわふわの白いくまがうつっているよ
ぼくのこのやわっこいからだをギュっとだきしめると美穂ちゃんはよく眠れるんだって!
それにしても一体ここはどこなんだろう?
まわりにはとっても大きいビルばっかりだよ
ぼくの体は小さいからビルの一番てっぺんをみようとおもっても上を見ていくうちに転んじゃうんだ...
やっぱり戻ったほうがいいのかな?
だめだよ!
いちどしゅっぱつしたからには何もせずに帰るのはダメ!
美穂ちゃんのおともだちがいるところまでぜったいにたどり着いてみせるんだ!
きをとりなおして
しゅっぱつしんこう!
うーん、でもこのぬいぐるみの足は歩きにくいなぁ・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ビル街
ぽっふ ぽっふ ぽっふ
このあしおとはぼくが自分でかんがえたんだよ
綿の詰まっただけの体じゃあしおとなんかしないからね
美穂ちゃんのおともだち、仁奈ちゃんって子がきぐるみをで歩くとこんな音がするんだ
ちょっとまねさせてもらったけどゆるしてね
・・・!・・・・「・・・・」・!・・・
おや? 誰かの声がするよ?
あっちのほうだ!
美穂ちゃんのおともだちだったらいいな!
ぽっふ ぽっふ ぽっふ!!
やっと着いたよ!
このほそい道の先から声がきこえたんだよね?
こーんにーちはー♪
プロデューサーくんでーす
まゆ「・・・うふふ・・・・・・・・・・・・これで倒したボットは三体、いえ三人目、ですかねぇ・・・」
まゆ「そういえば・・・チュートリアルの分は・・・・・・含めるのかしらぁ・・・?」
ほうちょうもってなにしてるのまゆちゃん
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
美穂の独白
小日向美穂「(お昼寝から覚めたと思ったら目の前に自分がいた)」
美穂「(私のボット?とかいうらしいんだけど、その子は私と戦わないといけないらしい)」
美穂「(すごく申し訳なかったけど、それが役目らしいので私はなるべく痛くないようにあの子を叩いた)」
美穂「(私ソックリのあの子は、『それじゃだめだよ でもやっぱり私のオリジナルだね』と言って消えていった)」
美穂「(そのあと、私が寝ていたのが病院みたいな施設の屋上だったらしくて、下に降りる途中、ある病室ベッドに置かれていたあるものに気づいた)」
美穂「(プロデューサーくん、お見舞いの品みたいに、ベッドの上に置かれていた)」
美穂「(おもわずギュっとしたら、えっと・・・そう、ぴろん?ぴこん?・・・・・・そんな音がしたんだ)」
美穂「(そしたら私はいつの間にかプロデューサーくんに”なっていた”)」
美穂「(吸い込まれたみたいな感覚がしたあと、私の体も視界もあの白くてふわふわのプロデューサーくんになっていた)」
美穂「(よくわからなかったけど、いろいろ試してみたら元に戻れた。でも折角だから着ぐるみみたいな気分を満喫することにしたんだ)」
美穂「(ついでに、家でこっそり書き溜めてた『もしもプロデューサーくんが喋ったら言って欲しい言葉リスト』も実行してみた)」
美穂「(すごく楽しかったから、そのままのキャラで散歩に出たんだ___)」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
美穂(プロデューサーくん)「・・・・・・」
まゆ「・・・・・・・・・あら、ぬいぐるみ・・・?」
私はその場で倒れたまま動かなかった
たしか・・・オモチャたちが主人公の映画では、人間に見つかるとこうやって動かないふりをするんだよね
ホントはまゆちゃんに話しかけたかったけど何故かそれを思いとどまってしまった
まゆちゃんはリボンやヒラヒラした服がとっても似合う優しくていい子
しかも家庭的な面もすごい、だから調理道具を持って台所に立つ姿もサマになっていた
バレンタインチョコを作った時、チョコを切るために包丁の使い方も何度も教えてもらったなぁ......
その包丁が、今まゆちゃんの右手に逆手に持たれている
まゆちゃん、そんな持ち方は危ないよ?
まゆ「・・・このデザインは・・・美穂さんのものと似てますねぇ・・・」
まゆ「・・・・・・・・・・・・・・・確か”プロデューサーくん”でしたっけぇ?」
まゆ「・・・・・・素敵な名前ですねぇ・・・うふ」
逆手にもたれた包丁と反対の手には、なんだろ?ビルの間は暗くてよく見えないけど黒っぽい何かを握ってた
まゆちゃんはその手の黒っぽいのを服の、体の周りを覆うように巻かれているデザインのリボンの間に挟んだ
なんだか西部劇とかでガンマンがピストルをああいう風に腰に巻いたベルトにしまってたなぁ・・・
そんなことしたら服が歪んじゃうんじゃないかなぁ?
まゆ「美穂さんがプレイヤーかボットかは、まゆは知らないですけど・・・もしプレイヤーなら、プレゼントするのも・・・まぁ悪くないですかねぇ」
まゆ「・・・もしかしたらこれが美穂さんのキーアイテムの可能性もあるわけですし、能力を使える人は多いほうがいいでしょう・・・」
キーアイテム? 能力?
なんのことだろ・・・
もしかしてこのくまさんモードのことかな?
まゆちゃんは自分の考えを整理してたみたいに独り言を喋ったあと、こっちに歩いてきた
シルエットになっていたまゆちゃんが徐々に明るい部分に踏み込んでくる
まゆ「・・・・・・もしそうじゃなくても、
お腹をかっさばいて、中の綿をくり抜いて、弾のマガジンケースにもできますしぃ・・・」
美穂(プロデューサーくん)「ひっ!?」
まゆちゃんの可愛らしい服
リボンが巻かれた可愛い服
その全てのリボンの部分に数え切れないほどの包丁やナイフ、そしてピストルが挟み込まれていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
182 : ◆ecZBoTY/6E - 2014/03/07 01:10:36.83 TGu3gT3iO 149/1677プレイヤー
Cu まゆ 杏 美穂 ? ? ?
Co 凛 奈緒 加蓮 亜季 ? ?
Pa 紗南 麗奈 ? ? ? ?
通常ボット
Cu +α
Co 春菜 周子 音葉 +α
Pa +α
Unknown
まゆに倒された三人
次回、開始するチャプターを選択してください
安価+3下
1、北条加蓮
2、堀裕子
3、小日向美穂
次回、優先して閲覧したい戦闘シーンを選択してください
安価+4下
4、VS塩見周子
5、VS上条春菜
6、VS梅木音葉
Another World
(安価+6までに過半数の投票で閲覧可能。別の安価との同時投票も有効)
7、池袋晶葉&一ノ瀬志希
画像、コメントありがとうございました
183 : 以下、2... - 2014/03/07 01:12:11.04 ZqzKcXw30 150/16771
7
184 : 以下、2... - 2014/03/07 02:28:54.30 p8MaqZPf0 151/16772
7
185 : 以下、2... - 2014/03/07 02:43:21.29 c1ybm8p80 152/16771
7
186 : 以下、2... - 2014/03/07 02:46:56.91 exQo+N490 153/16776と7
187 : 以下、2... - 2014/03/07 08:02:28.03 1WgqkLlJo 154/16777見たいね
続き
渋谷凛「アイドルサバイバルin仮想現実」【パート2】