1 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:06:50.02 sV3pFbv90 1/66

前の
乃々「心の声が聞こえるんですけど……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504313285/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/18351436.html

番外編
薫「教会生まれのお姉ちゃんにお礼したい!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507383489/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/19229484.html

寺生まれのPさんとか、ふじともとか、聖ちゃんとか、みくにゃんとか出ます

2 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:07:32.84 sV3pFbv90 2/66

モバP「よし、着いたぞ」

「……ここが今日泊まるとこ?」

モバP「ああ」

みく「……ずいぶんボロッちいにゃ」

「み、みくさん……!」

モバP「まあ、確かにそうだが……」

モバP「料理は美味しいし、露天風呂もあるらしいぞ」

モバP「景色が綺麗で結構評判が良いみたいだ」

「そうなんだ……」

みく「……まあ、みくは部屋が寒くなければなんでもいいけど」

「あ、そっか……みくさんは寒いの苦手なんですよね……」

みく「苦手も苦手、大の苦手にゃ」

みく「……っくしゅん!」

みく「うぅ……とにかく中に入ろ?」

モバP「それもそうだな」

3 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:09:13.63 sV3pFbv90 3/66

モバP「じゃ、俺は手続きしてくるから待っててくれ」

「んー……」

みく「うー……中もちょっと寒いにゃ」

「まあ入り口だし、ちょくちょく冷たい風が入ってくるんでしょ」

みく「……っくしゅん!」

「えっと……カイロ、使いますか?」

みく「使うー」

「じゃあ……どうぞ……」

みく「ありがと……はぁ……」

みく「……部屋にコタツでもあればいいんだけどにゃあ」

「あ、あるみたいよ?」

みく「えっ、そうなの!?」

「うん」

「さっきのプロデューサーの言葉が気になって、ちょっと調べてたの」

「そしたらここのホームページがあって……そこに書いてあったわ、ほら」

「あ、ほんと……」

みく「……ほんとだ」

みく「じゃあちょっとはマシかも……」

「それに、さっきプロデューサーが言ってたことも嘘じゃないみたいだしね」

「みんなその辺を評価してたわ」

みく「へー……」

「どんな料理が出てくるのかな……?」

「ん、えっと――」

「――あ……だ、だめっ!」

「……へ?」

「あの……楽しみにしてたいな……って」

「……ああ、そういうことね」

「ふふ、わかった。秘密にしておくわね」

「ありがとうございます……!」

4 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:09:42.81 sV3pFbv90 4/66

「……あ、そうだ。あと一個、気になる事が書いてたわ」

「気になること?」

「ええ」

「『隣の部屋に誰かが泊まっていたはずなのに、翌日になったら誰もいなくなってた』」

「『従業員に聞いても、誰も泊まっていない、としか言わない』」

「『けれど、確かに誰かがいたはずだ。確かに会ったはずだ』」

「……ってさ」

みく「ふーん」

「幽霊か何かが止まってた……ってことでしょうか?」

「それか、そこにいた全員が誰かにさらわれたってことかしら」

「……でも、従業員が『誰も泊まっていない』って言ったんですよね?」

「そうね……だから、隣の客をさらったのは……」

「……!」

「……なんて、これがホラ話じゃなかったらの話だけどね」

みく「まあなんだっていいにゃ」

みく「みくたちなら大丈夫でしょ?」

「あははっ、間違いないわね」

「……そうですね」

「プロデューサーさんが――」

モバP「――ん、呼んだか?」

「ひゃっ!」

「あ、プロデューサー」

「あんたは頼りになるわねって話をしてたのよ」

モバP「そうか……はは、ありがとな」

モバP「さて、俺たちの部屋に案内してくれるそうだ」

「ええ。こちらへどうぞ」

5 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:10:31.31 sV3pFbv90 5/66

「こちらが、皆様のお部屋になります」

モバP「ありがとうございます」

みく「コタツにゃ! コタツがあるにゃ!」

「みくちゃん、上着くらい脱いで――」

みく「――寒いからいや!」

みく「はぁ……ぬくぬく……」

「もう……」

「ふふ……」

「……さて、夕飯の時間や温泉の時間に関しては先ほどお伝えしたとおりです」

モバP「はい」

「そして。一点だけ……どうしても守って欲しい注意事項が」

「夜間は決して外には出ないでください」

「え……じゃあ、露天風呂もだめなの?」

「……言い換えましょう。夜間は決して敷地外には出ないでください」

「あ……そういうこと……」

みく「恥ずかしいやつにゃ」

「う、うるさいわよっ!」

「ふふ……」

「見ての通り、ここは雪に囲まれています」

「外に出て道を見失ってしまえば、帰ってくることは困難になるでしょう」

「まして、外が吹雪いてしまったときなどは……」

「……」

「……あまりこういう話をすべきではないかもしれませんが」

「過去、この忠告を無視し……そして命を落とした人もいます」

「……」

「……たとえ、外に出るときに天気が荒れていなくても、帰ってくるまでその状態が続くと

は限らないのです」

「ですから……くれぐれも外を出歩かないようにお願いします」

モバP「わかりました」

「ありがとうございます」

「それでは、ごゆるりと」

6 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:11:06.26 sV3pFbv90 6/66

「……夜に出れないんだ」

モバP「どこか行きたかったのか?」

「まあ……ほら、ここってスキー場の近くじゃない?」

モバP「そうだな」

「だから、ナイター営業してるんだったらちょっと滑ってみたいなって思ってたんだけどね」

モバP「あー」

「朋さん、スキー好きなんですか?」

「好き!」

「楽しいし、気持ちいいし、もう最高よね!」

「へー……」

「聖ちゃんは?」

「あ……私、実は滑ったことなくって……」

「そうなんだ……じゃああたしが教えてあげよっか?」

「いいんですか……?」

「うん!」

「みんなにもスキーの面白さ知って欲しいしね!」

「ありがとうございます……!」

「どういたしましてっ!」

7 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:11:55.74 sV3pFbv90 7/66

「みくちゃんもどう?」

みく「行くわけないにゃ」

「あはは……まあそうよね」

みく「みくはこのままコタツと一体になるのにゃ……」

みく「はぁ……ぬくぬくー……」

「……みくつむりですね……ふふ」

みく「それはなんか嫌にゃ」

「ふふ……ね、プロデューサー。明日帰る前に滑って言っても大丈夫?」

モバP「ああ、大丈夫だ」

モバP「明日の撮影が長引かなければ、十分時間はあるはずだ」

「ん、ありがと」

「ってことで、聖ちゃん。明日いっぱい教えてあげるわね」

「はいっ……!」

「ふふ……楽しみ……♪」

8 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:13:01.61 sV3pFbv90 8/66

「あ、そうだ。プロデューサー」

「お風呂の時間と夕飯の時間教えてもらっていい?」

モバP「ああ。風呂は22時までで、夕飯は19時に持ってきてもらうようにした」

「ん、了解……ってことは夕飯までそれなりに時間あるのね」

「なにしてよっかな……」

「私……売店に行きたい……」

「売店?」

「うん……」

「その……ちょっと……」

「……ほんのちょっとだけ……」

「その……お腹空いちゃって」

「……ふふ」

「うぅ……」

「ん、そっか。じゃああたしも着いていくわ」

「いっぱい買って夕飯食べれなくならないように監視しないとだしね」

「そっ、そんなに買わない……!」

「ふふっ♪」

「むぅ……」

「さて、みくちゃんとプロデューサーはどうする?」

みく「みくはいかなーい」

モバP「俺もここにいるよ」

「ん、そっか」

「じゃ、聖ちゃん、行こっか?」

「……」コクッ

「いってきまーす」

「……いってきます」

モバP「ああ、いってらっしゃい」

みく「いってらー」

9 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:13:59.29 sV3pFbv90 9/66

「ねぇ、聖ちゃん」

「……」

「あれ、聖ちゃん?」

「……知りません」プイッ

「あー……ごめんごめん、からかいすぎちゃったわね」

「つーん……」

「……ごめんね、聖ちゃん」

「知りません……」

「朋さんなんか……栄養が全部胸以外に行けばいいんです」

「何よその微妙な呪い!」

「ずっと私より小さいままでいればいいんです……ふふ」

「ちょっと!」

「きゃっ……♪」タッ

「あっ、待ちな――って聖ちゃん、前! 前!」

「へ……」

????「あっ……!」

「え……きゃっ!」バン

????「わっ!」バン

10 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:15:27.20 sV3pFbv90 10/66

「す、すいません……!」

????「アー、大丈夫――」

「大丈夫ですか……?」

????「――」

「あ、あの……?」

????「――ナシェール」ボソッ

「へ……?」

????「あ、ゴメンナサイ。大丈夫です」

????「そちらも、大丈夫ですか?」

「あ、はい……」

「……ごめんなさい。ちょっと余所見してて……」

????「いえいえ……えっと……」

????「貴方……名前は?」

「私ですか……えっと聖です。望月聖」

????「ヒジリ……スヴィトイ……いい名前ですね」

「あ、ありがとうございます……」

アーニャ「私は、アーニャです。よろしくおねがいしますね」

「アーニャさん……うん、よろしく……」

11 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:16:05.43 sV3pFbv90 11/66

アーニャ「それで……ヒジリ?」

アーニャ「廊下は走ったらダメ、ですよ?」

「う……ごめんなさい……」

アーニャ「もうしないですか?」

「はい……」

アーニャ「ダー。それなら、許します」

「聖ちゃん、大丈夫!?」

「あ、朋さん……」

「ごめんなさい、ちょっとはしゃいじゃってて!」

アーニャ「大丈夫です。アーニャ、怪我はないです」

アーニャ「でも、気をつけてください」

「はい……」

「……ごめんね、聖ちゃん」

「いえ、私こそ……ごめんなさい」

アーニャ「ふふ……二人とも反省しているなら、もう心配ない、ですね?」

12 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:17:01.48 sV3pFbv90 12/66

アーニャ「それで、ええと……貴方は?」

「あたし?」

「あたしは朋よ」

アーニャ「トモ?」

「ええ」

アーニャ「んん……ンー……」

アーニャ「……ニェット。思い出せません……」

アーニャ「私、どこで会いましたか?」

「へ? 今日が初対面だと思うけど……?」

アーニャ「?」

アーニャ「でも、アーニャと……えと、アナタは友達……なんですよね?」

「あー……ごめん、その友……えっと、友達って意味じゃなくてね」

「あたしの名前なのよ……藤居朋って言うの」

アーニャ「パニマーユ! そういうことですね!」

アーニャ「アーニャです、トモ、よろしくおねがいします」

「ん、よろしくね」

アーニャ「日本語、まだまだ難しいですね……もっと勉強しなくちゃ」

「特に人名は難しいだろうしね」

「アーニャさんは……えっと、出身はどこなの?」

アーニャ「出身……えと、ロシアですね」

「ロシア……」

13 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:17:32.08 sV3pFbv90 13/66

アーニャ「だから、日本語は勉強中で」

アーニャ「アーニャ、ここで働いてたくさん勉強してますね」

「あ、ここで働いてるんだ」

アーニャ「ダー」

アーニャ「……あ!」

アーニャ「アーニャ、仕事の途中でした!」

アーニャ「ダスヴィダーニャ! それでは!」

「あ、うん……またね」

「ロシア人ねぇ……はじめてみたわ」

「私も……」

「……あっ、そうだ」

「あの、朋さん……さっきは、その言い過ぎました。ごめんなさい……」

「あー、ううん。あたしもからかいすぎちゃったしね」

「……それに、事実ではあるし」

「あ……」

「はは……あたし、6歳下の子にバストサイズ負けてるのよね……」

「え、えっと……じゃあ、あのっ!」

「分けられるようになったら、分けてあげます……!」

「……ちょっと待って、その慰めは逆につらいわ」

14 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:18:17.71 sV3pFbv90 14/66

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みく「はぁ……ぬくぬく……」

みく「……」

みく「……」ブルッ

みく「ねぇ。今窓開いてる?」

モバP「いや、開けてないぞ」

みく「えー……」

みく「でもなんか冷たい風が来るんだけど……」

モバP「……隙間風かもな」

モバP「防ごうとして防げるもんでもないし、我慢するしかないな」

みく「……人を泊めるんならちゃんと欲しいにゃ」

モバP「ごもっともだ」

みく「……とりあえず場所移動しよ」

みく「こっちだったら多分風も来ないでしょ」

みく「はぁ……コタツがなかったら今頃凍ってたにゃ」

モバP「そんなに寒いのか?」

みく「にゃ」

みく「Pチャンはそんなに寒くないの?」

モバP「まあ……暖房もついてるしな」

みく「ふーん」

みく「……やっぱ、みくとお前らは違うんだにゃあ」

モバP「……」

15 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:19:36.25 sV3pFbv90 15/66

みく「うー……今日寒さに耐えられるかな……」

みく「……いっそこたつで寝るとか?」

モバP「風邪ひくぞ」

みく「でも寒いしー……うにゃぁ……」

みく「ほんと、冬嫌い……」

モバP「……どうしても無理なら1枚くらい布団貸すが……」

みく「どうしても無理!」

モバP「……わかったよ」

みく「にゃははっ、Pチャンやっさしー♪」

モバP「じゃ、寝るときにでも渡すな」

みく「はーい」

モバP「……さて」

モバP「みく、お茶でも飲むか?」

みく「飲む!」

みく「あ、みくの舌が火傷しないけど、体の芯から温まるくらいの熱さでお願い」

モバP「無茶言うな」

みく「だって熱すぎると飲めないんだもん……」

「ただいまー!」

「ただいま……」

モバP「おう、おかえり」

みく「おかえりー」

みく「何買ってきたの?」

「んーっと、とりあえずクッキーとポテチかな」

「結構いろいろ売ってたからお土産に買ってもいいかもね」

「二人も一緒に食べますか?」

みく「食べる!」

モバP「じゃ、もらおうかな」

モバP「……ちょうどいい。四人分のお茶淹れるな」

「わぁ……お願いします……♪」

16 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:21:09.33 sV3pFbv90 16/66

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モバP「……」スッ

みく「……」グヌヌ

モバP「……」スッ

みく「……」パァ

モバP「これだな」パッ

みく「あっ!」

モバP「はい、あがり」

みく「うぅ……!」

みく「なんでババ引かないの!」

モバP「そりゃああんなにわかりやすく顔に出てたらな」

みく「むー……またビリにゃあ……」

「ふふっ、みくちゃんほんとわかりやすいからね」

みく「朋チャンには言われたくないにゃ」

「どういうことよ!」

「ふふ……」

「……あの、皆さん」

「そろそろご飯食べに行きませんか?」

モバP「ん……そうか、もうそんな時間か」

みく「さんせー、こんなつまんないゲームやめにゃ、やめ」

「……その割には何回もやってたけどね」

みく「だって負けっぱなしは悔しいし!」

モバP「……よし、じゃあ行くか」

17 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:22:03.08 sV3pFbv90 17/66

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


モバP「ここだな」

「……あ」

アーニャ「あ! ヒジリ、トモ!」

「アーニャさん……!」

アーニャ「さっきぶり、ですね?」

アーニャ「ご飯食べにきましたか?」

「そうよ」

アーニャ「ダー。それなら案内しますね」

みく「……誰?」

「あ、さっき会って……」

「仲良くなったの……えへへ」

みく「ふーん」

アーニャ「アーニャは、アーニャです。よろしくお願いしますね」

みく「みくはみくだよ」

みく「で、こっちは――」

モバP「……」

みく「――Pチャン?」

モバP「……ん、ああ。すまん。何の話だ」

みく「自己紹介してただけだけど……どしたの、ボーっとしちゃって?」

みく「もしかして、見惚れちゃってたり? にゃふふ」

みく「うぇ!?」

アーニャ「見惚れる……私のこと好きになってしまいましたか?」

モバP「ああ、いや、違う」

モバP「ちょっと気になることがあってな」

「……ふーん?」

モバP「……なんだその目は」

「べっつにー?」

モバP「……」

アーニャ「?」

アーニャ「……」

アーニャ「……オブナルージュナ……?」

18 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:23:04.24 sV3pFbv90 18/66

アーニャ「あー……ここが、みんなの席ですね?」

アーニャ「あっちにバルーカ……料理があるから、自由に取ってください」

「ありがとうアーニャさん」

アーニャ「パジャールイスタ。では、アーニャはこれで」

みく「……よしっ!」

みく「じゃ、みくご飯取ってくるね!」

「あたしも!」

「あ、じゃあ私も……」

モバP「ん。じゃあここで待ってるな」

「あんたの分も取ってきてあげようか?」

モバP「……そうだな。頼む」

「ん、りょーかーい」

モバP「……」

モバP「……」

アーニャ「……あれ?」

アーニャ「貴方、一人ですか?」

モバP「ん? ああ、アーニャか」

アーニャ「ダー。アーニャです」

モバP「仕事はいいのか?」

アーニャ「あー、ドゥルーク……友達ができたと話したら、休憩していいよといわれましたね?」

アーニャ「だから、アーニャ。ヒジリたちに会いに来ました」

モバP「そうか……三人なら今料理を取りに行ってるよ」

アーニャ「そうですか……じゃあ、ここで待っていてもいいですか?」

モバP「ああ」

アーニャ「スパシーバ」

19 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:23:49.86 sV3pFbv90 19/66

アーニャ「……」

モバP「……」

アーニャ「あー……さっきも、でしたけど」

アーニャ「アーニャのこと、じっと見つめて……どうしました?」

モバP「いや……」

モバP「……なあ、少し聞いてもいいか?」

アーニャ「ダー。なんでしょう?」

モバP「最近。何か、事件に巻き込まれたことはあるか?」

アーニャ「?」

アーニャ「特に無いですね」

モバP「そうか」

モバP「じゃあ、この旅館の噂って知ってるか?」

アーニャ「パミェハ…………知ってます」

アーニャ「夜に抜け出して、そのまま行方不明になって……」

アーニャ「それが脚色されて広まった噂、ですね?」

モバP「そうだな」

モバP「最後に一つだけ」

モバP「……お前の中にいる者に迷惑をかけられたことはあるか?」

アーニャ「……あー、わかるんですね」

モバP「そういう生業だからな」

モバP「お前が取り憑かれていることはわかる」

アーニャ「そうですか……」

アーニャ「……」

20 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:25:45.55 sV3pFbv90 20/66

アーニャ「……」

アーニャ「あなたは、ヴェダ……すごい、ですね」

アーニャ「でも、迷惑なんてかけませんね?」

アーニャ「アーニャと一緒に暮らしているだけです」

モバP「そうか」

モバP「もし、お前が望むなら除霊することも――」

アーニャ「――ニェット」

アーニャ「それは、許しません」

アーニャ「ウビーチ……絶対に許しません」

モバP「……そうか、悪かった」

アーニャ「ダー。わかってくれたなら、結構です」

モバP「聞きたいことはそれだけだ」

アーニャ「あー……アーニャを見ていたのはそれが気になっていたのですね」

モバP「ああ。悪かったな」

アーニャ「プリドゥルーク……あなたは優しい人、ですね?」

アーニャ「アーニャのことを心配してくれたのですね……メドヴェージュヤ、ウースルーガ……ありがたい、です」

モバP「別にそういうわけじゃないさ」

モバP「……もし、お前の中の何かが俺たちに危害をなそうとしたら。問答無用で除霊するからな」

アーニャ「イヂーナフイ……大丈夫です」

モバP「わかった。信じるよ」

アーニャ「ウムリーチェ!」

21 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:26:42.88 sV3pFbv90 21/66

「あ、アーニャちゃん……」

アーニャ「ヒジリ!」

「どうしたの?」

アーニャ「アーニャ、みんなとお話に来ましたね」

「あ、そうなんだ……」

アーニャ「たくさん、しゃべりましょう?」

「うん……あ、でもご飯食べながらだけど……」

アーニャ「アーニャは気にしませんよ?」

アーニャ「聖が揚げ物ばっかり取ってても、気にしません、ね?」

「や、野菜だって……取るもん……!」

「……後で」

アーニャ「ヒジリは、可愛いですね」

「うぅ……」

モバP「……」

モバP(……ところどころで混じってたのは何言ってたんだ?)

モバP(ダーっていうのはロシア語……ならロシア語だろうが……そこまで詳しいわけじゃないからな)

モバP(全部意味は理解できなかったが……)

モバP(……)

アーニャ「一口、もらってもいいですか?」

「あ、うん……」

アーニャ「スパシーバ……♪」

モバP(……警戒はしておくか)

モバP(中に何かがいるのは確かなんだから)

22 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:27:41.63 sV3pFbv90 22/66

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


アーニャ「あ! もうこんな時間です!」

アーニャ「食堂、しまっちゃいますね」

「えっ、もうそんな時間?」

アーニャ「あー……楽しい時間が過ぎるのははやいですね」

「うん……」

アーニャ「アーニャ、同じくらいの子と話すこと余りありません……」

アーニャ「だから、今日はとても楽しかったです」

「アーニャちゃん……」

アーニャ「また、たくさん話してくれますか?」

「もちろん……!」

「今だって、もっともっとお話してたかったけど……アーニャさんは仕事……なんだよね?」

アーニャ「ダー……ちょっとお話しすぎたかもしれません」

アーニャ「ズロースト……怒られるかも」

「ちょっとちょっと、じゃあ早く戻らなきゃなんじゃない?」

アーニャ「そうです……」

「じゃあ……えっと、また今度。いっぱい話そうね……!」

アーニャ「ダー!」

アーニャ「スパシーバ、ヒジリ! それに、みなさんも!」

アーニャ「では、ダスヴィダーニャ!」

23 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:30:01.05 sV3pFbv90 23/66

「……美味しかった」

「そうね。評判どおりだったわ」

みく「にゃ!」

みく「みくも大満足! お魚もいっぱい食べれたし!」

「……ほんとにいっぱい食べてたわよね」

「うん……」

「……私は人のこと言えないけど」

「……や、まああたしもなんだけど」

「だって、美味しかったし……」

「うん……止まらなかった……」

モバP「ははっ。満足したなら何よりだ」

モバP「さて……食休みしたら温泉に行くか」

みく「大賛成!」

「……あれ、みくちゃんってお風呂は平気なの?」

みく「え、気持ちいいじゃん」

「いや、まあそうなんだけど……」

「……猫ってお風呂とかって苦手じゃないの?」

みく「みくは猫だけど猫じゃないからにゃ」

「……よくわかんないわ」

みく「みくもお前らのことよくわかんないし、おんなじにゃ」

「……ま、いっか」

「ふふ……」

24 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:30:45.97 sV3pFbv90 24/66

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


みく「にゃあぁぁぁ……」

みく「疲れが取れるにゃああぁぁぁ……」

みく「温泉さいこー……」

「そうねぇ……ほんと、極楽って感じ……」

「ふふ……二人とも蕩けてますね……」

みく「そりゃあにゃあ……」

「気持ちいいし……」

「ふふ……」

「……」

「……あの、みくさん」

みく「んー?」

「みくさんって、耳と尻尾が生えてたころは、ほんとにそのまま生えてたんですか?」

みく「そだよー」

みく「なんで?」

「いえ……ちょっと気になったので」

「肌は私たちみたいな色なのに……猫の尻尾とか生えるんだな……って」

「……もしかして、尻尾って肌色ですか?」

みく「んなわけないにゃ」

「あはは……そうですよね……」

「……嫌ね、人間の皮膚と同じ色の尻尾って」

25 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:32:12.13 sV3pFbv90 25/66

みく「みくの尻尾は真っ白だったよ」

「へぇ……」

「……あの外の雪くらい白かったの……?」

みく「まあ、そんくらいかなー」

みく「みくたちの仲間うちでは1,2を争うくらいの白さでねー」

みく「みんなには綺麗……ってすっごく褒められてたにゃ」

「へー、猫仲間もいたんだ」

みく「別に一匹狼ってわけじゃないからねー」

みく「みくが獲物を仕留めて、みんなに分けてたことだってあったんだから」

「そのころは、リーダーだったんですね」

みく「今だってそうにゃ」

みく「……気づいてないかもしれないけど、事務所に来る猫チャンたちってあれみんなみくの前からのお友達だよ?」

「そうなの!?」

みく「にゃ……茄子チャンは猫と話せるから知ってたみたいだけどね」

「……私ももっと勉強しなきゃ」

みく「聖チャンはまだ4級ってところかなー……もっと精進あるのみにゃ!」

「う、うん……!」

26 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:33:31.22 sV3pFbv90 26/66

「……ちなみにさ、そのお友達の中に妖怪っているの?」

みく「いるよー……っていっても、あいつらがいるから事務所には来ないように言ってるけどね」

「あいつら……」

「……プロデューサーとちひろさん?」

みく「正解にゃ……どっちもみくたちには危ないんだもん」

みく「だから……うん、その子には最近は会ってないね」

みく「……こんな話してると、久々に会いたくなってきたにゃ……」

「……事務所に来いとも言えないもんねぇ」

みく「にゃ」

みく「……お前たちに会って以来、あまり人は襲わないようにって言ってるけど。生き方を変えるのって難しいからにゃ」

みく「特に今まではそれが常識で生きてきたんだし……」

みく「だからね、みくの知らないところで実は襲っちゃってるかもだし……そんなやつらがあいつの前に来ちゃったら……って思っちゃうとねー」

「……そうね」

「みくさんから会いに行ったら……?」

みく「んー……それがぜんぜん会えないんだよねー」

みく「猫チャンたちに聞いて、生きてるのは分かってるんだけど……なーんか都合が合わなくって」

みく「……元気にしてるかにゃー」

「……きっと、元気よ」

みく「にゃはは……ありがと」

みく「ま、そんな現場を見られ無いことを祈ってるにゃ」

みく「……あっ、これ二人にだから話したんだからね?」

みく「Pチャンにはオフレコで」

「ん、了解」

「ふふ……三人だけの秘密ですね」

27 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:34:09.10 sV3pFbv90 27/66

「さて……じゃあ、私は露天風呂の方に……」

みく「いってらー」

「いってらっしゃい」

「……あれ、みんなは?」

みく「みく、寒いの、嫌」

「あたしサウナ行こうかなって」

「そうなんだ……バラバラ……」

「ふふ、また後でね」

「うん……」

「……」ガララ

「……」ピシャン

「……」

(……あれ、あそこに立ってるの?)

アーニャ「……」

「……アーニャさん?」

(どうしたんだろう……バスタオルも巻かずに……)

(……見てるこっちが少し恥ずかしい)

「アーニャさん……?」

アーニャ「……ん?」

アーニャ「ああ、貴方……じゃなくて」

アーニャ「ヒジリ!」

「……?」

28 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:34:48.54 sV3pFbv90 28/66

アーニャ「ヒジリも、温泉ですか?」

「あ、うん……」

アーニャ「ハラショー!」

アーニャ「こんなにたくさん会えるなんて、スドゥヴァ……運命、ですね」

「ふふ、そうかも……えっと、アーニャちゃんは?」

アーニャ「休憩中です」

「休憩……」

アーニャ「あー……雪が大好きなので、雪を感じてました」

「そ、そうなんだ……」

アーニャ「……ヒジリ、引いてます?」

「いや、えっと……ちょっとびっくりしただけで……」

アーニャ「んー……温泉は裸になるところ……アーニャ、そう教わりました」

アーニャ「なんでそんなにウジヴィリャッツァ……驚きますか?」

「だって、温泉に入らないで……ずっと立ってたから……」

アーニャ「アーニャ、雪を感じるのが好きです」

アーニャ「だから、全身で感じてました」

「そうなんだ……」

「……いろんな人がいるなぁ……」

アーニャ「……」

29 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:35:52.34 sV3pFbv90 29/66

「よいしょ……」チャプ

「……気持ちいい」

アーニャ「ヒジリ」チャプ

「あ、アーニャさんも入るんだ」

アーニャ「もう十分堪能しましたから」

アーニャ「今度は温泉に入って、体の節々が焼け焦げるのを楽しみます」

「その例えはちょっと変なような……」

アーニャ「まだ勉強中、ですね?」

アーニャ「ふふ……プリヤートゥヌィ……」

「……うん、気持ちいい」

アーニャ「……ヒジリ、ロシア語、分かりますか?」

「ううん……なんとなく、そういってる気がしただけ……ふうふ」

アーニャ「なるほど……ヒジリは素敵ですね」

アーニャ「とっても素敵で、美しい……今まであった中でも一番ってくらい」

「そ、そんなに……!?」

アーニャ「ダー。本当にそう思います」

アーニャ「だから、ヒジリにも素敵なプレゼントです」

アーニャ「空を見上げてください」

「空を……?」

30 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:36:18.74 sV3pFbv90 30/66

「……」

「わぁ……!」

アーニャ「たくさんの星が、瞬いてますね?」

「うん……」

「……あ、オリオン座……!」

アーニャ「ヒジリ、星座分かりますか?」

「ううん……オリオン座だけ有名だから、知っていただけ……」

アーニャ「パニマーユ……じゃあ、アーニャがちょっとだけ教えますね」

アーニャ「3つ並んでる星の左上の赤い星……あれがペテルギウスです」

「ペテルギウス……」

アーニャ「そこから左下の方に行って……明るい星がありあすね?」

「左下……あ、あれのこと?」

アーニャ「ダー。それがおおいぬ座のシリウスです」

アーニャ「そして、今度はそこから左上……ペテルギウスの左……あの辺に大きな星がありますね?」

「えっと……んー……」

「……あ、あれかな?」

アーニャ「ダー! それがこいぬ座のプロキオンです」

アーニャ「三つをつなげて、冬の大三角ですね」

「へぇ……」

アーニャ「次にあそこに――」

31 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:37:11.88 sV3pFbv90 31/66

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


アーニャ「――そしてあれが……」

「あ、アーニャさん……ごめん……」

アーニャ「ヒジリ?」

「そろそろのぼせちゃう……」

アーニャ「イズヴィニーチェ……すいません。興奮してしまいました」

「ううん……大丈夫……」

アーニャ「……」

アーニャ「……ヒジリ」

「?」

アーニャ「よかったら、後でもっと星を見ましょう?」

アーニャ「アーニャ、もっともっと星座を紹介したいです!」

「うん……」

「……でも、ここって夜は外歩いちゃダメなんじゃ?」

アーニャ「……アーニャはここの人だから大丈夫です」

「そういう問題……?」

アーニャ「そういう問題です……だから、見ましょう……ね?」

「……」

「……じゃあ、朋さんたちも」

アーニャ「あー、みんなには内緒がいいです」

アーニャ「これは、アーニャとヒジリだけのシークレット……秘密、ですね?」

「……でも……」

(……なんか)

(確証は無いけど……なんか、怪しい……)

(だって、あんなにも外に出ちゃダメって言われてたのに……アーニャさんもここで働いてるのに……)

(それでも誘うのって……なんか、怪しい……から)

(私、一人は……)

アーニャ「あー……」

32 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:37:50.15 sV3pFbv90 32/66

アーニャ「……ヒジリ」ギュッ

「きゃっ!」

「……!」

(アーニャさんの手……冷たい……どうして、こんなに……!?)

(一緒に温泉に入っていたのに……まるで、氷でも触ってるみたいな……)

アーニャ「来てくれます、ね?」

(冷たい……冷たい、凍る……凍っちゃう……)

(私の中が……凍って、固まって……)

(……動かなくなって……)

アーニャ「みんなに内緒で、一緒に星を見ましょう?」

アーニャ「誰にもバレないように……誰にも内緒で……ね?」

「……うん」

(……あれ、ちゃんと返事できてる)

(じゃあ、固まったのは……気のせい……?)

「わかった……アーニャさん」

「一緒に星を見ようね……?」

アーニャ「ダー」

アーニャ「それじゃあ……日付が回ったころに入り口に来てください……」ギュッ

「……」コクッ

(……でも、アーニャさんの手が冷たいのは気のせいじゃない……)

(まるで、氷に触れてるような……雪に手を埋めてるような……)

(そんな、感じ……)

33 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:38:19.33 sV3pFbv90 33/66

アーニャ「じゃあ、アーニャはもうあがりますね」

アーニャ「パジャールイスタ」

「うん……後で……」

「……」

「……」

「……私もあがろ」

「……」

「……あら、聖ちゃん。もうあがるの?」

「あ、はい……」

「ちょっとのぼせちゃって……」

「えっ、大丈夫?」

「部屋まで連れてこうか?」

「あ、ううん。大丈夫です……」

「それじゃ、お先に……」

「んー」

「……」

「……」

「……?」

(あれ……何か言おうと思ってたような……)

(……)

(……?)

34 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:40:13.68 sV3pFbv90 34/66

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「すー……」

みく「うにゃぁ……くー……」

モバP「……」

「……」

(……みんなは、寝てる)

(私は……約束のために起きて)

(寝たふり……なんて、悪い子になったみたい)

「……」

「……」

「……あ」

(……日付が変わった)

「……行かなきゃ」

(みんなにばれないように……)

「……」

「……」

35 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:40:58.55 sV3pFbv90 35/66

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


(夜の旅館……)

(電気ぜんぜんついてないし……暗いし……)

(……ちょっと怖い)

「……」

(幽霊……っていうのに驚くことはあんまりないけど……)

(こんな場所で驚かされたら驚いちゃうな……)

「……」

(もし何か出てきたら……)

(……部屋に戻って、プロデューサーさんに話そう)

「……」

アーニャ「ヒジリ」

「あ、アーニャさん……」

アーニャ「来てくれて、嬉しいです」

「約束だから……」

アーニャ「ハラショー」

アーニャ「……さあ、行きましょう」

「う、うん……」

36 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:42:12.12 sV3pFbv90 36/66

「う……外はやっぱり寒い……」

アーニャ「でも見てください、空を……」

「空……わぁ……!」

「さっきよりも、ずっとたくさんの星……!」

アーニャ「このくらいの時間になると、みんな電気を消しますね」

アーニャ「すると、お星様はいっぱい現れるんです」

アーニャ「お星様はみんな恥ずかしがりみたいですね、ふふ」

「わぁ……」

アーニャ「……ヒジリ」

「綺麗……」

アーニャ「あー、ヒジリ」

「……あっ、ごめん」

アーニャ「ヌーシトーヴィ……気にしないでください」

アーニャ「それだけ熱中してくれると、アーニャも嬉しいです」

アーニャ「……でも、こっちに来ればもっと綺麗に見えますね」

「ほんと……!?」

アーニャ「ダー」

アーニャ「だから、こっちへ来てください」

「うん……!」

37 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:45:54.26 sV3pFbv90 37/66

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


アーニャ「あー、ここですね」

「……この家ってこと?」

アーニャ「ダー」

アーニャ「実は、この中には大きな天体望遠鏡があります」

「望遠鏡……!」

アーニャ「それを覗けば、今の景色よりももっと素敵な景色が見れます」

アーニャ「でも、ちょっと重いので……あー、一緒に取り来てくれませんか?」

「うん、もちろん……!」

アーニャ「スパシーバ! じゃあ、行きましょう」

アーニャ「……」ガチャ

「望遠鏡はどれ……?」ドキドキ

アーニャ「それはですね」

アーニャ「……」

「……アーニャさん?」

アーニャ「……ここまで来ればもう十分ね」

「!」

アーニャ?「ふふ……ようこそ、聖ちゃん」

「え、えっ……!?」

アーニャ?「早速だけど……貴方も私のコレクションの一つになってもらうわ」

「だ、誰――」

38 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:47:15.88 sV3pFbv90 38/66

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



みく「……」

みく「……」ブルッ

みく(……うぅ、やっぱり寒いにゃ)

みく(布団はいっぱい被ってるはずなんだけど……Pチャンからももらったし)

みく(うー……)

みく(……何かまだかけられるのないか探してみようかな……?)

みく(……)

みく(……あれ?)

みく(体が動かない……何で?)

みく(手も、足も……首も動かない……!?)

みく「――!」

みく(ダメにゃ、声も出せない!)

みく(目は開ける……鼻もまだ動いてる……から、一応まだ呼吸はできるけど……)

みく(もし、このまま何も動かなくなったら……)

みく「……!」ゾッ

みく「――!」

みく「――!」

みく(なんで!? どうしてこんな……!?)

みく(今、みくはどうなってるの……!?)

みく「――!」

みく(誰か……誰か助け――!)

モバP「破ぁ!!!」

みく「!」

39 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:48:06.02 sV3pFbv90 39/66

モバP「よし。大丈夫か、みく、朋?」

みく「……っぷはぁっ!」

みく「あっ、声出るっ!」

「あ、みくちゃんもなんだ……」

みく「うん……びっくりしたぁ……」

「ね……急に体も動かないし、声も出なくなって……」

みく「うん……みくたち、どうなってたの?」

モバP「二人とも、凍ってたんだ」

「凍ってた……?」

モバP「ああ」

みく「……確かに寒かったけど、そんな簡単に人って凍るの?」

モバP「普通は凍らないが……妖怪の力なら別だ」

モバP「……この部屋は隙間風が通ってただろ?」

みく「にゃ。そのせいでずっと寒い思いしてたしね」

モバP「で、妖怪はその風に妖力を乗せていた」

モバP「そして、ただの風を人一人を凍らせることができる特殊な風に変えたんだ」

「それが、あたしたちの部屋に入ってきてたってわけね」

モバP「ああ」

みく「なるほどにゃー……」

モバP「で、妖力が原因で凍っているなら、俺の力で治すことができる……ってわけだな」

みく「……やっぱ寺生まれってすごいにゃ」

みく(……何回も思ってるけど、改めてそう思ったにゃ)

40 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:49:02.62 sV3pFbv90 40/66

モバP「……本当は体が凍る前に気がつけば良かったんだけどな」

「でも、結局あたしたち二人はあんたのおかげで助かったんだしね」

「結果オーライ――」

「――ちょっと待って、聖ちゃんは?」

みく「あれ……そういえば……?」

みく「……もしかして、まだ凍ってるの?」

モバP「いや……ここにいなかった」

「えっ!?」

みく「じゃあ、どこにいるの!?」

モバP「……わからん」

みく「――っ!」

モバP「……信用しすぎたかもな」

「ん、どういうこと?」

モバP「ん、ああ……いや。それは後で話そう」

モバP「とりあえず今は聖がどこに行ったかだ」

「そうね……」

みく「どこに行くー、とかそういう話聞いてたりしないの?」

モバP「いや、聞いていないな」

「あたしも……聞くって事はみくちゃんもよね?」

みく「にゃ」

みく「うーん……手がかりが無いにゃ」

「そうね」

「……うん。ちょっと占ってみるわ」

「たぶん、それじゃないと、聖ちゃんの場所分からないしね」

モバP「……ああ、頼んだ」

「それじゃあ、早速――」

41 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:50:07.78 sV3pFbv90 41/66

「……」

「……」

みく「どう?」

「……うん、見えたわ」

「でも……危ないかも」

モバP「!」

みく「どこにいたの!?」

「旅館の外……小さな小屋の中に、アーニャちゃんと二人でいるわ」

「で……」

「……たぶんだけどね」

「聖ちゃんの足先が凍ってるように見えるの」

モバP「!」

「気のせい……じゃないと思うわ」

モバP「……やっぱりか」

みく「ま、まずいにゃ! 助けなきゃ!」

「うん……!」

「行きましょ、みんな!」

モバP「ああ!」

みく「にゃ!」

42 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:50:41.84 sV3pFbv90 42/66

モバP「よしっ、入り口までもう少しだ!」

モバP「朋、外の道案内は頼んだ!」ダッ

「任せて!」ダッ

「このダウジングロッドで……!」

みく「にゃ、待って! 前に誰かいる!」

モバP「!」

「……どこへ行くのですか?」

「あ……従業員の……」

「夜中に外に出てはいけないと伝えたはずですが」

モバP「……悪い、どうしても出なければいけないんだ」

「そうですか」

「しかし、私も絶対に外に出しては行けないと言われてるので……」

「どうしても通るというのなら……」スッ

「足を切り落としてでも止めなきゃ」

「うわっ、包丁取り出したわよ!?」

モバP「破ぁ!!!」

「!?」

みく「うっわ、いきなりにゃ」

モバP「時間もないんだ……それに、妖力も感じたからな」

43 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:51:08.88 sV3pFbv90 43/66

「……」

「……あっ!」

「私……動ける……私が動いてる……!」

「……操られてたのかな?」

モバP「たぶんな」

モバP「まあ、もう大丈夫みたいだ……行くぞ!」ダッ

「うん!」

「あ……ま、待ってください!」

モバP「すまん、急いでいるんだ!」

「いえっ……急いでいるのはわかりますがっ!」

「今! 今外に出るのは危ないんです!」

みく「にゃ?」

「外はっ! あの妖怪のせいで――!」

「……うわっ」

モバP「これは……」

「――猛吹雪が吹いているんですっ!」

44 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:51:47.50 sV3pFbv90 44/66

みく「うっわ……ちょっと先まで見えないにゃ」

「……あの妖怪のせいって言うのはどういうこと?」

「あの妖怪が言っていたんです」

「『貴方はもし誰か外に出ようとしたら殺してでも止めて』」

「『……まあ出たところで外は吹雪かせるから大丈夫とは思うけど』って」

「吹雪かせる……」

モバP「……確かに妖怪のせいみたいだな」

モバP「誰も近づけないため、か」

「……こんな吹雪の中に外に出るなんて、それこそ、自殺ものです」

「ですから……」

みく「でっ、でも、早く行かなきゃ聖ちゃんが……!」

モバP「ああ」

モバP「二人とも、覚悟はいいか?」

「もちろん」

みく「寒いの本当嫌いだけど……そんなこと言ってられないからにゃ」

モバP「よし……行こう」

「しょ、正気ですか……!?」

「……聖ちゃんがいなくなるほうが死ぬより嫌なのよ」

「もちろん、死ぬ気は無いけどね……ね、プロデューサー?」

モバP「ああ」

モバP「……これが妖怪の力でできた吹雪って言うなら、何とでもなる」

45 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:52:54.82 sV3pFbv90 45/66

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「……っ」

(体が……動かない……!)

アーニャ?「そんなに苦しい顔をしないで」

アーニャ?「私は、一番綺麗な聖ちゃんを氷付けにしたいの」

「そんなこと……言われてもっ……!」

「そもそも、誰なの……アーニャちゃんはどこ……!?」

アーニャ?「……こほんこほん」

アーニャ?「アー、アーニャはここにいます、ね?」

「違う……っ!」

アーニャ?「ニェット。違わないですよ」

アーニャ?「曲がり角でぶつかって、一緒にご飯を食べて、温泉で約束をした……」

アーニャ?「そのアーニャがアーニャです」

「……」

「じゃあ……最初から……このつもりで……?」

アーニャ?「プラーヴィリナ……そのとおりです」

「……」

アーニャ?「……ああ、ごめんなさい。そんな顔をさせたいわけじゃないの」

アーニャ?「貴方にはもっと満面の笑顔で凍ってもらわないといけないのよ」

「……」

アーニャ「……そうね、貴方がこっちのほうが安心できるなら、こう自己紹介しましょう」

アナスタシア「はじめまして。私はアナスタシア」

アナスタシア「パパがロシア人なの……なんてね?」

46 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:53:51.23 sV3pFbv90 46/66

アナスタシア「どう? これで安心できた?」

「……でも、最初から、だったんですよね……?」

アナスタシア「ああ。アレは嘘よ」

アナスタシア「私はアーニャに取り憑いてるだけだもの……見てたことを話してただけよ」

アナスタシア「だから貴方と仲良くなったのは、アナスタシアじゃなく、アーニャちゃんよ?」

「……」

アナスタシア「……あら、おかしいわね。こういったら安心すると思ったのだけど」

「だって……それも本当かわからない……」

アナスタシア「そう」

アナスタシア「じゃあ、貴方がもっとも安心することが正解よ」

「……」

アナスタシア「……んー」

アナスタシア「毎度毎度、人間って難しいわね」

アナスタシア「みんな、変なところで悩んで……私の望む顔をしてくれないわ」

「……私が初めてじゃないの?」

アナスタシア「ええ……もう何人目か忘れちゃったわ」

「……っ」

アナスタシア「でも、貴方が一番綺麗よ……一番のお気に入りになりそう……ふふ、安心して」

「……」

47 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:54:22.12 sV3pFbv90 47/66

アナスタシア「……あら?」

アナスタシア「どうも、貴方のお仲間さんたちも起きたみたいね」

「!」

アナスタシア「寝ている間に氷付けにするつもりだったのだけど……あの男本当に厄介ね」

アナスタシア「私の力を吹き飛ばすなんて……本当邪魔」

「……プロデューサーさんたちが……!」

アナスタシア「喜んでいるところ悪いけど、たぶんここには来ないわよ」

「えっ?」

アナスタシア「だってほら、外は……」ガチャ

「きゃっ!?」

アナスタシア「……ね、こんな吹雪」

アナスタシア「むしろ、こんな吹雪の中外に出たら、全員死ぬんじゃないかしら」

「!」

アナスタシア「まったく、苦しまないよう氷付けにしてあげようとしたのに……」

アナスタシア「可哀想な人たち」

「……」

アナスタシア「……ああ、ごめんなさい」

アナスタシア「ダメね、不安がらせることばっかり行って……」

アナスタシア「大丈夫、きっとここまで来てくれるわよ」

アナスタシア「無事に、生きた状態で、ね?」

「……」

48 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:55:34.27 sV3pFbv90 48/66

「……」

(そっか……プロデューサーさんたち、私を助けるために……)

(嬉しいな……っと、この顔は表に出さないようにしなきゃ)

(もしそれでこの人が満足しちゃったら、すぐに凍らされちゃうかもだし……)

「……」

(……うん、きっと、きっと来る)

(あの3人が簡単に死んじゃうなんて、考えられない……きっと来てくれる)

(だから、私がやることは……)

「……うん」

「~♪」

アナスタシア「あら?」

「~♪」

アナスタシア「へぇ、綺麗な歌声……私、ますます聖ちゃんのこと好きになっちゃったかも」

「~♪」

アナスタシア「ふふ……」

アナスタシア「……あえて、口だけ残してずっと歌わせるとかできるかしら」

「~♪」

(……きっと)

(きっとこの歌が、みんなに届くと信じて……!)

49 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:56:58.15 sV3pFbv90 49/66

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「えっと……こっち!」

モバP「わかった」

みく「……しかし、Pチャンほんとすごいにゃ」

みく「まさか、吹雪を防ぐ結界を作っちゃうなんて」

モバP「この吹雪は妖怪の手で作られたものだからな」

モバP「自然現象じゃないなら、なんとでもなる」

みく「ふーん……」

モバP「とはいえ、即席で作っているものだ……そんなにもたないだろう」

「じゃ、早く行かないとね……こっちよ!」

モバP「ああ」

みく「……っくしゅん!」

みく「うぅ……寒くて死にそう……」

みく「……寒さも防げたらよかったんだけどにゃあ」

モバP「それは自然のものだからな」

みく「うぅ……」

みく「……終わったらコタツの中でホッカイロに埋もれてやるんだから」

「それはそれで死ぬんじゃないかしら……」

50 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:57:38.10 sV3pFbv90 50/66

「で、次は――」

みく「――あっ!」

モバP「ん?」

「どしたの?」

みく「えっ、二人には聞こえないの!?」

「?」

モバP「何がだ?」

みく「聖ちゃんの歌声!」

「えっ!?」

みく「よーく耳を澄ましてみて?」

「……」

「……ダメね、あたしには聞こえない」

みく「えー……」

みく「……じゃあ、これってみくの気のせい?」

モバP「いや、そうとも限らない」

モバP「そもそも俺たちとみくじゃ聴力も違うだろうしな」

「……みくちゃん、どっちから聞こえてるかわかる?」

みく「…………あっちにゃ!」

「……うん。あたしのダウジングロッドもあっちを指してる……みくちゃんの聞いた歌はきっと気のせいじゃないわ」

みく「じゃあ、もうちょっとってことだよね!」

モバP「ああ……急ごう!」

みく「にゃ!」

51 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:58:18.39 sV3pFbv90 51/66

「……聞こえた!」

「あたしにも聞こえたわ!」

モバP「ああ、俺もだ」

みく「あと一息にゃあ!」

「うん!」

モバP「……」

モバP「……見えた、あの小屋か!?」

「えっ……あ、うん! あれ! あの小屋のはず!」

モバP「よしっ!」

「あとちょっと……!」

みく「……」

みく「……ついたにゃっ!」

モバP「よし、あけるぞ!」

「……」コク

みく「頼むにゃ」

モバP「……」キィ

アナスタシア「……あら」

「あっ! みんな……!」

52 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 17:59:30.08 sV3pFbv90 52/66

「聖ちゃんっ、よかった無事だったのね!」

みく「……いや、無事じゃなさそうにゃ」

モバP「ああ……体が凍ってるな……動けるか?」

「……」フルフル

アナスタシア「……」

アナスタシア「……アーニャがきたときはもう、こうなってましたね」

モバP「わざわざそんな嘘をつく必要はない」

アナスタシア「……そうね、貴方にはもうばれてるものね」

アナスタシア「いまさら取り繕う必要なんてなかったわ」

「えっ!? 何を言ってるの、アーニャちゃん……?」

アナスタシア「いいえ、私はアナスタシア」

モバP「……あいつは、アーニャに取り憑いていた、雪女だ」

「雪女……」

みく「……なんだっていいにゃ!」

みく「今はあいつを殺して、聖チャンを助けなきゃ!」

アナスタシア「動かないで、この子を完全に凍らすわよ」

「!」ビクッ

みく「……っ!」

アナスタシア「そう……いい子ね」

53 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:00:54.27 sV3pFbv90 53/66

アナスタシア「……まさか、ここまで来れるなんてね」

アナスタシア「聖チャンにはああいったけど……吹雪の中で絶対に死ぬと思ってたのに」

アナスタシア「これも寺生まれ……って奴の力なのかしら?」

モバP「……どこまで知ってるんだ」

アナスタシア「貴方たちの会話から察せることがくらいしかわからないわよ」

アナスタシア「心なんて読めないし」

みく「……じゃあ、みくたちの会話は聞いてたってこと?」

アナスタシア「ええ」

アナスタシア「楔を打ち込んだ子たちを介してね」

「楔……?」

アナスタシア「そう……目では見えない、氷の楔……」

アナスタシア「心を凍らせて、私の思い通りに動かすための、ね?」

「……あ、じゃああの従業員の人は……!」

アナスタシア「そのとおりよ」

アナスタシア「他にも……あの旅館で働いている人みんなに打ち込んでいるわ」

アナスタシア「そして、この子にも」

「……嘘!?」

アナスタシア「他の子と違って心を凍らせたりはしてないけどね」

アナスタシア「ありのままの聖ちゃんが綺麗なんだから」

アナスタシア「唯一つだけ……私の言葉に従って、外に出るように……ってね」

「そんなの……あ、もしかしてあの温泉のとき……!」

アナスタシア「ええ」

アナスタシア「あ、違うわ。あの時はアーニャってことにしてたのよね」

「……」キッ

アナスタシア「……なんて、もう無駄かしら」

54 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:01:53.36 sV3pFbv90 54/66

モバP「……ここの噂はやはりお前が起こしていたものか?」

アナスタシア「ええ……やり口は同じよ?」

アナスタシア「気に入った子を連れ出して……残りは全員氷付けにして、捨てて」

アナスタシア「後は口あわせすればいいだけ」

アナスタシア「全員私が操っているんだから、簡単よね」

みく「くそったれにゃ」

アナスタシア「あら、最初に約束を破ったのは人間じゃない」

みく「はっ、お前の過去に何があったとかどーでもいいにゃ」

みく「ただ、みくはお前が許せないだけにゃ」

アナスタシア「……そう」

アナスタシア「まあ、もうずっと前の話だものね、確かにどうでもいいかもしれないわ」

アナスタシア「それで、後何か聞きたいことはある?」

アナスタシア「せっかくだもの、種明かしはしてあげるわ」

「……アーニャちゃんは、今どうしてるの?」

アナスタシア「私の中にいるわ、それが?」

「……もうどれくらい中にいるの?」

アナスタシア「14年くらいかしら」

「その間、ずっとアーニャちゃんのフリしてたの……?」

アナスタシア「……ああ、そういうことね」

アナスタシア「貴方が望んでるのはこの答えでしょう?」

アナスタシア「……アーニャが表に出てくるのは、私が取り憑いてから一回も無いわ」

「……っ!」

アナスタシア「ごめんなさいね。さっきのは貴方を安心させるための嘘よ」

「……そんなのわかってた」

「でも……!」

55 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:03:12.25 sV3pFbv90 55/66

アナスタシア「それで、他には?」

モバP「食堂で俺と話したことは覚えてるか?」

アナスタシア「ええ」

アナスタシア「はらわたが煮えくり返るかと思ったわ」

アナスタシア「つい汚い言葉を使っちゃうくらい」

モバP「そうか」

モバP「あの時の言葉、信じていたんだがな」

アナスタシア「あら、お人よしね」

モバP「ああ。失敗だったよ」

モバP「……最後に言った言葉を覚えてるか?」

アナスタシア「『危害を無そうとしたら除霊する』……だったかしら?」

モバP「そうだな」

アナスタシア「それで、私も除霊するの?」

モバP「ああ」

アナスタシア「……一歩でも動いたらこの子を氷付けにするわ」

アナスタシア「私好みの表情にならなかったけど……もう仕方ないわよね」

「……っ!」

モバP「……一歩を歩く必要も無い」

アナスタシア「……えっ」

モバP「この距離で十分だ」

モバP「破ぁ!!!」

アナスタシア「――っ!」

アナスタシア「――」

アナスタシア「――」ガクッ

56 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:04:25.92 sV3pFbv90 56/66

モバP「大丈夫か、聖?」

「う、うん……あ、体も動く……」

「聖ちゃん!」ダキッ

「きゃっ!」

「よかった……!」

「朋さん……」

「怖かったでしょ……?」

「……ちょっとだけ」

「でも……みんなを信じてたから……きっと、来てくれるって……」

「だから……助けに来てくれてありがとう……」

「うん、どういたしまして……」ギュッ

「……と、朋さん……苦しい」

「あ、ごめん……」

「ふふ……でも、嬉しい……」

みく「……一見落着にゃ」

モバP「……元凶はもういない、外の吹雪もすぐにやむだろう」

モバP「操られていた人たちも下に戻るだろうな」

「じゃあ、後は……アーニャちゃんだけ……?」

モバP「ああ」

57 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:05:23.61 sV3pFbv90 57/66

アーニャ「……」

アーニャ「……んっ」

「!」

アーニャ「……?」

「アーニャちゃん……!」

アーニャ「ヒジリ……?」

アーニャ「……あー、んー」

アーニャ「……なるほど」

アーニャ「アーニャが、外に出てきた……ですね?」

モバP「どんな状態か分かってるのか?」

アーニャ「ダー」

アーニャ「アーニャ、ずっと中から見ていましたから」

アーニャ「だから名前も分かります……ヒジリ、トモ、ミク……」

アーニャ「……アー」

モバP「……そうだ、結局自己紹介しないままだったな」

モバP「俺の名前はT」

モバP「寺生まれのプロデューサーだ」

アーニャ「プロデューサー……アー、皆さん歌手……ですか?」

アーニャ「ヒジリ、とても歌が上手でした。だから、歌手なら納得です」

「歌手……とはちょっと違うかも」

「あたしたち、アイドルなのよ」

アーニャ「アイドル!」

58 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:06:44.20 sV3pFbv90 58/66

アーニャ「アイドルは、アーニャも知ってますね」

アーニャ「テレビで踊ってるの、見たことあります!」

アーニャ「……でも、ヒジリたちはみたことありませんでしたね?」

「……あはは」

みく「あれ、その時アーニャちゃんはあの雪女の中にいたんだよね?」

みく「……ってことは、あの雪女がアイドル番組見てたってこと?」

アーニャ「ダー」

アーニャ「『凍らせて飾りたいわ』って言ってました」

みく「……想像どおりだったにゃ」

モバP「……さて」

モバP「アーニャは、何があったかとかは全部中から見てたんだよな?」

アーニャ「見てましたね」

アーニャ「ヒジリたちが来る前のことも全部覚えてます」

アーニャ「いろいろなことをこの体でやったことも、全部」

モバP「……そうか」

アーニャ「だから……どうしましょう?」

アーニャ「きっとみんな、アーニャを怖がります……もう旅館には帰れないかも」

みく「……別に、妖怪のせいにしたらいいんじゃないの?」

「どうだろうね……みんな信じてくれるかしら?」

みく「……そうだった。人間ってまだみくたち妖怪を信じてないんだよね?」

「それも結構多くの人がね」

アーニャ「ダー……なので、旅館には戻れないと思います」

モバP「……」

モバP「……もし、行くあてがないなら、うちの事務所に来ないか?」

アーニャ「!」

モバP「うちの事務所ならそういう理解は深い……みんな受け入れてくれるだろう」

モバP「そして……もし、興味があるなら、アイドルになってほしい」

アーニャ「……」

モバP「アーニャのビジュアルがあれば、アイドルとしても映えるだろう」

モバP「だから……どうだ?」

アーニャ「……」

アーニャ「……」

アーニャ「は?」

モバP「えっ」

59 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:08:29.94 sV3pFbv90 59/66

アーニャ「神妙な顔で何を言うかと思ったら、そんなこと?」

アーニャ「何を馬鹿なことを言ってるの?」

アーニャ「どうして、ママを殺した奴と一緒に住まなきゃ行けないの?」

アーニャ「それに……アイドルになれって、何を考えてるの?」

アーニャ「頭がおかしいんじゃない?」

モバP「」

「あ、あの……アーニャちゃん……?」

アーニャ「……あっ」

アーニャ「……」

アーニャ「……アー、せっかくのお誘いスパシーバ……ありがとうございます」

アーニャ「でも、遠慮しますね?」

「いや、もう遅いでしょ」

アーニャ「……そうよね」

アーニャ「あー……失敗したわ」

みく「え、え、何、どういうこと……!?」

みく「まだあの雪女は生きてた……ってこと!?」

アーニャ「違うわよ……ママはもう綺麗さっぱりいないわ」

アーニャ「ただ、このしゃべり方は隠したかったの」

アーニャ「……そいつが変なことを言うからつい出ちゃったけどね」

みく「えぇ……」

「……どうしてそんな?」

アーニャ「ママが教えてくれたのよ」

アーニャ「アー、このしゃべり方……日本語に慣れてない感じだと、変なことを言っても大抵許されます」

アーニャ「それに……ウビーチ……こうして会話にロシア語を混ぜれば、大抵の相手にはバレずに暴言を吐けますね?」

アーニャ「でも、知ってそうな人にはさすがにこれはしないですね」

「ちなみに今のは?」

アーニャ「殺す」

「……うわぁ」

モバP(あの言葉、昨日話したときに使われた気がするんだが)

60 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:10:33.92 sV3pFbv90 60/66

アーニャ「たまに言葉を知らないフリしないといけないのが面倒だけど、ママを見てると確かに便利だったのよね、このしゃべり方」

アーニャ「……だから、できる限り誰かと話すときはこのしゃべり方を通したかったんだけど」

アーニャ「貴方のせいで台無しよ」

モバP「いや、責任転嫁が過ぎるだろ」

「……ね、ちょっと気になってたんだけどさ」

「ママって、あの雪女のこと?」

アーニャ「ダー」

アーニャ「アーニャがずっと小さいころから一緒にいて、育ててくれた大切なママよ」

アーニャ「……本当のパパは氷付け、本当のママは失踪」

アーニャ「だから、アーニャのママはママだけだったの」

モバP「……」

「……あの、アーニャさんってどうして取り憑かれてたんですか?」

アーニャ「……そうね、そこの猫に興味ないって一蹴されたけど、ヒジリが言うなら教えてあげるわ」

みく「誰がそこの猫にゃ」

アーニャ「雪女の伝承って知ってる?」

「……結構いろいろな伝承があるわよね、あれ」

アーニャ「あー、それもそうね……じゃあかいつまんで説明するわ」

アーニャ「昔々あるところに、パパがいたわ」

みく「すっごい昔話の始まり方にゃ」

アーニャ「パパはある日、雪山の中でママと出会うの」

アーニャ「二人は互いに一目ぼれして……一夜限りの契りを交わすわ」

「わ、わぁ……!」

アーニャ「そして翌日。別れ際に約束するの」

アーニャ「今日のことを……私のことを絶対に誰にも言ってはいけない、って」

「ん……よく聞く雪女の話ね」

「……ってことは、この後」

アーニャ「ダー。パパは秘密をしゃべってしまいます」

アーニャ「相手はアーニャの本当のママ……結婚する直前に隠し事をすべて話しておきたいってね」

アーニャ「で、ママは、楔からそれを聞いてしまった」

「……えっと、アーニャさんのお父さんに刺さってたってこと……?」

アーニャ「ダー」

アーニャ「……もう会いに来ないようにする楔を刺してたわ」

「どうして……?」

アーニャ「異種の契りはご法度でしょう?」

「……」

みく「それならその話をしないような楔も刺しておけばよかったんじゃない?」

アーニャ「その通りね……でもママは刺さなかったの」

アーニャ「パパのことを信じたかったみたい。一夜とはいえ愛し合ったのだから、きっと約束を守ってくれるって」

みく「……ふーん」

61 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:12:43.87 sV3pFbv90 61/66

アーニャ「で、楔を介して約束を破ってしまったことをママは知ってしまった」

アーニャ「怒ったママは、もっとも苦しむ方法でパパを氷付けにしようとしたの」

「それが……アーニャちゃんに取り憑くこと?」

アーニャ「ダー」

アーニャ「幼いアーニャがパパに最初に言葉を話すとき、『約束を破って、許さない』って言ったパパを氷付けにさせる」

アーニャ「それがママの狙いだったの」

「うっわ……」

みく「あいつやっぱくそったれにゃ」

アーニャ「そうね」

アーニャ「……で、それは成功。パパは氷付け」

アーニャ「怖くなったママは私を置いて失踪……当然ね」

アーニャ「そして、私は一人……ううん、ママと二人きりになったの」

「……じゃあ、それからはずっと」

アーニャ「ええ。この体の中で、ママにたくさんのことを教わったわ」

アーニャ「ママがいなければ、私はまだずっと赤ん坊だったかもしれないし……」

アーニャ「もしかしたら、死んじゃってたかもしれないわね」

アーニャ「だから、アーニャにとってはママは本当に大切なの」

「……」

モバP「……人を氷付けにしていた理由は、アーニャに取り憑き続けるためか」

アーニャ「ダー。人を糧にして力を得る……半分はその理由ですね」

「……半分はって……もう半分は?」

アーニャ「趣味」

「趣味……」

アーニャ「ママは綺麗なものが好きだったのよ。だから、そばでずっと飾っておきたかったんだって」

アーニャ「ね、ヒジリ?」

「……」ゾクッ

アーニャ「ふふ……今の私にあんな力は無いわ。そんなに怖がらないで」

アーニャ「もう何もできない……ただの冷たい人よ」

62 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:13:09.54 sV3pFbv90 62/66

アーニャ「さて、これがママの昔話」

アーニャ「『最初に裏切ったのは人間じゃない』……の意味もわかったかしら?」

「……うん」

みく「人間って言うかお前のパパだけだけどにゃ」

アーニャ「そうね……そこに関しては、ママが誇張してたわ」

みく「……」

アーニャ「……もちろん、ママはとっても悪いことをしてたわ」

アーニャ「半分趣味のために人をさらっては氷付けにしてるんだもの」

アーニャ「だからこうなるのも仕方ない……それにママも覚悟していたわ」

アーニャ「きっと明日消えるから、ってたくさんの言葉を残してくれたの」

アーニャ「だから、私も覚悟してた」

アーニャ「ただ……それでも」

アーニャ「ママを殺した貴方を、私は許せない」

モバP「……そうか」

アーニャ「……」

アーニャ「……ただ、不服なことに行き場が無いのも本当なのよね」

アーニャ「実際、あの旅館にはもう帰れないと思うし……」

アーニャ「……」

モバP「……」

アーニャ「……アー」

アーニャ「アーニャを、事務所においてくれますか? ロクデナシ?」

モバP「お前な……」

アーニャ「さっき、置いてくれるっていいましたね……クソッタレ?」

モバP「……」

「言いたい放題ね」

みく「にゃはははっ! おっかしー!」

63 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:13:52.32 sV3pFbv90 63/66

「あ、あの……アーニャさん……」

「その……それは、ちょっとどうかと……」

アーニャ「んー、そうですか?」

アーニャ「まあ、ヒジリが言うなら今は止めますね」

アーニャ「で、事務所に連れて行ってくれますか?」

アーニャ「……それとも、こんな話を聞いたらやっぱ止めにしますか?」

アーニャ「雪の中にアーニャをおいて帰りますか? のたれ死ぬアーニャを見捨てますか?」

モバP「……いや、アーニャが望むならかまわない」

アーニャ「!」

モバP「言ったことを変えるつもりはないさ」

モバP「うちの事務所に来ればいいし……もしアーニャがその気ならアイドルになってくれると嬉しい」

アーニャ「プリドゥルーク……貴方は優しい人、ですね?」

みく「ちなみに、今のは?」

アーニャ「馬鹿」

みく「にゃっはっはっは! さいっこーにゃ!」

モバP「……」

モバP「……ともかく。そういうわけだ」

モバP「来てくれるということでいいか?」

アーニャ「ダー。よろしくおねがいしますね、ヒジリ、トモ、ミク」

「うん……」

「よろしくね……ふふ、みんなにも紹介しなきゃ!」

アーニャ「あー、それと……」

アーニャ「……スパシーバ。感謝しますね、ロクデナシ」

みく「にゃっはっはっは!」

モバP「みく、うるさい」






おしまい

64 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:16:50.23 sV3pFbv90 64/66

寺生まれのPさんとか、占うふじともとか、妖怪みくにゃんとか、ひじりんとか、二面性アーニャとか、雪女アーニャとか書きたかったものを混ぜました。


最近某所で「これはシリーズ?」とか見かけて嬉しい限りですが、寺生まれシリーズは>>1でたどれる範囲にあるものだけです。
同じキャラが出てても別世界戦です、あしからず。

誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方、ありがとうございました。

65 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:17:41.92 sV3pFbv90 65/66

最近書いたの
芳乃「朋殿ー」朋「どしたの、芳乃ちゃん?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512293082/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/20567947.html

音葉「こちらがハイランダーずんいちという楽器ですね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510751595/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/20160063.html

まゆ「朋さんとハロウィン」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509376120/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/19789012.html

朋「誓いの言葉って緊張するわね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507641718/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/19299426.html

よかったらこちらもよろしくお願いします

66 : ◆6QdCQg5S.DlH - 2017/12/17 18:21:24.87 sV3pFbv90 66/66

せっかくなので、シリーズ一覧も。
よかったらよろしくお願いします。


茄子「世界で一番幸運な私」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454938732/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/1334103.html

聖「私の歌を聞いてくれる人」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455549520/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/1451962.html

菜々「体力持つのは一時間」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456162372/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/1562439.html

芳乃「かみさま」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1457097186/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/1762357.html

朋「百発百中」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458071365/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/1974545.html

歌鈴「私の中の神様」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1459093019/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2177004.html

―区切り―

小梅「最近あの子がちょっとおかしい……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1460255482/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/2437153.html

みく「みくは猫だよ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1462469441/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/3019316.html

泰葉「人形の館」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1465066298/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/3707935.html

まゆ「一目惚れ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467820704/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/4586204.html

藍子「ゆっくり止まっていく」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1474813680/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/6813881.html

瑞樹「過去へ還る道」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1479207891/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/8410826.html

こずえ「こずえはねー……おにんぎょうなのー……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486384458/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/12010486.html

―区切り―

朋「寺生まれのいる事務所」 (番外編)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490174815/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/13864770.html

フレデリカ「緑色の目をした怪物」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1494245917/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/15371907.html

クラリス「教会生まれのCさん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1501868659/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/17738220.html

乃々「心の声が聞こえるんですけど……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504313285/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/18351436.html

薫「教会生まれのお姉ちゃんにお礼したい!」 (番外編)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507383489/
http://ayame2nd.blog.jp/archives/19229484.html

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