1 : 以下、名... - 2017/05/17 18:12:06.84 0Jfr0/1zo 1/40



比奈「へえー」

比奈「もうそんな時期っスか」

比奈「いつも知らないうちにやってるから」

比奈「あんまり結果とか気にしてなかったっス」

モバP「上位5人でセレモニーやるらしいから」

モバP「なんかコメント考えておいてな」

比奈「了解っス、コメントでスね」

比奈「コメント、コメント……」


比奈「……」



元スレ
モバP「比奈、総選挙4位だってさ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495012326/

2 : 以下、名... - 2017/05/17 18:12:48.76 0Jfr0/1zo 2/40



比奈「うええっ!?」


比奈「よ、よよ、よん……」


比奈「4位っ!?」


3 : 以下、名... - 2017/05/17 18:14:24.29 0Jfr0/1zo 3/40


「そう」

「4位」

「高垣楓さん、本田未央さん、藤原肇さんときて」

「堂々4位です」

比奈「」

比奈「う、うそでスよね、Pさん」

比奈「なんかの間違いじゃ……」

「これ見て、得票数」

「607600票」

「やばい」

比奈「ろくじゅうまん……」

比奈「いち、じゅう、ひゃく、せん……」

比奈「……ろくじゅう、まん」

「比奈」

「今めっちゃいい顔してるぞ」

4 : 以下、名... - 2017/05/17 18:15:31.74 0Jfr0/1zo 4/40



比奈「P、Pさんこれ」

比奈「ど、どうしたらいいっスかね」

比奈「これ、こんな、だって」

比奈「全然、あの、予想外すぎて……」アタフタ

「まあまあ」

「そのために今度セレモニーやるんだから」

「投票してくれたみなさんに感謝の気持ちを込めて」

「精一杯おめかしして、お披露目といこうじゃないの」

比奈「えぇ……」

比奈「だってアタシ賞状とかトロフィーとか、今まで一個ももらったことないっスよ?」

比奈「いっつも端っこの方で拍手しているだけのモブキャラだったのに」

比奈「それがこんな、よりにもよってアイドル総選挙で……」

比奈「そんな、そんな……」

比奈「うぁ~! どうすんスか~~!」

「わかる」

「頭かかえちゃうよね」

「俺もびっくりしたもん」

5 : 以下、名... - 2017/05/17 18:16:35.41 0Jfr0/1zo 5/40


「しかし、決まったことは決まったことだから」

「落ち着いたらコメント考えておいてな」

「俺は当日の衣装とか手配してくるから」

比奈「は、はいっ」

比奈「あ、あの~、Pさん」

「ん?」

比奈「衣装はあの、地味目なんでいいでスよ?」

比奈「あんまり目立たない感じのでお願いしまス」

「……なんで?」

比奈「だって入賞したと言っても4位ですし……」

比奈「それにアタシがキラキラしすぎるのはちょーっと、その」

比奈「キャラじゃないかなーって、えへへ……」

「……」

6 : 以下、名... - 2017/05/17 18:18:16.85 0Jfr0/1zo 6/40


比奈「あ、大丈夫っスよ! 当日は脇役に徹するつもりでスから!」

比奈「コメントも無難なのにして、他の人たちを立てるようにしてでスね……」

「いや」

「ダメ」

比奈「え?」

「よっしゃ、当日はめっちゃ派手なドレスで行くぞ」

「1位の楓さんのお株を奪うくらいの勢いでいくからな」

比奈「え、ええっ、な、何ででスかっ!」

「背中も胸元もおっぴろげのにしてやる」

「許さんからな、覚悟してろよ」

比奈「ちょ、あの」

比奈「許さんって……」

「比奈、当日までまだ時間はある」

「その間によく考えることだ」

「60万票という結果が、どういう意味を持つのかを」

7 : 以下、名... - 2017/05/17 18:19:07.70 0Jfr0/1zo 7/40



比奈「え……?」

「じゃ、俺行くから」

「コメントの下書きができたら見せてくれな」

「空いてるときにでも声かけてくれ」

比奈「あ、ハイ」

「あと、言い忘れてた」

「おめでとう、比奈」

「今回の結果、俺はすごく誇らしいし」

「めちゃくちゃ嬉しいって思うよ」

比奈「」

比奈「あ、ありがとうございまス」

「じゃっ」


バタン



比奈「……」

比奈「ろくじゅうまんの、意味……」


8 : 以下、名... - 2017/05/17 18:19:51.96 0Jfr0/1zo 8/40



―――
――


9 : 以下、名... - 2017/05/17 18:20:47.65 0Jfr0/1zo 9/40



カチャッ

比奈「……あの」

??「うーん、こっちですかね……」


カチャッ

比奈「ちょっと」

??「あーこれもいいですね~!」


カチャッ

比奈「春菜ちゃん」

春菜「これ! これですよ!」

春菜「グッドルッキング! 比奈ちゃん、このフレームで行きましょう!」

比奈「……」


10 : 以下、名... - 2017/05/17 18:21:40.90 0Jfr0/1zo 10/40



スッ

春菜「ああっ! 外しちゃだめですよっ!」

比奈「言いにくいんでスけど」

比奈「当日は、コンタクトかもしれないんでス」


春菜「」ガーン


春菜「な、なん……」

比奈「あー、いや、アタシじゃないッスよ?」

比奈「Pさんがそれでいくって」

春菜「Pさんが……」

春菜「ありえません! 断固抗議します!」

春菜「コンタクトなどという蛮行、断じて許すことはできません!」

春菜「全国の眼鏡ストに対する背信行為に他なりませんよ!」

比奈「は、はあ……」

春菜「何より、せっかくの晴れ舞台ですもんね!」

春菜「比奈ちゃんも、目一杯お洒落していきたいですよね?」

春菜「そのためにも、眼鏡は必須じゃないですか!?」

比奈「……」

比奈「それなんでスけど……」


11 : 以下、名... - 2017/05/17 18:23:09.66 0Jfr0/1zo 11/40



――


春菜「――なるほど」

春菜「60万票の意味、ですか」

比奈「正直、こういうの全く経験なくて」

比奈「全然実感が湧かないんスよね」

比奈「途方もない数字ということは分かるんでスけど……」

春菜「そうですね」

春菜「困惑してるって感じですか?」

比奈「それっス」

比奈「これまで日陰の方でのんびりやっていたのが」

比奈「突然ひっぱり上げられて、スポットライト当てられるわけじゃないっスか」

比奈「もう場違い感が半端じゃないっスよ」

春菜「そんなこともないと思いますけど……」


12 : 以下、名... - 2017/05/17 18:24:29.69 0Jfr0/1zo 12/40


比奈「だからセレモニー当日もでスね」

比奈「簡単な挨拶だけして、そのままこそこそと……」

比奈「舞台袖の方に逃げてしまおうかなーなんて思ってたんでスけど」

春菜「……」

比奈「60万票入れてくれたファンの人たちも」

比奈「そういうアタシの姿を期待してるんじゃないかなって」

比奈「若干考えているんでスけどね」

春菜「うーん……」

比奈「なんかPさん的にはそうじゃないっぽくて」

比奈「こう、キラキラした衣装で行く! って息巻いてるんでスよねぇ」

比奈「だからどうしようかなぁって感じでして……」

春菜「なるほど」

春菜「……」


13 : 以下、名... - 2017/05/17 18:25:41.64 0Jfr0/1zo 13/40



春菜「ちょっと待っててくださいね」


ガサゴソ


比奈「?」

春菜「比奈ちゃん」

春菜「やっぱりこっちにしましょう」


カチャッ


比奈「ひゃっ」

比奈「なななんスかこれ」


比奈「これ、サングラスじゃないっスか!」


14 : 以下、名... - 2017/05/17 18:27:33.46 0Jfr0/1zo 14/40


春菜「おー、これは」

春菜「アリですね!」

春菜「普段の私ならまずやらないチョイスですけど」

春菜「やっぱりハレの日にはこれくらいやらなきゃですよね!」

春菜「すごい! 比奈ちゃん大物感でてますよ!」

比奈「いやいやいや!」

比奈「完全に勘違いした人じゃないっスかこれ!」

比奈「こんな格好で行ったら浮くなんてレベルじゃないっスよ!」

春菜「ふふふ」

春菜「比奈ちゃん、かわいい」

比奈「むっ」

比奈「春菜ちゃん、アタシをからかってまスね?」

比奈「ダメっスよ! これでも真剣に悩んでるんスからね!」

春菜「いえいえ、私は本気ですよ」

春菜「私は本気で比奈ちゃんに、キラキラしてほしいって思ってます」

比奈「え」

15 : 以下、名... - 2017/05/17 18:28:49.81 0Jfr0/1zo 15/40


春菜「勘違いしたっていいじゃないですか」

春菜「全部が全部、自分の人生なんですから」

春菜「たまには日陰からでて、お日様の下ではしゃいだって」

春菜「誰も文句は言わないって、私はそう思いますよ」

比奈「春菜ちゃん……?」

春菜「私もアイドルになるまではずうっと地味で」

春菜「このまま一生、かわいくなんてなれないんだろうなって思ってましたけど」

春菜「でもPさんに出会って、比奈ちゃんとも友達になれて」

春菜「少しずつですけど、気付くことができたんです」

春菜「自分の人生、自分が主役なんだなって」

比奈「……主役」

春菜「はい!」

春菜「きっと無理なんですよ、一生脇役のままでいるなんて」

春菜「誰しもいつかは、主役になるときが来るんです」

春菜「ステージの下で、歓声を浴びる日が来るんです」

春菜「そのときのために、日々懸命に生きているんですよ」

春菜「少なくとも私は、そう思います」

比奈「……」

16 : 以下、名... - 2017/05/17 18:30:07.63 0Jfr0/1zo 16/40


比奈「アタシは、今ってことなんでスかね?」

春菜「えっ?」

比奈「今こそ、ステージに上がるときなんでスかね?」

比奈「Pさんも、それに気づいていたからこそ」

比奈「あんなに真剣に、アタシに諭してくれてたんでスかね?」

春菜「はい、私はやっぱり、そうじゃないかなって思います」

春菜「比奈ちゃんに投票してくれたファンの人たちも、きっと」

比奈「……」


17 : 以下、名... - 2017/05/17 18:31:06.19 0Jfr0/1zo 17/40



比奈「アタシ、ちょっと出かけてきまス」

春菜「えっ」

比奈「ちょっと、Pさんの所に……」

比奈「あの、春菜ちゃん、本当にありがとうございまス」

比奈「なんだか、思い出した気がしたっス」

比奈「アイドルになったときの、初心に帰れたっスよ」

春菜「……」


カチャッ

比奈「ひあっ」

春菜「ふふふ」

春菜「また一緒に、眼鏡選びましょうね」

春菜「眼鏡一つで、印象がまるっきり変わりますから」

春菜「きっと比奈ちゃんも、もっとキラキラできますよ」

比奈「そ、そうでスか?」

春菜「そうですよ!」


18 : 以下、名... - 2017/05/17 18:32:42.12 0Jfr0/1zo 18/40



春菜「眼鏡には、人生を変える力がありますからね!」



19 : 以下、名... - 2017/05/17 18:33:12.32 0Jfr0/1zo 19/40



―――
――


20 : 以下、名... - 2017/05/17 18:33:45.12 0Jfr0/1zo 20/40



「なんだ、その眼鏡は」


21 : 以下、名... - 2017/05/17 18:34:31.43 0Jfr0/1zo 21/40



比奈「いえ、あの~……」

比奈「春菜ちゃんがこれかけて行けって……」

「……」

「どういうリアクションすればいいんだ俺は」

比奈「や、やっぱ変っスかね?」

「いや、似合ってるけどな」

「ちょっと意外でな」

「サングラスとはね……」

比奈「あ、あはは……」

「ま、ちょうど良かったのかもしれんな」

「外回りにはうってつけの格好だ」


22 : 以下、名... - 2017/05/17 18:35:19.80 0Jfr0/1zo 22/40



比奈「申し訳ないっスね、営業の途中にお邪魔して……」

「いや、そろそろ切り上げようかと思ってたんだ」

「これから行くところを考えれば、タイミングばっちりだ」

比奈「これから?」

「そう、たしかその角を曲がったあたりだ」


テクテク…


「ほら」

比奈「あ……ここ」

比奈「わぁ、なつかしいっスね」

比奈「アタシが、スカウトされたところっスね」


23 : 以下、名... - 2017/05/17 18:37:05.77 0Jfr0/1zo 23/40


「決めてたんだ」

「仕事終わったらここに来ようってな」

比奈「Pさん……」

「もう何年前の話になるかな」

「向こうからジャージ姿の女の子が歩いてきてさ」

「髪がすっげえぼさぼさで、顔もノーメイクか? ってくらい化粧っ気がねえの」

「それが挙動不審にあっちの店やらこっちの店やら覗いてて……」

「いやーあれは浮いてたね、確実に浮いてた」

比奈「ちょ」

比奈「あの、黒歴史なんでそのへんで……」

比奈「ていうか人のことそんな風に見てたんでスか!」

比奈「地味にショックなんでスけど……」

「あー感慨深いですわー」

「あのときのもっさい娘がまさかなあ」

「あのもっさい娘がなあー」

比奈「あーもう悪かったっスね! もっさくて!」ポスッ

「うおっ」

「肩パンだ」

24 : 以下、名... - 2017/05/17 18:38:28.72 0Jfr0/1zo 24/40


比奈「……でも本当、昨日のことみたいでスよね」

比奈「覚えてまス? あのときPさんがなんて言ったか」

「ん?」

比奈「アタシをスカウトしたときの言葉でスよ」

比奈「いわゆる殺し文句ってやつでス」

「あー」

「……なんだったかな」

「忘れちまったな、もう」

比奈「うわ! 普通忘れまスか? そういうこと」

「悪いな」

「過去は振り返らないタチなんだ」

比奈「……ここに来てる時点で説得力皆無っスよね、それ」

「……」ポスッ

比奈「あっ!」

比奈「殴った! 今殴ったっスよね! アイドルを!」

「殴ってない」

「スキンシップ」

「殴ってない」

比奈「う、うわー」

比奈「めっちゃ大人げない!」

25 : 以下、名... - 2017/05/17 18:39:41.01 0Jfr0/1zo 25/40



「……まあ、なんつったかは覚えてないけどな」

「なんで比奈に声をかけようと思ったかは覚えてるぞ」

比奈「アタシに……でスか?」

「そう」

「俺さ、比奈を一目見て思ったんだ」

「この娘はきっと"納得させようとしている"娘だって」

比奈「……納得、させようとしている?」

「つまりな」

「自分は日陰者で、表舞台には出ちゃいけない存在だって」

「身の程をわきまえて、静かに生きていくのがお似合いだって」

「そうやって、自分自身を納得させようとしている」

「そういう空気を、比奈から感じ取ったわけよ」

「本当は少し、外の世界への憧れもあるのに、だよ」

比奈「……」

比奈「さすがっスね」

比奈「一瞬で、そこまで見抜いちゃうもんでスか」

「まー、わかるわな」

「俺も似たようなもんだったからな」

26 : 以下、名... - 2017/05/17 18:41:35.22 0Jfr0/1zo 26/40


比奈「Pさんが?」

「そう」

「俺も比奈をスカウトするまでは、うだつがあがらなくてな」

「先輩だけじゃなく、同期や後輩にもどんどん追い抜かされてた」

「もちろん焦る気持ちはあったけど」

「同時に、心のどこかでこうも思ってたんだ」

「あいつらと俺とでは、きっと住む世界が違うんだろうな、ってさ」

比奈「……」

「あいつらには生まれ持った天性の何かがあって」

「俺にはそれがないから、差が付いちまったんだろうなって」

「そうやって無理矢理、自分を納得させようとしてた」

「もやもやした気持ちに、折り合いをつけようとしてたんだ」

比奈「Pさんが、そんな……」

「そんでさ」

「もうこれでダメだったら、転職でもすっかなって思って」

「最後の大バクチとして、声をかけたのが比奈だったってわけ」


27 : 以下、名... - 2017/05/17 18:42:33.50 0Jfr0/1zo 27/40



比奈「……知らなかったっス」

比奈「初めての担当だとは、聞いてましたけど」

「言ってなかったからな」

比奈「ずいぶん、分の悪い賭けに見えまスけどね」

「そうでもない」

「事実、賭けには勝ったからな」

「やっと比奈を、ここまで連れてくることができた」

比奈「……」

「天性やら才能なんつーのはまやかしで」

「住む世界が違うなんてのは詭弁でしかない」

「俺たちは日陰者のままじゃなくて」

「俺たちは脇役なんかじゃなかった」

「……やっと、それを証明できたよ」

「ありがとう、比奈」

「全部、比奈のおかげだよ」

28 : 以下、名... - 2017/05/17 18:43:37.13 0Jfr0/1zo 28/40



比奈「……そんな」

比奈「感謝するのはアタシの方で」

比奈「Pさんがいなかったら、今頃どうしてたか想像もつかないっスよ」

比奈「こちらのほうこそ、本当に、あの……」

「いいっていいって」

「湿っぽいのはさ」

「まあ、これからもよろしくな」

「俺はずっと、比奈の担当でいるつもりだからさ」

比奈「Pさん……」

比奈「……」

比奈「なんか、感動的っスね」

「へ?」

比奈「これ絶対、漫画だったら見開きのページっスよ」

比奈「"俺は一生、比奈の担当でいる"って台詞と共に」

比奈「2人でじっと、見つめ合ってるシーンっス」

「……」

「そうね」

「全然見つめ合ってないけどね」

「あと一生とか言ってないからね」

29 : 以下、名... - 2017/05/17 18:44:36.03 0Jfr0/1zo 29/40



比奈「まさか現実にそんなシチュエーションがあるなんて」

比奈「いやーいい体験しちゃったっスねー」

比奈「これで一本描けちゃいまスよ、短編いけまスね」

「あ、そう……」

「なんだ、この……」

「言いようもない虚脱感は」

比奈「ふふふ、さあPさん、帰りまスか」

比奈「セレモニーの準備もありまスからね」

「あ、そうだ、セレモニー」

「比奈、ちゃんと考えてきてるか?」

「朝言ってた、60万票の意味ってやつ」

比奈「大丈夫っスよ」

比奈「ちゃんと、わかってまスから」


30 : 以下、名... - 2017/05/17 18:45:05.56 0Jfr0/1zo 30/40



比奈「当日は、アタシが主役、でスよね?」


31 : 以下、名... - 2017/05/17 18:46:20.48 0Jfr0/1zo 31/40



――――
――


32 : 以下、名... - 2017/05/17 18:46:52.83 0Jfr0/1zo 32/40



司会「得票数607600!」


司会「見事、総選挙第4位に輝きました!」


司会「荒木、比奈さんです! どうぞ!」


パチパチパチパチ


33 : 以下、名... - 2017/05/17 18:47:40.94 0Jfr0/1zo 33/40



比奈「あ、あの、ご指名いただきました荒木比奈っス」

比奈「あの、こういう場は余り慣れていなくて、その」

比奈「何から始めたらいいかわかんないんでスけども」

比奈「まず何よりも、感謝の言葉を言わせてください」

比奈「みなさん、本当にありがとうございました!」

比奈「4位という順位に輝けたのも、みなさん一人一人の投票があってこそだと思いまス」

比奈「これからは60万票の重み、しっかりと胸に刻みながら」

比奈「一歩一歩、アイドルのステージを登っていきたいと思いまス」

比奈「日陰者だったアタシに、夢を見させてくれてありがとうございました!」


「(うんうん、いいぞいいぞ)」


比奈「話は変わりまスが――」


「(ん?)」

34 : 以下、名... - 2017/05/17 18:48:36.02 0Jfr0/1zo 34/40


比奈「こういうハレの場で、柄にもないことを喋っていると」

比奈「アタシがスカウトされた日のことを思い出しまス」


「んん?」

「あんにゃろう、台本にないことを……」


比奈「あの日、渋谷の街角をぶらぶら歩いてたら」

比奈「すっごい形相で近づいてくる人がいたんでス」

比奈「あんまり怖い顔なんで、カツアゲでもされるのかと身構えていたら」

比奈「それがなんとスカウトの人だったという……」

比奈「ま、今のプロデューサーでもあるんでスけどね」


ハハハ


「……」


35 : 以下、名... - 2017/05/17 18:50:20.73 0Jfr0/1zo 35/40



比奈「曰く、アイドルに興味はないかっていうんでス」

比奈「最初はからかってるのかなーなんて思ってたんでスけど」

比奈「あまりに真剣な顔をしてるので、こりゃ本気と書いてマジのやつだぞと」

比奈「だからアタシも真面目にこう言ったんでス」

比奈「そんな華やかな場所は似合わないって」

比奈「社会の片隅で、こっそり生きているのがアタシだって」


「……」


比奈「そう言ったらプロデューサー、すごく複雑な表情して」

比奈「悲しいような、悔しがってるみたいな……」

比奈「なにか地雷でも踏んだかな? って思ってたら」

比奈「少し声のトーンを落として」

比奈「こう言ってくれたんでス」


36 : 以下、名... - 2017/05/17 18:51:11.69 0Jfr0/1zo 36/40


―――――――――――――――

「俺は、そうは思わない」


「現実は、漫画の世界とは違う」


「俺たちは、出来合いの物語の中にいるわけじゃない」


「与えられたキャラクターを演じてるんじゃないんだ」


「俺たちは、たぶん、何になってなれる」


「君だって、例外じゃないはずだ」


「だから――」

―――――――――――――――

37 : 以下、名... - 2017/05/17 18:52:14.25 0Jfr0/1zo 37/40



比奈「アタシ、今でも鮮明に覚えていまス」


比奈「プロデューサーの、その言葉を」



38 : 以下、名... - 2017/05/17 18:52:43.22 0Jfr0/1zo 38/40


―――――――――――――――



「――主人公に、なってみないか」





―――――――――――――――


39 : 以下、名... - 2017/05/17 18:53:17.31 0Jfr0/1zo 39/40




終わり


42 : 以下、名... - 2017/05/17 18:54:32.12 0Jfr0/1zo 40/40



4位ということで、取り急ぎ

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