1 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:24:19.15 jLGla9Ra0 1/12

===

 まさに悪魔的な発想だった。

 彼に計画を持ち掛けられた時、松田亜利沙は「まさか、そんな!」と叫んだと言う。

「まさかもまさか、大マジだ」

「でも、色々とマズいんじゃ」

「何がマズいか。お仕事ですよ、お仕事!」

 男の目は既に正気を失い、しかし言葉には強い説得力が込められていた。
 亜利沙はごくりと唾を飲みこむと、好奇心に負けて彼に尋ねる。

「本当に、危なくは無いことなんですね?」

「大丈夫。みぃんなやっていることさ」

 そうして男が指さした、デスクの上には様々な種類の飴、飴、飴。
 そのどれもこれもは基本棒状の、極太の、食べごたえのありそうな形をしている。

「販促だよ、宣伝だよ、よくあるプロモーションビデオだよ」

 ニタリと笑みを浮かべる男の顔は、同類を見る時のソレだった。
 亜利沙は思う「ああ、自分も欲望には抗えない」

 結託の握手を交わした二人は早速、劇場の一室に一人の少女を呼び出すのだった――。

元スレ
【ミリマス】「星梨花が飴をねぶる時」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492122258/

2 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:25:33.62 jLGla9Ra0 2/12

===

 箱崎星梨花は妖精である。もしくはただの天使である。

 亜利沙はビデオカメラを構えながら、
 目の前に座る星梨花の姿に鼻息を荒くする自分が居ることを自覚した。

「それじゃあ星梨花、これ持って」

 プロデューサーがそう言って、彼女に一本の飴を手渡した。
 星梨花は受け取った棒状の飴をあちらこちらから眺めると。

「これは、えっと……飴ですね!」

「そうだな、飴だ」

「それも特大金太郎飴ですよ、星梨花ちゃん」

 亜利沙が星梨花に言う通り、その飴は通常の金太郎飴の三倍近い太さがあった。

 棒状の飴の先端部分、切り口に描かれたひしゃげた子供の顔が星梨花を見る。

4 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:29:52.75 jLGla9Ra0 3/12


「それで……私はこれを、どうしたらいいんでしょう?」

 断面の子供と睨めっこをするように棒を持ち、
 星梨花が小首を傾げてそう訊いた。
 
 するとプロデューサーが優しい声で。

「食べればいいのさ」

「食べる?」

「ああ、星梨花は飴を食べるだけでいい」

 何とも簡単な要求であった。渡された飴を食べるだけ。

「あの、それだけでいいんですか?」

「ああ」

「……本当にお仕事なんですか?」

「ああ!」

5 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:30:56.87 jLGla9Ra0 4/12


 とはいえ拒否するなんて選択肢は、真面目な星梨花の中に存在しない。

 彼女は金太郎飴をお口に寄せると意を決したように深呼吸し、
 そのままパクリとかぶりついた。

「カット! カーット!」

 瞬間、部屋の中にプロデューサーの声が響く。
 星梨花が慌てて口の中から飴を引き抜き、心配そうな視線を彼へと送る。

「……星梨花」

「は、はい!」

「飴の食べ方は知ってるか?」

「え、えぇっと……」

「飴は、齧る物じゃあないよなぁ?」

「……はい」

「舐めなさい」

「えっ?」

「飴を、ペロペロと舐めるんだ! その様子を、亜利沙が撮る!」

「舐める……」

「星梨花舐める! 亜利沙撮る! 販促動画が出来上がる! ……それじゃあ、もう一回最初から行ってみよう」

 プロデューサーが星梨花の持っていた飴を奪い取り、
 また新しい金太郎飴を彼女の右手に握らせた。

6 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:32:05.25 jLGla9Ra0 5/12


「アクション!」

 星梨花が再び金太郎飴を口に寄せ……その先端部分をおずおずと、
 自身の舌をあてがうようにして舐め上げる。

 チロリと可愛らしく出した舌先で一回二回、そしてまた一回。

 断面に描かれた金太郎が、彼女の唾液でてかてかと光る。

 星梨花は恥ずかしそうに頬を赤らめ、しかし一生懸命に飴を舐めて行く。

 それはまるで子犬が飼い主の指を舐めるような仕草。

 彼女が舌を出すたびに、部屋の中にはぴちゃぴちゃという水音が響き、
 この光景を撮影する亜利沙の胸をイケナイ気持ちで満たすのだった。

「……あのぉ」

 数分間、そうして舐め続けていただろうか? 
 不意に星梨花は舐めるのを止め、プロデューサーへと声かけた。

7 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:33:24.96 jLGla9Ra0 6/12


「これって、ずっと舐めてないとダメですか? 途中で、その……齧るのは……」

 恐らく、舌が疲れてきたのだろう。

 懇願するような星梨花に向けて、
 プロデューサーが「齧るのはダメだ」と首を振る。

「しかし、吸いつくのはアリだ」

「す、吸いつく……ですか?」

「ああ。チュウチュウと吸って溶かすのは、むしろアリ」

 星梨花には全く分からない。

 どうして齧りつくのは駄目で、舐めるのと吸いつくのは許されるのか……。

 とはいえ彼女はホッと安堵する。
 なぜなら星梨花は疲れていた。

 飴は確かに美味しいが、いつまでもペロペロ舐め続けられるだけの体力も、そして忍耐力も自分にはない。

「じゃあ、今から吸いつきます」

「うむ! ……亜利沙、しっかり撮っておけ」

「任せてください!」

 星梨花が先ほどまでしゃぶっていた金太郎飴の先端を、その小さなお口の中に含む。

8 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:34:13.92 jLGla9Ra0 7/12


「んっ……ふぅ……」

 悩まし気な吐息をあげるとは、まさに今の星梨花を言うのだろう。

 彼女が棒に吸い付くたび、ちゅぱちゅぱとしか形容のできない音が亜利沙たちの耳に聞こえて来るのだ。

「いいか星梨花。飴はな、吸い付くだけじゃあダメだ」

「ふっ……ふぁい……」

「吸うだけじゃなく、同時に舌を使って舐めるんだ。そうすれば、もっと早く食べられる」

「……んっ! ……はぁ」

 星梨花が棒を出し入れする度、くちゅくちゅ音が辺りに響く。
 とはいえ彼女にはやはり大きいようで、舐めるよりも咥え込むだけで精一杯。

「はふっ」

 しゃぶるのを止め、唾液によってドロドロになったソレを眺めながら恥ずかしそうに星梨花が言った。

9 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:35:42.39 jLGla9Ra0 8/12


「これ、思ってたより大変です」

「HAHAHA、星梨花にはまだ大きかったかな」

 ナニが大きいかって? もちろんキャンディに決まっている。

 再び作業に戻った星梨花の頭には、
 この仕事を早く終わらせることしか今はない。

 彼女はプロデューサーに言われるままに夢中で舌を動かして、棒をおさめることに必死である。

 先端を吸い、ふやかして、それからアイスを舐める時の要領で、すくい上げるように舌を動かす。

 それら一連の作業をできるだけ素早く、
 そしてリズミカルにこなすに為には、人の目なんて気にしてられない。

「はっ……ふっ……んっ……!」

 断続的に漏れる甘い吐息。

 星梨花の前髪は汗で張り付き、
 赤く紅潮した頬が彼女の色気を演出する。

 十三歳とは思えぬその淫靡さに、
 カメラを持つ亜利沙の手にも自然と力が込められる。

10 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:36:39.89 jLGla9Ra0 9/12


「そうだ星梨花……上手だぞぉ……!」

「んっ……はっ……!」

「もっと早く、早くだ……」

「ふっ……こ、こうひぇふは……?」

「いい! いいぞぉ! 流石は星梨花だ……偉いなぁ」

「え……えへへ♪」

 プロデューサーに褒められた、星梨花の動きが早くなる。

 棒を入れ、棒を出し、舌で舐め、音を立て吸い付く。

 小鳥がついばむような短いキスを披露して、
 子犬がミルクを飲むような舌使いで、棒の周りに伝う粘着物質を舐めて行く。

 そのうち、星梨花自身に変化が表れた。

 今や彼女は恍惚とした表情で、その太く固い棒をしゃぶっていた。

 そして時折は自身の指についたべたつきまで、
 指示されてもいないのに舐め取り始めたのである。

11 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:38:22.93 jLGla9Ra0 10/12


「ん……ちゅ……♪」

 撮影を始めてからどれほどの時間が経っただろう? とうとう星梨花は完食した。

 最後に残った欠片のような飴を口の中へと押し込むと、
 そのまま親指の先までキレイに全部舐め上げる。

「はふぅ」

 そうして満足そうに息を吐き、惚けた表情をカメラに向けた。
 その姿は酷く背徳的で、見る者の心に罪の意識を植え付けるが……。

「えへへ……全部、食べきりました」

 笑顔で完食報告をする星梨花の姿が見られるならば、例え地獄へ送り込まれたって構うものか! 

 亜利沙は撮影をやり遂げた達成感をその胸に、
 隣に立つプロデューサーへと視線を移す。

「プロデューサーさん、ありさたちやりました!」

「ああ、やったな!」

「ムフフ♪ 今回の撮影は非常に満足のいく結果に――」

 しかし、彼女の言葉はプロデューサーによって遮られた。

 ……なぜなら彼は、亜利沙の前に真新しい棒つきキャンディを突きつけて。

12 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:40:00.42 jLGla9Ra0 11/12


「まだだ、まだ俺たちの撮影は終わってない」

「えっ」

「星梨花だけだと思ったか? ……甘いぞ亜利沙、この飴よりも!」

 その時、撮影現場に新たな訪問者がやって来た。

 彼女……いや、彼女たちはプロデューサーの姿を見つけると、なんとも対照的な態度を見せつける。

「プロデューサーさん! わたしたち言われた通りにやって来たよ!」

「でも普通はそっちから迎えに来るべきだよね、お兄ちゃん?」

「い、育ちゃんに桃子ちゃんセンパイ……!」

 言いながらプロデューサーを見上げる、亜利沙の顔は戦慄していた。
 まさか、まさかこの人は……幼い彼女たちにも星梨花と同じ仕打ちを与えるのか!?

「さぁて……楽しい撮影の始まりだぁ……!」

 もはや逃げ出そうにも遅すぎる……
 亜利沙は震える手でビデオカメラを持つと、覚悟を決めて彼に応えた。

「ありさ……ありさどこまでもプロデューサーさんについて行きます! 
 それが例え破滅の道、アイドル界の冥府魔道でも!!」

13 : ◆Xz5sQ/W/66 - 2017/04/14 07:41:20.70 jLGla9Ra0 12/12

===
おわりです。息抜きってか勢いだけで書いた。

お読みいただきありがとうございました。

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