1 : 以下、名... - 2017/01/14 23:46:39.56 cu/Dm66l0 1/43

・プロデューサー(女性)が結構出番があります。
・百合一応注意


元スレ
渋谷凛「プロデューサー(女性)のことを恋したみたい……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1484405199/

2 : 以下、名... - 2017/01/14 23:47:11.66 cu/Dm66l0 2/43

渋谷凛「そう、プロデューサー。女の人で、私より背が高くて、スタイルもよくて、美人で、スーツがきまっていて、とても気配りのできる、かっこよくて……」

「……うん、なんか自分で言ってて恥ずかしくなった」

「でも、プロデューサーのこと、意識しちゃうんだよね。なんか最近、プロデューサーの顔もちゃんと見れない感じ」

「朝起きると、まずプロデューサーのことを考えるんだ。それから、プロデューサーのことを考えて身だしなみを整えて……」

「プロデューサーに会うと、まともに近くで顔を見れないんだけど、遠くからプロデューサーをみたりするんだ」

「でも、他の人にはこんなこと言えないよ……ハナコ」

ハナコ ワンッ

「うん、皆のこと信用しているけど、女の人が女の人のこと好きって思ったら、皆ひくだろうな……」

3 : 以下、名... - 2017/01/14 23:47:38.06 cu/Dm66l0 3/43

次の日 事務所

(プロデューサー、今事務所だよね……なんかプロデューサーのこと考えていたら、事務所に入るのも緊張する)

(髪、乱れてないよね……)サワサワ

(……よし、行こう)

ガチャ

「おはようございます……って、あれ?」

(プロデューサーも、ちひろさんもいない……)

女性プロデューサー(以下、P)「凛、おはよう」

「ひっ」ビクッ

P「何、そんな悲鳴あげなくてもいいじゃない」

「あ、ごめん。プロデューサー。あと、おはよう」

P「うん、おはよう」ニコッ

凛 カァッ

4 : 以下、名... - 2017/01/14 23:48:10.90 cu/Dm66l0 4/43

P「あっ、凛、肩になんかついてる」

「えっ、あっ、ほんとだ。なんだろう……」

P「なんかのくずかな。今日、風強いからねえ。寒いし。おばさん、困るよ」

「まだ、お姉さんでしょ。プロデューサー」

P「へへっ、これでもおばさん初心者だよ。でも、確かにお姉さんの方が好きかな……」

(あ、プロデューサーが近い……)

P「ゴミ、とったよ。どうもなんかのビニールのかけらみたい」

(プロデューサー、良い匂いだなぁ……どこの香水使っているんだろう?)

5 : 以下、名... - 2017/01/14 23:49:01.02 cu/Dm66l0 5/43

島村卯月「えっ、プロデューサーさんがどこの香水を使っているか、ですか?」

「うん、なんかハーブティーみたいな、さわやかな香りがしたんだ」

本田未央「うーん。しきにゃんに聞けば一発だと思うけど、私たちのプロデューサーと接点あんまないからなあ」

卯月「ところで、何でプロデューサーさんの使っている香水が気になったんですか?」

「えっ、あ、いや、たまたま良い匂いがしたから、気になっただけで……」

未央「ふーん……」

6 : 以下、名... - 2017/01/14 23:49:34.73 cu/Dm66l0 6/43

別の日 Pの運転する社用車の中

P「三人ともラジオのゲストの仕事、お疲れ!」

TP「お疲れ様ですー!」

P「今日は私も現場いけなくてごめんねー。でも、私も車の中でラジオきけたから、きいていたよ。3人とも良かったよ」

北条加蓮「そうなんだ。でも、プロデューサー、私のトークきいて、なんか思うところあったら詳しく聞きたいんだけど」

P「うーん、加蓮はもうちょっと積極的に話しても大丈夫だと思う。でも、凛や奈緒、パーソナリティさんのトークを聞きながら、ちゃんと自分らしさが出ていたトークをしていたよ」

加蓮「そっか……ありがと」

神谷奈緒「ねえ、プロデューサーさん。あたしは?」

P「奈緒は今日はちょっと積極的に話し過ぎたね。もうちょっと、周りのトークを聞きながら話したほうがいいかも」

奈緒「うぅん、そっかぁ……」

P「今日のトークテーマは『好きなもの』で、好きなアニメの話を振られたからしょうがないよ。でも、周りが困るほどトークしていたわけではないし、
まあ、そこが奈緒っぽくて、かわいいから、大切にした方が良いよ」

奈緒「ううっ、かわいいは余計だ……」カァ

7 : 以下、名... - 2017/01/14 23:50:20.38 cu/Dm66l0 7/43

(……聞けない)

(……プロデューサーの意見、聞きたいけど、ちょっとこわくて聞けないな……)

P「凛、どうしたの? 具合悪い?」

「えっ、いや、そんなわけじゃ」

P「そう、ならいいけど。なんかあったら言ってね」

「うん、ありがとう……」

8 : 以下、名... - 2017/01/14 23:51:19.43 cu/Dm66l0 8/43

また別の日

奈緒「……ということがあったんだ。凛だったら、自分が調子悪くても、そこらへんはちゃんと聞くと思うけど、その時は黙っちゃってさ」

卯月「そんなことがあったんですね。凛ちゃん、最近様子がちょっと変ですよね……」

未央「そうだね。私も気になっているんだけど、ちょっとそこには触れちゃいけないオーラが出ている感じがしてさ……」

加蓮「……あのさ」

卯月「はい?」

加蓮「直接、本人に聞いてみない?」

奈緒「えっ、それはちょっと強引じゃないか?」

加蓮「うん、私もそう思う。でも、このままお互い黙っていても、変によそよそしくなっちゃうだけだと思う。
   凛も、何があったか知らないけど、凛もあのまま悩みを溜めちゃうタイプだから、ちょっと強引にでも話をきいた方が良いと思う」

未央「……そっかあ。そうだね。私も賛成」

奈緒「うん、あたしも良いと思う」

卯月「私も賛成ですが、凛ちゃんも敏感になっているので慎重にいかないと……」

加蓮「そうね。あくまで遊ぶていにして、まあ、そこから凛に聞いちゃう感じの流れで……みんな予定あいてる? 凛には私から予定きいておくけど……」

9 : 以下、名... - 2017/01/14 23:52:24.90 cu/Dm66l0 9/43

休日 カラオケ

奈緒「はー! 久しぶりにこれ歌えてすっきりしたぁ!」

「この歌、歌いやすそうだね。アニメソングだからかな」

未央「確かに、子供向けの特撮とかアニソンとかって歌いやすいよねぇ。小学生の頃、兄弟で一緒に歌っていたなー」

卯月「私も何かアニメソング歌おうかなぁ」

加蓮「皆がそれなら、あたしはこれにしようかな」


(……凄く楽しいんだけど、なんか皆どこか気を使っている感じがする)

(私が悩んでいるの、バレバレなのかな……)

(……こういう時、プロデューサーならどうするんだろう?)


加蓮「……凛?」

「ん、あ、なに?」

10 : 以下、名... - 2017/01/14 23:53:06.84 cu/Dm66l0 10/43

加蓮「最近どうしたの? 何か悩んでる?」

「え?」

奈緒「ちょっとあたしたちも気になってたんだ。もしよければでいいけど、相談にのりたいんだけど……」

未央「話しにくかったら、大丈夫だよ。でも、もしできるなら、しぶりんの悩みをちょっとでも解決できたなあ、と思って……」

「……」

卯月「無理はしなくていいですからね」

「……ありがとう。正直に話すね。実は……」

11 : 以下、名... - 2017/01/14 23:53:59.53 cu/Dm66l0 11/43

卯月「プロデューサーさんに恋した、って。あの、プロデューサーさんにですか?」

「うん、あの、女性のね」

未央「そっかぁ……そりゃ、大変だね……」

「大変という感じはないかな。でも、最近どんどん思いが強くなって、プロデューサーのこともまともに見れない。大変というか、やっぱ、ちょっとつらいかな……」

奈緒「うーん、相手は女性だろ。男の人へでも、告白するとか難しいのに……」


加蓮「……いいんじゃない?」

「え?」

12 : 以下、名... - 2017/01/14 23:54:40.23 cu/Dm66l0 12/43

加蓮「相手の人に思いをぶつけるのが、今の凛にとって一番じゃないかな?」

卯月「確かに、今の凛ちゃんはずっと思い詰めてて辛そうです」

未央「それなら、言っちゃった方が早い、か」

「でも、相手は大人の女のひとで、私は女子高生、女の人同士で、しかもアイドルとプロデューサーだよ? 
  プロデューサーも困るだろうし、それで関係がギクシャクしちゃったら、仕事にも影響出て、皆に迷惑かけちゃう」

加蓮「うちのプロデューサー、そんなにヤワじゃないでしょ」

「……!」

奈緒「確かに、あたしたちのプロデューサーだもんな」

加蓮「まあ、ここまで話聞いちゃって、アドバイスしちゃったし、いざとなったら、連帯責任で何とかするからさ」

「なんとかって?」

加蓮「奈緒が次のライブで魔法少女の格好して、アニメソングメドレーを歌うってことで」

奈緒「えー! それ、連帯って言わないぞ、あたしだけじゃん!」

13 : 以下、名... - 2017/01/14 23:55:26.71 cu/Dm66l0 13/43

(私は、加蓮のアドバイスと、皆の後押しをきいて、告白しようと思った)

(確かに、私たちのプロデューサーはそんなことで、他の人の態度が変わるような人じゃない。それは、今まで仕事をしてきて、私が一番知っていること)

(でも、これで変な方向行っちゃったら、私がプロデューサーと顔合わせにくい気もする……)

(……)

(それでもやろう。このままもやもやしていても、だめだ。やろう)

14 : 以下、名... - 2017/01/14 23:55:59.21 cu/Dm66l0 14/43

翌日 事務所 屋上


P「凛、どうしたの。二人きりで話がしたいなんて」

「あ、あのね、その……」

P「うん、どうしたの?」

(うわあ、プロデューサーがこっちずっと見てる……恥ずかしい……けど……!)

「私、プロデューサーのことが好き! プロデューサーとアイドルとかの間じゃなくて、その、私、プロデューサーに恋してるの! だから、その……」

(うわあ、言っちゃった。しかも思いっきり大きな声出ちゃった、恥ずかしいぃ……わかっていたけど、返事とか聞きたくない……どうせ、だめって……)

P「じゃあ、さ、明日、一緒にどっか行かない?」

「……へ?」

P「ちょうど私と凛、明日で休み被るんだよね」手帳ペラッ

「え、あ」

P「昼すぎから夜まで付き合ってほしいな。夜の食事をするときに答え返しても良い?」手帳パタン

「う、うん。明日は用事ないし、その時でも、大丈夫……」

P「じゃあ、そうしましょう。なんか、ごめんね」

「いや、その……」

千川ちひろ「プロデューサーさん、ここにいた! テレビ局の人から電話が来てます!」

P「はーい、わかりました、今行きます!……あの人かな……私の業務用携帯にかけろっていつもいってるのになあ」

P「じゃあ、凛、明日の午後1時に事務所の駐車場で待っててね」

「……」

「……あれ?」

15 : 以下、名... - 2017/01/14 23:57:25.22 cu/Dm66l0 15/43

夜 凛の部屋

「なんか予想してない展開になった……」

「どうしようか、ハナコ」

ハナコ ワンッ

「……悩んでいてもしょうがないか」

「もう寝よう」

16 : 以下、名... - 2017/01/14 23:58:28.15 cu/Dm66l0 16/43

翌朝 事務所 駐車場

「眠れなかった……」

「……ほんとは服装ももうちょっと考えていきたかったけど……」

ブロロロ…

(一台、車が止まった。車よくわかんないけど、青がおしゃれだな)

P「凛、おはよう!」

「あ、おはよう、プロデューサー……って、その車、プロデューサーの?」

P「うん、そうだよ」ニコニコ

(……相変わらず、笑顔がまぶしい)

P「早速乗りなよ」

「うん」

17 : 以下、名... - 2017/01/14 23:59:58.19 cu/Dm66l0 17/43

車内

P「さあ、今日は遊ぶぞー!」

(……結局、返事はどうなるんだろう。というか、プロデューサーの私服ってはじめてみるな……)

(私服、意外とラフなんだ。ロングスカート似合ってるなあ)

P「今日のその凛の格好、いいね」

「えっ、そうかな」

P「すごくいいよ。やっぱ凛は綺麗で大人っぽいよね。女子高生とは思えないくらい。ほんと美人さんだよ」

「そ、そんなこと言われても……」カァッ

「ぷ、プロデューサーだって、その服、すごく、似合って、る……」ゴニョゴニョ

P「あはは! そんな声小さくしなくていいじゃん、もっとしっかり褒めてよ!」

18 : 以下、名... - 2017/01/15 00:00:37.50 t5haRTEF0 18/43

「で、どこいくの?」

P「あ、そうそう。まずは買い物かなあ」

「買い物?」

……………

P「どう、このお店?」

「へぇ、なんか私好みのレディースばっかだ……こんなお店があるんだ……」

P「うん、凛の家とか、うちの事務所から離れているけど、シックな感じのファッションが結構品揃えいいんだよね」

「見て、いいの?」

P「うん、気に入ったのあったら持ってきて」

「え、プロデューサーが買ってくれるの? なんか悪いよ」

P「いーの、いーの。凛にはいつもお世話になっているから、私からのお礼だよ」

「う、うん」

(お世話になっているって、お世話になっているのはこっちのほうなんだけどな……)

19 : 以下、名... - 2017/01/15 00:01:33.24 t5haRTEF0 19/43

街中

P「あー、楽しかった! もっと買わなくてよかったの?」

「うん、ありがとう。むしろ、色々とコーディネートしてくれてありがとう。やっぱプロデューサーは服装選びとかもうまいよね」

P「いやいや、そんなことは……ん?」

「? どうしたの?」

P「ちょっと、ここも寄って良い?」

「香水のお店?いいけど」



P「あっ、あった。これ買っていくね」

「それ、いつもつけているやつ?」

P「そうそう。よくわかったね。職場でもつけているんだ。そんなにきつい匂いじゃないから、結構好きなんだよね」

「ふーん、そうなんだ」

20 : 以下、名... - 2017/01/15 00:02:31.54 t5haRTEF0 20/43

車内

P ~♪

(なんか、いつもの仕事の時のプロデューサーと違うな。なんか楽しそう)

P「ん? なんか私の顔についてる?」

「いや、なにも……」

P「やっと凛がこっち見てくれた。うれしいな」

「えっ」

P「最近、うつむいてる凛ばかり見るからさ」

「あっ、ごめんね」

P「ううん。好きな人の顔を見れないのは、当然のことだと思うよ」

「ううっ……」

21 : 以下、名... - 2017/01/15 00:03:19.45 t5haRTEF0 21/43

博物館 ドレス展

P「ここの特別展、見たかったんだよねー。ヨーロッパからの、昔の貴重なドレスも多数展示してあるってさ、気になってて」

「へぇ、意外」

P「そう? 私、結構こういう服好きよ」

「そうなんだ」

P「これでもね、小さい頃の夢はお姫様だったの」

「似合いそうだよね」

P「私はその時、そう思わなかった。お姫様の夢をあきらめた後は、ウエディングプランナー、ドレスメーカー、洋服屋さん、古着屋さん……結局、どれにもならなかったけどね」 

22 : 以下、名... - 2017/01/15 00:04:58.60 t5haRTEF0 22/43

P「凛には夢があるの?」

「うーん、今はアイドルの仕事でもっと色んなことやってみたいかな。
  でも、小学4年生くらいまではいろんな仕事になりたいって言ってたな。
  はじめは近所のローソンの店員さん、婦警さん、飛行機のANAのキャビンアテンダント。
  一番周りをびっくりさせたのは、曲芸飛行のブルーインパルスのパイロット」

P「……」

「なんか、何になっていいか、わかんない感じだよね。プロデューサーの夢は、なんか統一性があるっていうか、一直線だよね……」

P「くくっ……あははは!」

「?」

P「ご、ごめん。凛の夢を笑うつもりは全然ないんだ。でも…ふふっ!」

「何がおかしいの?」

P「気づかないの……? ローソンの店員さんは青を基調とした服だし、警察官の制服も青いし、ANAのカラーは青……ふふふっ」

「あっ……」カァ

P「それで、『ブルー』インパルス……ひひひっ! ははは!」

「もう、笑い過ぎ!」

23 : 以下、名... - 2017/01/15 00:05:45.13 t5haRTEF0 23/43

車内

凛 ムスッ

P「まだ怒っているの?」

「別に……」

P「はは、怒っているね」

「でも、ドレス、綺麗だったな。プロデューサーも色々と教えてくれたから、楽しかった」

P「よかった」

「プロデューサーって、色んなこと知ってるよね。気配りもできるし、かっこいいし……」

P「買いかぶりすぎだよ。私は、凛や、他のアイドルのほうが輝いて見えるな」

「え」

P「私はお姫様になりたかったけど、背が高いし、そもそもお姫様って何だと思って、その夢をあきらめた。ウェディングプランナーも大変そうで、なんか自分と違うとか思って……」

P「そうやって、夢が小さくなって、消えちゃったんだよね……」

「……」

P「私ね、凛の小さい頃の夢、ほんとに素敵だなと思う」

P「青ばっかなのはちょっと面白かったけど、夢が広がっていく感じがしたんだよね。それで、今アイドルで夢見てるって、ほんとうにきれいで、素敵だよね」

24 : 以下、名... - 2017/01/15 00:06:52.49 t5haRTEF0 24/43

P「夜はレストランで食事をとってあるけど、その前に寄るところがあるんだ。少し歩くよ」

「うん、ここに車止めるの?」

P「そう。夜は私、お酒飲むから。帰りはタクシーで帰ろう」

「ええ、なんか色々と悪いね……」

P「いいの、気にしなくて。私も楽しいし」


P「……今日も寒いよね」

「プロデューサーって、もしかして寒がり?」

P「というか、気温にちょっと敏感なんだよね、着込めば暑くなるし……ックション!」

「(くしゃみかわいい)……大丈夫?」

P「うん、もうちょっと暖かいと思っていたんだけどなあ。もっとちゃんと着込めばよかった」

「じゃあ、私のマフラー、使う?」

P「え、いいの? 凛は寒くない?」

「いいよ。私、着込んでるし」

P「ありがとう……へへっ、あったかーい」

(かわいい……というか、私のマフラーをプロデューサーが巻いてるってちょっとドキドキする……)

25 : 以下、名... - 2017/01/15 00:08:06.78 t5haRTEF0 25/43

P「着いた、ここだよ」

「ここって、ドレスのレンタルしているお店?」

P「そう……ここでね……」


「……どう?」

P「わぁ、綺麗! 青いドレスが冴えるね」

「こんなの、はじめて着たよ……プロデューサーも赤いドレスいいなぁ」

P「ふふ……こういう大人っぽいドレス、凛に着せたかったんだよね」

「あんまり着たことなかった……結婚式とかも小学生以来だし、パーティにいくみたいね」

P「まあ、似たようなものよ」

26 : 以下、名... - 2017/01/15 00:08:36.28 t5haRTEF0 26/43

高級レストラン 個室

ウェイター「どうぞ」

P「ありがとう」

(すごいなあ……こんな凄いお店はじめてだ)

ウェイター「これから、シェフがいらっしゃいますので、少々お待ちください」

P「わかりました」

28 : 以下、名... - 2017/01/15 00:09:29.91 t5haRTEF0 27/43

P「一応コース料理を頼んであるからね」

「ねぇ、プロデューサー」

P「ん?」

「あの……告白の答え、夜の時に聞かせてくれるんだよね?」

P「うん。そうだね」

「聞きたいんだけど……」

P「うん。じゃあ、早速言おうか」

凛 ドキドキ

P「あのね……」

29 : 以下、名... - 2017/01/15 00:09:55.16 t5haRTEF0 28/43

シェフ「失礼いたします」

「あ……」

P「あ、どうも~」

シェフ「わたくし、当店のシェフでございます。私から、今回のコース料理のご紹介と、飲み物を承ります」

シェフ「では、まず前菜から……」

(あああ……聞きかけていたのに……余計にもやもやする)

P「……今日のメインディッシュ、お肉はどこのを使っているの?」

シェフ「ええ、今日は……」

(プロデューサー、色々ときいてるけど、私にはわからないな……)

(でも、プロデューサー、なんか楽しそう。今日はプロデューサーの色んな顔がみれて良いなあ)

(香水何を使っているのかもわかったし、ドレスが好きなとこも見れた。嬉しそうに笑っているところ、普段見ない服装、昔の夢の話……)

(……)

30 : 以下、名... - 2017/01/15 00:10:42.68 t5haRTEF0 29/43

P「うん、やっぱりワインはその料理に合うのを選ばなきゃね。でも、凛にはまだ早いよね」

「……」

P「あのね、私、結婚するの」

「え……」

31 : 以下、名... - 2017/01/15 00:12:05.95 t5haRTEF0 30/43

P「ちょっと前に、彼からプロポーズされて決めたんだ」

(嘘……)

P「だから、まだ皆には話してない。上司やちひろさんにもね」

(いやだ……)

P「でも、この機会だから、凛には言っておこうと思って――」

「やだ!」ガタン!

P「……」

「プロデューサー、ごめん。でも、お願い。まだ私や、私たちと一緒にいて」

「私、まだアイドルでやりたいこと、いっぱいあるっていったよね」

「それをプロデューサーと一緒にやっていきたいの。お願いだから、一緒にいて」

「わがままで身勝手だとわかってる。でも、私、今、プロデューサーが目の前からいなくなったら、ほんとに……」ポロ

「ごめんなさい……でも、でも……」ポロポロ

P「……あー、やっちゃったなあ……」

32 : 以下、名... - 2017/01/15 00:12:57.54 t5haRTEF0 31/43

P「私、まだ、全然、凛のこと、わかっていなかったね……」

P「そうだよね、凛だって女の子だもんね、ごめんね……そりゃ、混乱するよね」

「ううっ……グズッ……ひっく」ポロポロ

P「ほら、ハンカチ。涙拭いて」

「ありがとう……」

P「ほら、座って。深呼吸してみ……」

「……うん」

33 : 以下、名... - 2017/01/15 00:14:16.74 t5haRTEF0 32/43

P「落ち着いた?」

「……うん、ごめんなさい」

P「いや、私の言い方が悪かったね。はじめにいっておくと、仕事はやめるつもりはないよ」

「え、そうなの」

P「うん、まだやることいっぱいあるしね。事務所にも言うけど、やめるつもりはないよ」

「なんだぁ……」ホッ

P「……でもね、本当のこと言うと、すごく悩んだんだ」

P「彼とは、中学生の頃からの同級生で、腐れ縁なんだよね。高校の時に恋人になって、ずっと付き合ってた」

P「そんな彼と結婚したかったけど、仕事も大切にしたかった。彼も仕事で忙しかったし」

P「でも、こないだプロポーズされて、そこでちょっと考えちゃった」

P「仕事もしたいし、結婚もしたい。そのことを彼に話したら、『じゃあ、結婚してから考えないか』って」

35 : 以下、名... - 2017/01/15 00:15:16.65 t5haRTEF0 33/43

「……いい人、だね」

P「うん、優しいよ。たまにドジだけど、基本しっかりしてるし」

P「彼、夢を追いかけていて、それでヨーロッパに行ったりして、私とも会ってない時期があったの。メールとかのやりとりはしていたけどね」

P「でも、正直、これから不安だよ。お互い忙しいと思うし、会える時間もどうなるか不安。結婚生活は不安だよ、できるかどうか……」

「……でも、私、できると思う」

P「……どうして?」

「わからない。わからないけど、プロデューサーならできそう。私も、さっきあんなこと言っちゃったけど、応援したい」

「……まだ、気持ちはまとまってないけど、いつか、私も、プロデューサーも、いつまでも一緒に仕事はできないんだね……」

「……私、今までプロデューサーに支えてばかりだったけど、私がいつか、プロデューサーを支えたいな、なんて……」

P「もうなってるよ」

「え……」

P「もうなってる。凛は私の支えだよ……みんなそう、加蓮も、奈緒も、未央も、卯月も……他のアイドルも……みんなそう」

P「私もそんなみんなの支えになりたいと思っている。あのね、私は、アイドルとプロデューサーはお互いを支えっていくものだと思うの」

P「そういう意味では、アイドルとプロデューサーは相棒とか、パートナー同士だと思うんだ」

P「だから、私は凛の支えになっているかもしれないけど、凛も私の支えになっているの」

36 : 以下、名... - 2017/01/15 00:16:24.02 t5haRTEF0 34/43

P「だから、ごめんね。凛の恋する気持ちは、私は受け取れない。まどろっこしい真似をしてごめんね」

「ううん、いいの。そうじゃなかったら、私も納得しなかったと思うし」

「それに気が付いたことがあるんだ」

P「?」

「なんていうか、これは恋じゃなくて、憧れなんじゃないかって」

「私、これまで恋とかしたことないけど、今日、プロデューサーと遊んでみて、なんか違う気がしたんだ」

「それでね、婚約者さんの話をしている時のプロデューサーをみて、プロデューサーとその人が幸せになってほしいって思った」

「その時、ふと思ったんだ。ああ、私、恋してたんじゃなかったって」

「困ったとき『プロデューサーならどうするだろう』って思ってた。プロデューサーのしぐさや考えをみて、マネしたいと思った」

「そんな思いが膨らんで、好きになったんだと思う」

37 : 以下、名... - 2017/01/15 00:17:25.77 t5haRTEF0 35/43

P「こないだ、ラジオでたよね。トライアドプリムスの3人で、トークテーマ『好きなもの』っていうの」

「あったね」

P「あれ聞いたときね、私うれしかった。ちょっと不器用な感じはしたけど、好きなことを一生懸命話そうとするところは良かった。凛らしかったよ」

P「私ね、凛は変わったと思った。はじめ会ったときの『ふーん、アンタが私のプロデューサー?』なんて言ってた頃と、ずいぶん変わった」

「ちょっと、恥ずかしいかな……」

P「それはそれでらしくてかわいいけどね。でも、今、一生懸命に歌とか、アイドルの仕事がとても好きで頑張ってますって言ったとき、本当に感動したよ」

P「……世の中、何があるかわからないなって改めて思ったよ。これから、どうなるかわかんないけど、凛には凛の人生をしっかり歩んでほしいな」

P「私は、あなたのプロデューサーだけど、凛のことは、たとえアイドルをやめても、何があっても応援するから」

「……うん!」

38 : 以下、名... - 2017/01/15 00:18:32.14 t5haRTEF0 36/43

P「あ……そうそう」ガソゴソ

「?」

P「これ、凛にプレゼント」

「これ……香水」

P「うん、凛に合うな、って思ったの? どう?」

「うん、これ、ほしいと思っていたんだ。ありがとう」ニコ

39 : 以下、名... - 2017/01/15 00:19:30.67 t5haRTEF0 37/43

シェフ「お待たせいたしました。前菜でございます」

P「わー、おいしそう!」

シェフ「きっとお口に合うと思いますよ」

P「うん」

「……あの」

シェフ「はい、いかがされましたか?」

「もしかして、そのシェフさん、プロデューサーの婚約者?」

P「!?」

シェフ「……え、喋っちゃったの?」

P「えー、いや、婚約したことは話したけど……どうしてわかったの?」

「いや、なんかプロデューサーもシェフの人とよく話していて幸せそうだと思ったし。シェフさんも、プロデューサーと話していて、嬉しそうだなと思ったから……」

P「……ふふ、はは、あっはっは!!」

シェフ「いやー、凄いね。君。鋭いなあ……」

P「凛はすごいなあ。かなわないよ!」

40 : 以下、名... - 2017/01/15 00:20:22.60 t5haRTEF0 38/43


「それから、その日はプロデューサーとは二人でしかできない話をしたよ、すごく楽しかった……」

「次の日は仕事だったけど、プロデューサーの目をみてちゃんと話せるようになった」

「プロデューサーもそれからしばらくして、皆に結婚することを伝えていた」

「私も、他のみんなにも、ちょっと印象が変わったって言われた」

「加蓮、奈緒、未央、卯月……みんなにもちゃんとどうなったか話したよ」

「みんな、ほっとして、よかったね、っていってくれた」

「プロデューサーとも、しっかりやっているよ。色々と忙しいけど、皆で支え合ってやってる」

「そう。それで、明日はプロデューサーの結婚式なんだ」

「プロデューサーの花嫁衣裳しっかりと見なきゃ」

ハナコ ワンッ

「だから今日はもう寝なきゃ……ね、ハナコ」

41 : 以下、名... - 2017/01/15 00:21:38.29 t5haRTEF0 39/43

結婚式 教会前

卯月「プロデューサーの花嫁姿ドキドキします」

未央「早く見てみたいなあ……」

奈緒「ブーケトス、緊張してきた……」

未央「なんでかみやんが緊張するの?」

奈緒「いや、だって、ほら、飛んで来たらどうしようかと思って……」

未央「受け取る気まんまんだね!」

卯月「奈緒ちゃんはかわいいですね!」

奈緒「なっ、そんな、違……!」



「なんかあの三人、すごく盛り上がってる……」

加蓮「ほんと。凛も緊張しているでしょ」

「うん、まあ、正直……」

42 : 以下、名... - 2017/01/15 00:22:35.29 t5haRTEF0 40/43

加蓮「今日、いい香水つけているね」

「うん、プロデューサーからもらったんだ」

加蓮「へえ、いいなあ」

「あのね、加蓮、ありがとうね」

加蓮「? 何が?」

「告白すればいいってアドバイスしてくれたから、私、告白できた。あとで未央にもきいたけど、あの時も加蓮が言って、私に悩みを打ち明ける場をセットしてくれたんだね」

「そうじゃなきゃ、私もずっともやもやしっぱなしで、何も変わらなかったと思う」

加蓮「……あのね、実は私も、凛と同じ気持ちだったんだ」

「えっ」

加蓮「凛が告白する前だよ。私の体のこととか気を使ってくれて、他にも気配りしてもらって、それからすごくいいなって思ったの」

加蓮「でね、二人きりになって、プロデューサーに思いをぶつけてみたの。そしたら『私には彼氏がいるんだ』って言われた」

加蓮「最初はびっくりした。で、私もその後、ちょっと二人で遊びにいって、私の話をきいてもらったり、プロデューサーからの話もきいたんだ」

「そうなんだ……」

加蓮「凛はもやもやしたかもしれないけど、私、なんかちょっとうらやましく思っちゃった。なんか態度が違うな、と思って」

「まあ、プロデューサーもあの時期にあんなこと言われたから、動揺したんだと思う。プロデューサー、ああみえて不器用なところあるから……」クスクス

加蓮「そうそう……」クスクス

43 : 以下、名... - 2017/01/15 00:23:07.51 t5haRTEF0 41/43

未央「あっ、花嫁きた!」

卯月「プロデューサーさん綺麗……」

奈緒「ああ、なんか普段のプロデューサーさんと全然違うなあ……」


加蓮「綺麗だね……」

「そうだね……」

44 : 以下、名... - 2017/01/15 00:25:06.36 t5haRTEF0 42/43

P「ブーケトス、いきまーす! えい!」ヒョイ


「えっ……」ポン

未央「おっ、しぶりんが受け取った!」

卯月「凛ちゃんやりましたね!」

奈緒「あー! いいなあ!」


加蓮「凛、やったじゃん。次に結婚できるって」

「うーん、まだそのつもりはないかな。でも……」

加蓮「でも?」

「うれしいから、とっておこう」



おわり

45 : 以下、名... - 2017/01/15 00:28:39.57 t5haRTEF0 43/43

以上です。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

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